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アンナ・カレーニナ 下 [文学 ロシア]


アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫



『アンナ・カレーニナ』下を読み終わった。2日前に読み終わったのだが、いろいろ忙しくブログを更新できなかった。やはり子育ては大変だ。

で、アンナ自殺する直前の心理描写、これは素晴らしかった。シェイクスピアの悲劇『オテロ』『マクベス』の主人公たちが精神を病んでいく様子に近いものがあった。人間、一度疑い出すとそこから中々抜け出せなくなってしまう。その様子が、これでもか、というほど細かく描き出されていて、この場面は一気に読んでしまった。
この話、結局主人公はリョービンとキチイなのだろう。キリスト教(特に原始キリスト教)信仰に行き着く二人の思考・思想の動きも実に細やかに、繊細に描かれている。アンナが死んだあとの章はいらないだろうと思って読みすすめていたが、彼らの生活が描かれることでアンナの悲劇性がさらに増幅するというしかけなのだろう。
結局最後までアンナを理解することはできなかったが、確かに小説としてはよくできているのではないだろうっか。


アンナ・カレーニナ 中 [文学 ロシア]


アンナ・カレーニナ〈中〉 (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ〈中〉 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫



『アンナ・カレーニナ』中巻を読み終わった。アンナはヴロンスキーとのあいだの子供の出産に際し、瀕死の重体に陥る。ヴロンスキーも自殺を図る。そんな状態の中、夫であるカレーニンは全てを赦して、元の生活に戻ろうとする。直にアンナとヴロンスキーは元気を取り戻す。すると、命を助けてもらったカレーニンに感謝するどころか、アンナはヴロンスキーと逃亡。離婚もせず、中途半端な状態のままこの3人の関係は続いていく。
一方、キチイとリョービンはお互いの気持ちを確かめ合い、無事結婚へと至る。この2人が結婚へとこぎつける時の2人の心理描写、駆け引きなどが絶妙だ。この辺、トルストイの天才的心理描写、情景描写の妙が光っている。

アンナは自分の気持ちに純真で真っ直ぐな女と解説書などに書かれているのを目にするが、今まで読んだところでは、自分勝手な人の気持ちを考えられないどうしようもない女にしか思えない。自分の気持ちに正直なだけならただのわがままな人間だ。そしてアンナは美しいだけの、わがまま女以外の何者でもない。いままでのところでは・・・。

アンナ・カレーニナ 上 [文学 ロシア]


アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫



トルストイの『アンナ・カレーニナ(上)』を読んだ。大学1年生で読んで以来だ。一度夢中になって読んだはずなのに全く内容を覚えていなかった。本当に大まかな流れすら覚えていなかった。なので結構新鮮な気持ちで読みすすめられた。が、かなりここ1ヶ月疲労がたまっているのでなかなか進まなかった。

ヴロンスキーと人妻アンナの不倫愛、リョービンとキチイのすれ違う純愛、この2つの恋愛を軸に話は進む。キチイはヴロンスキーに想いを寄せていた。ヴロンスキーも始めはキチイに想いを寄せていた。リョービンはキチイに想いを寄せていた。アンナは人妻。
ヴロンスキーが人妻アンナに一目惚れ。アンナも次第にヴロンスキーに心惹かれるようになり、不倫愛に発展する。リョービンはキチイにプロポーズするも断られる。一方のキチイもヴロンスキーの心離れにより、病気になってしまう。

この2組のカップルを軸に貴族社会の様々な会話が織り交ぜられ物語は進行していくのだが、『戦争と平和』を読んだ時も思ったが、本当にトルストイは人間の心を描き出すのがうまい。完全に悪役、完全に善人という人物を決して作らない。主人公アンナも魅力的ではあるが性格的にはどうしようもない女だ。本当にこういう人周りにいるよね、と言いたくなるような人物ばかりだ。

まったく先が読めない『アンナ・カレーニナ』。中、下巻も楽しみだ。

イワン・イリッチの死 [文学 ロシア]


イワン・イリッチの死 (岩波文庫)

イワン・イリッチの死 (岩波文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1973/01
  • メディア: 文庫



トルストイの短編『イワン・イリッチの死』を読んだ。高級官吏が病気にかかり今までの自分の生活を振り返り安らかな死を迎えるという100ページ程の短編。最近読んだ3冊の中では一番面白くなかった。正直ページをめくるスピードも遅く、一日で読み終わる予定が3日もかかってしまった。やはりトルストイは長編の方が数倍面白い。彼の面白さは、人間の心理描写のうまさにある。そういう意味で短編ではひとりひとりの心理を詳細に描ききれないのではないだろうか。
今月はいよいよ『アンナ・カレーニナ』を読む予定だ。


