光あるうちに光の中をすすめ [文学 ロシア]
トルストイの『光あるうち光の中をすすめ』という小編を読んだ。文庫版で100ページ強の作品だ。
物語は、貴族たちがキリスト教の教えについて話し合う場面から始まる。
キリスト教の教えに従った生活をすべきだ、と各々は言うが、実際それを実践しようとなると家族をはじめ様々な事情でできない、という結論にみんな達してしまう。
場面は変わり、古代ローマ。キリストが死んだあと約100年後くらいという設定。以前の『クオ ヴァディス』の時代の少しあとの時代設定だ。つまりまだまだキリストの弟子たちを直接に見知っていり人々がいる時代の話。
青年時代一緒に学んでいた若者(貴族&その召使)2人がいる。一方(召使)は事情により途中で学問を中断せざるを得ず働くことになる。彼はキリスト教を信仰しており、その教えに従った生き方をする。一方は貴族で金もあるので、女遊びはじめ好き勝手な生活をする。機会あるごとに帰属の若者はキリスト教を進行する若者にであり、キリスト教に心惹かれるが、他の誘惑にあいもとの生活に戻り、様々な苦難にである。
最終的には現世の幸せをいくら望んでも現世では幸せは得られないことに気がつき、最終的にはキリストのもとへ導かれるという話。
短いのでそこまで深い思想が込められているわけでもなく、ストーリーもいたって単純。
しかし、言葉だけは偉そうなことを言うが、実践できない人間が数多いこの世の中において、充分読むに耐えうる、いや、読まれるべき作品だと思う。
この1月からずっと大学時代に読んだ作品を読み返しているが、本当に今の自分の考えと一致する部分が多い。自分の今ある考えがすべてこうした作品を通して形成されたものではないと思う。小さい頃から考えてきた思想とたまたま一致するような本を選んで読んでいたのかもしれない。しかし、読書が自分の思想形成に少なくない影響を与えていることも確かだと思うのだ。
2016-07-27 06:54
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