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ミサ曲第三番 D.324 [シューベルト 声楽曲]


Schubert/ Complete Messes

Schubert/ Complete Messes

  • アーティスト: Hans Gilesberger
  • 出版社/メーカー: VOX
  • 発売日: 1997/07/24
  • メディア: CD



1. キリエ
★★★★★★☆☆☆☆
堂々とした壮麗な雰囲気で始まる。ソプラノの柔らかいソロが入り、その後は優しく進む。

2. グローリア
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも壮麗な感じで始まり、緊張感のあるソプラノとアルト(?)掛け合いを挟み、再び壮麗になる。バス(?)のソロになり、暗く重い雰囲気になり、合唱、テノール合唱と続く。少し幻想的で不安げな感じなっていく。最後は壮麗に終わる。

3. クレド
★★★★★★★☆☆☆
ドラマティックな合唱で始まる。中間部は静かな敬虔なソロの掛け合いに始まり、そっと合唱が使徒信条を唱える。再び派手な合唱に戻り華やかに終わる。

4. サンクトゥス
★★★★★★★☆☆☆
オケが和音を奏でながら、分厚い合唱が感動的な旋律を歌う。

5. ベネディクトゥス
★★★★★★★☆☆☆
穏やかな前奏のあと、美しいソロのハーモニーとなる。最後は感動的な合唱となる。

6. アニュス・デイ
★★★★★★★☆☆☆
悲しげなソプラノのソロで始まり、その後テノールとのフーガ的掛け合い、合唱との掛け合いとなり、だんだんと感動的な合唱へと移り変わっていく。

後半になるにつれて美しさの増していく曲。
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ミサ曲第二番 D.167 [シューベルト 声楽曲]


Schubert/ Complete Messes

Schubert/ Complete Messes

  • アーティスト: Hans Gilesberger
  • 出版社/メーカー: VOX
  • 発売日: 1997/07/24
  • メディア: CD



1. キリエ
★★★★★★★☆☆☆
安らぎに満ちた包み込むような「キリエ・イレイソン」の合唱で始まる。
その後ソプラノが少し悲しげで少しドラマティックな旋律をソロで歌う。
再び安らぎに満ちた合唱に戻り終わる。

2. グローリア
★★★★★★★☆☆☆
豪華絢爛な感じのグローリア。その後ソプラノとテノールの美しい掛け合いとなる。後ろで支える合唱とも絶妙に絡み合い素晴らしい効果をあげている。緊張感のあるオケも素晴らしい。

3. クレド
★★★★★★★☆☆☆
静かで敬虔な雰囲気の、息の長い旋律を持つ美しいメロディ。弦の重々しい感じも宗教的な雰囲気を良く出している。途中若干の盛り上がりを見せ、最後はアーメン合唱で静かに終わる。

4. サンクトゥス
★★★★★★★☆☆☆
派手に劇的に始まる。その後素晴らしいフーガとなり盛り上がっていく。

5. ベネディクトゥス
★★★★★★★☆☆☆
ソプラノの美しいソロで始まる。どこか悲しげで儚げな美しいメロディ。
最後は、感動的で前向きな「ホサナ・インエクセルシル」合唱となる。

6. アニュス・デイ
★★★★★★★☆☆☆
悲しげな弦の旋律で始まる。同じメロディをソプラノが悲しげに歌う。その後テノールソロとなり、その後合唱となり、最後は安らかに終わる。

一曲一曲が短く聴きやすい名曲。
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ミサ曲第一番 D.105 [シューベルト 声楽曲]


Schubert/ Complete Messes

Schubert/ Complete Messes

  • アーティスト: Hans Gilesberger
  • 出版社/メーカー: VOX
  • 発売日: 1997/07/24
  • メディア: CD



1. キリエ
★★★★★★★☆☆☆
ゆったりとした暖かい雰囲気の「キリエ・イレイソン」の合唱で始まる。その後ソプラノがソロで歌い、それに合唱が答える。少し悲劇的なメロディをオケが奏で、ソプラノが悲劇的なメロディを感情たっぷりに歌い、合唱がそれを支える。その後テノールとソプラノの二重唱となり、そこにバスと合唱が加わっていく。

2. グローリア
★★★★★★★☆☆☆
派手で華やかな合唱で始まる。オルガンの音が劇的雰囲気を高めている。
その後穏やかなソプラノソロとなり、テノール、アルト、バス、合唱が代わる代わるときには絡み合いながら曲は進む。
劇的な合唱が戻ってきて華やかになる。途中アーメン合唱も現れる。
最後はグローリア合唱で高らかに神をたたえて終わる。

3. クレド
★★★★★★★☆☆☆
一転して穏やかな天国的な安らかな合唱となる。テノールとバスのソロも優しい。

4. サンクトゥス
★★★★★☆☆☆☆☆
オルガンと弦の音による敬虔な雰囲気で始まる。どこか幻想的な雰囲気の短い曲。

5. ベネディクトゥス
★★★★★★☆☆☆☆
息の長いテノール・ソロで始まり、テノール二重唱になり、最後はテノール・ソプラノ四重唱となる。

6. アニュス・デイ
★★★★★★★☆☆☆
悲しげな前奏のあと、苦しそうなテノールのソロが始まる。その後、バスが少し穏やかな旋律を歌い、静かな合唱となる。最後は天に導かれていくかのように崇高な雰囲気で終わる。

教会の少年合唱団だっただけあって、美しく宗教的な作品。
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約束された移動 短編⑮ [文学 日本 小川洋子 短編]


約束された移動

約束された移動

  • 作者: 小川洋子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: Kindle版



01. 約束された移動
02. ダイアナとバーバラ
03. 元迷子係の黒目
04. 寄生
05. 黒子羊はどこへ
06. 巨人の接待

01
ホテルの客室整備係が主人公の物語。映画俳優Bがホテルのスイートに泊りにくると、スイートに置いてある旅・移動にまつわる本が一冊ずつなくなっていく。それを彼の主演映画とともに追いかけていく、妄想物語。マッサージ部の人の良い面を見る主任さんとの心暖まる交流も良い。とても心暖まる物語。

02
市民病院で案内係をする、バーバラと呼ばれる、ダイアナ元英皇太子妃に憧れるおばあさんの物語。ダイアナ元妃の来ていたドレスを自分で縫い、それを着て街に出かける女性で、昔ショッピング・モールのエスカレーター補助員をしていた過去などと重ね合わせながら物語が進む。これもへんてこりんなおばあさんとそれを優しく見守る孫娘との、心暖まる物語。