クロイツェル・ソナタ 悪魔 [文学 ロシア]


クロイツェル・ソナタ/悪魔 (新潮文庫)

クロイツェル・ソナタ/悪魔 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1974/06/16
  • メディア: 文庫



学生時代は学校への行き帰り約2時間、電車の中で本を読み、家でも2~5時間本を読んでいた。特に夜寝つきが悪く、布団に入ってから平気で2時間くらい本を読んでいた。しかし最近は、家に帰ると体が疲れきっており、その上、家事、育児、その他もろもろもあり、家ではほとんど本を読んでいない。そのため、最近の読書時間は電車の中くらいでしか取れない。

今週はGWということで、長編を読み始めてしまうと話が途切れてしまいストーリーを忘れてしまうとこまるので、つなぎで短編を読んでいる。前回に引き続きトルストイを読んだ。

『クロイツェル・ソナタ』『悪魔』どちらも性欲をテーマにした短編だ。あふれる性欲を抑えきれず、性欲から来る嫉妬、疑いを越えられず悲劇に見舞われる男を描いた作品だ。
『エミール』でも触れられていたことだが、性欲は社会が促し、変な方向に導いているという側面は否めない。性欲につけこんだビジネスは後を絶たない。電車のつり革広告に女性の水着姿を載せている国もそうそうないのではないだろうか。
我々は3つの欲望として、食欲・睡眠欲・性欲をあげる。しかしトルストイが言うように性欲だけは別物な気がするのだ。
我々は真剣に「性」について社会全体で考えていくべきなのではないかと、この本を読んで改めて思った。

光あるうちに光の中をすすめ [文学 ロシア]


光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)

光あるうち光の中を歩め (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/05
  • メディア: 文庫



トルストイの『光あるうち光の中をすすめ』という小編を読んだ。文庫版で100ページ強の作品だ。
物語は、貴族たちがキリスト教の教えについて話し合う場面から始まる。
キリスト教の教えに従った生活をすべきだ、と各々は言うが、実際それを実践しようとなると家族をはじめ様々な事情でできない、という結論にみんな達してしまう。
場面は変わり、古代ローマ。キリストが死んだあと約100年後くらいという設定。以前の『クオ ヴァディス』の時代の少しあとの時代設定だ。つまりまだまだキリストの弟子たちを直接に見知っていり人々がいる時代の話。
青年時代一緒に学んでいた若者(貴族&その召使)2人がいる。一方(召使)は事情により途中で学問を中断せざるを得ず働くことになる。彼はキリスト教を信仰しており、その教えに従った生き方をする。一方は貴族で金もあるので、女遊びはじめ好き勝手な生活をする。機会あるごとに帰属の若者はキリスト教を進行する若者にであり、キリスト教に心惹かれるが、他の誘惑にあいもとの生活に戻り、様々な苦難にである。
最終的には現世の幸せをいくら望んでも現世では幸せは得られないことに気がつき、最終的にはキリストのもとへ導かれるという話。

短いのでそこまで深い思想が込められているわけでもなく、ストーリーもいたって単純。
しかし、言葉だけは偉そうなことを言うが、実践できない人間が数多いこの世の中において、充分読むに耐えうる、いや、読まれるべき作品だと思う。

この1月からずっと大学時代に読んだ作品を読み返しているが、本当に今の自分の考えと一致する部分が多い。自分の今ある考えがすべてこうした作品を通して形成されたものではないと思う。小さい頃から考えてきた思想とたまたま一致するような本を選んで読んでいたのかもしれない。しかし、読書が自分の思想形成に少なくない影響を与えていることも確かだと思うのだ。



戦争と平和 4 [文学 ロシア]


戦争と平和〈4〉 (新潮文庫)

戦争と平和〈4〉 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 文庫



超大作『戦争と平和』完読!!!!
4巻で約2800ページ。とはいえ、最後の方は飽きてしまった。
4巻も初めのうちは1812年のナポレオン戦争。ロシア側がフランスを押し返す様子を中心に描かれている。
そして、ピエールとナターシャ、ニコライとマリアがそれぞれ結婚。
とここで終わればまだよかったが、平和が訪れ結婚後の2組のカップルの様子が100ページ程続く。
これが余計だった。素晴らしいドラマが終了し、大人気だったために、ハッピーエンドのその後を放送して大失敗するテレビ・ドラマのようだった。

とにかくナターシャがピエールに惚れる理由がわからない。アンドレイ公爵は文句なく格好良い。クールで、知的で、物事を深く考えるとともに俯瞰することもでき、自分のやるべきことをしっかりこなす。私にとって理想とするような人物だ。
それに対しピエールは親の金で遊び暮らし、物事を深く考えようとするものの頭が足りなくて考えることができず軽率な行動を連発。宗教心もよくわからない。
そしてナターシャもあれだけアンドレイ公爵を裏切ってしまったことを後悔し看病していたように見えたが、彼が死んだ途端ピエールと結婚。女心とはそんなもん?

