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第18挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 作者: James Joyce
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Classics
  • 発売日: 2010/01/05
  • メディア: ペーパーバック



第三部
第18挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

この章はMollyがベッドの上で考えたことが延々と述べられている章らしい。
よって、ピリオドがなく、延々と単語が並ぶ。

おそらくMollyの過去の男性遍歴が述べられているのであろう。正直、文章として読めず、ほとんどわからなかった。


なんにしろ、ついにUlyssesを読み終わった。いや、ページをめくり終わった。多分、日本語訳で読んだら、もう少し理解が深まったのであろうが、それでも多くの部分は???だったろう。
原文で読んだことで、James Joyceが文学実験として何がやりたいのかがすこし見えた気がする。そういった意味でとても面白い体験ができた。

文学実験であるとともに、ナショナリズム・反ユダヤ主義なども扱った思想的にも深い小説であり、過去の文学作品に対する言及も多く、様々な点で素晴らしい小説だった。もう少し教養と英語力があればもっともっとこの作品が楽しめるんだろうなあ、と思うと若干悔しい気がする。

第17挿話 [文学 アイルランド Ulysses]



第三部
第17挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

この章は形式が面白い。一問一答のようになっている。

〇BloomとStephenがどのような経路を辿って家に帰っていったか。(はじめは普通のペースで歩いていたが、段々ペースが落ちたらしい。何故だろう?)

p.572
Starting united both at normal walking pace from~
~then, at reduced pace

〇彼らがどのような話をしたか、どういう点で意気投合し、どういう点で意見が合わなかったかなど。
〇BloomとMollyの馴れ初めが書かれているっぽいがここはよくわからない。
〇Bloomの家に着いて、彼らが何をやったか。キャンドルをどちらがどのようにつけたか、などかなり細かく描写されている。
〇お湯を沸かしてCocoaを飲む。どちらか先に飲み終わったかなど細かい描写。
〇沸いたお湯でBloomがヒゲを剃った?こんな夜中に何故か、のようなことが書かれているっぽい。夜はヒゲが柔らかいらしい・・・。
〇Bloomがかつて作成した詩などが吟味されている?Mollyへ送った詩も載っている。
〇BloomとStephenがどのくらい年が離れているかの話。16歳差らしい。差と比率が違うことを滔々と述べている。

p.585
16 years before in 1888 when Bloom was of Stephen’s present age Stephen was 6. 16 years after in 1920 when Stephen would be of Bloom’s present age Bloom would be 54.
こんな話が半ページに渡って続く。結構頭を使って面白かった。

〇お互いの人種に関しては直接的には触れなかったらしい。ここの表現も面白い。

p.587
What were Bloom’s thoughts about Stephen’s thoughts about Bloom and Bloom’s thoughts about Stephen’s thoughts about Bloom’s thoughts about Stephen?
He(Bloom?) thought that he(Stephen?) thought that he(Bloom?) was a jew whereas he(Bloom) knew that he(Stephen) knew that he(Bloom) knew that he(Stephen) was not (a jew).
ここまであると正直よくわからない・・・。

〇BloomとStephenの先祖のことなど。
〇その後、外国語のこと、音楽のことなど話している(のか?)
〇タンスの何段目には何が入っているのか等、細かい描写(?)

正直、最後の方はよくわからなかった。

第16挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第三部
第16挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

〇BloomとStephenが登場。Bloomは酒に酔ったStephenを介抱しながら歩いている?
〇Corleyなるものが登場。Stephenを呼び止める。今夜泊まるところに困っているために金を貸してほしいとStephenに頼む。Stephenはポケットに入っていた50ペニーを彼に渡す。
〇CorleyがBloomの存在に気がつき、BloomがBoylanと一緒にいたことがあるのではなかったかと考える。StephenにBoylanのもとで広告の看板持ちの仕事でもいいので、仕事をくれるよう仲介してくれないか、とBloomに頼んでくれるように頼む。
p.529(StephenがBloomに言った台詞)
―He(Corley)’s down on his luck. He(Corley) asked me(Stephen) to ask you(Bloom) to ask somebody named Boylan, a billsticker, to give him a job as a sandwichman.
(askが多用されているのが面白い)
〇CorleyとStephenは別れ、再び二人となり、話はStephenの父親Mr.Dedalusの話になる。
〇BloomはStephenの父親を褒め、父親がStephenを誇りに思っていることを伝える。そして家に戻ることをすすめ、現在同居しているMulliganともうひとりのイギリス人(Hainesのことだろう)が、Stephenを混乱させているという。が、そのいっぽうでBloomはMulliganの能力を高く評価しているっぽく、医者として大成すると思っているっぽい。
〇その後、よくわからないがイタリア語で歌っている人を見かける?
〇BloomがStephenに自分の名前がどんな名前だったらよいか尋ねたところ、Stephenが「Dedalus」と答えたところ、近くの船乗りがその名前を聞き、君はSimon Dedalusを知っているかという話になり、それから延々と彼が話をする。(Stephenの父親は船乗りだったのか?よくわからない)。
〇その後、おそらくBloomとStephenだけになり熱く議論を交わす(Stephenは相当酔っているだろうによくこんなに議論が出来るなあと思ってしまった)。ユダヤ人問題、ナショナリズムの問題などを話す。ナショナリズムの話で熱くなっているとき、Stephenがそれを言ったらおしまいでしょうという発言をする。
p.553
―We can’t change the country. Let us change the subject.
そして話題は雑誌に取り上げられていたその日の朝に行われたdignamの話、なぜだか知らないがSpainの話になり、Spain系のBloomの妻Mollyの写真と、娘の写真をBloomがStephenに見せる。
〇二人は酔い覚ましがてら、歩いてBloomの家に向かう。