03
元迷子係の、となり言えに住む遠い遠い親戚の女性と、熱帯魚を可愛がる女の子との物語。自分の善意によって、熱帯魚にたいへんなことをしてしまうのだが、この遠い遠い親戚の女性のおかげでなんとか心を取り戻す。親戚の女性の悲しい過去と相まって美しい物語となっている。

04
プロポーズしようと高級レストランを予約していたのに、変なおばあさんに抱きつかれ大変な思いをする男性の物語。この話もどこかで読んだ感じがするが、最後は優しく前向きな感じで終わるので良かった。

05
海の近くに住む村に、ある未亡人が、波に打ち上げられた二匹の哀れなつがいの羊を拾って面倒を見る。そのうち羊たちは子羊を産むのだが、それが黒子羊だった。村人たちは気味悪がって近づかないが、子どもたちは逆で彼女のもとに集まる。そのうち託児所のようなことはじめる。子どもたちは偉人伝が大好きで、読み聞かせてあげたり子どもたちがそれらを読んだりする。
長い年月がたち、彼女が面倒を見た子供の一人が歌手となり、酒場で歌を歌うようになる。その彼を店の外からそっと伺い、その声に耳を澄ます。
最後に彼女は、歌手の歌を聴きに行った帰り、足を滑らせ運河におちて死ぬ。その葬式には子どもたちが長い列を作っていた。こころがあったかくなる話。

06
ヨーロッパの少数民族の言葉で小説を書く巨人が、出版社の求めに応じ、その国へやってくる。通訳を行うはずだった人、巨人の秘書も食中毒を起こしてしまい、通訳の弟子が、一人でやってきた巨人の通訳&案内係を勤める。
ホロコースト経験者で家族を失っていることも影響しているのか、巨人は人前ではあまりはっきりしゃべらない。しかし適当になんとか通訳をこなす。最後に二人は一緒に自然の森公園へ行き、鳥を観察する。
二人にしかわからない言葉で心をしずかに通わす二人の話。『リンさんの小さな子』を彷彿とさせる静謐で美しい物語。

久しぶりに結構読みごたえのある小川洋子さんの短編集を読んだ気がする。

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4つの即興曲 D935 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



1.ヘ短調
★★★★★★☆☆☆☆
少し内省的な悲しみの混じったメロデイで始まる。穏やかで優しい第二主題が、優美な和音による伴奏によって奏でられる。展開部は深遠な雰囲気で少しミステリアス。キラキラとした雰囲気となり、最後は暗く終わる。

2.変イ長調
★★★★★★★☆☆☆
しっとりとした夜をおもわせる雰囲気で始まる。その後少しドラマティックに変わるが、すぐにしっとりとした雰囲気に戻る。中間部はアルペジオの流れる様な劇的な音楽。はじめのしっとり&ドラマティックが繰り返され、静かに終わる。

3.変ロ長調
★★★★★★★★★☆
「キプロスの女王ロザムンデ」第三幕への間奏曲のテーマを使用した美しい変奏曲。
美しくなつかしげな心を穏やかにしてくれる主題。
サラサラと流れるような少しメロディを崩した美しい第一変奏。
明るく軽やかでリズミカルな第二変奏。
暗く情念的な第三変奏。
優雅で優美な美しい第四変奏。
最後は縦横無尽に動き回る華麗な第五変奏。
美しさに満ちた曲。
最後はしっとりと主題が回帰され終わる。

4.ヘ短調
★★★★★★★☆☆☆
民族的な心揺さぶるメロディとリズムで始まる。スピード感のあるB部分も綺麗。最後は派手に終わる。


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人生がときめく片付けの魔法 [その他 本]


人生がときめく片づけの魔法 改訂版

人生がときめく片づけの魔法 改訂版

  • 作者: 近藤麻理恵
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/02/14
  • メディア: Kindle版



教えている英語の教科書に出てきて若干興味を持ち、家の中がもので溢れているので、心が終始落ち着かないので、なんとかならないかなあ、と考え図書館で借りてみた。

英語の教科書に書かれているとおりで、かなり上手に要約しているなあと感心してしまった。

とにかく、片付けをするときは一気に、特別なイベントとして行う。
場所ごとではなく、カテゴリー別に行い、一つのカテゴリーは、家中から全て集めて、一度すべて箱や袋から出し一つのところにまとめておいてみて、一つ一つ手にとって心がときめくかどうかで捨てるかどうか決める。
収納場所を先に考えるのではなく、まずは捨てる。
収納するときは、立てて収納。

ほとんど私が行っている方法であり、すっきりした部屋では心も落ち着き、自分の本当にやりたいことが見えてくる、というのも全く同感だった。

まずは家中のモノをまとめて、整理してもらいたい。
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魔弾の射手 [オペラ ドイツ]


魔弾の射手 [DVD]

魔弾の射手 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: DVD




ストーリー:★★★★★★★☆☆☆
アリア  :★★★★★★★★☆☆
音楽全体 :★★★★★★★★☆☆

オペラ映画。非常に綺麗な映像で、田園風景も美しい。

ドイツオペラの歴史を変えた名作と言われる作品。あまり映像作品がなく、数年前このDVDが発売されたとき早速買った。少し観たが、全部観ず、最近見ようと思ったら映らない。インターネットを見るとプレス不良らしく、取り替え期間は終わっていたが、販売元に問い合わせたところ、まだ在庫があり取り替えてくれるとのことだったので取り替えてもらった。

愛し合うマックスとアガーテ。射撃大会で無事マックスが勝利すれば、二人は結婚できる。しかし最近マックスは射撃が不調。悪人カスパールに唆され、自分の思ったとおりのものに命中させられる魔弾を作る。
射撃大会当日、白い鳩を撃つよう命じされ撃とうとすると、途中で婚約者のアガーテが、「その鳩は私、撃たないで!」と走ってくる。これにより狙いを外してしまったマックス。弾丸はアガーテに当たったと思われたが、悪人カスパールにあたっていた。
魔弾を作っていたことがバレ、追放処分になりそうになるが、隠遁者に救われる。

とにかくヒロイン・アガーテのアリアが全て美しい。少し憂いのある息の長い美しい旋律が心に残る。
ヒロインの従兄弟エンヒェンの対照的な明るく伸びやかな歌も綺麗。
狩猟の場面で歌われる男たちの合唱も格好良いし、女性たちのアガーテを着飾る場面で歌われる合唱も美しい。最後の場面では、宗教的な雰囲気となり、フーガを用いた壮大な合唱も素晴らしい。

