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パンとエコー Op.53 [シベリウス ピアノ曲]






★★★★★☆☆☆☆☆
ファンファーレ風に荘厳に始まり、少し静かになる。その後まさにサーカスという感じの明るく楽しい音楽となる。
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10の小品 Op. 58 [シベリウス ピアノ曲]






01.夢 レント
★★★★☆☆☆☆☆☆
印象派的な響きの曲。確かに「夢」のような感じでつかみどころのない曲。

02.スケルツィーノ コン・モート
★★★★★☆☆☆☆☆
繊細ながらも軽い感じの曲。シベリウスらしいメロディではある。

03.エア・ヴァリエ アンダンテ
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く悲しげな旋律の曲。流れるようなメロディはそれなりに美しい。中間部は迷宮に迷い込んだかのような音楽。

04.羊飼い、ヴィヴァチェット
★★★★★☆☆☆☆☆
牧歌的な美しいメロディで始まる。中間部は高い緊張感がみなぎる。緊張感を持続したままはじめのメロディが回帰される。

05.夕べ、アンダンティーノ
★★★★☆☆☆☆☆☆
こちらも印象派的な雰囲気で若干混沌とした感じ。

06.対話 アレグロ・グラツィオーソ
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく快活な曲。確かに愛らしいやりとりで対話的な感じが良く出ている。

07.テンポ・ディ・メヌエット
★★★★★☆☆☆☆☆
重く少しつっかかり気味のメヌエット。中間部は結構緊張感がある。

08.漁夫の歌 アレグレット
★★★★★★☆☆☆☆
単音の伸びやかな旋律で始まる。その後のどかな、しかしどこかはねた感じの伴奏が入ってくる。段々と緊張感が高まっていき、きらびやかになっていく。一通り落ち着くと穏やかな雰囲気に戻り、美しい旋律が奏でられる。結構雰囲気がコロコロと変わる曲。

09.セレナード モデラート
★★★★★☆☆☆☆☆
重く呻くような前走で始まる。明るくなりそうでならない苦しげな主題がゆったりと奏でられる。中間部は相変わらず緊張感がある。最後は暗く重く終わる。

10.夏の歌 ラルゴ
★★★★☆☆☆☆☆☆
和音を中心とした重い曲。若干ムソルグスキーの『展覧会の絵』のプロムナードに似てなくはない。

全体的に暗く重く緊張感が高くあまり楽しめない。

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リラの花咲くけものみち [文学 日本 藤岡陽子]


リラの花咲くけものみち

リラの花咲くけものみち

  • 作者: 藤岡 陽子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2023/07/20
  • メディア: Kindle版



2023年7月30日に出版された藤岡陽子さんの最新作を読み終わった。
本のサイズが違うのが嫌で、文庫本が出るまでは購入しない、といつからか決めているのでとりあえず図書館で借りて読もうと思い、図書館に入荷されるのを今か今かと毎日のようにチェックしていた。そしていざ入荷され予約しようと思ったら、何と20件待ち!!!。結局私の手元に届くまで1ヶ月半近くかかった。

今回は、獣医師を目指す女の子の話。相変わらず主人公の生い立ちは結構厳しく、10歳で母親をなくし、その1年半後に父親が再婚。継母が典型的なシンデレラの母的に女性で、先妻のものをすべて家からなくそうとする。主人公聡里が、実の母が生きていた時から飼っていて可愛がっていた犬のパールが自分が学校へ行っているあいだに捨てられたらと思い不登校になってしまう。継母に怯えて暮らす不登校の三年間。母方の祖母、チドリがある日突然家にやってきて聡里のひどい様子を見て、その日のうちに自分の家に連れ帰ってくれ、それから過ごした友達はいなくとも祖母と過ごした幸せな高校生活。色々と葛藤した後に、なんとか合格した北海道の獣医大学。

はじめは人と接することに怯えていた聡里だが、動物を介して段々と友達も増え充実した大学生活を送るようになる。様々な動物の死などを目の当たりにし、獣医になることを何度か諦めようとするが、周りの暖かいサポートでそうしたことを一つ一つ解決していきなんとか前向きになれた時にやってくる突然の不幸・・・。

結構暗く重い話が続くのだが、北海道の大自然の描写や、登場人物たちの優しい性格が全体を暖かいトーンに包んでいる。

とにかく感動的な本。やはり後半は涙がじわっと溢れてきた。人の死と近いところで生きてきた筆者だからこそ、描けるのであろう人の死と身近な人・愛する人を失った人の感情の細かい描写が心をうつ。

pp.192 ~193
「逃げるのは悪いことじゃない。逃げなきゃ死んじまうことだってある。逃げた先で踏ん張ればいいんだ。いま辛いことから逃げたとしても、時間を経て変わることはできる。苦しんだ人のほうが、初めからなんでもできるやつより強いよ。」

彼女の作品が心を打つのは、悲惨な状況に会い何度かその悲惨な状況を回避しながらも周りの人の暖かい支援を受けながらなんとか自分の力で人生を切り開こうとしていく人の姿を描いているからなのだろう。

嘘臭さがない心を熱くする物語が本当に素晴らしかった。

p.203
「還暦を迎えたいま思うのは、時間をかけて力を尽くして築いたものだけが、最後に残るってことよ。仕事もそうだけど、人との関係にしても同じことが言える。」

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ねこじゃらしの野原 [文学 日本 安房直子 な行]


ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)

ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)

  • 作者: 直子, 安房
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: 単行本



副題に「とうふ家さんの話」とつけられた、とうふ屋さん一家が主人公となり、様々な動物と触れ合う作品。

1.すずめのおくりもの
ちいさなとうふ家さんのもとに、ある日早くに、すずめがたくさん並んでやってくる。大豆を差し出して「とうふを一丁、こしらえてもらいたいのです」という。すずめの小学校の入学式のお祝いに、二十五羽分ごちそうを作りたいというのだ。

おひとよしのとうふ家さんは、作ってあげることに。一時間おきに様子を見に来るすずめたち。いよいよとうふができて一服しようとすると、「このとうふで、あぶらげをつくってもらいたいのです。」と言われる。25羽いるから、13枚あぶらげを作ってくれれば、それを半分にするということで、13枚揚げてあげてわたしてやる。

