「十二夜」による2つの歌 Op.60 [シベリウス 声楽曲]
天の鹿 [文学 日本 安房直子 た行]
再読
鹿撃ちの名人である、清十という漁師がいた。ある日立派な牡鹿を見つけ撃とうとするが「通してくれ。かわりに、たくさんお礼をしよう」「すばらしい宝ものをあげるから」と言われ鹿を殺さず鹿についていく。
鹿の背に乗って離山まで行き、鹿の市まで連れて行かれる。そこで金貨一枚をもらい、鹿の市で売られているものはすべて金貨一枚と交換できるから一時間で買い物をして帰ってくるよう言われる。
清十さんは紫水晶の首飾りと交換して家に帰る。
彼には三人の娘がいる。一番下の娘は一度病気をした時に、鹿のきもを食べて治った経験がある。
その後娘たちも鹿に出会いそれぞれ鹿の市に連れて行ってもらう。
一番上の娘は、美しい花柄の絹の反物と交換するが、帰り道花柄がすべて飛び散ってしまう。
二番目の娘は、高価なものと交換しようと思っていたが、あたりの暗さにビビって結局ランプを購入する。しかし最終的にランプは地に落ちて壊れてしまう。
三番目の娘も、同じように鹿の市に連れて行ってもらうが、この娘だけは山を超え大変な思いをしている鹿のことを心配したり思いを寄せる。三番目の娘が自分のきもを昔食べたことを知り、二人は結ばれ天へと・・・
かなり余韻を残す美しい物語。
こちらあみ子 [文学 日本 今村夏子]
1.こちらあみ子
2.ピクニック
3.チズさん
1は、太宰治賞・三島由紀夫賞をダブル受賞した作品。
今で言う発達障害の子どもの視点から見える世界を描いた作品。友達からの悪意やいじめ、家族から疎外されている感じ、様々な人から受ける暴力、こういったものを、鈍感に受け止める少女の視点で描いているので、なんとなくもやっとした感じだが、これを客観的もしくは、かなり繊細な心を持つ少女の視点から描写したらかなり読むのが苦しくなるのでは、とおもわせる物語。
2も面白い。作者の今村夏子さんは小川洋子さんを敬愛しているようだが、小川洋子作品を彷彿とさせる作品。七瀬さんという、ローラースケートを履きながら接客する飲み屋?で働く女性の話。彼女は有名なお笑い芸人と付き合っている。しかし読めば読むほどこれが本当の話なのか、彼女の頭の中での話なのかがわからなくなる。そしてそれは最後までわからない。これが小川洋子作品に似たところだ。嫌な感じの新人がかなり良い味をだしている。
3も不思議な話。おそらく痴呆症になってしまったチズさんを介護する人の視点で描かれた作品。正直イマイチよくわからない。
どれもメインから外れた世界で生きる人たちを扱っているという点では小川洋子作品に低通するものがある気がする。
8つの歌 Op.57 [シベリウス 声楽曲]
01. 川とかたつむり
★★★☆☆☆☆☆☆☆
不協和音のおどろおどろしい前奏の後、暗く重い歌が入ってくる。ピアノの練習曲になんとなく歌をつけたような感じの曲。
02. 一輪の花が道端に咲いていた
★★★☆☆☆☆☆☆☆
間の多い淡々としたピアノ伴奏の上を、暗い旋律が歌われる。こちらも途中からピアノの練習曲風になっていく。
03. 水車の輪
★★★★☆☆☆☆☆☆
ピアノの低音が水車がまわる様子を表しているのか?明るい感じで始まるが、途中からゆったりとなり悲劇的な感じになる。はじめのリフをピアノがゆったりと弾き終わる。
04. 5月
★★★★★☆☆☆☆☆
春の爽やかな空気を感じさせる美しい伴奏の上を、息の長い綺麗な旋律が歌われる。悪くはない曲。
05. 私は一本の木
★★★★★☆☆☆☆☆
低い分散和音のピアノ伴奏で劇的に始まる。悲しげなメロディが切々と歌われる。
06. マグヌス公爵
★★★★★★☆☆☆☆
跳ねた感じのピアノ伴奏の上を、美しいメロディが歌われる。途中からキラキラした感じのピアノ伴奏に変わる。
07. 友情の花
★★★★★★☆☆☆☆
力強い前奏で始まり、力強い歌が入ってくる。中盤少しゆったりとするが基本的には、決然とした雰囲気の格好良い曲。JS215と同じ歌詞だが全く雰囲気が違いこちらのほうが良い感じ。
08. 水の精
★★★★☆☆☆☆☆☆
幻想的な曲。