とにかく音楽すべてが聴きやすく素晴らしい。

もっと日本で広まっても良いと思われる美しいオペラだ。
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4つの即興曲 D899 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



1.ハ短調
★★★★★★★★★☆
激しいト音の強打で始まり、物悲しいメロディが単旋律で奏でられる。段々と音が厚みを増していく。
その後穏やかで優しいメロディが流れてくる。段々と英雄的な雰囲気となりはじめの主題が戻ってくる。
その後もはじめの主題が変奏曲風に形を変え奏でられる。
最後は静かにそっと曲を閉じる。

2.変ホ長調
★★★★★★★★☆☆
軽やかな、蝶々が待っているような、練習曲のような感じで始まる。単なる音階のような雰囲気の中から、美しいメロディが段々と浮かび上がってくる。途中少し暗くなるあたりで美しいメロディがかすかに聞こえてくる。

3.変ト長調
★★★★★★★☆☆☆
穏やかな波の揺れを表すかのような左手の伴奏に乗って、優美な少し悲しみを含んだメロディが奏でられる。歌曲風の優しい曲。

4.変イ短調
★★★★★★★★☆☆
2曲目に近い雰囲気だが、少し緊張感がある。美しいアルペジオの中を、これまた美しいメロディが浮かび上がってくるところは素晴らしい。中間部の優しいメロディも綺麗。

全曲美しく素晴らしい曲集。
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ピアノ・ソナタ さすらい人幻想曲 ハ長調 D760 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★★☆☆
結構元気な前向きな主題。激しく激情的な感じでこの主題が繰り返されられる。ベートーヴェン的な力強さがある。

第二楽章
★★★★★★★★☆☆
自作の歌曲『さすらい人』(D 489)から旋律が引用されているらしい。第一楽章の主題をゆったりと感情たっぷりに展開する。途中感情がほとばしり激しくなったあと、ロマンチックこの上ない雰囲気となる。その後再び激しさを増し、そのまま第三楽章へなだれ込む。

第三楽章
★★★★★★★☆☆☆
少し諧謔的な感じの、面白いリズムのスピード感のある始まり。明朗な雰囲気となり、この2つが繰り返された後、ゆったりとした曲調となる。最後は諧謔的なリズミカルな雰囲気となり、第四楽章へ突入する。

第四楽章
★★★★★★★★☆☆
悪魔的な雰囲気で主題が回帰される。時に華やかに、時に劇的に曲は進み、最後は、長調で終わる。

リストのピアノ・ソナタロ短調はこの曲を参考に作られたらしい。かなり聴きやすい名曲。
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近代家族の成立と終焉 新版 [学術書]


近代家族の成立と終焉 新版 (岩波現代文庫)

近代家族の成立と終焉 新版 (岩波現代文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/06/17
  • メディア: 文庫



前著『家父長制と資本制』の延長線にある問題意識のもとまとめられた、論文集のようなもの。
元々は1994年に出版されたものらしいが、その後の論文や講演なども収録されており、かなり分厚く、興味深い作品だった。

特に江藤淳を扱った、第Ⅳ章で、男流文学を論じたところで、

p.336
「男性批評家たちが高く評価してきた日本近代文学のカノンを女の目で読み直すと、評価がひっくり返ってしまうよ、と緻密な読みを経て提唱したのが『男流文学論』です。日本近代文学史の系譜を紐解くと、村上春樹に至るまで、男性作家によるミソジニー小説が累々と書かれ続けていることがよくわかります。」

私は村上春樹の小説があまり好きではないのだが、これを読んで何となく納得した。


p.91
「婚姻の安定性が離婚の自由のない抑圧によって維持されるよりも、離婚したいときに離婚する自由を行使できる社会の方が、女性にとってはまだましにちがいない。また、婚外の妊娠を中絶で闇に葬るというという選択を強いられる社会よりは、産みたければ婚外でも産める社会の方が、やはり女性にはのぞましいだろう。とはいえ、離婚の自由や婚外子出産の自由を行使した女性が、結果として貧困に陥るのは避けられない。それは家父長制の外で子どもを産んだ女性に対する、ペナルティとして作用している。」

これはかなり納得し、自分の考えがあまかったと認識させられた箇所だった。結局自分は結婚という制度の明の部分しかみていなかったんだなあと思った。日本の様々な文化構造を根本から考え、結婚というものをどういう形にしていくのかを考える必要があるよな、と藤岡陽子さんの小説なども思い出しながら考えた。


p.97
「養育費の支払い義務も、公的援助も、シングルマザーが再婚すればうち切られる。この規則の前提となっているのは、女は所属する男によって養われるべきだという通念であり、したがって所属する男が変われば、もとの男は扶養義務を免じられるのである。シングルマザーの詮索は、別れた妻がもとの夫に貞節を尽くす限りにおいて、その子の養育に責任を持つ、というあざといまでの家父長制イデオロギーのあらわれである。」

これもその通りだと思う。別れようが、相手が再婚しようが、本当は自分の子どもはずっと自分のこどもであり、扶養義務があるはずだ。こうしたこともあまり意識したことがなかった。


p.159
「伝統には地域や階層において多様性があり、歴史はその文脈が変わるたびに、多様な文化のマトリックスのなかから、時代に適合的な文化項目を、「伝統」として再定義するという営みをつづけてきたと考えるべきであろう。したがって「伝統」として生きつづけてきたものは、時代に応じて変化を経験してきている。「時代を超えた伝統」などというものは存在しない。」

日本は「伝統」という言葉が好きな社会だが、結局自分の権益を守るための言葉でしかないのだ。


p.174
「明治国家が天皇制の代理機関として「発明」した「家」はむしろ国家主義の一要素であった。」

だからこそ、権力者が是が非でも守ろうとしている、日本的差別の根源とも言える、「天皇制」も「戸籍」は、批判的に考えられてこなかったのであろうし、批判的に考えられることを抑圧されてきたのだろう。


p.232
「労働時間の短縮に関する調査の中で、性・年齢・職業別のあらゆるグループの中で、無業の主婦層は夫の時短をもっとも歓迎しない層でもある。」

これは読んでて笑えた。何で結婚したんだろうと思うし、家父長制的な力が様々なところにひずみを作ってしまっているんだろうなあ、と思う。


p.280
「夫婦とも有職者のケースでは、外食はもはや多忙な週日のための時間節約型の日常行動の一つにすぎなくなり、そのかわり週末家族そろって食べる手づくりの料理がハレの食事と化しつつある。「家族が全員そろう」ことが特別の意味を帯びてきた。」