結構、この章は分かる部分が多くて楽しめた。


第15挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第15挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

〇場所=the Mabbot street entrance of nighttown
〇はじめはよくわからないが、第13挿話で出てきた、Cissy Caffrey, Edy Boadmanが再登場。Stephen(Dedalus)も登場。
〇Bloomが登場。彼のところに色々な人が登場し、話をする。この辺現実なのか幻なのかよくわからない。犬もところどころで登場する。
*Jacky&Tommy CaffreyがBloomとぶつかる? Bloomは荒手のスリではないかと警戒する。
*Rudolph(Bloomの父親?)
*Ellen(Bloomの母親)
*Marion(Molly)
*Gerty MacDowell (第13挿話で、既婚なのにも関わらずいやらしい目で自分を見ていたことを責める。)
*Mrs. Breen (かなり長いあいだ話をする。二人ですこし歩く。)
*The Watch(夜警団?) 二人いるっぽい。Bloomを色々と責める。
*Martha(Bloomの文通不倫相手、Bloomは自分が偽名で文通していることを否認?)

その後も様々な人物が登場。Bloomの過去の性的な過失を、法廷の中で皆で攻めているような雰囲気。(お手伝いさんにも手を出した?バイセクシャル?よくわからないが結構凄い)

その後、Stephenが再登場。キリスト教の話、シェイクスピアの話(引用?)などが多く登場するがさっぱりわからない。

Stephenが壊してしまった街灯?の値段をBloomが請求される。なぜか知らないが潰れてしまい、警察沙汰になりそうなStephenをBloomが助け、介抱する。

戯曲スタイルで会話文ばかりなので読みやすいかと思ったが、途中からさっぱりわからなくなった。


第14挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版


第二部
第14挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

〇ほとんどなし

正直ほとんど何もわからなかった。ページをただめくっただけ。様々な登場人物が出てきているのはわかるが、会話の内容はほとんどわからない。

残念。


第13挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第13挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

〇登場人物
Cissy Caffrey
Tommy Caffrey
Jacky Caffrey (TommyとJackyは双子)
Edy Boardman (the baby)
Gerty MacDowell
〇Cissy, EdyがTommy, Jackyが海辺で遊んでいる様子を見ながらthe babyをあやしている。
〇その様子を一人離れた若干離れたところからGertyが見ている。Gertyは自他ともに認める美女らしく、彼女がいかに美しいか、自分の美をどれほど意識しているかが詳しく描写される。

基本的に、この章の前半は、
①Cissy, Edy, Tommy, Jackyの海辺で戯れている様子の描写
②Gertyの内面の描写
が交互に現れる。近くに教会があるっぽく、その描写がところどころに入ってくる。

〇EdyがGertyのことをじっとみつめる怪しげな男を見つけ、それをGertyに知らせる。
〇Gertyはその男と視線を合わせたり、視線を感じ、色々と妄想を膨らます。
〇TommyとJackyが遊んでいたボールがその男の方に行き、その男が投げ返すが、それがGertyの方へ行ってしまう。GertyはそれをTommyとJackyのところに蹴ろうとするが失敗する。
〇Edyが今何時なのかを知りたくてCissyに聞くが、Cissyもわからず近くにいるおじさんのPeterに聞きに行く。すると夜の8時であることがわかる。
〇遠くで花火が始まり、Caffrey家の三人、Edyは花火を見に行く。Gertyも誘われるがその場に残る。
〇Gertyと彼女を見つめる男がその場に残される。Gertyは男の視線を感じ、足や腕を男にわざと見せる。後ろで花火が派手に打ち上がっている。
〇その見ている男がLeopold Bloomだとわかる。Gertyはハンカチをポケットから取り出し、Bloomに向かって振り、笑いかける。
〇その後Bloomの内面の描写が延々と続く。その中で洋服のこと、香水のことなどが話に出る。