夕方すずめたちがやってきて、無事新入生にお祝いを渡すことができたといい、朱塗りの金銀で花の模様が描かれた重箱をお礼にもらう。おかみさんとそれをみながら開けてみると、中に小さないなりずしがが一つ入っていた。


2.ねずみの福引き
ある日、とうふ家さんのもとにねずみが一匹やってくる。ねずみの福引き会があるから招待する、というのだ。代わりにとうふを一丁持ってきてくださいと頼まれる。

風の冷たい晩だったがせっかく誘われたので、とうふを一丁なべに入れて誘われた場所へ行く。福引会が行われているが、当たりはほとんどなく、ほぼ皆参加賞の線香花火をもらっている。福引き会も終わり、そのあとは寄せ鍋となる。持ってきたとうふを出そうとすると、すでにとうふ家さんの持ってきたなべを使って寄せ鍋が作られている。みんなで美味しく鍋を頂いた後は花火大会。素晴らしい花火を見ることができたとうふ屋さんは大満足。ふと周りを見渡すと誰もいない。とうふ屋さんも家に帰ることに。家に近づき、なべを忘れたことに気がつくが、しばらく貸しといてやろうと思う。ポケットに手をやるともらった線香花火が。おかみさんとふたりで線香花火でもしようと思うとうふ屋さんだった・・・。


3.きつね山の赤い花
とうふ屋さんの一番下の娘ゆみ子は5つ。ひとりで人形をおぶっておままごとをしていると、歌を歌っている歳もおなじくらいの女の子を見つける。よくよく見るとそれは人形をおぶったきつねだった。ふたりで楽しくおままごとをして、ご飯の時間となる。せっかくなので本物のとうふを使おうと、ゆみ子は家にとうふを取りに行く。両親ともに家にいなかったので、おとうふを一丁持ってくる。とうふを食べ終わると、きつねのお母さんが迎えに来る。そして「いいあぶらげが、どっさり手にはいったよ。ちょうど、とうふ屋の店、だれもいなくてね」という。よく見るとそれはゆみ子の家のあぶらげ。何か言おうとすると、きつねのお母さんが「マニキュアをしてあげる」とゆみ子に言って椿の花で綺麗に爪を塗ってくれる。「今夜は、おいなりさんでもつくろうね」ときつねの親子は帰っていく。さみしくなったゆみ子も走ってうちに帰っていく。


4.星のこおる夜
ある冬の日、とうふ屋さんに、灰色のマントにくるまり、灰色の影のような、青白くて、目の大きい娘がやってくる。山からとうふを買いに来たというのだ。よくよく聞くと木の精らしい。ありったけのとうふが欲しいというので訳を聞くと、「こおりどうふ」を作るという。こおりどうふというのは高野どうふのことらしく、星のこおる夜に干すと美味しくできるから、星のこおる夜である今日、もらいに来たのだというのだ。店に残った5丁のとうふをあげると、お礼に「こおった星のかけら」をプレゼントされる。おかみさんと暗いところで見ると星の光そっくりに青く光る。いつまでも二人はその光を見ていた。


5.ひぐれのラッパ
とうふ屋さんは、金のラッパを吹きながらとうふを売っている。その帰り道、すすきが原で、「とうふ屋さーん」と呼ばれる。振り返るけれど誰もいない。そのうち大勢の声が聞こえてくるが、やっぱり誰もいない。声のする方へ向かいとうとうがけの近くまできてしまう。そこでよく目をこらすと、灰色の着物を着た子どもたちが5~6人かたまって立っている。「ラッパを聞かせて」と頼まれ聞かせてあげる。ずっと吹いていると自分の力がラッパの音になって出ていくような気がしてくる。そのうち子どもたちを呼ぶ気味の悪い声が聞こえてきて子どもたちは帰っていく。
気持ちが悪かったのでもう二度とすすきが原では立ち止まらない、と決めたものの、天気の良い日にまた子どもたちの声に呼び止められラッパを聞かせて、と言われると吹いてしまう。そんなことが何日も続き、とうふ家さんはどんどん痩せて顔色も悪くなっていく。
おかみさんがおかしいことに気づき話をきき、ふたりで行ってみることに。ラッパを吹くと子どもたちが集まってくる。「ラッパをください」と頼んでいるようだった。恐ろしくなった二人はラッパをあげてその場を立ち去る。おかみさんが、そこは百年前、山崩れで村が潰れてしまったことを思い出す。
結局それから、子どもたちの声は聞こえなくなる。

6.ねこじゃらしの野原
とうふ屋さんのところに間違い電話がよくかかるようになる。よくよく聞くと、「ねこじゃらしとうふ店」と名乗るとうふ屋と間違えられているらしい。よくわらからないまま外へ出るとねこじゃらしでいっぱいの野原に出てしまう。するとラッパの音が聞こえてきて昔買っていたタロウが自転車にまたがってとうふを売っている。よくよく話を聞くと猫の電話局番のあとに、とうふ屋さんの電話番号をかけると「ねこじゃらしとうふ店」につながるのだが、猫たちは局番を間違えていることがわかる。
タロウに連れられ彼の豆腐屋へお邪魔する。そこで豆腐料理をご馳走になり、幸せな気分で帰る。

初めは結構ほんわかした話だが、だんだん恐ろしくなっていく。最後はほんわかしていて良い話。物語として結構楽しい話が多い。

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ペルシャザールの饗宴 演奏会用組曲 ピアノ版 Op.51 [シベリウス ピアノ曲]





1. 東洋風の行列
★★★★★★★☆☆☆
エキゾチックなメロディがピアノにとても合っている。

2. 孤独 アンダンテ
★★★★★★★☆☆☆
ピアノの高音がとても神秘的。

3. ノクターン、アンダンティーノ
★★★★★★★☆☆☆
静かなまさにノクターン(夜の音楽)という感じの始まり。東洋的な響きがピアノにとても合っている。

4. ガドラの踊り
★★★★★★☆☆☆☆
エキゾチックなメロディの息の長い旋律を持った曲。段々と美しいワルツになっていく。
キラキラした感じが悪くない。

雰囲気がとてもピアノにあっていて、ピアノ版だとメロディが際立ちとても良い。
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ペレアスとメリザンド 演奏会用組曲 ピアノ版 Op. 46 [シベリウス ピアノ曲]





