居酒屋 [文学 フランス ゾラ]
ゾラの『居酒屋』を読んだ。
ゾラはドレフュス事件に際し、「私は告発する」というパンフレットを書いた人として有名だ。
が、あまり本自体は日本では読まれていない気がする。
かくいう私も今回『居酒屋』を読むまで一度も読んだことがなかった。
主人公ジェルヴェーズという真面目で優しい平凡な一女性が、自分の洗濯屋を持ち、一時はかなり儲かり幸福と言える生活を手に入れるが、夫クーポーの怪我(娘ナナがきっかけ)をきっかけに、どんどんと生活が苦しくなっていき、堕落した生活となり、最後は最期を迎えるという内容だ。
途中までは楽しげな描写もあり、ジェルヴェーズとグージェという洗濯屋の出店資金を貸してくれた男との純愛も描かれそれなりに楽しめるのだが、その怪我以降は堕ちていく一方なのでつらくてページをめくることができなくなっていく。
テーマは人間の欲望、酒、セックスといえるだろう。そして堕ちる所まで堕ちた人間は正常な理性を保持できなくなるということをこれでもかこれでもかとばかりに描いている。
これに賭博が加われば完璧だが・・・。
そしてこの堕ちるきっかけとなったのが娘のナナが何気なく父親を呼んだことというのも象徴的だ。
自作『ナナ』はこの娘ナナを主人公とした描いた作品らしく、これも社会の暗部をえぐり出すような作品らしいからだ。
らしい、というのは実はまだ未読だからである。
しかし、もういいかな、というのが正直な感想。
もうお腹いっぱいでしばらくいいですという感じ。
読む人はそれなりの覚悟を持って読み始めなければならない作品だと思う。
2015-12-22 07:06
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