Gertyはかなり自意識過剰。自分は男なのでよくわからないが、美しい女性で、その美しさを自覚している女性はみなこんな感じなのかなあ、と思ってしまった。
Gertyが恋愛のことを色々考えている裏での教会の描写、GertyがBloomの目を楽しませている最中の花火の描写など、聖と俗の対比、目を楽しませるということでのパラレルな描き方など、本当に面白かった。特に前者はプッチーニ作曲の『トスカ』の第1幕の最後の場面で、教会の賛美歌が後ろで流れている最中に、男が女を誘惑する場面を彷彿とさせた。
双子のボールがBloomのところへ行ってしまった場面など、とても映画的な感じがした。
アイルランドの6月ってどれくらい暖かいのかわからないが、赤ちゃんをつれて8時に遊んでいるんだなあと思った。自分が夏(7~8月)に行った時は確かに9時過ぎまで明るかったが、でもねえ。まあ、100年違うと感覚も違うのかもしれませんね。
 いつもそうなのだが、Bloomの内的描写になると途端に読めなくなる。何でなのかと考えたのだが、おそらく脈絡の無い文章というのは頭に入ってこないということなのだと思う。日本語で読んでいても、自然の描写はやはり読みづらく結構文字をおっているだけになるし、取扱説明書の類も一切頭に入ってこない。やはりある程度のストーリーがあるというのはすごく大事なのだと思う。これは人間の会話にも言える。脈絡のない話をする人とは会話をしていてもつまらないし、講演などを聞いていても飽きてしまう。
 などなど物語とは関係ないことを色々と思ってしまった。このなにかのきっかけで考えたことを全て文字化しているのがこのUlyssesなんだとは思うが。

第12挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第12挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

〇誰だかわからない私(I)とJoeが会話をしている。
〇二人でBarney Kiernanの店(飲み屋)に入る。Terryという人が店員(バーテンダー)なのか?
〇そこで色々な人と様々な会話をする。アイルランド?のヒーロ、ヒロインの話、今朝葬式があったDignamの話、絞首刑の話、アイルランド国家主義の話、アイルランドのスポーツの話など。
〇途中、Bloomも入ってきて、彼らの会話に加わる。妻、Molly, Boylanの話も出てくる。
〇ユダヤ人問題、国家論に話題が飛んで、Bloomがにわかに熱くなってくる。
〇その後も色々な話が交わされる。

どの章を読んでも思うのだが、こんなに色々な人がお互い顔見知りという状態がすごいと思う。1900年初期のダブリンは小さい町でお互い名前も顔も知っていたということなのだろうか。
とにかく酒を飲む場所での会話というのはこういうもんだよね、と思う。ある話題で暑くなっていたと思えば、別の話題にいきなり飛んでいたり、あちこちでいろいろな話がされていたり。会話の内容はいまいちよく理解できなかったが、酒場の雰囲気はとてもよく伝わってきた。
数年前、この本を初めて原書で読む前に、少しでも知識を入れておこうと、岩波書店から出ている『ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』という新書を読んだのだが、まったく、ジェイムズ・ジョイスの謎を解く本ではなく、『ユリシーズ』の第12挿話(この章)に出てくる私(I)が実は犬だったという説をひたすら述べているものだった。細かい部分はまったく覚えていないのだが、「実は犬だった」というところがかなり印象的で、今回この挿話を読むにあたって、この説をかなり意識しながら読んでいたが、やはりあまりよくわからなかった。



第11挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第11挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事

〇いきなり2ページ程度詩のようなものが書かれている。よくわからない。
〇Miss DouceとMiss KennedyがThe Ormond barで会話をしている。彼女たちに色々な人が話しかけてくる(のか?)。Mulligan, Dedalusの息子(Stephen), Bloom, Mollyなど様々な人が話題にのぼる(barにいるから話題にのぼるのか?いまいちよくわからない)。
〇Blazes Boylan登場。彼女たちとすこし会話を交わし、すぐ出ていく。
〇Mr. Dedalus, Ben Dollard, Bald(これは名前なのか?あだ名(ハゲ)なのか?) Patが会話を交わす。Bloomの妻、Mollyが話題にのぼる。
〇Mr. Dedalusが演奏する?大喝采を浴びる?