ピアノバージョン

01番 城門にて
★★★★★★★☆☆☆
オケ版に比べ、壮大さがやはりもう一歩だが美しい名曲であることに変わりはない。

02番 メリザンド
★★★★★★★☆☆☆
繊細で内省的な感じがピアノバージョンだと良く出ている。メロディの美しさも際立つ。

03番 庭園の噴水のそばで
★★★★★★☆☆☆☆
少し明るく軽快な雰囲気。優雅さがもう一歩出ないきがする。

04番 目の不自由な三姉妹
★★★★★★☆☆☆☆
ティンパニーの音を模した部分はゴツゴツしているが、あとは内省的で綺麗。

05番 パストラーレ
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノの音色に合ったのどかな曲。

06番 糸を紡ぐメリザンド
★★★★★☆☆☆☆☆
激しいピアノの音で始まる。少し混沌とした感じ。

07番 幕間
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノだと少しせわしない感じがする。

08番 メリザンドの死
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く重い。

ピアノバージョンだと壮大さが劣るが、内省的な部分はメロディが際立って緊張感が高まる。
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4つの小品 Op.78 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



チェロとピアノのための曲

1. 即興曲
★★★★★★☆☆☆☆
同じメロディが繰り返される舞曲風の曲。

2. ロマンス
★★★★★★★☆☆☆
ゆったりとしたリラックスした雰囲気の美しいメロディを持った曲。途中から少し情熱的になる。

3. レリジオーソ
★★★★★★★☆☆☆
少し重く厳しい感じのピアノ前奏で始まる。憂いに満ちたメロディをチェロが奏でる。
悩みに満ちた若者の心を描いたかのような内省的な曲。

4. リゴードン
★★★★★★☆☆☆☆
軽やかな舞曲風の曲。

舞曲風の曲に、内省的な曲が挟まれた充実した曲集。
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二つの荘厳な旋律 Op.77 ヴァイオリンとピアノのためのVersion [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Tone Poems

The Sibelius Edition: Tone Poems

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



1.聖歌 「喜べ、我が魂よ」
★★★★★★★☆☆☆
静かな息の長い旋律がヴァイオリンによって奏でられてはじまる。ピアノが厳かな雰囲気を作り出している。アンダンテ・フェスティボに少し似た雰囲気の曲。オーケストラ伴奏でもピアノ伴奏でも綺麗な曲。

2.献身 「我が真なる心より」
★★★★★★☆☆☆☆
若干哀愁漂う曲。オケ伴奏Versionよりも厳かな感じが漂う。
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とかげ Op.8 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



ヴァイオリン独奏&弦楽五重奏
第一楽章 アダージョ~ピウ・アダージョ
★★★★★★☆☆☆☆
静かな清廉な感じで始まるが、段々と不安げに不吉な感じになっていく。最後は祈るように終わる。

第二楽章 グラーヴェ~アダージョ
★★★★★★☆☆☆☆
ゆっくりのそっと生き物が動いているかのように始まる。その後もひたすら不気味な音楽が続く。段々と内省的になっていく。再び不気味な雰囲気に戻るが、最後は美しいメロディが現れ、静かに消え入るように終わる。
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マリンコニア Op.20 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



チェロとピアノのための曲
★★★★★★★★☆☆
憂いに満ちたチェロ独奏で始まり、ピアノのドラマティックな情熱的な独奏が続く、これが何度か繰り返された後、チェロとピアノが激しく絡み合いながら音楽を形作っていく。再び独奏でチェロとピアノがカデンツァ的な演奏をした後、憂いに満ちたメロディを二人で奏で重々しく終わる。非常に劇的な隠れた名曲。
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Les vêpres siciliennes (シチリア島の夕べの祈り) [オペラ イタリア ヴェルディ]


I Vespri Siciliani [Blu-ray]

I Vespri Siciliani [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: C Major
  • 発売日: 2013/04/29
  • メディア: Blu-ray



ストーリー:★★★★★☆☆☆☆☆
アリア  :★★★★★★☆☆☆☆
音楽全体 :★★★★★★★★☆☆

ヴェルディの19作目。パリ・オペラ座から委嘱されて作曲したものらしく、初演はフランス語らしいが、最近はイタリア語で演奏されることが多いらしい。

序曲が10分弱と結構長く、『運命の力』とともに単独でも良く演奏される曲らしい。はじめの不安げな感じから少し叙情的になり段々と盛り上がっていく感じは悪くはないがそんなに特徴的なメロディもなく普通の曲。

第一幕
シチリアを征服したフランス人たちが酒を飲んでフランスを称えている力強い合唱で始まる。一方で征服されているシチリア人たちの悲しげな合唱も流れ、この場面は結構音楽も面白い。その後、兄の死を嘆く、エレーヌ公女が登場。彼女は囚われるの身。そんな中、ひとりの兵士が、酒も一杯飲んで良い気分なので歌え、と命令してくる。しかたなく彼女は「勇気を出して」という歌を歌うが、これによりシチリア人たちの愛国心が鼓舞され、フランスvsシチリアの一触即発の状態になってしまう。

はじめの合唱部分は結構格好良いが、途中のエレーヌのアリアは美しくはあるが、そこまで印象的ではない。

第二幕
シチリアの愛国者プロシダが船で帰還しフランスへの復讐を歌う。その後、エレーヌとフランスに捕まって最近釈放されたアンリと会う。三人はフランスへの復讐を誓う。プロシダが去った後、アンリはエレーヌへの愛を告白する。
ここの二重唱は叙情的でまあまあ良い。
アンリは、フランス総督から舞踏会に誘われる。一度断るが無理やり連れて行かれる。
海辺ではシチリア人たちが結婚式を楽しんでいたが、そこへフランス兵がやってきて、女性たちを陵辱した上連れ去る。この出来事をただ見ているだけしかできなかったプロシダ、アンリ、エレーヌは改めてフランスへの復讐を誓う。
合唱は力強くそれなりにメロディも綺麗で悪くない。途中の結婚式の場面の優雅な音楽もそれなりに綺麗。

