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長い灰色のスカート [文学 日本 安房直子 な行]


白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2006/08/01
  • メディア: 単行本



8つの女の子と、4つの弟が川べりで遊んでいる。お父さんは上流で魚釣りをしている。

弟はカッコーの鳴き真似をしながら歩いているっぽいが、それは鳩の鳴き真似のようにしか聞こえない。

ふたりでそんな風にしながら、林の中の自然を満喫していると、鳩に似た鳴き真似が不意に消え、弟が突然緑の中にふっと消えてしまう。女の子は弟の名前を呼びながら必死に探す。

すると遠くの方から、弟の鳴き真似の声が聞こえてくる。そちらに目をやると長い灰色のスカートをはいた、大きな女の人が現れる。そのスカートは幾重にも重なったひだスカートで、その奥から弟の声が聞こえてくる。人さらいだと思った女の子は弟にこっちにくるよう呼びかけるが、反応はない。女の子は、大きな女の人に、弟を「サーカスへつれていくの」と聞くと、「サーカスならここにあるわよ」と言い、スカーたのひだを広げる。すると本当にサーカスの世界が広がっている。次に見せられたひだの中は雪景色。そこには親子の熊がいて、自分の方を見て、「あれ、食後にうまそうだ」と話をしている。急いで逃げた女の子。

すると再び女の人のスカートのひだが見え、弟の声が聞こえてくる。女の子は一枚一枚ひだをめくり弟を探す。真っ青な湖が広がる世界が見え、ほたるの光に誘われどんどん入っていく。弟の声も遠くで聞こえる。だんだん疲れてきて眠りそうになるが、ここで眠ってはいけないと、歌を歌う。すると男の人が一緒に歌っているのに気がつく。その人はさっきみたサーカスのピエロのおじさんだと気がつく。おじさんはつゆくさの明かりで照らすとと会いたい人に会えると言う。

さっそくつゆくさの明かりで道を照らし、川沿いを歩いていくと鳩にされた弟が!

気がつくと父が目の前にいる。
「もう少し長くねむっていたら、お前も山の中で死んでしまっただろう」と言われる。その言葉で弟が死んでしまったことをさとる。

幻想的で、身近な人の死になんとか物語を付そうとする、ある意味宗教的なものも垣間見える、すこし恐ろしい作品。
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