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天国はまだ遠く [文学 日本 瀬尾まいこ]


天国はまだ遠く(新潮文庫)

天国はまだ遠く(新潮文庫)

  • 作者: 瀬尾 まいこ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/06/01
  • メディア: Kindle版



文庫版あとがきによると、著者が丹後地方の中学校での勤務した経験から生まれた作品らしい。

自殺を決めた女性が森の奥地へ行きそこで自殺をしようとするものの失敗し、宿屋の若い男性や周りの暖かい人々、大自然の恵みを受けることで、心を回復し、後ろ向きながらも街の中で生きていく思いをしっかりと持って旅立つ話。

小川糸作品のような、美味しそうな素朴な食べ物がたくさん出てきてとてもよかった。

途中、キリスト教の教会へ行く場面が有り、主人公の女性と宿屋の男性が話す場面で
「別に教会だけやない。神社も奉ってるで。」
  中略
「仏教徒であり、クリスチャンでしょ」
とあるのだが、神社は仏教徒は関係ないのでは?と思ってしまった。

著者もそうだが、出版社の校閲担当者等は気にならなかったのだろうか。
単行本から文庫本になる過程で直したりとかもなかったのだろうか。

まあいいや。とても心温まる話で、最後はお決まりの主人公の女性と宿屋の男性が結婚する、という形にならないのもよかった。
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トランプの中の家 [文学 日本 安房直子 た行]


ひぐれのラッパ (福音館創作童話シリーズ)

ひぐれのラッパ (福音館創作童話シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2010/09/20
  • メディア: 単行本



9歳の女の子は、3歳の妹あつ子を連れておばさんのところへケーキを持っていくよう母親に頼まれる。おばさんの家は森の道を抜けたところにある。

彼女たち一家は一週間前に森の家へ引っ越してきた。体の弱い妹のために自然の中で暮らすことを決めたという。

森に入って行っておばさんの家へ行った時のために「しばらくこちらにいますから、どうぞよろしくおねがいします」と挨拶の練習をしていたところ、「はいはい、こちらこそ」と後ろから言われ振り向いてみるとそこにはうさぎがいた。いろいろ話しているうちに、そのうさぎはトランプの中のお屋敷から出てきたことがわかる。

うさぎは変な歌を歌ってトランプの中へ消えてしまう。女の子も同じように歌うと妹を置いてトランプの世界へ入り込んでしまう。

妹を置いてトランプの世界へ入り込んでしまったので、急いで戻らなくては、と考え先ほどのうさぎを探す。不思議なお屋敷を探検し、ようやく森で会ったうさぎに出会う。うさぎはこのお屋敷の料理人だった。この料理人のうさぎには恋人がいて、その恋人はこの屋敷の娘さん。

この恋人のうさぎが、女の子が元いた森の世界へ行ってしまっていることに気がついた、女の子と料理人のうさぎは急いで戻る。

すると、トランプの世界へ戻るためのトランプを妹のあつ子が握っており、それを料理人のうさぎが取り返そうとする。色々ともみ合っているうちにトランプは破れてしまい、うさぎたちは帰れなくなってしまう。料理人のうさぎは困って泣き出すが、恋人の娘はあっさり、「この森で暮らしましょう」と言う。そしてこの森で料理屋さんをすることに決める。

女の子とあつ子もおばさんの家へ向かう。

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』をもじったような、でも全く不条理感はなく心温まる話。

p.160
「森の木というのは、不思議なものね。人の心を、こんなにやさしくしてくれるんだから」
この言葉に、安房直子がこの話に詰め込みたかったことが凝縮されていると思う。
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ファミリーデイズ [文学 日本 瀬尾まいこ]


ファミリーデイズ (集英社文庫)

ファミリーデイズ (集英社文庫)

  • 作者: 瀬尾 まいこ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/10/18
  • メディア: 文庫



瀬尾まいこさんの、『あと少し、もう少し』が素晴らしい作品で、彼女のエッセイ集『ファミリーデイズ』も、評判が良さそうなので読んでみた。

彼女が、のんきな夫と結婚し、やんちゃな娘を授かり、娘の成長を見守る過程を綴った作品。基本的に時系列に並んでいる。

はじめの方は、夫との面白エピソードが満載だったが、娘が生まれてからのものは結構飽きてきて、最後は結構飛ばし読みだった。

ほかの小説を読んでみようとは思うが、エッセイはもういいかな、という感じ。
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遠い野ばらの村 [文学 日本 安房直子 た行]


遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2011/03/17
  • メディア: 単行本



見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: 単行本



ある村に雑貨屋を開くおばあさんが住んでいて、遠い村にいる息子とその三人の孫の話を、色んな人にしていた。しかし、おばあさんはずっと独り身できたので、息子ましてや孫などいないことは皆知っていた。