第三幕
アンリは実は、モンフォールというシチリア総督の息子で、この幕でそれが明らかになる。
前半は、アンリとモンフォールの対話でふたりの男しか出てこず、アンリのテノールは甘い部分もあるが基本面白くない。
後半は、シチリア人たちが総督モンフォールをパーティーの場で殺そうとする場面で、最後は息子であるアンリが父親に対する愛情から、父親に暗殺計画を打ち明け、シチリア人たちが捕まってしまう。合唱が中心の場面で最後も盛り上がる結構感動的。

第四幕
アンリが捕まってしまったシチリア人たちのところへ赦しをこいに行く場面で始まる。息の長い美しく悲しげなメロディで、結構良いアリア。その後エレーヌが登場し、劇的な二重唱となる。ここも悪くない。その後エレーヌのアンリに対する愛を歌った美しくも悲しいアリアとなる。その後愛の二重唱となる。この一連の場面でのメロディは結構綺麗。
その後、プロシダと総督が登場。男性たちの力強い歌になる。
総督がアンリに「父」と呼べば皆を解放するといい、アンリは苦悩の末「父」と呼ぶ。
総督が、アンリとエレーヌに結婚を命じ、二人は結ばれることに。この場面の合唱はかなり感動的。

第五幕
民衆の喜びの歌で始まる。その後エレーヌが花嫁姿で登場し喜びのアリアを合唱とともに歌う。かなり綺麗なメロディ。その後、プロシダが登場。エレーヌとアンリが結婚した直後、シチリア人たちは蜂起しフランス人を殺すという。かなり激しい二重唱。そこへアンリが登場。喜びの美しいアリアを歌う。
その後、エレーヌ、アンリ、プロシダの壮絶な三重唱となる。総督が現れ、エレーヌとアンリを結婚させたとたん民衆が現れ「復讐だ」と叫び、総督を殺して終わる。

結構凄まじい結末。後半になるにつれてかなり素晴らしい音楽となっていく。
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三重奏曲 ト短調 JS. 210 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏曲

第一楽章 レント
★★★★★☆☆☆☆☆
悲劇的な、止まり止まり進む旋律で始まる。少し落ち着き内省的な音楽となる。第二主題?
展開部は少し混沌とした感じ。最後は静かになりしっとりと終わる。

第二楽章 アレグロ(断片)
★★★★★☆☆☆☆☆
元気な感じだが、どこか深刻な感じのある曲。

第三楽章 断片
★★★★★☆☆☆☆☆
悲劇的で間の多い出だし。第一楽章の出だしに少し似ている?
ゆったりとしたバロック風の主題が流れる。
段々と深刻さを増して行く。後半さざなみのような感じとなり、最後はそれもおさまり静かに終わる。

普通
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「嫉妬の夜」より メロドラマ JS.125 [シベリウス 劇音楽]


The Sibelius Edition: Theatre Music

The Sibelius Edition: Theatre Music

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2008/07/28
  • メディア: CD




評価
★★★★★★★☆☆☆
ピアノがクリスマスを告げるかのようなシャンシャンという美しい前奏を奏で、その後チェロ、ヴァイオリンが息の長いゆったりとしたメロディを奏でる。段々とスピードがあがりドラマティックになっていく。
いったん音楽が止まり、低いピアノの音がなり、物語が語られる。かなり長い話で正直良くわからない。音楽は幻想的で美しい。後半のメゾ・ソプラノによるヴォカリーズとピアノの水が滴り落ちるような伴奏がこの上なく綺麗。語りがなくても結構楽しめるのではないかと思うくらい美しい音楽。
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性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。 [その他 本]


性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。

性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。

  • 作者: 池田 鮎美
  • 出版社/メーカー: 梨の木舎
  • 発売日: 2023/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



東京新聞の広告欄に、『スマホはどこまで脳を壊すか』という本のそばに載っていた本で、同時に図書館に予約した。

彼女は原子力発電所がある町で育ち、その独特の雰囲気の中でのいじめについて語られ、そしてその中で起きた優しさと勇敢さのある親友が性暴力を受けたことにより精神をやられ自殺に追いやられるところからはじまる。

その後彼女自身が受けた二度の性暴力、さらにそれを性暴力と認めようとしない検察や社会。

彼女の育った環境や働いてきた環境に起因するのであろうが、この本は社会的な問題点と個人的な葛藤が同時に綴られていることにより、非常に深みがあり考えさせられる内容となっている。今某事務所が性加害で問題となっているが、特別ひどい問題として取り上げられており、これが女性だったらもっと早くに問題になっていたはずだ、と語る人が結構多くいるが、そんなことはないのではないだろうか。女性にしろ男性にしろ、この日本において性加害はずっと繰り返されてきたし、それを知っていて国家・社会・コミュニティが見て見ぬふりをし続けてきただけなのではないだろうか。それはセクシャルなことだけではなく、パワハラや原子力村など、この国が抱えながらもずっと見て見ぬふりをされ続けてきた問題にも同じことが言える。上に立つ人間の意に沿うような人間だけが出生し、政治家になり、そういった人間たちが作り上げたこの世界、そもそもがハラスメントが横行する社会であり、それが許される社会なのだ。そしてそうした社会を作り上げてきてしまったのが、我々なのだ。

「声をあげる」ということは非常に困難であり、この社会においては、社会的に、生物的に抹殺されかねない危険な行為であるかもしれない。しかし、少しでも何らかの形で「声」を上げ続けないとこの社会を変えていくことはできない、とこの本を読んで改めて感じた。
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8つの小品 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



1. メヌエット ヘ長調
★★★★★★☆☆☆☆
ヴァイオリンとチェロのための曲
軽やかで愛らしい主題をヴァイオリンが奏で、それをピッチカートを主体とした伴奏でチェロが支える。
次に少し哀愁漂いバロック風となる。
主題に戻った後、少し暗めの内省的な音楽となる。
最後は主題に戻り軽やかに終わる。

2. 前奏曲 JS.83
★★★★★★☆☆☆☆
吹奏楽曲
華やかなファンファーレ風音楽と、ゆったりとした壮大な音楽が交互に訪れる曲。

3. 二重奏曲 JS.66
★★★★★★★☆☆☆
ヴァイオリンとヴィオラのための曲
牧歌的でどこか懐かしい香りのする出だし。中間部の少し悲しげな旋律も綺麗。最後は牧歌的なメロディが回帰され終わる。

