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撮影中につきおしずかに!②仲なおりに効く魔法 [文学 日本 にかいどう青]


撮影中につきおしずかに!(2): 仲なおりに効く魔法 (ポプラキミノベル に 1-2)

撮影中につきおしずかに!(2): 仲なおりに効く魔法 (ポプラキミノベル に 1-2)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2021/11/17
  • メディア: 単行本



私の好きな作家にかいどう青さんの最新作。
魔女の家庭に生まれたことで魔法が使える主人公ハル。彼女はその魔法の力を制御できず、しかも周りが自分と同じ力を持っていないことを知らず普通に振舞っていたことで小学校時代にいじめられる。そんな彼女に唯一理解を示してくれたカズキ。彼女たちは中学生になり部員がいなく配布状態だった映画研究会を復活させる。その二人にココという美少女を加えた映研の心暖まる話。今回は3つの話で構成されている。

①先輩たちが完成させられなかった映画を完成させる話。
②一人になってしまった合唱部のPR動画を作る話。
③ココとカズキの喧嘩の話。

①はにかいどう青らしい、時空を超えたファンタジー色の強い話。サスペンス風で面白い。
②は、一生懸命な心はいつか伝わるという美しい物語。
③もにかいどう青らしい、人間関係の機微をうまく表した作品。確かにこういう気持ちって中高時代持つ、いや大人になっても持つよな、と共感してしまう作品。何故部長のカズキが、ココに対してあんな嫌な態度を取ったのか???その謎解きで一章終わるのだが、この理由がしょうもないのだがとても理解できる素敵なおはなし。

『ふしぎ古書店』『撮影中につきお静かに!①』よりはじんわりする場面は少ないが何にしろ面白かった。まあまあオススメ出来る本。
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撮影中につきおしずかに!①特殊効果に魔法少々 [文学 日本 にかいどう青]


撮影中につきおしずかに!(1) 特殊効果に魔法少々 (ポプラキミノベル)

撮影中につきおしずかに!(1) 特殊効果に魔法少々 (ポプラキミノベル)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2021/04/14
  • メディア: Kindle版



わたしの大好きな、にかいどう青さんの新作。
今回は、中学校の映画研究同好会の話。
魔法を使え、お供として、ミスターRという話が出来るうさぎを連れている、主人公ハル。
女の子だが、イケメンでいつもジャージを身につけているカズキ。
超美少女の関西弁ココ。

様々なエピソードとともに、お互いが出会った場面を描いており、作者お得意の怪談とミステリーを織り交ぜながら、周りと協調できない繊細の心を持った登場人物たちの心の成長とふれあいを描いた作品。

相変わらず感動的で面白い。でもこの巻でほぼ完結してしまっている気がするのだが、この先どう話が進んで行くのか楽しみだ。
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7日目は夏への扉 [文学 日本 にかいどう青]


七日目は夏への扉 (講談社タイガ)

七日目は夏への扉 (講談社タイガ)

  • 作者: にかいどう 青
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/18
  • メディア: 文庫



講談社青い鳥文庫から『ふしぎ古書店』『すみっこ☆読書クラブ』などを出している、にかいどう青さんの小説。主人公は『ふしぎ古書店』の主人公東堂ひびきを預かっているおばさんの三澄朱音。彼女の昔の恋人の死を夢に見、その前後の日々の行ったり来たりするファンタジー小説。このにかいどう青さんは、こういったファンタジーが好きらしく、『ふしぎ~』『すみっこ~』でも様々なしかけを作っている。

『ふしぎ古書店』のスピンオフ的な小説といえるのだろうが、『ふしぎ古書店』ほどの感動はない。だが、最後は結構意外な展開で、そういうオチだったのか、という感じ。

『ふしぎ古書店』が傑作だっただけに、かなり期待して読んだのだが、そこまでではなかった。
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すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー2 [文学 日本 にかいどう青]


すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー(2) (講談社青い鳥文庫)

すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー(2) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: 新書