空想の孫娘のために着物を縫っていたところ、小さな女の子がたずねてくる。父親が作った「野ばら堂のせっけん」を雑貨屋に置いて売ってくれないか、というのだ。快く引き受けたおばあさんは20個受け取ると、1週間後に取りに来るように伝える。せっけんは飛ぶように売れすぐに売り切れてしまった。

次の日に来る女の子におはぎを作ってあげようと、あずきを洗っていると、今度は男の子二人と女の子で約束の一日前にやって来る。まだあずきが固くておはぎは作れないと悩んでいると、女の子はおまじないをかけ柔らかくしてしまう。柔らかくなったもち米とあずきを似ておいしいおはぎを作り、三人に食べさせる。もう遅いから泊まっていきなといい、泊まらせたが次の日布団はもぬけの殻。布団にたぬきの毛が残っており、こどもはたぬきだったことがわかる。

三人の子どもはその後ずっと現れない。ある日野ばら堂のせっけんでシャボン玉を作っている子どもたちに出会い、おばあさんもシャボン玉をやらせてもらう。シャボン玉は風に運ばれ山の方へ。それをおばあさんは追いかけていく。

そこでこだぬき三匹に出会う。おばあさんとこだぬきたちは仲良く話をし、おばあさんは「また来るんだよ」と伝え、たぬきが用意してくれた提灯を持って家に帰っていく。

嘘をついたり、だましたり、というのは一般的は良くないのかもしれないが、心温まる嘘や騙しもある、ということを伝えてくれるほっこりする話。
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天窓のある家 [文学 日本 安房直子 た行]


春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/04
  • メディア: 文庫



夢の果て: 安房直子十七の物語

夢の果て: 安房直子十七の物語

  • 出版社/メーカー: 瑞雲舎
  • 発売日: 2005/12/10
  • メディア: 単行本



日暮れの海の物語

日暮れの海の物語

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2023/08/26
  • メディア: 単行本



友人の別荘の山小屋風の建物に泊まったある男性の話。

その家には天窓がついていて、その天窓からは、多いなこぶしの木の枝がよく見える。
彼は悲しいことが重なり神経がまいっていて、それを見かねた友人がこの別荘を貸してくれた。

ぼんやり天窓から外を眺めていたところ、こぶしの木についていた花の影が布団の上で揺れた。その影を何とはなしに触ってみると、何と影が銀色に変化してしまう。さらにそれをつまみあげるとその花の影がつまめてしまった。あまりの驚きに「うわあ、お母さん、すごいよ。」と叫んでしまう。彼は3ヶ月ほど前に母を亡くしていた。

その後彼に不思議な声が聞こえるようになる。「かえして、かえして、影をかえして」という。見上げるとこぶしの木が天窓から見え、こぶしの木に「ねえ」と呼びかけてみる。すると、こぶしの木が言葉を話して答えてくれた。そして自分の影をかえしてくれ、と頼まれる。返すことを約束し会話は終わる。

しかし実際返すとなるともったいない気がしてしまい、結局それを持ったまま別荘から逃げ帰る。途中「かえして、かえして、影をかえして」という声にひたすら追われながら。

自分の家に戻り少し元気を取り戻し、お守りに花の影を首に下げてからはみるみる回復し仕事も順調に進み、結婚までし、子供にも恵まれ自分の家も持つ。

そんなある日、山小屋の持ち主に会い、こぶしの木が病気になってしまって、あの小屋を取り壊すことを耳にする。

こぶしの木が自分に生気を与えてくれてたことを知り、彼は申し訳ない気持ちでいっぱいになる・・・。

昔話的な、自然が人間に与えてくれる力を優しく物語で描いた作品。


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あと少し、もう少し [文学 日本 瀬尾まいこ]


あと少し、もう少し(新潮文庫)

あと少し、もう少し(新潮文庫)

  • 作者: 瀬尾 まいこ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/09/18
  • メディア: Kindle版



中学駅伝を描いた作品。箱根駅伝を描いた三浦しをん作の『風が強く吹いている』に似た作品。
『風が~』は大学駅伝を描いているということもあり、悩みなども大人な感じがあるが、登場人物が中学生ということもあり、悩みが結構生々しく、中学生ならではの微妙な揺れ動く気持ちなどもよく描けている。

公立中学が舞台となっていることもあり、名物顧問が異動になってしまい、しょうがなく顧問になってしまった女性の美術教師で陸上ど素人の上原先生が非常に良い味を出している。

走順通りの章立てになっており、走っている様子と、それまでに至る時間が行ったり来たりしながら重層的に語られており、非常に深みのある作品となっている。各走者が次の走者にバトンを渡す描写は全ての章で涙が出てしまった。そして皆がそれぞれの立場から部長の桝井を思う気持ちが非常に美しい。

解説をなんと三浦しをんが書いており、彼女が非常に良いことを書いている。

p.360
「私たちは決して、決して、一人ではない。あなたがだれかを思うとき、だれかがあなたを思っている。必ず。そう信じて前進する姿は、なんと激しく崇高なのだろう。もし、そのがむしゃらな姿を嗤うひとがいるとしたら、そのひとは「生きる」ということを知らないのだ。」