4. ロンド 二短調 JS.162
★★★★★★☆☆☆☆
ヴィオラとピアノのための曲
激情的なピアノの短い前奏で始まり、ヴィオラが哀愁漂う息の長い主題を奏でる。
少し明るい旋律を挟み、主題に戻る。
少し悲しげなしっとりとしたメロディを挟む。
最後は劇場的な主題で終わる。

5. カノン ニ短調
★★★★★☆☆☆☆☆
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのための曲
バロック風の哀愁漂うメロディの流れるような美しい短い曲。あまりカノン感はない。

6. モデラート JS.130
★★★★★★☆☆☆☆
カンテレ(フィンランドの民族弦楽器)のための曲
チェンバロ風のどこか懐かしい音色。少し宗教的な雰囲気もまとった穏やかで静かな曲。

7. ドルチッシモ JS.63
★★★★★☆☆☆☆☆
カンテレのための曲
物悲しい民謡風の曲。

8. ワルツ(子守歌) JS.222
★★★★★★☆☆☆☆
ヴァイオリンとカンテレのための曲
物悲しい旋律の曲
まずはカンテレだけで演奏され、2番でヴァイオリンが主旋律を奏で、カンテレは伴奏。

9. ティエラ JS.200
★★★★★★☆☆☆☆
吹奏楽のための曲
もやっとした朝靄をイメージさせる始まり。段々と自然が起きだしてきて、段々と開放感のある、壮大な雰囲気となっていく。
軽やかな行進曲風の曲となる。最後は雄大な感じで終わる。

10. 行進曲
★★★★★☆☆☆☆☆
吹奏楽のための曲
雄大な行進曲。

こう聴くと、結構シベリウスは行進曲を作曲しており、得意としてたんだなあと思う。
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屋根裏部屋の秘密 [文学 日本 松谷みよ子 直樹とゆう子]


松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




屋根裏部屋の秘密 (偕成社文庫)

屋根裏部屋の秘密 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2005/04/01
  • メディア: 単行本




直樹とゆう子のシリーズ四作目。

1.『ふたりのイーダ』   広島の原爆
2.『死の国からのバトン』 公害問題
3.『私のアンネ=フランク』ナチス・ドイツのユダヤ人迫害

直樹とゆう子という子どもを主人公に置くことで、ある程度深刻な問題から距離を置きながら戦争や現代的な問題を考えていく、という手法を使ったこのシリーズ。かなりミステリー的要素もあり楽しめる。

今回は、731部隊というかなり有名だがあまり内容的には知られていない戦争犯罪がテーマとなっている。ゆう子のはとこエリコの優しいおじいちゃんが、なくなった。その際、別荘の屋根裏部屋にある品を託すと言われ、それをゆう子とエリコで探しに行く話。屋根裏部屋の鍵が見つからなかったり、せっかく見つかったと思ったら盗まれてしまっていたり、と色々なことが起こるが、最後はうまく解決する。

そして後半、日本の731部隊が中国でどのようなことを行っていたのか、かなり事細かに描写される。日本もナチス・ドイツと同じように、人間をガス室のようなところで大量に殺していたという事実を、恥ずかしながらこの歳でまともに知りかなり衝撃を受けた。

p.617
「人間がやさしいとか、いい人がらとか、そりゃ平和なときなら、だれだってやさしくなれまさ。わたしらの知ってる先生がたは、個人的にはみんないい人でしたよ。でも、戦争ってのは、狂気なんです。人間が狂うんです。」

p.628
「アウシュビッツだ、日本人も日本のアウシュビッツを持っていたんだ・・・・・・。
 ぼくは心の中でつぶやいた。なんということだろう。遠いドイツのナチスがおこなった殺人工場、アウシュビッツ。どこか、ひとごとのように思っていたのに、日本人の手でも殺人工場はつくられていて、じじちゃまが、ぼくの親しい身内がそこにいたなんて・・・・・・。ということは、ぼくだって、戦争という巨大な歯車に巻きこまれたとき、そこに身をおかないとだれが約束できるだろう。」

今まで読んだ4冊の中では最も面白く読み応えのある作品だった。

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西風放送局 [文学 日本 安房直子 な行]


日暮れの海の物語

日暮れの海の物語

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2023/09/22
  • メディア: 単行本



白ねずみ、黒ねずみ、灰色ねずみの三匹がコーラスグループを結成する。
自分たちの歌を放送局に売り込もうと相談するが、先に洋服を作ったほうがよい、ということになり、皆で洋服屋へ向かう。

裏通りの洋服屋で、「ラジオの音楽番組に出ることになっています」と嘘をついて、タキシードを作ってもらう。

10日ほど経ってタキシードを受け取りに行くと、ネクタイやカフスボタンまで揃えてくれてあった。

作ってもらった服を着ていざ放送局へ行くが相手にされない。三匹がトボトボ歩いていると、風がぴゅーと吹いてきて、目の前に長い男のかげがうつる。そして「よかったら、うちの放送局で歌いませんか」と言われる。放送局へ案内すると言われ、その男についていく。

場面変わって洋服屋。洋服屋はラジオのダイヤルを回していると聞き覚えのあるコーラスが・・・。
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La Traviata (椿姫) [オペラ イタリア ヴェルディ]


ヴェルディ:歌劇≪椿姫≫ [Blu-ray]

ヴェルディ:歌劇≪椿姫≫ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: Blu-ray



ストーリー:★★★★★★★★★☆
アリア  :★★★★★★★★★☆
音楽全体 :★★★★★★★★★☆

ヴェルディの18作目。

一番初めに観たヴェルディオペラ。ストーリも素晴らしいし、アリアも音楽も、そして無駄に長くないので、全く飽きずに観られるオペラの最高傑作。

第一幕は、「乾杯の歌」「花から花へ」などの超有名アリアがあり、パーティーの場面で使われる合唱もとにかく格好良く美しい。

第二幕は、アルフレード、ヴィオレッタ、アルフレードの父の三人の心理劇となっており、叙情的に始まり、情熱的になり、最後のパーティーの場面では盛り上がり、最後はヴィオレッタの美しいアリアで終わるという観ていて、劇として非常に面白い幕となっている。