とにかくBarの描写がひたすら続くのだが、よくわからない。誰と誰が本当に話しているのか、誰かが話しているのを誰かが見ていてその見ている人の心の中の描写なのか、客観的な描写なのか。
そして音楽的な章らしく、とにかく韻を多く踏んでおり、詩的な文章になっている分さらに読みづらい。正直ほとんどよくわからなかった。

第10挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



Ulysses


第二部
第10挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
午後3時頃のダブリンの街の様子をいろいろな人の視点から語っている章(なんだと思う)
①John Conmee師(司祭?) 
 Reverend(聖職にある人)という単語が前についているだけに、(しかも、The superior, the very reverendとあるので、おそらく相当偉い人なんだと思う)いろいろな人が丁寧に挨拶してくるし、自分も必ず挨拶をする。子供に対しても優しく、親しみやすい感じで、街角で出会った少年たちに、ポストに手紙を出してくれるよう、ジョークも交えながら頼むシーンなどもある。泥道を歩きたくないという理由(?)で路面電車(?)に乗り込み、そこからいろいろな人を観察する。この人の描写部分はかなり長い。
②Corny Kelleher
誰だかよくわからない。前述のJohn ConmeeがNewcomen橋で路面電車に乗り込むのをみかける。
③Onelegged sailor
 一本足の船乗りがフラフラ歩いている。(おそらく)Stephen Dedalusの姉妹Katey and Boodyの前を通り過ぎたりしている。
④Katey and Boody Dedalus
 おそらくStephenの姉妹。キッチンに居る。貧乏なのか?食べるものがないっぽい。やかんに入っている豆のスープを二人でShareして食べている。
⑤Blazes Boylan
花とフルーツを買って、盛り付けてもらって、市内にいる誰かに送ってもらうよう、若い店員に頼んでいる。若い店員が彼のために一生懸命働いている姿を、いやらしい感じで見ている。
⑥Almidano Artifoni
イタリア人?スペイン人? Stephenと話をしているのだが、イタリア語?スペイン語が使われており、さっぱりわからない。
⑦Miss Dunne
Boylanの秘書?よくわからないが、とにかく電話を取り次いでいる。
⑧Ned Lambert
ここもよくわからない。誰かを訪れ、話をしている?
⑨Tom Rochford
ここもよくわからない。
⑩Mr. Bloom
Bloomが書店にいるんだと思う。おそらく妻のために本を探している。数冊手にとったあとSweets of Sinという本を手に取り、中を確かめ購入する。書店員もオススメらしい。
⑪Dlliy Dedalus
再びStephenの姉妹?一体Dedalus家は何人兄弟姉妹なのだろうか。多分オークション会場に父親といるんだと思う。父親が売ろうとしていたものが上手く売れなかったっぽく、あまりお金が入らない。とにかく5シリングス父親は手に入れたっぽく、そのうちの1シリングだけをDillyに渡そうとするが、Dillyはそれでは納得せず、2シリングスもらう。
⑫Mr. Kernan
Stephenの父親も登場するっぽいが、よくわからない。
⑬Stephen Dedalus
 Stephen登場。彼も本屋に入ったぽい(Bloomが入ったのと同じ本屋なのか)。途中先ほど父親といたDillyと出会う。Dillyはフランス語の本を購入したっぽい。Maggyなる人物にも言及され、この人がDedalus家のものを質に入れてるっぽい。一番上のお姉さん(?)。家政婦?しかし貧乏そうだから家政婦も雇えない気もするのだが。まあとにかく、Stephenの本は全部質に入れられてしまったぽい。
⑭Mr. Dedalus
 何人かの人と話をしているっぽいがよくわからない。
⑮Martin Cunningham, Mr Power, John Wyse Nolan
裁判官?、政治家?なんだかよくわからないがちょっと偉い人たちなのか?BloomやBoylanの名前も言及される。
⑯Buck Mulligan
Hainesとカフェらしきところに入り、メレンゲ入りのお茶?とスコーンなどを頼み、街を観察しながら話をしている。③で出てきたOne-legged Sailorもみかけるっぽい。
⑰Almidano Artifoni
⑥で出てきた人物再登場。よくわからん。
⑱、⑲
 よくわからない。

正直、よくわからない描写が多くあったが、ダブリンの街を重層的に色々な視点から描いたものなんだと思う。同じ光景でも見る人が違えば違う見方がされる、といったところも英文がちゃんと理解できれば楽しめるんだと思うが、わたしの英語力ではそこまで至れなかった。残念!!!