にかいどう青著『すみっこ★読書クラブ②』を読み終わった。

毎回書くが、この「にかいどう青」という作者、本当に素晴らしい作家だと思う。今回は①以上に「いじめ」に焦点が当たっていて、そこまで陰湿な感じのイジメではないが、やったり、やられたい、そしてやられている人を何もせずにただ見ている人がいたり、「イジメ」が起こる時にその場に居合わせる様々な人の心に焦点をあてて描いている。

この作家の良いところは、人間は必ず「善と悪」の心を持っており、「悪」の心を持っているということを前提に、そして「悪」の心をもった自分を含めてすべてを受け入れて、前に進んでいこうというのが、物語の随所に見られるところだ。

今回の印象に残った言葉

p.130
「読書クラブでは、みんな、自分の意見を言い合うでしょ?でも、ちがう意見を持っていても相手を言い負かそうとはしない。そこがいいと思う。」

読書クラブの良い部分を言った主人公和登千秋のセリフ。これは、子どもに限らず、大人でも難しい。どんな場面でも多くの人間は自分が絶対に正しいと思ってしまう。自分の意見が一番なんだと思ってしまう。そうではなく、様々な意見に耳を傾け、より善いモノを作っていこうとする姿勢こそが意見をぶつけ合うことの意味なのだ。これは、人には必ず善と悪の側面があるというのと同じだ。どんなものにも正と負の側面がある。それを受け入れた上で、新しい何かを作り上げていくことが重要なのだ。

p.p. 180~181
「物語というものはつくり話です。
 わたしには一生起きないようなドラマチックなことばかりが書いてあります。
 なのに、ときどき、自分のことが書いてあるのを見つけて、ドキッとさせられます。
 読書クラブに入って、そのことを知りました。
 わたしたちは、いつもじょうずに生きられるわけではありません。
 世界にうまくなじめないからこそ、物語が必要なのだと知りました。」

とても、良い言葉だと思う。私も物語が大好きだ。そして小さい頃から世界にうまくなじめない。だからこそ、物語がずっと必要だったのだ、とこの本を読んで思った。

この本は2020年の1月に発売された。つまり出版されたばかり。はやく三巻が読みたい。
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ふしぎ古書店⑦ 福の神の弟子卒業します [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店7 福の神の弟子卒業します (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店7 福の神の弟子卒業します (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/01/12
  • メディア: 文庫



『ふしぎ古書店』を全巻読み終わった。
正直あらすじだけ見るとたいして面白そうではなかったので読もうか読むまいか迷っていたのだが、読んでよかった。

最後の巻は、主人公東堂ひびきと親友秋山絵理乃がちょっとしたことからけんかをしてしまう話と、東堂ひびきが新しい旅立ちをする話。親友とはいえけんかもするのが世の中の常。そうしたこともしっかりとテーマとして取り上げ、心の中を掘り下げ描いていく。とても良い話だった。
そして最後のテーマは旅立ち。人間誰しも、今ある安定した生活を続けたいと思う。新しい世界へと旅立っていくのはとても勇気がいることだ。そして仲間たちとの別れもとても悲しい。しかし、すべてがずっと同じ状態で続いていくことなどありえない。大きな変化を自分から起こしていくべきなのかどうなのか、この葛藤を描いた最後の章は本当に感動的だった。

素晴らしい小説を読むと、ずっとその小説世界に居続けていたいと思う。この作品もずっと彼女たちの中にいたいと思ってしまう。しかし、この世のすべてには終わりがある。非常に非常に残念だったが、結末も非常にポジティブですべてが最高の作品だった。

ぜひ、5年後の東堂ひびきと仲間たちの再開を読んでみたいと思う。
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ふしぎ古書店⑥ 小さな恋のひびき [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店6 小さな恋のひびき (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店6 小さな恋のひびき (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/07
  • メディア: 文庫



第6巻を読み終わった。
今回は、主人公東堂ひびきに恋する男の子の話と、彼女の師匠、福の神レイジの過去のトラウマの話。
自分の心としっかりと向き合えるようになり、周りとの距離感もうまくつかみ、社会の中で自分の立ち位置を確立し始めている東堂ひびきが、周りの人間のトラウマを治していくようになっていく話。