始めはナターシャは純粋で美しい心の持ち主と思って読んでいたのだが、まったくそんなことはない。そのへんの尻軽女じゃん、という感じ。
結局最後まで心が美しく描かれているのはナターシャの従姉妹ソーニャだけ。そのソーニャも結局は自己犠牲の名のもとに幸せにはなれず・・・。

人々のありのままの姿を描いた作品なのだろうが、小説としては読後感はイマイチだった。


戦争と平和 3 [文学 ロシア]


戦争と平和 (3) (新潮文庫)

戦争と平和 (3) (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 文庫



一昨日、『戦争と平和』第3巻を読み終わった。ここ数日とても仕事が忙しく、ブログ更新の時間もなかった。今日は久しぶりの休み。

むかしこの本を読んだとき、作者トルストイの歴史観、戦争観が物語のあいだに挟まる形でちょくちょく出てきてちょっと読みづらいなあの感じていたのだが、今回の再読で1,2巻にこうしたものが出てこないので、自分の記憶違いだったか、と思っていたが、三巻でついに来た。

3巻の冒頭からトルストイの歴史観が滔々と語られる。簡単に言えば「歴史的出来事は様々な要因が入り混じって起こることであり、簡単な因果関係で説明できるものではない。」「戦争は首脳部の意思で始まるのではなく、民衆一人ひとりの意思で始まるのだ」というものだ。

私はこの意見に完全に同意する。が、少し説明が長い。さらにこの巻は戦争の場面が多く出てくるので、私
にとっては少しつまらない巻だった。戦争によるモスクワの混乱の中でナターシャを中心とした人間たちの行動、心の動きを中心に描いている。

前にも書いたが私は戦闘場面を描いた文章が得意ではない。情景が思い浮かべられないからだ。ナターシャの兄のニコライとアンドレイ公爵の妹マリアの運命的出会い、傷ついたアンドレイ公爵とナターシャの再開など劇的場面も多いのだが、トルストイの歴史観と戦闘場面の描写が多いため物語に入り込みづらい。こうしたものも物語には欠かせないのだろうが、もう少し「平和」側にいる人間たちの呑気な心情描写を1~2巻どうよう描いてもらえるともっと良かった気がするのだが・・・。


戦争と平和 2 [文学 ロシア]


戦争と平和 (2) (新潮文庫)

戦争と平和 (2) (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 文庫



ようやく『戦争と平和』2巻を読み終わった。やはり読み切るまでに結構かかってしまう。何といっても700ページ以上あるのだ。それでも1巻と同じようにほぼ飽きることなく読み終えることができた。
今回は戦闘シーンも少なく、登場人物の心の動きに焦点が当てられることが多く、一層物語に没入することができた。
この巻はアンドレイ公爵とナターシャが出会い婚約し、破局するまでの物語を描いた巻と言える。さらにいえばアンドレイ公爵というよりはナターシャの心の動きに焦点を当てている。純粋で、恋多き女の子だった女の子だったナターシャがアンドレイと出会い、本当の恋を知ったかに見えたが、遊び人でどうしようもない男に騙され駆け落ち寸前までいき、それがバレ、アンドレイとの婚約が解消されるまでの心動きを描き出しているのだが、本当に細かな部分まで描いていて、トルストイは本当に人物の心理描写に長けていると再認識させられた。
この巻を読んで自分は恋愛小説が好きなんだなあと実感した。
小説は本当に面白い。文学作品を映像化したものもそれなりに楽しめるが、絶対に原作の細かい描写までは映像化できない。そう思うとやはり文字媒体というのは、想像力を刺激するという意味で偉大だなあと思う。
明日からの3巻も楽しみだ。

戦争と平和 1 [文学 ロシア]


戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 文庫



1月8日からトルストイ作『戦争と平和』を読み始めた。
そしてようやく1巻が読み終わった。
1巻だけでも700ページ近くある大作だ。1月中に全4冊読み終わると思っていたが、全く無理そうだ。
初めて読んだのは大学1年生の春。なのでもう15年も前だ。内容は95%覚えていなかった。
なので再読とはいえ、かなり新鮮な気持ちで読み始めることができた。