第三幕は、ヴィオレッタが病に伏しており最後は死んでしまうということもあり、悲しげな雰囲気が支配しているが、こちらも美しいメロディが目白押し。

とにかく「カルメン」同様、美しいメロディが目白押しの傑作オペラ。

このDVDでヴィオレッタを歌うスヴェトラ・ヴァシレヴァも素晴らしいが、私が初めて観たDVDのアンジェラ・ゲオルギューも素晴らしい。




ヴェルディ:歌劇《椿姫》 [DVD]

ヴェルディ:歌劇《椿姫》 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: DVD



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ピアノ五重奏曲 ト短調 JS. 159 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD




第一楽章 グラーヴェ~アレグロ
★★★★★★★☆☆☆
ピアノのトレモロで始まり、不気味なおどろおどろしいメロディが弦によって奏でられる。
不気味なメロディが今度はゆったりと奏でられ、深刻さが増してくる。段々と英雄的になっていき一度音楽が止まる。
展開部は穏やかで安らぎに満ちている。メロディも綺麗。
段々と悲劇性をおび、音楽も盛り上がりはじめの主題が混じってきて、最後は深刻な感じで終わる。

第二楽章 間奏曲、モデラート
★★★★★★★☆☆☆
ピッチカートの暖かな伴奏に乗って、軽やかで穏やかなメロディをピアノが奏でる。その後ピアノがアルペジオを奏で、それに乗って親しい対話のようなメロディを弦が奏でる。
中間部は少し情熱的。
最後は静かに終わる。

第三楽章 アンダンテ
★★★★★★★☆☆☆
不協和音の少し悲しげなピアノで始まる。弦が入ってきて悲劇性が増す。
少し行進曲風になり明るさが交じる。
ピアノが細かく動き出し幻想的な迷宮的な雰囲気となる。
再び行進曲風になり明るさが取り戻される。
段々と、穏やかに平和にゆったりとなっていき、最後は堂々と英雄的に終わる。
かなり聴き応えのある楽章。

第四楽章 スケルツォ、ヴィヴァチッシモ
★★★★★★★☆☆☆
すこしざわついた、浮ついた感じのある、若干混沌とした始まり。
段々と落ち着いてきてメランコリックなメロディが後半流れ出す。
最後はキラキラしたスピード感のあるメロディが回帰され終わる。

第五楽章 モデラート~ヴィヴァーチェ
★★★★★★★☆☆☆
重々しい、ラフマニノフのピアノ協奏曲の出だし部分を彷彿とさせる始まり。
段々とスピードを上げ、緊張感が増してくる。
英雄的で行進曲風にこの楽章でもなっていく。
再び緊張感が高まった後、壮大な音楽となっていく。
一度落ち着いた後、重々しい出だし部分が回帰される。
後半ピアノと弦の激しいやり取りが続き、最後は悲劇的に終わる。

作品番号が付されていないのがよくわからない、かなりの名曲。
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3つの小品 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD




1. アレグロ J.S. 25
★★★★★☆☆☆☆☆
吹奏楽のための曲
悲しげなファンファーレで始まる。
その後も悲しげな雰囲気は続くが、すこし雄大な感じ。

2. アンダンティーノとメヌエット
★★★★★★☆☆☆☆
吹奏楽のための曲
若干エキゾチックな、哀愁漂うメロディがゆったりと流れて始まる。
優雅で爽快感のある行進曲風のメヌエット。
悪くはない曲。

3. ヴィヴァーチェ
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノ五重奏曲
鳥の囁きのような弦の音から始まり、ピアノも入ってきて森の中で動物や自然たちが語り合っている様子が描かれているような美しい音楽が展開される。
展開部は堂々とした英雄的な雰囲気となる。
最後はピアノが軽やかに動き回り、弦もお互いささやきあい、静かに終わる。

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序曲 ヘ短調 JS.146 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



評価
★★★★★★☆☆☆☆
吹奏楽のための曲

深い森をイメージさせる、深遠な空気で始まる。
少し哀愁漂う主題が、行進曲風に元気に奏でられる。
中間部は壮大で広がりのある音楽となる。
はじめの哀愁漂う主題に戻り、堂々と終わる。


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夏の夢 [文学 日本 安房直子 な行]


日暮れの海の物語

日暮れの海の物語

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2023/09/21
  • メディア: 単行本



ある若者が公園のペンチで座っていると、ひとりの老人に話しかけられる。
「このごろ耳鳴りがしましてねえ」と。

よくよく聞くと、耳の中にメスのセミを入れているという。とうもろこしやの屋台をやっている若者は、老人の耳の中に入っていたセミを受け取ると自分も耳に入れてみる。すると耳の中からセミの静かな声が聞こえてきていつの間にか眠ってしまう。

「とうもろこし一本くださいな」という声が聞こえる。それは一人の少女だった。小学校五年生の時、引っ越してきて三ヶ月でまた引っ越してしまった女の子だった。彼女は言葉がしゃべれない(おし:原文ママ)子供たっだ。
ある朝、庭で水をやっているその女の子に手を振ると彼女も笑い返してくれた。彼女が話ができるようになったら良いなあと思い、外国航路から帰ってきたおじにもらった外国製のドロップをあげる。しかしその後すぐに彼女は引っ越してしまい、そのままずっと会えずじまいだった。

そんなことが思い出されているうちに、「とうもろこし、一本くださいな」という声はどんどん膨らみ、女の子の客がたくさん訪れる。男は女の子達にとうもろこしを売ろうと起き上がると、女の子たちは森の方へとうもろこしの話をしながら行ってしまう。彼女たちを追いかける男。森の奥まで追いかけていくと星のように輝く一本の木を見つける。よく見ると、木になっているのは、彼が彼女に昔あげた青いドロップ。

そしてその木の横に立つひとりの少女。彼女に話しかけると、彼女は声を出して答えてくれた。「このドロップを食べたため」に話せるようになった」と。

そしてそのまま二人は結婚式へ向かう。宴会の部屋のドアを開けると・・・。

目を覚ました若い男。さっきセミを貸してくれた老人に気がつき、よくよく見ると実は木だった。

自然と交流し、疲れてしまった心を取り戻す幻想的な話。
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ピエタ [文学 日本 Modern]


