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The Casebook of Sherlock Holmes [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



ついに、Sherlock Holmesの全作品を読み終わった。最後の作品はThe Casebook of Sherlock Holmesだった。前の短編集から結構時間があいてからの短編集らしく、新鮮な話が多かった。以下簡単に内容を紹介したい。

The Adventure of the Illustrious Client
 ある女性が、ドン・ジョヴァンニのような男に騙され婚約してしまったから、それを破棄にして欲しいという依頼がホームズのもとにくる。女性はこのドン・ジョヴァンニにはまりきってしまっているので、説得も効をなさない。しかも、捜査過程でホームズが暴漢に襲われる。最終的には、この男の悪事を記した日記のようなものをホームズが盗み出し一件落着となる。結構新しいパターンで面白い。

The Adventure of the Blanched Soldier
 ホームズが書いたという体裁を取っている珍しい作品。ボーア戦争に参加したのち、忽然と姿を消してしまった人物の行方を追うという事件。彼は、肌の病気(ハンセン病と思われていたが最終的には違うことがわかる)にかかって人目を避けていたことがわかる。これも新鮮な展開で面白かった。

The Adventure of the Mazarin Stone
 ワトソンの語りではなく、3人称的語りになっている珍しい作品。おそらくワトソンがホームズと犯人の会話している場所から、警察を呼びに行くために姿を消す場面の描写をするために、3人称的な語りにするしかなかったのであろう。音楽再生機が犯人逮捕の鍵となるというのも面白い。読んでいるときは、音楽再生機がないと問題解決にいたらないだろうなあと思いながらも時代的にそんなものが登場するのか、という思いと生の音と再生機の音は流石に聞き分けられるだろうという思いがあったのだが、やはりこれしかないよね、というオチだった。

The Adventure of the Three Gables
 これも結構珍しい設定。優雅に暮らしていた未亡人が、突然家の立ち退きを迫られる。しかも家の中のものをひとつ残らず置いていくという条件付きで。結局これには彼の息子の恋愛問題が絡んでいることがわかる。金がある人はなんでもするんだなあ、というかんじであった。黒人に対する描写が若干差別的なのが気になるが、時代的にはこんなものなのかな、という感じ。

The Adventure of the Sussex Vampire
 悪者と思われていた人間が実はいい人間だったという話。結構ありふれた展開ではあるが、それなりに新鮮に読めた。

The Adventure of the Three Garridebs
 The Adventures of Sherlock Holmesに収録されているThe Red-Headed Leagueと基本的なプロットは同じ。苗字が同じだけで全く関係ない人から財産を相続できるという、ありえないようなおいしい話の裏に犯人の大きな動機があるという内容だ。The adventuresはかなり前に読んでいたので、このプロットは同じだなあと感じつつも飽きずに読めた。

The Problem of Thor Bridge
 屋敷住み込みの家庭教師の女性が、女主人殺害を疑われ、それをHolmesが調べるという事件。ブロンテ姉妹の誰かにこのあらすじで小説を書いてくださいと頼めば、大傑作ができるのではないかという感じの筋になっている。最後がいまいち曖昧な描写に終始しており(情景が目に浮かべづらい)、はっきりと事件の全容が理解できなかったのが残念だ。
 (自分の英語力不足なのかと思い、日本語訳も参照してみたがやはりよくわからなかった。)

The Adventure of the Creeping Man
 正直よくわからない話。薬を飲んで若返ろうとしたのか、動物になろうとしたのかよくわからないが、とにかく教授が何かをしようと薬を飲んだところ、はったり、よじ登ったり、犬に襲われたりという変な事件がたくさん起こるという話。美しい女性を出す意味もあまりない気がした。最後に来てDoyleの構想力に陰りが出てきた気がする。

The Adventure of the Lion's Mane
探偵業を引退したホームズが偶然出会った出来事を解明していく様子を綴った作品。結局犯人はわけのわからない動物(クラゲ?)なのだが、これが殺された人間にはライオンのたてがみに見えたというもの。これもやはりもう一歩。

The Adventure of the Veiled Lodger
 チャップリンの「サーカス」という作品に近いものを感じる作品。サーカス団の女性がひどい男性と結婚し、結婚生活中に出会った優しい男との三角関係の中で起こる殺人事件を描いたもの。これもLionが大きな役割を果たす。後期のDoyleは動物に興味を持っていたのだろうか。