出だしはいきなり貴族の家での会話から始まり、晩餐会へと移っていく。こうしたサロンでの会話がつまらなくてこの『戦争と平和』を読み切ることができない人が多いようだが、こうした会話の方がかえって、戦争・戦闘を描写した場面よりも楽しく読める。本当の戦闘に参加したことのない私としては、戦争中の戦場での様子を細かく描写されても正直頭の中でイメージを持つことができない。HobbitやNarnia、『坂の上の雲』なども戦闘シーンはことごとく分からず、読んでいてかなり苦痛であった。
とはいえ、トルストイのこの作品はどう戦うかといった戦略的なところはほとんどなく、戦場での人間たちの心理模様が描かれているので楽しんで読めた。670ページも飽きることなく読み切ることができた。

が、覚悟はしていたが、やはり人間関係がわからなくなってくる。かなり頭の中で整理しながら読み進めるのだが、場面が変わり登場人物が変わったり、次の日になったり、日曜を挟んで2日ぶりに読んだりすると頭の中から抜けていたりする。それでもなんとか主要人物は押さえているのではないかと自分では思っている。

そしてすごいと思うのはこれだけの登場人物を出せば、どうしても悪役みたいな人物が出てきても良さそうなものだが、それぞれがそれぞれの性格を持っていてそれが人間だ、という感じで描かれていて、どの人物も良い面悪い面がバランスよく描かれている。金のために結婚する人間、ツテだけを頼りに軍隊内で出世していく人間などは、普通は小説などでは悪役のような形で描かれることが多いが、『戦争と平和』においては全くそんなことがない。本当にトルストイの人物描写は素晴らしいと実感した。

まだ4分の1である。これからが楽しみだ。

ボリス・ゴドゥノフ [文学 ロシア]


ボリス・ゴドゥノフ (岩波文庫)

ボリス・ゴドゥノフ (岩波文庫)

  • 作者: プーシキン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/09/25
  • メディア: 文庫



プーシキン作『ボリス・ゴドゥノフ』を読んだ。そんなに興味のある作品ではなかったのだが、ムソルグスキーがオペラ化しており、そのオペラは名作ということなので(オペラは未聴)、あとで絶版になってしまっても嫌だからということで買った。

関係ない話だが、岩波文庫を筆頭に私が読みたい文学作品は絶版になっているものが多い。やはり名作文学はなるべく絶版にしないでもらいたい。とはいえ、あまり買う人もいないのでしょうがないのか・・・。

で、作品だがあまり面白くはなかった。100ページ強の作品で、主人公ボリスの皇帝就任から死まで、ということだが、本当の主人公はボリスが殺害させた弟ドゥミトリーを名乗り、皇帝に上り詰めるグリゴーリー。しかし皇帝に上り詰めたはいいものの結局は彼も民衆にそっぽを向かれて終わる、という作品。

次から次へといろいろな人物が登場し、同一人物でも違った名称で登場するのでよくわからない。しかも、人物の描写が細かくないので、いまいちよくわからない。

まあ、もう少し読み込めば面白いのかもしれないが、若干残念な作品。
『大尉の娘』『エウゲニー・オネーギン』など、他作品が面白かっただけに、期待はしていたのだが。
オペラのDVDもおそらく買わないだろう。

生ける屍 [文学 ロシア]


生ける屍 (岩波文庫)

生ける屍 (岩波文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1927/07
  • メディア: 文庫



今年の春、岩波文庫から復刊された『生ける屍』、正直、岩波が復刊してくれるまでこの作品のことを知らなかった。シラーの『群盗』と共に復刊されることを知り、ネットで調べてみたところ、トルストイの戯曲ということで、珍しく、内容も面白そうなので読んでみた。

字体が旧字体なので若干読みづらくはあったが、すぐに慣れ、どんどんと読み進められた。
酒と女におぼれるどうしようもない夫フェージャと別れたいリーザではあったが、(恐らく当時のキリスト教社会のロシアでは)離婚手続きがなかなか進まない。フェージャの友人であるカレーニンは、リーザの結婚前からリーザを愛しており、この離婚手続きの間にリーザと親しくなり、二人は愛するようになる。

フェージャは二人が愛し合っていることを知り、自分が死ねば二人は結婚できると思い、自殺したということにすれば二人は結婚できるということで、自分は自殺したということにする。

これでカレーニンとリーザは無事結婚するが、ふとしたころからフェージャが生きていたことが解ってしまい、リーザは重婚罪で訴えられる。

そして最後の幕は裁判の場面となる。

『カラマーゾフの兄弟』『ヴェニスの商人』はじめ、最後に裁判の場面を持ってくるとやはりとっても盛り上がる。

短いがとても面白かった。
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