([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

  • 作者: 大島真寿美
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2014/02/05
  • メディア: 文庫



国語の先生と夏休み中、話をしていたとき、この本が話題になった。
彼が夏期講習で扱ったテキストの中に、この本の抜粋が出てきたらしく、そんな短い文章でもかなり良かったので読んでみようと思う、と言っていた。

「赤毛の司祭」ヴィヴァルディの話らしく、「じゃあ、私も図書館で借りてみようかな」と言うと、「家の周りにある図書館はどこも40~100の予約待ちだ」ということだった。自分の家のそばの図書館で調べたところ、1件の予約しか入っていなかったのですぐに廻ってきた。

ヴィヴァルディが働いていたピエタ孤児院を舞台とした作品で、そこに捨てられそこで音楽を習ったものの、そこまでの才能がなかったために、途中から音楽家ではなく事務員としてピエタで働くことになった主人公のエミーリア、ヴァイオリンの才能がありヴィヴァルディからも認められ現在の合奏・合唱副長を務めるアンナ・マリーア、孤児院の娘ではないのだが、彼女たちと小さい頃一緒に音楽をやっていたヴェロニカ、音楽の才能はなかったが、薬の知識を身に付け薬屋と結婚して店を大きくしたジーナ、ヴィヴァルディが生前心を通わせていたコルティジャーナ(高級娼婦)のクラウディア、様々な女性が登場するが、皆どこかに心の痛みを抱えながら、誠実に生きる女性たちばかりで、読んでいて気持ちが良い。

何度かホロリとする場面もあり、明るい結末ではないのだが、ほのかに希望が持てるもので読後感はすこぶる良い。上質なフランス文学を読んでいるようで本当に素晴らしかった。どこかしらフィリップ・クローデルに、静謐な感じが似ている気がした。
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2つの小品 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



1. アダージョ 嬰ヘ短調 JS.15
★★★★★★☆☆☆☆
チェロとピアノの曲
悲しみに満ちた静かな曲。

2. ワルツのテンポで 嬰ヘ短調 JS.194
★★★★★★★★☆☆
チェロとピアノの曲
どこか懐かしさのある、哀愁漂う美しい曲。1分足らずの曲だが、これも隠れた名曲。
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幻想曲 イ長調 JS. 79 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



チェロ独奏曲
第一楽章 モデラート~ヴィヴァーチェ~テンポ1~プレスト~テンポ1
★★★★★★☆☆☆☆
悲劇的なゆったりとした主題で始まる。
段々と優雅に伸びやかになっていく。
希望に満ちた明るい雰囲気になるが、すぐに悲劇的な主題が戻ってくる。
最後は重々しく終わる。

第二楽章 テンポ・ディ・ワルツ、モデラート
★★★★★★☆☆☆☆
優雅なゆったりとした曲。ワルツっぽくはない。

第三楽章 アラ・ポラッカ
★★★★★★☆☆☆☆
躍動感のある始まり。中盤はのどかでゆったりとした感じ。
段々とエキゾチックなメロディに変化していき、ピッチカートであいだをつなぎアタッカで次の曲に入る。結構間の多い曲。

第四楽章 アラ・マルチア
★★★★★☆☆☆☆☆
結構自由な感じの混沌とした曲。

第五楽章 レジェーロ
★★★★★★☆☆☆☆
小刻みにメロディを奏でる英雄的で格好良い曲。

チェロ独奏にしてはヴァラエティに富み、メロディも楽しめる曲ではある。
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組曲 イ長調 JS. 186 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



弦楽三重奏曲
1. 前奏曲 ヴィヴァーチェ
★★★★★☆☆☆☆☆
トレモロの伴奏に乗って、躍動感のある明るい主題が奏でられる。すぐに短調のメロディが続き、長調と短調が入り混じりながら進む。

2. アンダンテ・コン・モート
★★★★★★☆☆☆☆
少し民謡風の懐かしい感じのメロディの曲。中盤軽やかになる。最後は懐かしい感じのメロディが回帰され終わる。

3. メヌエット
★★★★★★☆☆☆☆
軽やかな楽しげなメヌエット。重くなったり、軽くなったりと表情をコロコロ変える。最後は堂々と高貴に終わる。

4. ジーグ、アレグレット
★★★★★★☆☆☆☆
対位法を活かした優雅なバッハ風舞曲。

軽く聞ける楽しい組曲。
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David Copperfield Volume1 [文学 イギリス Dickens]


David Copperfield (Wordsworth Classics)

David Copperfield (Wordsworth Classics)

  • 作者: Dickens, Charles
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1997/08/01
  • メディア: ペーパーバック



あまりにも長い作品なので、とりあえず二分割。
主人公David Copperfieldの一人称がたりの作品。そのため彼の見えている世界からしか物語が語られないため、いろいろなものが手紙や周りの人からの会話などあとからわかってくることが多い。

彼の父は彼が生まれて半年後にはなくなっていた。若くて美しい母は、乳母のベゴティとともに、彼を愛情深く育ててくれる。美しく優しいが人が良く人を疑わない母は、乳母ペゴティが反対したにもかかわらず、マードストンなる男と再婚。結婚後彼の妹もやって来て、母を「愚かだ」として家政の全ての実権をマードストン兄妹が握ってしまう。反発を覚えるDavidはマードストンに噛み付いてしまい、全寮制の学校へ送られる。

その学校でSteerforthという年上の面倒見の良い友達を得て、それなりに楽しく過ごす。あるとき母が幼子とともに死んでしまったことを告げられ、家に戻るDavid。さらに彼は学校を辞めさせられ、Londonにある仕事場に出される。その仕事場はあまりにひどかったが、下宿先のMicawber夫妻とは仲良くやっていた。しかしこの夫妻も借金で首が回らなくなり警察に連行されてしまう。

いろいろあってその仕事場から逃げ、父の姉であるドーヴァー海峡に住むおばを頼る。結局おばは助けてくれ、学校にも通わせてくれる。学校には、弁護士の下から通う。弁護士とその娘Agnisにはかなり世話になる。無事学校を卒業したDavidは、本格的に仕事をする前に、周遊の旅に出て、その後仕事につき、後の伴侶となる美しい女性Rosaと出会い、メロメロとなる。