これは悲しいがかなり現実を言い当てたものなのだろう。


この本も刺激的で学ぶことが多かった。
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ピアノ・ソナタ第二十一番 変ロ長調 D960 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★★☆☆
内省的な美しいメロディで始まる。少し盛り上がりを見せる壮大な部分がとても綺麗。
第二主題は、第一主題のメロディを活かした悲劇的な雰囲気。
暗く重々しい展開部。メロディは非常に美しい。
天国的な美しさを持った部分を経て、ゆったりとした第一主題、劇的な第二主題の後、静かなコーダとなり終わる。

第二楽章
★★★★★★★★☆☆
暗く陰鬱で、非常に内省的な雰囲気ではじまる。
中間部は、包み込むような暖かい雰囲気となる。
陰鬱な主題が回帰され、若干の盛り上がりを挟みながら、静かに内省的な音楽が展開され穏やかに終わる。

第三楽章
★★★★★★★☆☆☆
楽しげで跳ねた感じの牧歌的な雰囲気で始まる。暗く内省的な中間部を経て、楽しげな主題に戻り終わる。

第四楽章
★★★★★★★★★☆
協奏曲の最終楽章のような楽しく弾むような華やかな主題で始まる。スピードがどんどん上がって行き、流れるようなつなぎの部分を経て、劇的な第二主題となる。
華やかな第一主題が回帰され、華やかに終わる。

いつまでも身を浸していたい名曲。
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ピアノ・ソナタ第二十番 イ長調 D959 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★★☆☆
ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」をイメージさせる力強いファンファーレで始まり、その後静かな対話のようなところを挟み、劇的に曲が展開される。誰かに問いかけるような不安げな第二主題も魅力的。歌うような美しいメロディが様々に形を変えて何度も繰り返される展開部がこの上なく美しい。はじめの力強いファンファーレがなり、主題が回帰され、最後は穏やかに終わる。

第二楽章
★★★★★★★★☆☆
ひとりさみしく窓辺で物思いにふけっているような情景が思い浮かぶ静かな内省的な雰囲気で始まる。
迷いが苦しみに変わり、頭の中でぐるぐる回っているかのような、激しく揺れ動く中間部となる。
最後は少し悲しみは混じりながらも安らぎと若干の前向きな感じを持った音楽で終わる。

第三楽章
★★★★★★★☆☆☆
牧歌的な鳥たちの歌声を摸したかのような美しい雰囲気の楽しい楽章。

第四楽章
★★★★★★★★☆☆
ロンド形式。
穏やかで広がりのあるどこかなつかしげな主題で始まる。
少し緊張感のある、対話的なB部分。
美しく広がりのある主題。
そのまま劇的で激しい展開部となる。
少し悲しげで儚げな主題。
激しいB部分。
再び穏やかな主題が戻り、最後は盛り上がりを見せ、

美しいメロディに彩られた名曲。
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ピアノ・ソナタ第十九番 ハ短調 D958 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★☆☆☆
力強く劇的でベートーヴェン的な第一主題。少しゆったりとした第二主題。唐突な感じで展開部が始まる。悲劇的な要素の強い楽章。

第二楽章
★★★★★★☆☆☆☆
安らぎに満ちた主題で始まる。続いて少し暗く内省的なメロディとなる。唐突にはじめの安らいだ主題が登場し、すぐにフーガ的な厳しい雰囲気となる。最後は安らぎに満ちた雰囲気で終わる。

第三楽章
★★★★★★☆☆☆☆
緊張感のある雰囲気で始まる。中間部も暗く陰な感じ。再び緊張感を持った感じなり終わる。3分強の短い楽章。

第四楽章
★★★★★★★☆☆☆
ロンド形式っぽい楽章。異国情緒漂うタランテラ的な独特のリズムの美しい主題。少し不器用な音階的な部分を挟み、元気なタランテラの主題が戻ってくる。優しく穏やかな広がりのある部分、緊張感のある部分の後、短く主題を挟み、曲はドラマティックに盛り上がっていく。最後ははじめの主題が戻り、格好良く終わる。

第一楽章と第四楽章が格好良く聴き応えがある。若干メロディを貼り合わせたかのような不器用な感じがある。
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ピアノ・ソナタ第十八番 ト長調 D894 幻想 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★★☆☆
祈りのような静かな敬虔な雰囲気で始まり、その後神秘的なメロディ静かに奏でられる。第二主題は少し跳ねた感じの伸びやかなメロディのあとキラキラした美しいメロディとなる。展開部は、第一主題を短調に変え、ドラマティックな感じになる。緊張感を持って主題が回帰さ静かに終わる。

第二楽章
★★★★★★☆☆☆☆
リラックスした感じのゆったりとしたメロディで始まる。続いて激しくドラマティックな雰囲気となる。その後優美で広がりのある感じとなる。最後はリラックスした感じで終わる。

第三楽章
★★★★★★☆☆☆☆
行進曲風の力強い雰囲気で始まる。その後短調と長調を行ったり来たりする。途中子守歌のような美しい雰囲気となり、最後ははじめの主題が回帰され終わる。

第四楽章
★★★★★★☆☆☆☆
のどかな牧歌的な雰囲気で始まる。若干練習曲風になる。はじめののどかな主題がいろいろな形で織り交ぜられながら壮大な音楽となり、最後は突然の転調などを経て最後は穏やかに終わる。
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ピアノ・ソナタ第十七番 ニ長調 D850 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★☆☆☆☆☆
ゴツゴツした感じの無骨な主題で始まる。少し牧歌的で自然を描写したような第二主題が続く。ファンファーレのようなものがひたすらなっている感じの展開部を経て、無骨な主題・牧歌的な第二主題に戻り、無骨に終わる。

第二楽章
★★★★★☆☆☆☆☆
しみじみとした感じのゆったりとした曲調で始まるが、メロディははっきりしない。第二主題的な部分は少しドラマティックで若干綺麗なメロディ。暗く内省的な中間部の後、ドラマティックな第二主題的な部分が回顧され、最後ははじめの曲調に戻り静かにゆったり終わる。少し散漫な感じ。

第三楽章
★★★★★★☆☆☆☆
狩りに行くような華やかで元気で楽しげな雰囲気で始まる。その後会話を楽しみながら進んでいくような感じになる。少しドラマティックな中盤部を経て、最後は、楽しげに華やかに終わる。