外面を取り繕うのではなく、前向きに一生懸命に、時には回り道をしながら前へと進んでいくことの大切さを物語を通して読者に伝えてくれる。いつも書くがそれがまったく嫌みっぽくないのがこのシリーズの素晴らしい所だ。

人間同士のつながりというのは、良い所も悪い所も出し合い、それをお互いが認め合い、相手の全存在(良いも悪いも)を受け入れる関係こそが本当なのだということを教えてくれる。

どんどん成長していき周りの人間の心までも変えてしまうようになった東堂ひびき。とても魅力的で素晴らしい。

前向きな姿勢、お互いがお互いを干渉しすぎないが心配しあい、良い影響を与え合っているこの絶妙な距離感。素晴らしい。

多くの子供たちがこの本を読むことで、人間関係というのはどのようなものなのかを感じ取ってくれると良いと思わせる作品だ。
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ふしぎ古書店⑤ 青い鳥が逃げ出した [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店5 青い鳥が逃げだした! (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店5 青い鳥が逃げだした! (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/05/12
  • メディア: 文庫



主人公、東堂ひびきが自分の内面としっかり向き合えるようになった後の第4巻はそこまで面白いものではなく、単なるミステリーっぽくなってしまっており、ちょっと残念な感じで、このまま最後までいってしまうのかな、と思っていたのだが、この第5巻は再び面白さを少し取り戻した。

メーテルリンクの『青い鳥』をテーマにした第一話も一般的に言われている『青い鳥』の解釈を一歩深めた感じで、とてもよかったし、第二話も「いじめ」をテーマにしたもので、こちらも重いテーマなのだが、いじめられている子が、爽やかな正義感に満ちた子で、とても前向きな感じのストーリーになっているとともに、いつもどおりとても温かさに満ちておりすごく読後感が良かった。

とにかく、すべての登場人物が、前向きで正義感に溢れ、曲がったことに対し積極的に関わっていき、そして少しでも物事を良くしようと努力しようとしており、すごく読む人々に、強く生きる勇気を与えてくれる作品だ。しかし強く生きることを上から無理やり押し付ける感じでもなく、逃げてもいいし、失敗しても良い。悩んでもいいし、泣いてもいい。そういうことを積み重ねることで人間というものは成長していくのだということを、暖かい登場人物たちを通して教えてくれる。何度も書くが、本当に素晴らしい作品だとおもう。

最後にいつものように心に残った一節を。

いじめられている子を助けようとしたために、いじめられことになってしまった男の子に対して主人公藤堂ひびきが発した一言。

p181
「ひとりでいることを知らない子って、やっぱり流されやすいんだよね。空気ばかり読んでいると、じぶんの気持ちがわからなくなっちゃう。・・・って、こんな言い方すると、えらそうだけど。じっさいのわたしは、えらくもなんともないし。」
中略
「わたしが言いたいことは、広瀬くんが集団のなかで、きちんと自分の意見を言えたことは、すごいってこと。そして広瀬くんのしんせつは、ちゃんと味方をつくっているということ。」

一人で考える時間を持てない人間は、本当に意味で人に優しくできないと思う。自分と真剣に向き合うことが出来る人間こそが、本当の意味で他者と向き合うことができるのだ。

第六巻も楽しみだ。
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ふしぎ古書店④ 学校の六不思議 [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店4 学校の六不思議!? (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店4 学校の六不思議!? (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/01/13
  • メディア: 文庫



『ふしぎ古書店④』を読み終わった。
前巻で、主人公東堂ひびきは、福の神の弟子を卒業するはずであった。つまり、自分の心の問題を自分で解決し、前向きに人生を歩けるようになった。が、自分の意志で、福の神の弟子を続けることになり、そうした中でのこの第4巻。

前巻までは、心に何らかの傷を負った人々の問題を、東堂ひびきが解決してあげる中で、彼女自身も成長していくというのが基本の流れであった。しかし、福の神の弟子を卒業できるほどまでに成長した彼女だけに、この本は、彼女の心を癒す、というよりは、出てきた問題を解決していく、というミステリーの要素がかなり強まった感じの話になってしまっている。