The Adventure of Shoscombe Old Place
 これもある屋敷内のごたごた事件。若干飽きてきた。

The Adventure of the Retired Colourman
 この本の最終作品。正直つまらなかった。やはり短編集というのは最後の方は飽きてきてしまう。はじめの方は楽しかっただけに若干残念。

数か月あけてHolmes作品を読んだという個人的な事情もあるのだろうが、初めはかなり楽しめていた。しかし後半になるとやはり飽きてきてしまった。これは基本的に「ある事件を解決する」というこのシリーズの特徴のせいなのかもしれないが、やはりここまでたくさんの短編を読むと食傷気味になってしまう。

とはいえ、約1年間Sherlock HolmesとWatsonに付き合ってある程度楽しむことができた。
そして全部で約1700ページという洋書を読みきることができたのもよかった。

His Last Bow [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



Sherlock HolmesシリーズHis Last Bowを読み終わった。
まず、簡単に内容を。

1. The Adventure of Wisteria Lodge
ある人物がWisteria Lodgeに招待され夕飯を共にし、そこで泊まるのだが、朝起きて見たら主人はじめ召使も誰もいない。しかも主人は屋敷から少し離れたところで殺されている。この不可思議な事件をホームズが解決する物語。事件の背後には昔の大きな事件が絡んでいるという彼の長編小説によくあるパターンの短編バージョンのような趣となっている。

2. The Adventure of the Cardboard Box
ある女性のもとに切り取られた人間の耳が2つ郵便で届けられる。この事件の背後には3姉妹とひとりの男性の愛憎劇が絡んでいる。ホームズにしては珍しく、若干ドロドロとした愛情が絡んでいる。

3. The Adventure of the Red Circle
ある貸家で起こる不可解な事件を扱った作品。高額で部屋を借りた男が奇妙な行動を取るのでどうしようかというなんてことはない女主の相談がきっかけとなり、いろいろ調べていくうちに、大きな事件が絡んでいたことが分かっていく。普通の男女の夫婦が殺人組織に追われることになる。この二人が偽装して部屋を借りるのだ。これも長編小説のようなパターンを用いている。イタリア⇒アメリカ⇒イギリスと3ヵ国にまたがる大きな事件。

4. The Adventure of the Bruce-Partington Plans
Sherlockの兄Mycloftが登場する数少ない作品。とはいえ、ここでもMycloftはほんの数場面登場するだけでたいした活躍は見せない。国家機密に関わるThe Bruce-Patington潜水艦に関わっている若者が謎の死を遂げる。国家の重要事項の決定に裏で関わるMycloftがSherlockにこの事件の解決を頼むことになる。結局は金に困った人間の犯罪ということで事が大きいだけに若干肩透かしにあったような結末。

5. The Adventure of the Dying Detective
冒頭、いきなりHolmesが大きな病気にかかる。しかし、これは殺人を犯したものを騙すための策略だった。それなりに緊迫感があって面白いのだが、やはりもう一歩。

6. The Disappearance of Lady Frances Carfax
ホームズとワトソンが失踪したFrances Carfaxの行方を追う作品。彼らは逮捕状も持たずに犯人の家に踏み込み一度は追い出されるなど、結構面白い作品ではあるが、やっぱりいまいちよくわからない。

7. The Adventure of Devil’s Foot
ある館で兄弟姉妹が謎の死を遂げる(兄弟2名は発狂、妹は死亡)。ホームズに事件を知らせてきたのはもうひとりの兄弟。人が入った形跡もなく、目立った外傷もないためまったく犯人の手がかりはつかめない。そのうち、事件を知らせに来たもうひとりの兄弟も妹と同じような死に方をする。結局これはアフリカにある毒物を使った犯罪だとわかるが、その動機は・・・。珍しいパターンで結構面白かった。

8. His Last Bow
第一次世界大戦前のイギリス・アメリカ・ドイツのスパイ合戦を描いたような作品。あまり面白くなかった。正直これが彼の最後の事件なのか、といった感じで終わったしまった。

正直、全体的に今までの作品の焼き直し感が否めず、読んでいてもいまいちワクワクする感じがなかった。実質的にHolmsの最後の事件となる8の話もよくわからないし。ちょっと残念な作品集。今までの短編集を読んでおけば、この作品は手に取る必要はないのではないだろうか。
もう一作品The Case Book of Sherlock Holmesという本が残っているが、このまま読むと惰性でダラダラ読んでしまいそうなので、すこし間を空けてから読もうと思う。