第四楽章
★★★★★★☆☆☆☆
静かに対話するかのように穏やかに始まる。途中力強く壮大な宇宙的な感じになる。悲劇的な部分を挟みドラマティック盛り上がった後、愛らしく軽やかに曲は進み最後は静かに終わる。

全体的に和音を中心とした曲展開で若干散漫な印象は否めない。後半の2つの楽章は悪くはない。
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ピアノ・ソナタ第十六番 イ短調 D845 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★☆☆☆
ゆったりとした少し悲しげな序奏で始まり、緊張感のあるベートーヴェン的な第一主題の後、広がりのある壮大なメロディが印象的な第二主題となる。若干エキゾチックでドラマティックな展開部を挟み、第一主題と第二主題が回帰され終わる。

第二楽章
★★★★★☆☆☆☆☆
淡々としたシンプルな主題の変奏曲。少し讃美歌的な響きもある主題。
静かな第一変奏
流れるような第二変奏
悲しげでゆったりとした第三変奏
スピード感のある激しい第四変奏
悲しげでドラマティックな第五変奏
最後は静かに終わる。

第三楽章
★★★★★★☆☆☆☆
英雄的でありながらどこか若干牧歌的な雰囲気のある格好良い始まり。
鐘の音が鳴った後、ゆったりとした舟歌のような雰囲気となる。

第四楽章
★★★★★★☆☆☆☆
力強く英雄的な始まり。緊張感もあり交響曲風。

全体的に力強く英雄的な雰囲気に支配された曲。
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額田女王 [文学 日本 Classic]


額田女王 (新潮文庫)

額田女王 (新潮文庫)

  • 作者: 靖, 井上
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1972/11/01
  • メディア: 文庫



昔からずっと、百人一首を覚えようと思い続けてきたが、いつも最初の5つくらいで挫折してしまう。今年こそはと思い、今回は百人一首の漫画を買ってみた。


超訳マンガ 百人一首物語 全首収録版

超訳マンガ 百人一首物語 全首収録版

  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2017/10/24
  • メディア: 単行本



その第一首目
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露に濡れつつ

この首の漫画を読み、額田王に興味を持ち、私の好きな作家である井上靖に『額田女王』という作品があるのを知り購入し、この度読んでみた。

額田女王が、大海人皇子と中大兄皇子の兄弟二人に見初められ二人から言い寄られるはじめの場面に始まり、大海人皇子に梅見をだしに呼び出され、無理矢理連れ去られ関係を持たされるところを通過し、二人の子どもが生まれるところまでは本当に緊張感があり一気に読んでしまった。

その後は、当時の日本の状況を中心に話は進む。朝鮮出兵、白村江の戦い、敗戦、数々の遷都、天皇の死、人身の乱と、様々な事件が、二人の皇子と額田を中心に語られていく。

正直日本史は不得意で、漫画などを何度読んでもよくわからなかったが、やはりこういう物語のある小説を読んだり、古典文学作品を読んだりするといろいろな人物関係がわかり、頭に入ってくる。

井上靖らしい、美しく格調高い文章で、ストーリーも面白い。500ページを超える大作で、現代の軽い小説ほど読みやすくはないが、かなり楽しめた。
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ピアノ・ソナタ第十五番 ハ長調 D840 「レリーク」 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★☆☆☆☆☆
少し暗めの第一主題。不穏な雰囲気を醸し出している独特なリズムの第二主題。次々と様々なメロディが登場するのだが、あまり印象的ではなくまとまりのない感じ。

第二楽章
★★★★★☆☆☆☆☆
悲しげでさみしげな主題で始まる。少し軽やかな主題が続いて登場する。まとまりのない感じで飽きる。

重要作とされているらしいが、飽きる。
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ピアノ・ソナタ第十四番 イ短調 D784 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



第一楽章
★★★★★★★☆☆☆
何かを訴えかけるような少し悲しげで不安げな第一主題。高貴で広がりのある第二主題。非常にドラマティックで精神性の高い展開部。第一主題と第二主題がドラマティックに美しく回帰され終わる。全てが緊張感に満ちている。

第二楽章
★★★★★★★☆☆☆
慈愛と安らぎに満ちたアンダンテ楽章。中間部高音を活かした緊張感のある部分がガラス細工のような繊細さがあり美しさ。最後はゆったりと終わる。

第三楽章
★★★★★★★☆☆☆
ベートーヴェンの「テンペスト」第三楽章をイメージさせる、三連符の流れるようなメロディで始まる。広大な草原をイメージさせるメロディが続き、最後はフーガ風の精神性の高い感じになり終わる。

全体的に緊迫した感じの美しい曲。
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口笛の上手な白雪姫 短編⑭ [文学 日本 小川洋子 短編]


口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫)

口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 小川洋子
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2020/08/06
  • メディア: Kindle版



口笛の上手な白雪姫

01. 先回りローバ
02. 亡き王女のための刺繍
03. かわいそうなこと
04. 一つの歌を分け合う
05. 乳歯
06. 仮名の作家
07. 盲腸線の秘密
08. 口笛の上手な白雪姫

01.
 吃音の少年が主人公。彼の両親は恐らく何らかの宗教団体の熱心な信者で、定期的に集会に通っている。その宗教の行事に合うように自分の誕生部の日付を6日間ごまかしたことにより、自分は吃音になってしまったと主人公は思っている。彼は、両親が集会に参加するためいない間、留守を任され電話が鳴った時は対応するよう言われているのだが、吃音のため電話に出たくない。そのため117にダイヤルし、ひたすら時報を聞き続けている。
 そんなある日、彼の前に、言葉を先回りして回収している老婆(ローバ)に出会う。カタカナの名前が好きということでローバと呼ぶことになる。吃音の彼が窮地に陥った時に、救ってくれるような時には現れないが、しばしば彼の前に現れる。
 若干、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』的な作品で、心温まる作品。重松清もよく吃音作品を書くが、彼の作品はどこか鼻につくが、この作品は全くそんなことがなかった。

02.
 手作りの洋服を作るお店で働いていた刺繍がとても上手なお針子、リコさんと主人公の女性の心温まる交流を描いた作品。リコさんは先代の主人が亡くなった後、そのお店を引き継いでおり、主人公の女性も、周りで子供が生まれるたびに、リコさんに「よだれかけ」を作ってもらって刺繍を入れてもらっている。最終的に過去の思い出と現在が交わる素敵なお話し。