もちろん、おなじみのメンバーも出てきて、話も面白いのだが、前二巻に見られたすごく心があったまりほっこりするような感じではなくなってしまっている。最後の話で、親友絵理乃から言われた言葉によって『今日』を大事にすることを誓う場面はとても良いのではなるが、今までがとてもよかっただけに少し残念であった。

あと3巻。今後どんな展開になっていくのか楽しみである。また涙を誘うような話を期待している。
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ふしぎ古書店③ さらわれた天使 [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店3 さらわれた天使 (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店3 さらわれた天使 (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/08
  • メディア: 文庫



今回も非常に良い話だった。いろいろな人の、時間がたっても自分の中で昇華しきれない問題を、主人公東堂ひびきが優しい心で解決していく。とにかく、この物語の素晴らしいと所は、何でもない普通の女の子、というよりいじめられた経験があり自分に自信がない女の子が、様々な問題を解決していくというところだ。しかも、福の神の弟子とはいえ、彼女自身にはほぼ何の力もない。周りの人の助けを若干借りているとはいえ、基本的には彼女の優しい心と行動力で問題を解決していくのだ。

そして常に最後は主人公の心の問題を扱い、彼女が成長したことを実感させてくれる。本当に良い話だ。今回も電車内で読んでいて思わず泣きそうになってしまった。

今回の一押しフレーズ。福の神レイジさんが、東堂ひびきにあてた手紙より

p.238
『ひとには、見たくないものを見ないようにする機能があります。それが心を守ってくれることもあります。だから、なくてもよい機能だとは思いません。でも、いまのひびきさんは、見たくないものにも、少しずつ対処ができるようになりましたね。なにも感じないように、考えないようにしていた、これまでのひびきさんとはちがいます。どうか、いっぱい笑い、ときには泣いてください。そういう気持ちを手ばなさないように。』

すごく、すごく良い言葉だと思うのだ。
人間誰しも誰かと軋轢を生じさせたくない。特に心が敏感な人は、相手の感情を痛いほど感じ取ってしまうので、さらに距離を置くことを望む。しかし、やはりそれだけでは、本当に意味で楽しく生きるということにはつながらない。様々な感情を表に出すことによって人間は成長できるし、社会の中に入っていける。

本当にこういった常に様々なものに意識が向きすぎてしまって、息苦しさを感じている人にスポットを当てた小説は大好きだ。

こういった人の内面というのは、自分自身がそういった人間でないと決して描くことは出来ない。

何度も書くが本当に素晴らしい著者だと思う。
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ふしぎ古書店② おかしな友達募集中 [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店2 おかしな友だち募集中 (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店2 おかしな友だち募集中 (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/06/09
  • メディア: 文庫



今回もとてもいい話がそろっていた。テーマは「想いを伝える」ということなのだろう。
ある女の子が、公園で傷ついた猫に偶然出会い、手当をしてあげる。そしてその猫に自分の話を毎日聞いてもらう。そのことがずっと忘れられずその感謝の気持ちを伝えたい女性の話。
そして死神に恋してしまった貧乏神の話。そして主人公東堂ひびきの自分では触れないようにしていた心の傷、心の痛みに向き合う話。
どれもこれもが非常に繊細な話なのだが、登場人物たちのコミカルな設定によるシリアスさを全く感じない。しかしところどころで涙を誘い、こころを前向きにさせてくれる。とても不思議で温かい作品だ。

主人公東堂ひびきが、買い物中に、前の学校で一緒だった女の子たち4人組に出会う。彼女は昔いじめられていた。その場でも少しいじられ心が傷つく。そして次の日熱を出してしまう。いろいろな人と対話をすることにより、自分がいろいろな人から愛されていることに気が付き、心が前に向かう。その時に彼女の心の描写、セリフがとても良い。

p218
いままでのわたしなら、あの子たちになにを言われても、痛くもかゆくもなかった。
それは、ダイヤモンドの心を持っていたからじゃなくて、きっと、わたしが世界に参加していなかったからだ。
だから、あのころのわたしは、楽しいことも、いまより知らなかった。
いまのわたしは、あの子たちの言葉に、かんたんに傷つくようになってしまった。
だけど、~中略~みんながわたしを好きでいてくれて、すごくうれしいと思う。
じぶんのことも、前より好きになれそうな気がする。