第9挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第9挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Stephen Dedalus, the quaker librarian, John Eglinton, Mr. Best, といった面々が図書館(?)で文学について熱く語っている。話の中心は、Hamlet論。Stephenの意見は結構面白いと評価される。
〇Buck Mulliganが途中登場。場違いな雰囲気を醸し出す。
〇一通り論を交わしたあと、MulliganとStephenは二人で図書館を後にする。

正直、所々出てくる、ゲーテやワイルド、ジョージ・バーナード・ショウやアリストテレスとプラトンなど、名前は分かっても彼らについてどのように語られれているのかほとんどわからなかった。単語が難しすぎる。

Stephenが段々と熱を帯びてくる感じだけはわかった。初めは丁重だったのが、熱くなっていく、その変化を示す二つの面白い表現を書いておきたい。

p.166
- The schoolmen were schoolboys first, Stephen said superpolitely(最高級に丁寧に).
p.170
-Bosh(バカ言え)! Stephen said rudely(無礼な感じで).
多分、あまり知らない人の中で、しかも専門家のような人々に混じって緊張していたのが、議論を重ね、意見をどんどん言ううちに緊張が解けてきて、Bosh!とおもわずrudelyに言ってしまったのだろう。議論が熱くなってくるとそうなるよなあ、と結構納得。この辺の細かい描写も面白い。


第8挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第8挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇川沿い?を歩きながら色々考えている。妻MollyやMillyなどとの楽しかった昔のことを思い出す場面が多い。おして生後すぐ死んでしまったRudyを思い出し、生きていればなどと考える場面も多い。
〇Mrs. Breenに出会う。家族のことや、難産で3日間も苦しんでいるMrs. Purefoyのことなどを話す。
〇ふたたび歩き出し、Davy Byrneのお店に入りサンドウィッチを食べながらワインを飲む。
ここでNosey Flynnなる人物に会い会話をする。
〇食事を終え、外に出て図書館に向かう途中、盲目の人が道で困っているのを助ける。

Ulyssesはホメロスの『オデュッセイア』と対応しているらしいが、もしかしたら『オデュッセイア』の同じ章の中に、オデュッセウスが一人、妻ペネロペイアや一人息子テレマコスとの楽しかった日々を思い出す場面などがあるのかもしれない(かつて読んだが細かい章で何があったかまでは覚えていない)。

以下、面白かった表現・箇所。

p.133
Blood of the Lamb.
His slow feet walked him riverward, reading. Are you saved? All are washed in the blood of the lamb. God wants blood victim. Birth, hymen, martyr, war, foundation of a building, sacrifice, kidney, burntoffering, druid’s altars.
何故Bloomが子羊の血が頭によぎったのかは、私の拙い英語力では分からないが、そこから「神は血の犠牲を求めている」という考えにいたるところが面白い。この前も上げたが、His slow feetを主語にして「彼はゆっくり川の方へ進んだ」という表現も興味深い。そして神が望む「blood victim」の例として、出産(?)(血を伴うということか?)、処女膜(命が誕生するためには処女膜から血が出なければならないということか?)、殉教者、戦争、ビルの建設(これはよくわからないが、建設作業中に多くの人がかつては亡くなっていたのか?)、犠牲、kidney burntoffering(わからない)、ドルイド教の祭壇(?)などが出てくる。
正直、後半はよくわからないが、我々がこの世に生まれてくるさい、そしてこの世で生きていく上で、数多くの血が流れていることが示されているんだと思う。いままでそんなことを考えたこともなかったので、結構新鮮な箇所だった。

p.139
How is Molly(Bloomの妻) those times? Haven’t seen her for ages.
In the pink, Mr. Bloom said gaily,
「モリーにしばらくあってないけど、最近どう?」
というような内容なのだろうが、those timesという表現に目がいった。何でtheseじゃないのか。よくわからない。
そしてBloomの返答。「In the pink」と陽気に言ったとある。辞書を調べると、「pinkは日本語では性やポルノへの連想が強いが、英語のpinkは赤ん坊の肌を連想させ、健康・若さ・活力・純真・新鮮さを象徴する」らしい。しかし、Bloomは妻Mollyの不倫を疑っている。そう考えると、このpinkという表現を何故JoyceがBloomに言わせたのか。色々と考えてしまう。