03.
 かわいそうなことをリストアップしてノートに記している少年の話。世界一大きいシロナガスクジラに始まり、ツチブタを経て、兄が入っている野球チームの、あまりうまくない選手の話になる。最後はノートが足りなくなってしまいどうしようか、という部分で終わる。

この世にある、様々な小さきものに光を当てる作品。地味だが心が温かくなる良作。

04.
 ミュージカル『レ・ミゼラブル』を主題としたストーリー。主人公は同僚からミュージカルのチケットをもらう。ミュージカルに興味がない主人公はあまり乗り気ではなかったが演目を見て一気に気持ちが高まる。
 主人公の母親の姉は、離婚して母子家庭。伯母さんは働いているので、主人公の4つ上の従妹は良く主人公の家に来て遊んでいて兄弟のように育った。従妹が大学生の時、寮のベッドで死んでいるのが発見された。喪主の役目も立派に果たし、普通に働いていたある日叔母が、「あの子がミュージカルに出ているの」と言い出す。『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・ヴァルジャンが自分の息子だと。そして叔母と主人公は二人で観劇する。ミュージカルのストーリーと、過去と現在が入り混じりながら物語は進行する。

かなり物語に入り込んで読めた。結構面白い作品だった。

05.
学者の父母の下に生まれた男の子の話。母は息子をとても大切にしていて病気になること、死んでしまうことをとても恐れていた。しかし息子は何かに集中すると周りが見えなくなってしまい迷子になってしまう癖があった。自国にいるときは良かったのですが、学会発表のため外国へ家族で行った際、迷子になってしまう。彼は聖堂に迷い込み、いろいろな彫像を目にする。結局彼は見つけ出され、最後に乳歯が抜ける。

06.
ミスターMMという作家に心酔してしまい、彼の全作品を暗記してしまっている。あまりのファンのため作家が主催する読者のための集まりに参加するほど。その集まりで彼女は、その作家が書いたこともない場面も、さも書いてあったかのように質問する。その作家は落ち着いてその質問に、さも自分がその場面を書いたかのように答えてくれる。結局その後もそのようなことが続き、お互いそれを楽しんでいるかのような描写になっていくのだが、最後は主人公は、集まりを荒らしている人間だと糾弾されその場から追い出されてしまう。どこまでが本当でどこまでが嘘なのかやはりわからない作品。『不時着する流星たち』の「04. 臨時実験補助員」のモチーフを用いている。

07.
廃線の危機にある路線に住む、曾祖父さんとひい孫の話。二人は廃線からその路線を救おうと毎日電車に乗り、そこで二人で空想の設定を楽しみながら終点で兎に餌をあげ、子どもが生まれるよう優しく撫でてあげる。曾祖父さんが亡くなり、その代わりのように弟が生まれる。

08.
ある公衆浴場のそばにいるおばさんの話。彼女は浴場で、乳飲み子をつれてやってきた母親が浴場に入っているあいだに、赤ちゃんを預かってあげる。その際、赤ちゃんにしか聞こえない音量で口笛を吹いてあげる。最後は少し哀愁漂う感じで終わる。

全体的に普通な感じの作品が多かった。04は良かった。
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シューベルト 歌曲集37 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



♪レルシュタープの詩
01. D.957「白鳥の歌 愛の使い」
★★★★★★☆☆☆☆
さざ波のようなピアノ伴奏に乗って、美しく若々しいメロディが爽やかに歌われる。恋人が想いを小川に託す歌らしい。

02. D.957「白鳥の歌 兵士の予感」
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く重々しい始まり。途中から少し動きが出てきて明るさが交じる。恋人の揺れる気持ちを表すかのように曲調が次々に変化する。最後は暗く終わる。遠く離れた戦場にいる兵士が恋人を想う歌らしい。

03. D.957「白鳥の歌 春の憧れ」
★★★★★★☆☆☆☆
少しうわずった感じの、喜びに溢れた曲。ピアノ迫ったくるような感じも良いし、歌の緊張感ある感じも良い。最後は劇的に終わる。

04. D.957「白鳥の歌 セレナーデ」
★★★★★★★★☆☆
淡々とした和音の連続による伴奏に乗って、すこし悲しみの混じった美しい旋律が歌われる。途中長調になり明るく前向きになる部分、その後長調と短調が入り混じる不安感と期待感が交錯する間奏も綺麗。

05. D.957「白鳥の歌 住処」
★★★★★★☆☆☆☆
暗く劇的に始まる。時に明るくなる瞬間があるが、基本暗い。暗く厳しい自然こそが自分のいるべき場所だと歌った曲らしい。

06. D.957「白鳥の歌 はるかなる土地で」
★★★★★☆☆☆☆☆
救いようのないほど暗く始まる。止まってしまうのではないかと思うくらいゆったり進んでいく。中盤から希望が見えてくるが、最後は暗く終わる。故郷も家族も全て捨てて去っていく人を描いた曲らしい。

07. D.957「白鳥の歌 別れ」
★★★★★★★☆☆☆
何故か跳ねた感じの明るい音楽。新天地へ赴く馬車の様子を表しているらしい。軽快な同じリズムが繰り返されクセになる。

♪ハイネの詩
08. D.957「白鳥の歌 アトラス」
★★★★★☆☆☆☆☆
ピアノの激情的な前奏から始まり、歌も激的。

09. D.957「白鳥の歌 彼女の肖像」
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く重く始まり、ひたすら絶望的な感じが続く。恋人を失った恋人が嘆いている曲らしい。

10. D.957「白鳥の歌 漁師の娘」
★★★★★★☆☆☆☆
この曲集にあっては珍しく明るく愛らしい曲。水辺で戯れる男女を描いたものらしい。

11. D.957「白鳥の歌 街」
★★★★★☆☆☆☆☆
幻想的な感じで始まり、最後すこし力強くなり、暗く終わる。

12. D.957「白鳥の歌 海辺にて」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとしたメロディアスな始まり。途中情念的な部分が入ってくる。この2種類の雰囲気が交互に現れる曲。

13. D.957「白鳥の歌 影法師」
★★★★★★☆☆☆☆
重く沈鬱な曲。鎮魂歌のような雰囲気。途中少し感情が高ぶる場面があるが、最後は沈鬱に終わる。

♪ザイドルの詩
14. D.957「白鳥の歌 鳩の使い」
★★★★★★★☆☆☆
10分を超える大作。クラリネット?とピアノの前奏で静かにのどかに始まる。段々と熱をおび、少し暗い部分がやってくる。後半、天国へ導かれるように清らかな、アヴェ・マリアのような音楽になる。最後は軽やかに華やかに終わる。