愛されていることがわかることで、逆に心が痛みやすくなる。しかしその心の痛みを感じられるからこそ、自分にも他人にも優しくできるし、自分も、他人も愛することが出来る。
すごく難しい心の問題を、うまく物語化して嫌みのない形で提示するこの本。

にかいどう青という著者。どんなひとだかわからないが、いろいろな人生経験を積んできた人なんだろうなあと思う。

とてもとても良い本だった。
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ふしぎ古書店① 福の神はじめました [文学 日本 にかいどう青]


ふしぎ古書店1 福の神はじめました (講談社青い鳥文庫)

ふしぎ古書店1 福の神はじめました (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/11
  • メディア: 文庫



この前読んだ『すみっこ★読書クラブ』の作者「にかいどう青」さんが書いた作品。全7巻らしい。
「本」がテーマになっている作品に惹かれてしまう傾向がある私は、この本も思わず手にとってしまった。『すみっこ~』もそうだったが、この『ふしぎ古書店』も古本屋をメインの舞台に据えている割にはあまり文学作品が登場しなかった。

「周りから見ると明るく何気なく振舞っている人たちの、深層にある心の傷を癒す」というのがテーマになっているのだと思う。特別な人間にしか見えないと言われている古本屋「福神堂」を見つけ、そこで福の神の弟子にさせられてしまった主人公「東堂ひびき」。彼女のあまりにも繊細で、何とか傷つかないようなるべく周りと関係を取らないよう頑張っている姿が読んでいて若干痛々しい。彼女とは対照的に明るく振舞っているのだが、心の中のつらい想いを必死で隠そうとしている、主人公の親友になる秋山絵理乃もかなり痛々しい。しかしどちらもとても良い子で、心優しい子供達で、とても温かい気持ちにさせられる。

東堂ひびき、が夢を食べてしまうバクによって、「だれも傷つかない、だれも傷つけられない」世界へと誘われてしまう。その彼女を必死で現実の世界に連れ戻そうとする人々。

この
①生きている限り必ずだれかを傷つけ、だれかに傷つけられてしまう現実の世界
②だれも傷つかない、だれも傷つけられない夢の世界
でどちらにいようか迷う東堂ひびき。

これは、自分の言葉や行動が誰かを傷つけているのではないかと、常に心配して生きている繊細な心の持ち主ではないと理解できない葛藤だろう。

鈍感な人というのはある意味羨ましい。

この東堂ひびきという女の子も間違いなくHSPなのだろう。

すごく心に残る作品かというと、そうでもないが、それなりに読んでいておもしろかった。
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すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー1 [文学 日本 にかいどう青]


すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー(1) (講談社青い鳥文庫 E に 2-101)

すみっこ★読書クラブ 事件ダイアリー(1) (講談社青い鳥文庫 E に 2-101)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/07/11
  • メディア: 単行本



講談社の戦略にまんまとはまっている気がする。

ここ数年バレエにはまっており、子供たちとよくDVDや生の舞台を見ていく中で、講談社青い鳥文庫の『エトワール!』シリーズに出会った。このシリーズを含んだ『チェンジ』という4つの(人気)シリーズの話からなる本も購入し、読んだところ、小林深雪という作家に出会い、彼女の書いた『泣いちゃいそうだよ』シリーズを読み、さらにこの『すみっこ★読書クラブ』も読むことになってしまった。

テーマがわたしにドンピシャであり、①読書好きの集まり、②すみっこで生活する人々、これがかなりはまった。

ある私立学校の「読書クラブ」と図書館を中心に話は進む。メインの道から外れたすみっこで生活する劣等感のかたまりのような人間たちからすると、キラキラ輝いて何でもできる人間は悩みのかけらもないような気がするが、ひとそれぞれみんな悩みを抱えている、ということが最終的に伝えたいことなのであろう。様々な出来事を名作本と絡めながら展開していくので本好きの私としてはとても楽しんで読めた。

友達に話しかけるにも様々なシミュレーションをし、慎重に人との距離を縮めていく主人公の姿や、です・ます調の丁寧語りもとてもしっくりきた。

心が温かくなる本だった。
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