中島みゆきの「ファイト!」にも通じる非常に良い作品だと思った。
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序曲 JS.145 [シベリウス 交響詩]


The Sibelius Edition: Theatre Music

The Sibelius Edition: Theatre Music

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2008/07/28
  • メディア: CD



評価
★★★★☆☆☆☆☆☆
平和で壮大な感じの曲。最後は堂々と終わる。悪くはないが特徴的なところはない。
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6つのルーネベリの歌 Op.90 [シベリウス 声楽曲]





01. 北国
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く悲しげな和音の連続による前奏に始まり、そのまま暗く悲しい旋律が歌われる。
北国の寒々しい様子が語られる。

02. 彼女の便り
★★★★★★☆☆☆☆
静かな味わい深い前奏で始まり、様々な伴奏・メロディが次々に流れるしっとりとした曲。

03. 朝
★★★★★★★☆☆☆
クリスマスソングのような暖かく愛らしい曲。ポロンポロンというピアノ伴奏が可愛らしく綺麗。

04. 鳥捕り
★★★★★★☆☆☆☆
軽快なはねた感じの曲。

05. 夏の夜
★★★★★★☆☆☆☆
流麗で、美しいメロディを持ったダイナミックな曲。

06. 誰が君をここに連れてきたのか
★★★★★★☆☆☆☆
静かな冷え冷えとした雰囲気の中にどこか暖かさのある、ゆったりとした美しい曲。

メロディの綺麗な曲が多い聴きやすい曲集。
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生のみ生のままで 下 [文学 日本 綿矢りさ]


生のみ生のままで 上 (集英社文庫)

生のみ生のままで 上 (集英社文庫)

  • 作者: 綿矢りさ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2022/08/04
  • メディア: Kindle版



無理矢理事務所に仲を引き裂かれ、それぞれが自分のやるべき仕事に尽力する彩夏と逢衣。
彩夏が最悪の状態になったあとの、愛情を二人が取り戻していく過程がとても美しい。

家族に理解されきらない、まわりにふたりの関係を完全にオープンにできない、など同性愛につきものの様々な状況はあるものの、最後は明るく希望に満ちた感じで終わるのがとても良い。

三浦しをん『ののはな通信』、小川糸『にじいろガーデン』そしてこの綿矢りさの『生のみ生のままで』、三冊とも女性による同性愛を扱っているが、『ののはな』は社会的、『にじいろ』は家族的なものに焦点を当てているが、この『生のみ』は完全にふたりの関係に焦点を当てている感じだった。

下巻は一気に読んでしまった。

p.82
「私は完璧じゃない。だから他人にいくら笑われてもしょうがない。でも自分だけは自分を笑っちゃいけない。私の頑張りを一番近くで見ているのは私だから。」

この言葉が物語の展開とは関係なく非常に心に残った。
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6つの歌 Op.88 [シベリウス 声楽曲]





花で統一された曲集

01. 青いアネモネ
★★★★★★☆☆☆☆
愛らしく流れるようなピアノ伴奏で始まり、優しく語りかけるような歌が続く。

02. 2本のバラ
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした、「バラが一番美しい」と褒め称える歌。少し悲しげな旋律。

03. ウッド・アネモネ
★★★★★★☆☆☆☆
アネモネを「可愛らしい」と褒め称える歌。こちらも何故か少し悲しげな旋律。穏やかで優しい曲。

04. アネモネ
★★★★★☆☆☆☆☆
ピアノのキラキラした音で始まり、少しはねた感じになり、緊張感のある歌となる。

05. 茨
★★★★★★☆☆☆☆
堂々とした広がりのある曲。

06. 花の定め
★★★★★☆☆☆☆☆
静かな悲しげな曲。

この曲集も美しいメロディの曲が多く聴きやすい。
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6つの歌 Op.86 [シベリウス 声楽曲]





01. 春の気配
★★★★★★☆☆☆☆
ゴツゴツした冬の嵐をイメージさせる前奏で始まる。歌はなんとなく明るさと希望がある。

02. あこがれは私の財産
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした民謡風の暖かいメロディの曲。基本同じメロディが繰り返されるが、最後ピアノがすこしアルペジオになる部分が綺麗。

03. 密かなつながり
★★★★★☆☆☆☆☆
こちらも民謡風のメロディを持った不思議な曲。

04. そしてある考えが浮かぶ
★★★★★☆☆☆☆☆
淡々とした静かな味わい深い曲。

05. 歌い手の報酬
★★★★★★☆☆☆☆
流麗な美しいピアノ伴奏に乗せて、伸びやかで希望に満ちたメロディが歌われる。最後はドラマティックに終わる。

06. 姉妹たち、兄弟たち、愛し合う者たちよ!
★★★★★☆☆☆☆☆
少しエキゾチックなメロディの曲。ピアノの情熱的な和音の連続の伴奏も悪くない。中間部は少しゆったりとした感じになる。