15. D.965b「鳩の使い 別Version?」
★★★★★☆☆☆☆☆
軽やかな曲。

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学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか [その他 本]


学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか (ちくまプリマー新書)

学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 広田照幸
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/05/20
  • メディア: Kindle版



ちくまプリマー新書ということで、結構わかりやすく「学校」とはどういうところか、ということを解説してくれている本。

この人の教育の定義が興味深い。

p.18
「教育とは、誰かが意図的に、他者の学習を組織化しようとすることである」
確かに、誰かが意図的に行う行為であり、そこには権力が作用する。これに対して教師は十分に自覚的になるべきだと思う。

学校教育法第五十一条に高等学校の目標が掲げられており、この紹介も素晴らしい。

p.58
「一 (前略)豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと

 二 (前略)一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。

 三 (前略)社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。」

筆者もこの本の中で述べているように、最近の文部科学省の、特に英語教育に関する施策はこれらの逆を言っていると思う。

最後に印象的な箇所を三箇所紹介したい。

p.95
「つまり、学校で教えられているカリキュラムは、「この世界が何なのか」について縮約・再構成された知識や文化であり、あるいは、それをベースにした技能の習得のようなものです。ですから、日常の生活世界での経験では学べないものが、「カリキュラム化された知」として学校で学べます。」

これは私が自分の授業で四月に担当生徒によく話す内容と似た内容だ。すべての教科は根本的に、この世界をそれぞれの教科から切り取ったものであり、観点の違いなだけであり、全てはつながっているのだということを伝えるようにしている。

p.100
「いずれにせよ、多くの子どもたちに「勉強がつまらない」というふうに映るのは、学校の知の本質です。つまらないと思った人は多いと思いますが、学校はそういうものです。身近な日常経験とは切り離されたものを教わっているので仕方がありません。」

これも全くその通りだと思う。それを面白おかしく、生徒が「楽しむ」ことに焦点をおいた授業はその時はいいかもしれないが、後々何も残らない。

他にも色々と示唆に富んだ内容で刺激的な本だった。

中高生はもちろん、受験教育が教育だと思っている先生たちに是非読んでもらいたい本だ。
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ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 D.664 [シューベルト ピアノ曲]


ベルク:ピアノ・ソナタ、シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番、他 メジューエワ

ベルク:ピアノ・ソナタ、シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番、他 メジューエワ

  • アーティスト: ピアノ作品集
  • 出版社/メーカー: 若林工房
  • 発売日: 2007/11/10
  • メディア: CD



第一楽章 Allegro Moderato
★★★★★★★★★☆
優しく可憐な美しい第一主題。第一主題に似た、少し緊張感と悲しさが入り混じった張り詰めた第二主題。段々と力強さを増し、主題が反復された後、力強い展開部となり、最後は第一主題がゆったりと回帰され終わる。

第二楽章 Andante
★★★★★★★☆☆☆
静かな悲しみを湛えた、一人窓辺で思い悩む人をイメージさせる曲。

第三楽章
★★★★★★★★☆☆
軽やかに蝶々が待っているかのような明るく愛らしい始まり。段々と力強さを増してドラマティックになっていく。中間部の広い大草原をイメージさせる若干暗さのある伸びやかな部分も魅力的。最後は力強く終わる。

引き締まった聴きやすい名曲。

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シューベルト 歌曲集36 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.942「ミリアムの勝利の歌」
★★★★★★★★☆☆
華やかなピアノ前奏で始まり、ソロが高らかに勝利を喜び、合唱がそれに答える。
一通り勝利感に満ちた部分が終わると、ソロがゆったりと平和に満ちた歌を歌い、合唱がそれに続く。
不安げな合唱の対話のような部分が続いた後、力強くソロが民衆に語りかけ、再び元気になる。
緊張感に満ちたソロと合唱の対話が続き、合唱が不安感を吐き出し続ける。
ソロが力強くファラオ(エジプトの王)に語りかけ、静かなモノローグ部分となる。
最後は、最初の勝利感に満ちた部分が回帰され、フーガ風になり、華やかに終わる。

ミリアムとは旧約聖書に出てくる人物で、モーセの姉らしい。出エジプトの民の心情を歌ったものっぽい。オペラの一場面、というか最後の場面みたいで格好良い曲。

02. D.945「秋」
★★★★★★★★☆☆
題名通りの哀愁漂う、寒い風が吹き抜けるような曲。美しいメロディが印象的。

03. D.937「人生の勇気」
★★★★★★☆☆☆☆
明るく元気な曲。ピアノのドラマティックな伴奏も綺麗。

04. D.866「4つのリフレイン歌曲 分別」
★★★★★☆☆☆☆☆
軽い感じの淡々とした曲。恋することを禁じられた女の子の歌?普通。

05. D.866「4つのリフレイン歌曲 あなたのそばにいるだけで」
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく元気な前向きで幸福感に満ちた曲。普通。

06. D.866「4つのリフレイン歌曲 男なんてみんな悪者」
★★★★★★☆☆☆☆
悲しげだけどどこか前向きな歌。恋人の不実を目にし、嘆く女の子の歌?

07. D.866「4つのリフレイン歌曲 この世の幸せ」
★★★★★☆☆☆☆☆
少し暗めに始まるが、段々と明るさを増していく曲。普通。

08. D.990c「やまびこ」
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかなピアノ前奏で始まり、そのまま優しく語りかけるような歌が続く。ひたすら同じメロディが何度も繰り返される6分程の曲なので、若干飽きる。半分くらいなら良い曲かも。

09. D.953「詩篇92 主よ、あなたに感謝します」
★★★★★☆☆☆☆☆
アカペラによる結構普通の宗教曲。

10. D.955「信仰・希望・愛」
★★★★★★☆☆☆☆
重々しく始まる。少し動きがある雰囲気となる。段々と感情が高まっていく。最後は重唱となり静かに終わる。
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3つのピアノ曲 D946 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



1.変ホ短調
★★★★★★★★☆☆
左手の三連符に乗って劇的で激しい情熱的なメロディが第一主題として提示される。その後少し英雄的な伸びやかな第二主題が展開される。中間部は荘厳で滑らかな精神性の高い美しい雰囲気となり、最後ははじめの主題が回帰されて劇的に終わる。