p.146
His smile faded as he walked, a heavy cloud hiding the sun slowly~
ここも面白い。天候に左右され彼の感情も変わる。このあとふたたび、Bloomは死んだDignamや、難産で苦しむPurefoyのこと、生まれるものもいれば死ぬものもいる、そしてまた子羊の血のイメージが彼を襲う。この小説常に暗いイメージがつきまとっている。

p.162
盲目の人を助けたあと、彼が考えたことが書かれているページ。
*Why we think a deformed person or a hunchback clever if he says something we might say. 「何故我々が普通に言うことを健常者ではない人が言うとそれを賢い発言と我々はいうのだろうか」
という意味なのだと思う。Bloomの疑問は最もだと思う。健常者から見た感覚、人間から見た感覚、Majorityから見た感覚が全て正しいとは限らない、いや間違っていることが多いはずだ。James Joyceというひとは本当に繊細な心をもっていたんだろうなあ、と色々な箇所から分かる。

第7挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第7挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇なし

正直さっぱりわからなかった。ウィキペディアなどによると、Bloomが働いている新聞社での様子が描かれているらしく、そしてそれぞれの話に小見出しが付いているのだが、この小見出しからして意味がわからない。
第3挿話に続いて残念な挿話だった。日本語訳を作成してきた歴代の方々は本当にすごいと思う。




第6挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第6挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Mr. Cunningham, Mr. Power, Mr. Dedalus(Stephenの父), Mr. Bloomが馬車に乗り込む。(おそらくDignamの葬式を終えて墓地に向かっているんだと思う。)
〇馬車は途中、運河のところで止まったり、牛が草を食んでいるので(?)止まらざるを得なかったり、揺れたりしながら進んでいく。その過程で様々な会話をする。
〇会話はMr.Dedalusの息子Stephenのことや、葬式に現れなかったひとのこと、新聞に掲載されていること、Mr.Bloomの妻Mollyの不倫相手(?)のBoylanのこと、死について、などなど。
〇その後墓場に行く。墓掘り人などが出てくる。

墓場に行ってからの会話は正直ほとんどわからなかった。この作品、ここまで結構Hamletに言及されることが多く、死への言及が多いことや、墓掘り人夫の登場など、JoyceはかなりHamletに影響されていたのかなと思う。

面白かった会話、フレーズをちょっと書いておきたい。
p.79 (Mr. Bloomの頭の中)
Molly(妻). Milly(娘). Same thing watered down. ~中略~. Still, she(Milly)’s a dear girl. Soon be a woman.

Mr. Bloomは妻の不倫を疑っている。同じ血が流れている妻と娘。Millyはまだ可愛いがそのうち女(つまり妻と同じようなことをする性)になる、という女性に対するBloomの見解が面白い。

P. 81
I tore up the envelope? Yes. Where did I put her letter after I read it in the bath? He patted his waistcoat pocket. There all right.

前挿話で破り捨てたと記されていた封筒は、封筒だけで、手紙は破り捨てていなかったらしいことがわかった。なぜ、手紙を破り捨てる必要があるのか、と思っていたが、なぜ、封筒だけを破り捨てる必要があるのだろうか、とまたまた疑問に思ってしまった。

P.85(おそらくDignamの死について語り合っている)
私はMr. Bloomの意見に大賛成だ。やはり苦しんで死ぬよりは苦しまないで死にたいと思うのだが・・・。

p. 86(自殺に対する考え方)
自殺はキリスト教的には認められていない。特にアイルランドは恐らくカトリック国なので一層厳しいのだろう。20世紀前半、自殺に対する考え方がどれほどアイルランドの中で厳しいものだったのかはわからないが、お葬式後の馬車の中でこのような会話がなされているのは興味深い。
「自殺は最もわるい」「家族に自殺者がいるのは不名誉だ」「一時的な精神異常」「臆病者」「外部者がどうこういう問題ではない」。

P98(不吉な数字13)
Mr. Bloom stood far back, his hat in his hand, counting the bared heads. Twelve. I’m thirteen. No. The chap in the macintosh is thirteen. Death’s number. ~中略~ Silly superstition that about thirteen.