比較的高貴な作品ながらメロディアスな曲が多く、悪くない曲集。
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生のみ生のままで 上 [文学 日本 綿矢りさ]


生のみ生のままで 上 (集英社文庫)

生のみ生のままで 上 (集英社文庫)

  • 作者: 綿矢りさ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2022/08/04
  • メディア: Kindle版



芸能人で売れっ子の彩夏と、彼氏の友人の恋人であった一般人の逢衣の、同性同士の熱烈なラブ・ストーリー。
それなりに性的な描写が多いのだが、村上春樹を筆頭に性的描写が好きな男性作家の性的描写と違い、金原ひとみ同様いやらしさをあまり感じない。

結構突拍子もないような設定ではあるが、まったくひっかかるような部分もなく、自然に読めてしまう。

仲を引き裂かれてしまった二人。今後どうなるのか、下巻が楽しみだ。
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小品 [シベリウス 声楽曲]





01. 想い      JS. 192
★★★★★☆☆☆☆☆
義理の兄の結婚記念に書いた曲らしい。結構荘厳な感じのするデュエット曲。

02. 祖母の誕生日に JS. 136
★★★★★☆☆☆☆☆
題名通りの曲。優しく愛らしい曲。

03. むかしむかし 田園風情景
          JS. 96b
★★★★★☆☆☆☆☆
結構長い、軽くはねた前奏で始まる。少し悲しげにドラマティックになった後、ドラマティックなデュエットが始まる。最後はもの悲しげに終わる。

04. 若い娘たち   JS. 174
★★★★★☆☆☆☆☆
跳ねた感じの明るい曲調の語り口調の曲。ピアノ伴奏が次々と変奏曲のように変わっていくのが面白い。

05. 水仙      JS. 140
★★★★★☆☆☆☆☆
静かな暗い始まり。段々とドラマティックになっていく。

06. 橋の守り    JS. 170b
★★★★★☆☆☆☆☆
ずっちゃ、ずっちゃのリズムに乗って、元気にテノールが歌う。最後はフィンランド愛が高らかに歌われる。

07. 孤独(ユダヤ人少女の歌)
         Op.51b
★★★★★★☆☆☆☆
静かで幻想的な前奏の後、消え入りそうな静かな声で歌が始まる。囚われた少女がエルサレムを思い静かに祈りを捧げる歌。静かな伴奏が逆にドラマティックさを高めている。

08. 忘れ難きタイスへの賛歌
         JS. 97
★★★☆☆☆☆☆☆☆
オペラにもなった、遊女タイスが聖人になってしまい、苦しむ男の歌。

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6つの歌 Op.72 [シベリウス 声楽曲]





01. 紛失
☆☆☆☆☆

02. 紛失
☆☆☆☆☆

03. キス
★★★★☆☆☆☆☆☆
題名から想像されるような愛らしい曲ではない。おどろおどろしい和音によるトレモロ伴奏に始まり、半音階の多いメロディが静かに歌われる。

04. 山びこの精
★★★★☆☆☆☆☆☆
結婚の約束をした娘がいなくなってしまって、それを探してくれるよう山びこに頼む歌?
和音の連続による伴奏が緊張感を高めている。こちらも半音階の多いメロディで不安感がある。

05. さすらい人と小川
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく開放感のある曲。1分足らずの曲だが綺麗な曲。

06. 百の道
★★★★★☆☆☆☆☆
子守唄のような賛美歌のような、ゆったりとした優しいメロディの曲。
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私のアンネ・フランク [文学 日本 松谷みよ子 直樹とゆう子]


松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



私のアンネ=フランク―直樹とゆう子の物語 (偕成社文庫)

私のアンネ=フランク―直樹とゆう子の物語 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 単行本



直樹とゆう子のシリーズ三作目。

今回は題名通りナチス・ドイツがテーマとなっている。
アンネ・フランクと同年に生まれた母蕗子。アンネ・フランクが日記を書き始めた13歳と同じ年齢のゆう子。この二人の日記が交互に登場し一冊の本になっている。最後の方で若干直樹の日記も出てくる。

この本は私が生まれた1978年の出来事として書かれており、自分の生まれたとき日本がどういう状況だったのかということも知ることができて結構面白かった。日本がどんどん戦争ができる国へと向かっていく真っ最中だったのがわかる。世界的にはネオ・ナチが台頭し、日本では相変わらず朝鮮人差別があり、ハーケンクロイツを平気で使用し、天皇制を賛美し、等など、この当時の状況から変わることなく、なんら問題を解決することなく日本は来てしまったのだなあと実感した本だった。

p.420
「あれはいつだったか、旅さきで読んだ地方新聞の随想。だれかが書いていた。
 なにかがおこるとき、そのなにかはさりげなく、だれもそれと気がつかないうちに、人びとの前にさしだされ、たいしたことではないと思っているうちに、それは事実となっていくって。」