2.変ホ長調
★★★★★★★★★☆
ABACAのロンド形式。
A部分は、ショパンの夜想曲に似た、夢見るようなゆったりとした雰囲気。
B部分は、低い左手の伴奏の上を暗く陰鬱なメロディが流れる。
C部分は、情熱的で情念的な素晴らしい雰囲気。
どうやったらこんなに様々な美しいメロディが思いつくのかと思うほど美メロの嵐。

3.ハ長調
★★★★★★★☆☆☆
明るく華やかにリズムカルに始まる。中間部は夢見るような美しい雰囲気。最後は明るくリズミカルに終わる。

有名な2つの即興曲集よりはるかにわかりやすくメロディも良いと思う。
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6つの楽興の時 D780 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



1.ハ長調
★★★★★☆☆☆☆☆
穏やかで若干牧歌的に始まり、少しもの悲しげになったり、淡々と進んでいく感じになったり、色々表情を変える。最後は牧歌的な感じに有り終わる。

2.変イ長調
★★★★★☆☆☆☆☆
静かに荘厳に始まる。秋色の悲しげなメロディを挟み、再び荘厳な感じに戻る。
突然激情的になるが、すぐに穏やかになり、荘厳に終わる。

3.ヘ短調
★★★★★★★☆☆☆
悲しげだがどこか温かみのある短いながらも心落ち着く佳曲。

4.嬰ハ短調
★★★★★☆☆☆☆☆
若干練習曲風の秋を感じさせる曲。途中少しゆったりとした曲調となる。普通。

5.ヘ短調
★★★★★☆☆☆☆☆
激しい曲調。普通。

6.変イ長調
★★★★★☆☆☆☆☆
ゆったりとした曲。何となく曲が流れていく。

全体的に掴みどころのない曲が多い。
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アレグレット D915 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



★★★★★★☆☆☆☆
少しドラマティックなメロディではじまり、穏やかにそれが返される。その後、若干厳しい感じのメロディがはさまれ、穏やかさと激しさが入り混じった部分となる。途中牧歌的で和やかな部分を挟み、はじめの主題が流れる。最後は厳し目に終わる。
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16のドイツ舞曲 D783 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



★★★★★★☆☆☆☆
01. 力強い舞曲。
02. 穏やかで心慰められる曲。
03. 子どもたちが明るく踊っているような愛らしい曲。
04. 装飾音が多用された華やかな曲。
05. 短調と長調を揺れ動く美しい曲。
06. 祝典の始まりを告げるかのような華やかな曲。
07. 祝典が始まり、皆が談笑しているかのような穏やかな雰囲気の曲。
08. 独特のリズムで始まり、まさに舞曲という感じの跳ねた感じの軽やかな曲。
09. 少しシリアスな感じの曲。
10. 哀愁漂う悲しげな曲。
11. ショパン風の軽やかで高貴なワルツ。
12. 少し単調な感じの雰囲気。
13. 哀愁漂う美しいメロディの曲。
14. すこしゆったりとした穏やかな曲。
15. 最後は華やかに終わる。

多分、どこかが別の曲なのだろう。1曲足りない・・・。全体的に愛らしく聴きやすい。
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ハンガリー風のメロディ D617 [シューベルト ピアノ曲]


Schubert: Piano Works 1822-1828

Schubert: Piano Works 1822-1828

  • 出版社/メーカー: Decca
  • 発売日: 2011/01/11
  • メディア: CD



★★★★★★☆☆☆☆
秋風を感じさせる悲しげで哀愁漂うメロディが繰り返される。中間部は少し悲しみが混じりながらも少し明るく舞曲風になる。最後は少し明るく終わる。
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映画を早送りで観る人たち [その他 本]


映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書)

  • 作者: 稲田 豊史
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/04/12
  • メディア: Kindle版



最近仕事場で、映画を早送りで観る人が多いということが話題になることが多い。英語の授業で単語の意味を調べさせる時、紙辞書はもちろん、電子辞書すら使用せず、ネットで単語を入れ調べる生徒があまりにも多いこともよく話題になる。さらに言えば、単語を調べるならまだよく、文章そのまま翻訳させる生徒も多い。

そんな話題が良く出ていた時、この本の広告を電車で見つけ興味を持って読んでみた。

筆者はそうした人々に違和感を持ち、おそらく初めは否定的にそうした人々について論じていたが、色々調べていくうちにインターネットという科学技術と人間の欲望、そうしてこうしたものがつくり上げた社会が、このような人々を生み出したという結論に達している。

正直私は、映画を早送りで観る人たちに対して何も思わない。というか否定的には捉えない。最終的に筆者も述べているように、時代の変遷とともに映画の見られ方や音楽の聴かれ方なども変わってきているので、時代に合った見方が為されているのだろうとしか思われないからである。「アダージョ・カラヤン」というCDが数十年前に売り出され大ヒットしたが、これなんかもいいとこどりだし、映画に限らず、本にしたって、すべてが全体を見ずつまみ食いしてエッセンスだけを取り出そうという考えで世の中動いている。大学入試共通テストの英語の問題もこの考えでつくられているとしか思えない。

こうした一つ一つの事象があることは別に構わないし、様々なものをこういった形で享受していくのも構わない。しかし社会全体としてこうした方向が正しいのだという形で進んでいくことにはやはりまずいのではないかと思ってしまう。特に教育という分野においては、時間がかかっても回り道してもじっかり考えるということが根本にあるべきなのではと思ってしまう。

p.237
「他人に干渉しない。すなわち批判もダメ出しもしないし、されることもない。これは一見して「他者」を尊重しているように見えるが、そこには「自分と異なる価値観に触れて理解に努める」という行動が欠けている。単に関わり合いを避けているだけだ。
 それゆえに、自分とは考えの違う「他者」の存在を心の底から許容できない。
 ~中略~
 これは多様性には程遠い。むしろある種の狭量さだ。Z世代が得意だとする「多様性を認め、個性を尊重しあう」には、「異なる価値観が視界に入らない場合に限る」という但し書きが必要なのかもしれない。」

まさしくこの文が私の違和感を表現していくれていると思う。結局色々なものをつまみ食いしている人々は全体を見ることがなく、良いものも悪いものある全体を全体としてみようとせず、自分の気に入った部分だけを全体とみているので、真の意味で他者を受け入れることが出来ないのだ。

これは完全に教育の失敗だと思う。インターネットが主流になろうが、個人の趣味嗜好でどういう形でそれを享受しようが、それに逆らう形で教育を進めることはいくらでも出来るはずだ。コロナも含め、億万長者たちの金もうけのために人間がどんどんダメになっていっている気がする。
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