西洋では13が不吉な数字というのは聞いたことがあったのだが、実際英文で言及されているのは初めて見た。結構面白かった。しかも帽子をかぶっていない人数、レインコートを着ている人数というどうでもいい数を数えているところも面白かった。

この小説、様々な話題に関してそれぞれの場で人々が語り合い、そのたびごとに読者は考えさせられる、という形が、夏目漱石の『吾輩は猫である』に非常に似ているなあ、と思った。

第5挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第5挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Leopoldは家を出て郵便局へ向かう。暖かい(so warm)日らしい。
〇向かい途中の街の様子が描写される。
〇こっそりと郵便局へ入り、自分宛(偽名)の手紙を受け取る。封筒の中には手紙だけでなく何かが入っているらしい。
〇そこへMr. M’Coyが現れ会話をする。11:00からDignamの葬式があることを告げる。
〇M’Coyは自分がどのようにDignamの死を知ったかを一人で語る。自分は葬式には出られなさそうなので、名前だけ書いておいて欲しいとLeopoldに頼む。
〇二人は別れる。LeopoldはM’Coyと会わなければ良かったと思う。
〇人気のないところで先ほど郵便局で受け取った手紙を新聞紙で隠しながら開ける。
〇手紙の内容:LeopoldはHenry Flowerという偽名で文通している。相手はLeopoldが既婚者だと知っている。どうやら会いたい。Leopoldの妻がどんな香水を使っているか知りたい。手紙と一緒に封筒に入っていたのは花(?)
〇高架線(?)の下で、封筒(手紙)を破り捨てる。
〇ミサが行われている教会に入る。ミサの様子、教会の様子を観察したあと、教会を出て、石鹸の店(?)に入り石鹸を買い、右手には丸めた新聞、左手には石鹸を持って歩き出す。
〇Bantam Lyonなる人物と出会う。他愛のない会話をする。

石鹸を買う場面で化学的な描写が出てきたり、本当に様々な分野の話が出てくる。一つ面白い表現があったので書いておきたい。Leopoldが手紙を読み終わった場面。

p.69
Weak joy opened his lips. 「微かな喜びのため、おもわず唇がほころんでしまった。」

という感じの意味なのだろう。He grinned with weak joy. 等と書いても良さそうなのだが、joyを主語に持ってくるあたり文章がうまいなあと思った。

第4挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第4挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Leopold Bloomが登場。
〇朝、朝食を作っている。レバーを焼いている。黒(?)猫がやってきてご飯をあげる。肉が足りないと思ったのか、肉を買い足しに外に出る。
〇Larry O’Rourkeのお店に到着。店主(?)と色々話をして、帰る。
〇家に帰ると手紙が二通とカードが一枚届いている。
〇Leopoldは妻Mollyのために朝食を作りお茶と一緒に持っていく。
〇Mollyがベッドで朝食を食べる。その時、Mollyが読んでいた本で分からない単語が有り、その意味をLeopoldに聞く。そこから話は死について、あの世について、に発展していく。
〇焦げた匂いに気がつき、Leopoldは一人キッチンに帰り、そこで一人で食べる。黒猫ふたたび登場。
〇娘から来ていた誕生日祝いのお礼の手紙を読む。娘は家を出て初めての誕生日だったらしい。
〇新聞を読みながら色々と思いを巡らす。

やはり思いを巡らす場面は、会話文や状況説明と違いわかりづらいが、そのほかの場面はある程度分かる。以下に面白かった箇所を挙げておきたい。

黒猫にご飯をあげる場面
p.48
They call them stupid. They understand what we say better than we understand them. She understands all she wants to. Vindictive too. Wonder what I look like her. Height of a tower?
They call them stupid. : 多分、Theyは人間。themは猫一般。
「人間は猫を愚かだと思っている。」
They understand~ : 多分、Theyは猫一般。weは人間。
 「猫は人間が猫を理解している以上に、我々がいうことを理解している。」
猫を下等とみなさず、猫の視点に立って、自分はどのように見えているのか、と考えるLeopoldの優しく面白い一面が現れているのではないだろうか。
 私もこの意見に賛成だ。動物や人間の赤ん坊、子供は、成人の大人よりも劣っていたり、理解力がないと考える人が多いが、それはあくまで成人の大人の視点であり、本当はどうだかわからない。ここまで読んだだけでも、アイルランドの国家闘争の問題、ユダヤ人問題、文学に関する言及、動物に対する視点など、いろいろ出てきて本当に深く面白い。

雲が太陽を隠す場面があるのだが、
p.53
A cloud began to cover the sun wholly slowly wholly.
この一文の後、一段落おそらくLeopoldの頭の中に浮かんできた様々なイメージの描写だと思うのだが、太陽が隠れたことにより彼の頭の中のイメージが負の方向(barren, bare waste, the dead sea, weedless…)へ動いていく様が非常に面白い。実際、自分もふと目にしたものから色々と考えを展開していくことがよくある。その様子を小説の中で描いてしまうあたりJoyceは素晴らしいと思う。

第3挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第一部
第3挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Dedalusが目を閉じたり、耳を澄ましたり、いろいろ考えながら海辺を歩いている。
〇放し飼いの犬に出会う?