p.421
「明治、大正、昭和、その言葉になれ親しみ、その意味の重さを問うよりも、使いつけた茶わんの親しさ、あたたかさで放すまいとする心は私にもある。そして多くの人がそうであろう。
 でも、でも、なぜそれほどまでに元号にこだわり、法律にしようとするのだろう。
 反対をとなえた学者たちを、暴力で排除するようなことがほんとうにおこっているとしたらーー。」

p.471
「ヒトラー・ユーゲントに心をおどらせ、〈愛国行進曲〉を声かぎりに歌った十三歳のわたしも、背丈はまだ小さいけれど、にほんのかたすみでヒトラーをささえたひとりだったということも。そして、それがアンネ、あなたを死にいたらしめたのだということをも(わたしは知った)。」

p.481
「いま、日本はどんどん危険な方向へ進んでいる。戦争の足音がきこえる、って三人ともいっていました。」

この本の中のモチーフのように何度も登場する、民話の中に出てくる「鬼の目」というものが何のアナロジーとしてしようされているのか、最後までイマイチわからかなかったり、なんとなくもやっとした感じの多い作品ではあり、結構わかりづらい作品ではあるのが、伝えたいメッセージは明確で、現在にも通じるものがある。
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『鹿踊りのはじまり』 第3回大人のためのおはなし会 [舞台]


宮沢賢治の山猫と学ぶ楽しい木版画教室―はがき・名刺・蔵書票を作ろう

宮沢賢治の山猫と学ぶ楽しい木版画教室―はがき・名刺・蔵書票を作ろう

  • 作者: 卓美, 伊藤
  • 出版社/メーカー: 日貿出版社
  • 発売日: 2022/08/22
  • メディア: 単行本



「銀河の会」という団体主催の、宮沢賢治の本の朗読会。
昨年に引き続き参加。今年は長男はほかの舞台を見に行ったので、私一人で参加。高齢の女性が多かった。尺八のたまに入る演奏をバックに朗読。

第二部はEverlyというバンドのコンサート。いつもどおりな感じだった。


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父と私の桜尾通り商店街 [文学 日本 今村夏子]


父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)

父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)

  • 作者: 今村 夏子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/01/21
  • メディア: Kindle版



今村夏子さんの短編集。
結構パンチの効いているものが多く、相変わらず現実なのか語り手の妄想なのかわからないという、小川洋子的な作品が多い。

1.白いセーター
2.ルルちゃん
3.ひょうたんの精
4.せとのママの誕生日
5.冬の夜
6.モグラハウスの扉
7.父と私の桜尾通り商店街

1は婚約者とその家族とのいざこざを扱った作品。こどもの悪意がうまい具合に表現されており、主人公のなんとなくやるせない気持ちもすごく詳細に描かれている。
2は偶然知り合った人の家から持ってきてしまった人形の話。犯罪なのだがなぜか犯罪の匂いを感じさせないところがうまい。
3はチアリーディングの話。これも現実なのか妄想なのかイマイチわからない不思議な話。
4はかなり痛い。スナックで働いてきた女性たちが、高齢のママの誕生日をサプライズで祝いにいく話なのだが、かなりブッ飛んだ感じで、結局祝っていない・・・。
5も痛々しい話。子どもを生んだお母さんの話なのだが、全体像がつかめないままふんわり終わる。この作品だけ文庫本だけに収録されている。
6は工事現場のお兄さんと小学生たち、そして学童の先生の淡い恋を描いた話。
7も、不思議な話ではあるのだが、最後の最後で希望を持って終わるので、本全体の読後感は良い。

文庫本は著者本人による制作裏話などが書かれており結構面白い。

すごいオススメ、という本ではないが、結構楽しめる本。
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5つのクリスマスの歌 Op.1 [シベリウス 声楽曲]





01. いまクリスマスは雪の門のそばに立って
★★★★★★☆☆☆☆
優しく愛らしい包み込むような曲。

02. さあクリスマスがやってくる
★★★★★★☆☆☆☆
ズチャーチャというリズムが繰り返される、楽しく愛らしい曲。

03. 外は暗くなり
★★★★★★☆☆☆☆
淡々としたピアノ伴奏の上を、ゆったりとした暖かいメロディが歌われる。ピアノと歌のやり取りがとても良い。

04. 私は栄誉を求めない
★★★★★★☆☆☆☆
合唱曲にもシベリウス自身が編曲している曲。息の長い美しい旋律の暖かい曲。

05. 積雪はうず高く
★★★★★★☆☆☆☆
曲集の最後は、少し堂々とした荘厳な感じの曲。でもどこか温かい雰囲気が良い。

全体的に暖かい雰囲気に包まれた美しい曲集。
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8つの歌 Op.61 [シベリウス 声楽曲]





01. ゆっくりと昨夜の空が
★★★★★☆☆☆☆☆
秋を感じさせる、ゆったりとした悲しげな旋律の前奏から始まる。
そのまま歌も悲しげ。中盤は淡々とした感じ。後半感情の高まりを見せ、最後はしっとりと明るく終わる。