The Valley of Fear [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



Holmes最後の長編The Valley of Fearを読み終わった。長編では初めてのProfessor Moriartyとの対決だが、Moriartyは実際ほとんど登場せず、若干最終的に起こる殺人に若干関わったことが示唆されて終わる。
今回はHolmesが事件解決に大きく関わるため比較的早くに最初の事件は決着する。が、このオチはどの作品だったか覚えていないが、同じようなトリックをまえに使っていたきがする。まあ、これだけたくさんの作品が出されていればしょうがないが、結構同じようなパターンがある。
そして、The Hound of the Baskervilles以外の他の長編と同じように、後半はこの事件が起こるまでの前史が語られる。イギリス以外の国でその前史が起こるというのも他の長編と似ているところだ。
前にも書いたかもしれないが、Sidney Sheldonを思わせるドキドキワクワクの展開が後半は繰り広げられる。違った世界観を1冊の本で味わえるのでこれはこれで面白いのだが、もう少し事件解決までに時間をかけても良いのでは、と思ってしまうし、せっかくMoriartyをかかわらせるのであれば、もう少し絡ませても良かったのではと思ってしまう。
4長編の中では、一番楽しめなかった作品かもしれない(彼の手法に慣れてしまったせいもあるかもしれないが)。
これでHolmesシリーズも残すところ短編2作品だけとなった。すこしあいだを置いてから読もうと思う。

The Hound of the Baskervilles [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume II

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



Arthur Conan DoyleのThe Hound of the Baskervillesを読み終わった。
最近かなり体が疲れており、読み始めは英語を読むのが億劫で、結構時間がかかってしまい、読み終わるのにどれだけかかるのか、と思っていたが、読み進めるとページをめくる手が止まらなくなり、結構あっという間に読み終えられた。
今までのHolmesシリーズと違い、Holmesは最初と最後以外登場せず、中間部はWatsonが事件の調査にとりかかる(実は裏でHolmesはしっかりと動いているのだが)。なので、かなり事件解決までに時間がかかる。普通の推理小説と同じように、「犯人は誰なのか」という興味をかなり長いあいだ持続できると言う意味で、Holmesシリーズの中では異色と言えるのではないだろうか。(The Valley of Fearがどういう構成なのかは知らないが・・・)。
さらに、この話を飽きさせないものにさせているのはその形式だといえる。中間部Holmesが全く出てこないので読者が飽きてしまうのではとDoyleはおそらく考えたのだろう。「WatsonがHolmesに書いた手紙」「Watsonの日記」といった、様々な形を提示することによって物語にフックを効かせている。
しかも、殺人事件にHound(猟犬?)を関わらせることでファンタジー的な要素も組み込んでいる。しかも物語の中心がLondonではなく大草原というのも不気味さを増している。登場人物たちの関係もそれなりに複雑になっており、ひとりひとりの性格描写なども結構丁寧だ。
この作品が最高傑作だ、という人が多いのも頷ける。

色々な意味で非常に興味深い作品であった。小説としてSherlock Holmesを楽しみたいという人にはお勧めしたい一冊だ。

The Return of Sherlock Holmes [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



The Return of Sherlock Holmesを遂に読み終わった。これで、SHERLOCK HOLMES The Complete Novels and Stories VolumeⅠを全部読み終わったことになる。総ページ数1059に及ぶ洋書を一応読み終えられて良かった。

Memoirs of Sherlock Holmesはもう一歩だったが、このThe Returnは全体的に面白かった。

はじめの
1.the Empty Houseで死んだはずのHolmesが帰還する。さらに彼を追ってきた男がBaker Streetで逮捕されるまでの事件を描いている。結構面白い。
2.the Norwood Builderは若い弁護士が殺人の疑いをかけられる事件。殺された(はずの)男と疑いをかけられた男の母親との関係が重要な役割を演じている。結構今でも日本の刑事ドラマなどで使われそうな話。
3.the Dancing Menはアメリカである男に酷い目にあった女性がイギリスに逃げてきて、その男にイギリスまでつきまとわれる話。結構Doyleはこの手法をよく使う。結構アメリカに偏見があったのではないだろうか・・・。
4.the Solitary Cyclistは結構良い物語。財産目当てで近づいた女性に惚れたしまった中年男性の話。結構面白い。
5.the Priory Schoolは大物政治家の息子の誘拐話なのだが、これが大物政治家の裏の生活に関わっている。結構これも悲しい話なのだが、どこか温かみがある。
6.Black Peterは・・・。株券と船が関わる話なのだがあまり印象がない・・・。読んだばかりなのに・・・。
7.Charles Augustus Milvertonは結構すごい話。HolmesとWatsonが家宅侵入罪を犯すのだがそこで殺人事件を見てしまう。結構後味の悪い作品だ。
8.the Six NapoleonもDoyleの好きな展開。大事なものをある場所へ隠しそれを取り戻すために・・・。という話だ。
9.the Three Studentはテスト問題が流出しその犯人を探す物語なのだが。
10.the Golden Pince-Nezはロシアの地下組織が関わっている話。こういった類のトリックもDoyleは好きなのだろう。
11.the Missing Three-Quarterは結構感動的な純愛物語。この手の話は好きだ。
12.the Abbey Grangeはこれも一見残忍そうな事件だが、純愛物語。
13.the Second Stainもヨーロッパ中を巻き込む大事件と見せてこちらも純愛物語。