これで3度この挿話を読んだことになるが、何度読んでもわからない。第三者的な語りがあったと思えば、Stephen(Dedalus)に呼びかけるような表現もあり(内的対話?)、Dedalusの目に映るものの描写と思われるものもあれば、心の中の様子の描写のようなものもあり・・・。とりあえず、いつ読んでもほぼページをめくっているだけになってしまう挿話。



第2挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第一部
第2挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Dedalusが学校で授業を行っている。歴史?文学?
〇休み時間(?)になり生徒(児童?)はHockeyをやりに教室を出ていく。
〇一人教室に残った(?)Sargentという子供がDedalusに質問をして、Dedalusは丁寧に答えてあげる。
〇校長(?)のMr. Deasyに呼ばれ、給料をもらう。
〇DedalusはMr. Deasyの書いた自然科学系(生物系?農学系?)論文を出版社に持って行くことを頼まれる。
〇DedalusとMr. Deasyがいろいろな会話をする。その中で、Mr. DeasyがEnglandはJewによって支配されているというような内容が出てくる。

第1挿話でもそうだったのだが、ShakespeareやWildeなど文学者や文学作品も多く出てくるし、ラテン語も頻出するので、かなり教養深くないと読み進めるのは難しい。
途中、おそらく給料の話の中で出てくる一節なのでお金の事を言っているのだと思うのだが、次の表現が面白かった。
P28.
Symbols too of beauty and of power. A lump in my pocket. Symbols soiled by greed and misery.
お金は、美と権力の象徴でもあるが、使い方によっては強欲と惨めさによって怪我されてしまうものの象徴にもなりうるということか・・・。

さらにユダヤ人についてMr. Deasyが言及している箇所も、彼の浅はかさを露呈していて面白い。
P33
Ireland has the honour of being the only country which never persecuted the jews. Do you know why?
Because she never let them in, Mr. Deasy said solemnly.
アイルランドはユダヤ人を迫害したことのない唯一の国で、理由は国内にユダヤ人を入れたことがないからだ、という論理なのだが、そんなはずもなく、むちゃくちゃな理由だ。どこかの国で、「~は単一民族の国だ」「~は万世一系の国だ」などと言っている人々と同じだ。人権を高らかに歌いながら自分がそれを蹂躙していることに気がつかない多くの人の象徴のような人物だ。


第1挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



James Joyce作Ulyssesを新年度に合わせて読み始めた。これで3度目の挑戦だ。
一度目は解説書と照らし合わせながら読みすすめたが、解説書を読みすすめているだけで英文は読んだものの、英文をちゃんと読んではいず、しかも、第9挿話くらいで終わってしまった。
二度目は英文をそのまま読んだのだが、第3挿話くらいで断念。
いままでは本が重いので、家で読んでいたのだが、通勤の行き帰りの電車の中ならば読み進められるだろうと考え、通勤に持っていくようにした。しかし、行き帰りこの難解な英文を読むのは大変なので、和書『レ・ミゼラブル』を帰りは読むことにしたのだが、どちらも600ページ以上ある本なので、とにかく重い。まあ頑張ろうと思う。

そしてかなり難解かつ長い本なので1挿話ずつアップしたい。

第一部
第1挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Buck Mulliganがひげそりと洗面ボールを持ってStephen Dedalusを呼ぶ場面から始まる。
〇彼らと一緒に住むHainesが夜中悪夢にうなされることに対してDedalusがMulliganに不満をぶつける。
〇Dedalusが、母の死去の際、母親に請われたお祈りを拒否したことをめぐってMulliganとDedalusが言い合う。
〇Mulligan, Dedalus, Hainesの三人で朝食を摂る。牛乳売りのおばあさんがやってきて、彼女と他愛のない会話をする。
〇その後三人で外に繰り出し、他愛のない会話をしながら歩く。

最後に外に繰り出し、三人で散歩をしている場面で、Mulliganがすこし先を行き、DedalusとHainesが会話をする場面があるのだが、その時のDedalusの言葉が印象的だった。

―I am the servant of two masters, Stephen said, an English and an Italian.
~(中略)~
―The imperial British state, Stephen answered, and the holy Roman catholic and apostolic church.
アイルランド人である自分は、英国とイタリア(キリスト教・カトリック教会)の支配下にあるというのである。20世紀前半の一アイルランド人の置かれた心的状況が非常にわかりやすく描かれており、興味深い一節だ。

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