02. 水のはねる音
★★★★☆☆☆☆☆☆
水が激しく揺れる様子をピアノが表して始まる。暗く重い歌が始まる。ずっとピアノは激しく水の様子を弾き続ける。長く飽きる。

03. 私が夢見るとき
★★★☆☆☆☆☆☆☆
アカペラに近い状態で歌が始まる。たまに入るピアノも暗く重い。後半少し明るくなり動きがではじめる。最後ピアノが活躍するところは少し綺麗。

04. ロメオ
★★★☆☆☆☆☆☆☆
緊張感があるがどこか滑稽な感じのはねた感じで始まる。
『ロミオとジュリエット』のロミオに自分をなぞらえた歌。しかしロミオのように相手は答えてくれず絶望している歌。

05. ロマンス
★★★☆☆☆☆☆☆☆
明るいような暗いような微妙な雰囲気で始まる。語りに近いメロディでひたすら愛が歌われる。後半かなり暗さを増していく。長く飽きる。

06. ドルチェ・ファール・ニエンテ
★★★★☆☆☆☆☆☆
「何もしない」ことを賛美する歌。イタリア語歌詞。かなり明るく始まる。イタリア語歌詞がそうかんじさせるのかもしれないが、かなりカンツォーネ的。

07. むなしい願望
★★★★★☆☆☆☆☆
嵐を表しているかのような激情的なピアノではじまり、そのまま歌が悲劇的なメロディを力強く歌う。ピアノの練習曲っぽい。

08. 春の魔法
★★★★★☆☆☆☆☆
美しく幻想的なピアノの前奏で始まり、そのまま半音階的な幻想的な歌が続く。ピアノが常に揺れ動く曲。

7、8はピアノが綺麗。
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あひる [文学 日本 今村夏子]


あひる (角川文庫)

あひる (角川文庫)

  • 作者: 今村 夏子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/01/24
  • メディア: 文庫



1.あひる
2.おばあちゃんの家
3.森の兄妹

表題作の1は、資格取得試験のため家で勉強をする女性の一人称語りの作品。
ある日父親が会社の同僚からあひるをもらってきて、庭で買う。そのあひるを学校帰りの小学生が良く見て帰るようになる。そうした小学生たちを、初めは庭の中、そのうち家にまで上げはじめ、挙げ句の果てに家の中で宿題までやらせ、お菓子まであげるようになる。さらに誕生会まで開いてあげるようになるが、その誕生日の日・・・。Harold Pinterに近い不条理さと恐ろしさとわけのわからなさがある。結局は一人称がたりであり、何が正しいのかは結局わからない。

2と3はつながっている。生き残った家族とは直接血の繋がっていない痴呆症になってしまったおばあちゃん。主人公の女の子とそのおばあちゃんの交流の話。3は親が働いているため二人で放課後の時間をつぶさなければならない兄と妹の話。びわがなる家に入ってびわを食べていた兄と妹はその家のおばあちゃんにその姿を見られてしまう・・・。結構恐ろしい話だが、最後は希望を持って終わる。

つかみどころのない感じでものすごく面白いという感じではないが文体がサラサラしているので結構すんなり読めることは読める作品。

そこまで一般受けしないのもわかる。
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「十二夜」による2つの歌 Op.60 [シベリウス 声楽曲]





01. 来たれ、死よ!
★★★★☆☆☆☆☆☆
暗く重く悲劇的な曲。

02. ハイホー、嵐の中、雨の中でも
★★★★☆☆☆☆☆☆
幕切れの歌らしい。ゴロゴロした跳ねた感じの伴奏の上で、重い歌が歌われる。
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天の鹿 [文学 日本 安房直子 た行]


天の鹿 (福音館文庫 物語)

天の鹿 (福音館文庫 物語)

  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2011/01/25
  • メディア: 単行本



再読

鹿撃ちの名人である、清十という漁師がいた。ある日立派な牡鹿を見つけ撃とうとするが「通してくれ。かわりに、たくさんお礼をしよう」「すばらしい宝ものをあげるから」と言われ鹿を殺さず鹿についていく。

鹿の背に乗って離山まで行き、鹿の市まで連れて行かれる。そこで金貨一枚をもらい、鹿の市で売られているものはすべて金貨一枚と交換できるから一時間で買い物をして帰ってくるよう言われる。

清十さんは紫水晶の首飾りと交換して家に帰る。
彼には三人の娘がいる。一番下の娘は一度病気をした時に、鹿のきもを食べて治った経験がある。

その後娘たちも鹿に出会いそれぞれ鹿の市に連れて行ってもらう。

一番上の娘は、美しい花柄の絹の反物と交換するが、帰り道花柄がすべて飛び散ってしまう。
二番目の娘は、高価なものと交換しようと思っていたが、あたりの暗さにビビって結局ランプを購入する。しかし最終的にランプは地に落ちて壊れてしまう。
三番目の娘も、同じように鹿の市に連れて行ってもらうが、この娘だけは山を超え大変な思いをしている鹿のことを心配したり思いを寄せる。三番目の娘が自分のきもを昔食べたことを知り、二人は結ばれ天へと・・・