このReturnは結構大げさな事件そうなのだが、大したことはなくそこには男女の愛が絡んでいるというネタが多い。結構面白い作品だったと思う。

The Memoirs of Sherlock Holmes [文学 イギリス Sherlock Holmes]


The Memoirs of Sherlock Holmes (Dover Thrift Editions)

The Memoirs of Sherlock Holmes (Dover Thrift Editions)

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Dover Publications
  • 発売日: 2010/07/21
  • メディア: ペーパーバック



Arthur Conan DoyleのThe Memoirs of Sherlock Holmesを読み終わった。色々な本を一緒に読んでいたので、結構時間がかかってしまった。
この本は、盟友WatsonがSherlock Holmesのかつての様々な事件を思い出しながら彼を紹介するという体裁をとっている。
そのため、「~」とSherlock Holmesが語った、という文体がよく出てくるのだが、Watsonに話しかけているのか、過去Shelock Holmesが当時の人間と語っているのかがよくわからなくなってしまい、Adventures of Sherlock Holmesより数段読みづらい気がした。そして内容的にもなんとなくワクワク感が少なく、読み進めるのが結構億劫だった気がする。
とはいえ、ホームズが何故探偵業に従事するようになったかが、彼の学生時代を通して語られたり、ホームズのお兄さんが出てきたり、Watsonの大学時代のことも語られたり、宿敵Moriartyが出てきたりと人物的には面白い。
しかしはじめにも書いた語りの複層性のためか、物語に入り込めない感じがあり、楽しみきれなかった作品だった。残念。

The Adventures of Sherlock Holmes [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



The Adventures of Sherlock Holmesという短編集を読み終わった。A Study in ScarletやThe Sign of Fourの2倍のページ数があるので今月中に読み終わるのは無理だと思っていたが、短編集なので、行き帰りの電車の中であと3~5ページくらいというところで終わると、家に帰ってからや仕事の合間にちょこっとずと読んでしまおうというきになり、結構速く読み終えることができた。

Sherlock Holmesといえば殺人事件を解決するものだとばかり思っていたのだが、この作品は、もちろん殺人事件も出てくるが、結構些細な事件も扱ったりしている。さらに、相手に出し抜かれたり、解決はしたものの犯人は捕まらなかったり、事件の全容はつかめていたのに依頼者が殺されてしまったりと、結構一筋縄では行かない結末が多い。そういった意味で非常に面白くよみすすめることができるのだが、やはり短編集というのは物語世界に入り込む時間が少ない分一作一作が印象には残りにくい。

とはいえ、
A Scandal in Bohemiaでは女性オペラ歌手にHolmesが出し抜かれる
The Red-headed Leagueでは地下掘り作業みたいなものが裏に出てくる、
A Case of Identityは遺産相続をめぐる義父と娘の奇妙な話
The Boscombe valley Mysteryはオーストラリアから続く親子2代の愛憎劇
The Five Orange Pipsにはかの有名なKKKが出てくる
The Man with the Twisted Lipsはまさに乞食に身をやつすという表現がぴったりの人物が出てくる
The Adventure of the Blue Carbuncleは動物の中に宝を隠すことで起こる大騒動を描いている
The Adventure of the Speckled Bandにはインドの蛇が出てくる
The Adventure of the Engineer's Thumbには『オペラ座の怪人』のような不思議な部屋が出てくる
The Adventure of the Noble Bachelorでは描き方を変えればまさに純愛そのものの結婚式後の逃走劇が描かれている
The Adventure of the Beryl Coronetではよく見える娘が実は悪者で、悪く見える息子が実は善良でという大ドンデン返しが待っている
最後の
The Adventure of the Copper Beechesはかの名作『ジェーン・エア』を彷彿とさせる大きな屋敷の中に幽閉される人物は出てくる
など、それぞれの話が個性的な話となっていて飽きることはない。