ここまでが大体全体の半分。様々な場所で、昔の知り合いと偶然出会うことが多いのだが、同じ町ならともかく、広いLondonやその他の地でこんなに偶然に色んな人と再開できるのか?とおもわせることが多い作品。まあ、ストーリーは面白いが、ちょっと出来すぎの感はある。

後半、さらに様々な出来事が起こるらしい。

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長い灰色のスカート [文学 日本 安房直子 な行]


白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2006/08/01
  • メディア: 単行本



8つの女の子と、4つの弟が川べりで遊んでいる。お父さんは上流で魚釣りをしている。

弟はカッコーの鳴き真似をしながら歩いているっぽいが、それは鳩の鳴き真似のようにしか聞こえない。

ふたりでそんな風にしながら、林の中の自然を満喫していると、鳩に似た鳴き真似が不意に消え、弟が突然緑の中にふっと消えてしまう。女の子は弟の名前を呼びながら必死に探す。

すると遠くの方から、弟の鳴き真似の声が聞こえてくる。そちらに目をやると長い灰色のスカートをはいた、大きな女の人が現れる。そのスカートは幾重にも重なったひだスカートで、その奥から弟の声が聞こえてくる。人さらいだと思った女の子は弟にこっちにくるよう呼びかけるが、反応はない。女の子は、大きな女の人に、弟を「サーカスへつれていくの」と聞くと、「サーカスならここにあるわよ」と言い、スカーたのひだを広げる。すると本当にサーカスの世界が広がっている。次に見せられたひだの中は雪景色。そこには親子の熊がいて、自分の方を見て、「あれ、食後にうまそうだ」と話をしている。急いで逃げた女の子。

すると再び女の人のスカートのひだが見え、弟の声が聞こえてくる。女の子は一枚一枚ひだをめくり弟を探す。真っ青な湖が広がる世界が見え、ほたるの光に誘われどんどん入っていく。弟の声も遠くで聞こえる。だんだん疲れてきて眠りそうになるが、ここで眠ってはいけないと、歌を歌う。すると男の人が一緒に歌っているのに気がつく。その人はさっきみたサーカスのピエロのおじさんだと気がつく。おじさんはつゆくさの明かりで照らすとと会いたい人に会えると言う。

さっそくつゆくさの明かりで道を照らし、川沿いを歩いていくと鳩にされた弟が!

気がつくと父が目の前にいる。
「もう少し長くねむっていたら、お前も山の中で死んでしまっただろう」と言われる。その言葉で弟が死んでしまったことをさとる。

幻想的で、身近な人の死になんとか物語を付そうとする、ある意味宗教的なものも垣間見える、すこし恐ろしい作品。
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スマホはどこまで脳を壊すか [その他 本]


スマホはどこまで脳を壊すか (朝日新書)

スマホはどこまで脳を壊すか (朝日新書)

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2023/02/13
  • メディア: Kindle版



著者は東北大学医学研究所で働いている方で、こういう本にありがちな主観的な感じではなく、実験などをしっかりと行い科学的に、スマホが脳に悪影響があることを述べた本。これだけ世に浸透し、民官揃ってスマホがなくては生きていけない世の中を作っているこの日本でスマホ無しで生きていくことは不可能に近いが、なるべく使わないようにすることを提唱した本。特に携帯電話含め、スマホはまだまだ新しい機器であり、今後これらが人間の脳にどのような影響を与え、健康被害が生まれるのかは未知数だ。(この本では認知症など、予想される数をしっかりと明示している)。

私は、自分も含め小学校に通うふたりの息子にまだスマホは持たせていないが、今後中学高校と進んでいく中、使用せざるを得なくなったとき、どのようなルール作りをするのか今から真剣に考えなければと思った。

p.187
「自分と他人は別の人間なので、相手の気持ちを完璧に理解することは難しいのです。そのため、決して自分の気遣いを過信してはいけません。少しでも相手を嫌な気持ちにさせてしまう可能性のあることはしないように、慎重すぎるくらいでちょうどいいのです。
 ~中略~
 私は、一生懸命に相手の気持ちを考えようとする、思いやりの心が何よりも尊いものだと思うのです。」

ただ一点デジタル・ネイティブ世代を1981年~1996年に生まれた人と言っている(p.207)のだが、インターネットの普及自体は1990年代後半なのだから(p.217)、その子達の学齢期に達するまでの時間を考慮に入れても、少なくとも1991年以降に生まれた世代じゃないとおかしい気がするのだが・・・。
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6つの小品 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



1. アンダンテ ロ短調 JS.91
★★★★★★★☆☆☆
チェロとピアノのための曲
伸びやかな田舎風メロディで始まる。ピアノが和音の連続で入ってきてドラマティックになるが、最後は静かに終わる。

2. アンダンティーノ J.S. 92
★★★★★★☆☆☆☆
チェロとピアノのための曲
ピアノが優しく少し悲しげな前奏を長めに弾く。チェロがこれまた少し悲しげな旋律を静かに奏でる。ピアノが再び入ってきてふたりの対話のような雰囲気になっていく。
段々と明るく英雄的な雰囲気になっていく。
再び暗く悲しげになり静かに終わる。

3. アンダンテ・モルト ロ短調 
★★★★★★☆☆☆☆
チェロとピアノのための曲
こちらも物悲しい旋律で始まる。全曲よりは内省的な感じで、ピアノも伴奏に徹している感じ。
感情がほとばしりでた後、シューベルト風のひなびた感じなり明るく終わる。

4. アンダンテ~アレグロ JS.31
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノ五重奏
悲壮感漂う弦の音で始まり、ピアノがさらに悲劇的な前奏を奏で、悲しみに満ちた主題が流れる。展開部は比較的穏やか。再び盛り上がりを見せ、ピアノが暴れまわる中、弦が少し明るめの旋律を奏でる。最後は鳥がさえずるように終わる。

5. カノン ト短調 JS.50
★★★★★☆☆☆☆☆
ヴァイオリンとチェロのための曲
宇宙を連想させる広がりのある曲

6. アンダンティーノ イ長調 JS.38
★★★★★☆☆☆☆☆
弦楽三重奏
穏やかな普通の曲。BGMには良さそう。
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