かなり余韻を残す美しい物語。
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こちらあみ子 [文学 日本 今村夏子]


こちらあみ子 (ちくま文庫)

こちらあみ子 (ちくま文庫)

  • 作者: 今村夏子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: Kindle版



1.こちらあみ子
2.ピクニック
3.チズさん

1は、太宰治賞・三島由紀夫賞をダブル受賞した作品。
今で言う発達障害の子どもの視点から見える世界を描いた作品。友達からの悪意やいじめ、家族から疎外されている感じ、様々な人から受ける暴力、こういったものを、鈍感に受け止める少女の視点で描いているので、なんとなくもやっとした感じだが、これを客観的もしくは、かなり繊細な心を持つ少女の視点から描写したらかなり読むのが苦しくなるのでは、とおもわせる物語。

2も面白い。作者の今村夏子さんは小川洋子さんを敬愛しているようだが、小川洋子作品を彷彿とさせる作品。七瀬さんという、ローラースケートを履きながら接客する飲み屋?で働く女性の話。彼女は有名なお笑い芸人と付き合っている。しかし読めば読むほどこれが本当の話なのか、彼女の頭の中での話なのかがわからなくなる。そしてそれは最後までわからない。これが小川洋子作品に似たところだ。嫌な感じの新人がかなり良い味をだしている。

3も不思議な話。おそらく痴呆症になってしまったチズさんを介護する人の視点で描かれた作品。正直イマイチよくわからない。

どれもメインから外れた世界で生きる人たちを扱っているという点では小川洋子作品に低通するものがある気がする。
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8つの歌 Op.57 [シベリウス 声楽曲]





01. 川とかたつむり
★★★☆☆☆☆☆☆☆
不協和音のおどろおどろしい前奏の後、暗く重い歌が入ってくる。ピアノの練習曲になんとなく歌をつけたような感じの曲。

02. 一輪の花が道端に咲いていた
★★★☆☆☆☆☆☆☆
間の多い淡々としたピアノ伴奏の上を、暗い旋律が歌われる。こちらも途中からピアノの練習曲風になっていく。

03. 水車の輪
★★★★☆☆☆☆☆☆
ピアノの低音が水車がまわる様子を表しているのか?明るい感じで始まるが、途中からゆったりとなり悲劇的な感じになる。はじめのリフをピアノがゆったりと弾き終わる。

04. 5月
★★★★★☆☆☆☆☆
春の爽やかな空気を感じさせる美しい伴奏の上を、息の長い綺麗な旋律が歌われる。悪くはない曲。

05. 私は一本の木
★★★★★☆☆☆☆☆
低い分散和音のピアノ伴奏で劇的に始まる。悲しげなメロディが切々と歌われる。

06. マグヌス公爵
★★★★★★☆☆☆☆
跳ねた感じのピアノ伴奏の上を、美しいメロディが歌われる。途中からキラキラした感じのピアノ伴奏に変わる。

07. 友情の花
★★★★★★☆☆☆☆
力強い前奏で始まり、力強い歌が入ってくる。中盤少しゆったりとするが基本的には、決然とした雰囲気の格好良い曲。JS215と同じ歌詞だが全く雰囲気が違いこちらのほうが良い感じ。

08. 水の精
★★★★☆☆☆☆☆☆
幻想的な曲。
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友情の花 JS.215 [シベリウス 声楽曲]





評価
★★★★★☆☆☆☆☆
ピアノの短い優しい前奏で入る。民謡のような優しいメロディが歌われる。
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2つの歌 Op.35 [シベリウス 声楽曲]





01. ユバル
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノが高音で少しなり、その後ソプラノがアカペラで、白鳥が射抜かれ死んでしまうことを歌う。
ピアノが再び入ってきて幻想的な雰囲気を醸し出す。死んだ白鳥が天を賛美する歌を歌う。段々と暖かい雰囲気となっていく。

02. テオドーラ
★★★☆☆☆☆☆☆☆
ゴツゴツした低音から高音へ階段を上がるかのようなピアノ伴奏の上を陰鬱なメロディがバリトンにより歌われる。
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星の子 [文学 日本 今村夏子]


星の子 (朝日文庫)

星の子 (朝日文庫)

  • 作者: 今村 夏子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: Kindle版



東京新聞の昔の名作映画を紹介する欄で紹介されていた映画の原作。映画に詳しい同僚の先生と話をしたところ、「映画は観たことがないが原作は読んだことがある。作者の今村夏子さんはデビュー以来全作品読んでいる」という話だった。その同僚の先生はかなりの読書家で深い考えを持っている人なので、その人がデビュー以来追いかけている作家ならば、と興味を持ち、新聞に映画が紹介されていたこの作品から読み始めた。