さらっと読むには最適な作品集であるといえる。

The Sign of Four [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



Sherlock HolmesとWatsonの2つ目の事件The Sign of Fourを読み終わった。

依頼主はある女性。彼女の父親はインドで働いていたため、自分はイギリスのBoarding Schoolで過ごしていた。ある日父親がイギリスに帰ってくるということであるホテルで待ち合わせをすることに。しかし行ってみると父親は来ない。そのまま父親はずっと帰ってこない。数年経ったある日、彼女に突然宝石が届く。その後も同じ日に宝石が届く。数年経ったある日、送り主が彼女に会いたいと行ってよこしてくる。不安に思った彼女はHolmesに相談。HolmesとWatsonと彼女はその送り主に会いにいく。
会いに行った先の屋敷で殺人事件が起こっている。犯人は義足の男だということをHolmesはすぐ突き止めるが、なかなか本人にまでは行き着けない。テムズ川での船上での凄まじいバトルを経て遂に犯人は捕まる。そして犯人が殺人に至るまでのいきさつを事細かに語る。いろいろな因縁が入り乱れて世代を通り越して殺人事件が起こるあたり、Sidney SheldonのThe Master of the Gameを彷彿とさせる。
犯人が捕まった後に、犯行に至るまでの経緯を犯人が語るという設定は前作のA Study of Scarletと同じ構成。前作はモルモン教、今作はインドに対するイギリスの帝国支配を扱っている。ある程度社会的な興味も作者は強かったのだろうと感じられる。
この作品で相棒のWatsonは依頼者と結婚するのだが、ふたりがどのように惹かれあうようになったのか、という描写が全くなされておらず、Watsonが彼女に一目ぼれし、数回事件の経過報告をしただけで、彼女が彼のプロポーズを受けるあたり、少し無理な感じがする。Sherlock Holmesシリーズがイマイチ私の心の奥底まで届かないのは、やはり心理描写がもう一つなところなのかもしれない。
まあ、Holmesは結婚は感情に流されるので、deductionを狂わせるから反対だと言っていることからも、この作品はなるべくそうした精神を排した形で進めたいのかもしれない。が、やはりもう一つ作品の世界に入り込めないので残念な感じだ。
が、かえってこうした傾向が男性読者を多く獲得する理由なのかもしれない。

A Study in Scarlet [文学 イギリス Sherlock Holmes]


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

  • 作者: Sir Arthur Conan Doyle
  • 出版社/メーカー: Bantam Classics
  • 発売日: 1986/12/01
  • メディア: ペーパーバック



遂に買っておいたSherlock Holmes The Complete Novels and Storiesを読み始めた。この巻には全5冊が収録されていて、全部で1000ページを超す。はじめはなんともなかったが、読み進めるうちに結構重くなってくる。
で、一作目のA Study in Scarletを読み終わった。この作品は120ページとそんなに長くないので4日程度で読み終えることができた。
Watsonが語り手となって話は進んでいく。彼はもともと軍医でアフガニスタンに行っていたことも初めて知った。そしてWatsonがHolmesと共同生活を始めるあたりも面白かった。やはり物語というものは最初から読むと面白い。
作品はというと、ある男が殺されているが傷などはない。Holmesが現地に行ってみると、女性用の結婚指輪が落ちており、さらに壁にはRACHEと血で書かれている。これはドイツ語で復讐を意味している。殺人の行われた場所、方法、などわからないことだらけだ。が、Holmesはいろいろなところに手を回すとともに、お得意の推理で事件を解決する。半分の60ページ程度で事件は解決してしまい、このあとどうなるのか、どのように事件が起こったのかの種明かしをするにしても20ページくらいで終わっちゃうしな、と思っていたら、Part2は事件が起こるまでのかなり詳しい説明で、語り手が誰なのかいまいちわからない感じで描かれている。一夫多妻制のモルモン教に関わって悲劇に巻き込まれる父と娘の物語が描かれており、その娘の婚約者が、このHolmesの事件と大きく関わっていたことが後にわかる。

まあ探偵小説自体がそんなに面白いとおもってはいないので、期待値が高くなかった分、それなりに楽しめた。とはいえ、何故世界中のひとびとがそれほどまでにこのシリーズにハマるのかイマイチわからない。

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