小さい頃自分の病気がなかなか治らない中、父親が同僚に紹介された水を使用したところ一ヶ月程度で治ってしまい、それ以来その宗教に両親ともにはまってしまったという、ちひろという少女が主人公の物語。

一人称がたりの物語だが、結構淡々としていて三人称的語りに近い客観的な描写が多く結構読みやすい。巻末には私の好きな小川洋子さんとの対談も載っており、ちなみに著者の今村夏子さんは、小川洋子さんを敬愛しているらしい。

両親が宗教を信じることにより、結構困難な人生を歩んでいるはずのちひろ。しかし暗さや精神的葛藤はあまりなく、なんとなくその状態を受けて入れている、という展開もどことなく不気味さを醸し出している。

対談にもあるが、最後の流れ星を家族三人でいつまでも探す部分が、かなり余韻を残す展開で、この家族そしてちひろは今後どうなっていくんだろう、ということを考えさせられる。
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6つの歌 Op.50 [シベリウス 声楽曲]





01. 春の歌
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく希望に満ちた曲。力強く明るく短い前奏で始まり、開放感に満ちたメロディが歌われる。
春の訪れを喜ぶ歌。

02. 憧れ
★★★★★☆☆☆☆☆
Jazzっぽい短い前奏で始まる。結構情熱的なメロディ。恋する相手を想う歌。

03. 少女が野原で歌っている
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした和音の連続による伴奏の上を、しっとりとしたメロディが歌われる。
悲しげに佇み歌を歌う少女を描写した悲しげな曲。

04. 気がかりな胸から
★★★★★☆☆☆☆☆
激しく情熱的な前奏で始まる。切羽詰った感じのメロディの曲。ピアノもかなり緊迫感がある。
若干シューベルトの「魔王」を彷彿とさせる曲。

05. しずかな町
★★★★★★☆☆☆☆
ポツポツとした幻想的な前奏ではじまり、天から語りかけてくるような美しいメロディが歌われる。
最後の歌詞も「静かな賛美歌が聞こえ始めた」とある。

06. バラの歌
★★★★★★☆☆☆☆
春を感じさせる明るく可愛らしい曲。

それなりにわかりやすいメロディの悪くない曲集。
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5つの歌 Op.38 [シベリウス 声楽曲]





01. 秋の夕べ
★★★★☆☆☆☆☆☆
悲劇的なピアノの和音の打撃で入り、ほぼアカペラ状態で半音階を多用した悲しげな旋律をソプラノが歌う。幻想的で繊細なピアノがところどころ入る。3節目から、少し変化が現れピアノのトレモロの上を少し高ぶった感情的な歌が流れる。その後力強く劇的な雰囲気となるが、最後は静かに暗く終わる。

02. 海辺のバルコニーにて
★★★☆☆☆☆☆☆☆
ピアノが単音で前奏を弾きはじめ、陰鬱なメロディを結構長めに弾く。歌もとにかく陰鬱。歌詞もよくわからない。

03. 夜に
★★★☆☆☆☆☆☆☆
低い単音による、陰鬱な伴奏で始まる。歌も陰鬱。
突然光がさしたかのように高い音に移り明るくなる。この暗明が繰り返され最後はそっと終わる。

04. ハープ弾きと彼の息子
★★★★★☆☆☆☆☆
ハープの音を模したかのような分散和音の伴奏で始まり、そのまま語りかけるような歌が入ってくる。
この曲集の中ではメロディアスだがまあ普通。

05. 私は願う、私がインドにいたらと
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく前向きな曲。普通。

実験的な感じの曲が並ぶ。
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キラキラ共和国 [文学 日本 小川糸]


キラキラ共和国 (幻冬舎文庫)

キラキラ共和国 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2019/08/06
  • メディア: 文庫



『ツバキ文具店』の続き。『ツバキ文具店』を読まないとよくわからない部分も多いので、本当は、『ツバキ文具店』二巻のような感じで副題をつけておいたほうが良い気がする。実際自分もこの本を先に借りてしまい、あらすじに『ツバキ文具店』続編と書かれているのを見て急いで『ツバキ文具店』を借りた。

前巻で、祖母(先代)との心の和解をした主人公鳩子は、最後の方でかなり良い雰囲気となった食堂を営むミツロウと物語の初めに結婚する。

前巻は代書の仕事がメインのストーリーだったが、今巻はどちらかというと鳩子の家族の物語。いままでの伝統的な家族観にとらわれないような家族像を示そうとしている点で、『にじいろガーデン』に近い雰囲気を持っている。さらに言えば、自分ひとりではなく様々な人との関わりの中で自分が生かされており、お互い迷惑を掛け合って生きているんだということを示している点で、『つるかめ助産院』に近い雰囲気もある。

正直後半飽きてきた感じはあるが、ほっこり優しい物語であることは間違いない。

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