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Best Stuff [Jazz]


ベスト・スタッフ

ベスト・スタッフ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
  • 発売日: 2007/10/10
  • メディア: CD



中学・高校生の頃、Simon&Garfunkelの大ファンだった。彼らのCDを買い集めたあと、当然、Paul SimonのCDも聴くようになった。Paul Simonがグラミー賞を受賞した作品、Still Crazy After All These Yearsの中の一曲、50Ways To Leave Your Loverのドラムの音に心惹かれた。そしてPaulが次に出した作品One Trick Ponyのバックの演奏もすごいと思った。特にピアノの音と、Late In The Eveningのドラムソロは素晴らしかった。解説を読むと、「Stuffのメンバーが参加」とある。ドラマーはSteve Gadd, ピアニストはRichard Teeだった。
そこで早速このアルバムBest Stuffを買ってみた。はじめは、彼らがメインのバンドなので、One Trick Ponyを超えた音を期待しており、Gaddがドラムを叩きまくり、Teeがご機嫌にピアノを弾きまくるのかと思いきや、結構ミドルテンポの曲が多く、空間がかなり多かった。とはいえ、聴きこむうちに彼らの音世界にどっぷり浸かることになってしまった。
曲数は10曲とかなり少なく、収録時間もそんなに長くはない。
1曲目のStuff Itは「Stuff Stuff Stuff It, Oh Yeah」とひたすら言っているだけなのではあるが、楽器のガチャガチャしたしたかんじ、なんとなく楽しくなるようなリズムが素晴らしい。1分程度の曲ではあるが、このアルバムの白眉だと思う。その後は先に書いたように、ミドルテンポで横揺れの曲が続く。
最後の3曲Shuffle, De Rabbit, Dixieがライブ曲なのであるが、これが素晴らしい。とにかくGaddが大活躍しているのだ。Paulのライブアルバム、Claptonとのライブ、深町純とのライブ・アルバム、他Gaddが参加した様々なライブを聴いていて思うのだが、彼はライブになると凄まじい演奏をする。スタジオアルバムだとどうしても綺麗に、無難にまとめてしまっている気がするのだ。一方のTeeはスタジオでも結構素晴らしい演奏を見せる。2曲目から7曲目までの曲では、結構Richard Teeが良い味を出している(Vocalも含めて)。

アルバムジャケットも含め、お洒落な佳作だと思う。

Friends [Jazz]


フレンズ

フレンズ

  • アーティスト: チック・コリア,ジョー・ファレル,エディ・ゴメス,スティーヴ・ガッド
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/05/21
  • メディア: CD



中学・高校生の頃、自転車で15分くらいいったところに、新星堂というCDショップがあった。そこでCDを買うことはほとんどなかったが、そこにあるフリーペーパーをよくもらっていた。そのフリーペーパーの中でJazzの偉人を紹介するコーナーがあり、そこでSteve Gaddが紹介されていたことがあった。
その中で紹介されていたのが、このアルバムだ。チック・コリアが気の合う仲間と肩の力を抜いて作った傑作アルバムとあった。
ジャケットが可愛らしく心惹かれたこともあり、早速買ってみた。そして私の愛聴盤となった。
Joe FarrellというFlute奏者が演奏に加わるという珍しい(と私は思う)編成のバンドで、平和な曲と超絶バトルの曲が混在していて非常に心地よいアルバムだ。

1曲目 The One Step
Chick CoreaのFender Rhodesで始まる、非常に可愛らしい曲。Friendsというアルバムにぴったりの出だしだ。ホワーンとした曲の雰囲気をFender RhodesとFluteの音がうまく作り上げている。
2曲目 Waltse For Dave
Bill EvansのWaltz For Debbyをもじっていると思われるが、デイヴ・ブルーベックという人に捧げた曲らしい。この曲も平和な感じの曲。Chick KoreaもAcoustic Pianoを演奏しており、ピアノ、フルート、ドラム、ベースがそれぞれやわらかい音世界を作り上げている。
3曲目 Children Song #5
全20曲あるらしい。1分くらいの曲。前の曲の延長で聴いてしまう+次の曲が凄すぎるのであまり耳に残らない。
4曲目 Samba Song
すごい、すごすぎる。Gaddさんがここで初めて前面に出てくる。出だしから凄まじい緊張感で始まり、途中のバトルを経て圧倒的なフィナーレとなる。素晴らしい。
5曲目 Friends
前曲のあとで一休みするかのように穏やかな曲になる。フルートがとても美しい曲。
6曲目 Sicily
ここでもGaddさんのドラムプレイを楽しめる。
7曲目 Children Song #15
この曲も1分強の曲。3曲目と似たような感じ。
8曲目 Cappucino
Samba Songと似た雰囲気の凄まじいプレイが楽しめる。

正直、ピアノなどのメロディ楽器と違い、ドラムの凄さを言葉で伝えるのは難しい。なのでなかなかSteve Gaddの素晴らしさは表現できない。が、とにかく、静と動が楽しめるこのアルバムの雰囲気を作り上げているは間違いないなくSteve Gaddであろう。
ジャケット、演奏全てが私のお気に入りの1枚だ。








Jun Fukamachi & The New York All Stars Live [Jazz]


深町純&ニューヨーク・オールスターズ・ライヴ

深町純&ニューヨーク・オールスターズ・ライヴ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックダイレクト
  • 発売日: 2009/09/09
  • メディア: CD



ひさしぶりにJazzのCDを紹介したい。
CDについている帯には次のように記されている。

「フュージョンのすべてを知るにはこれ一枚を聴けばいい!」

そしてメンバーのクレジットを見るとさらに凄い。
Key: 深町 純
tp : ランディ・ブレッカー
as : デイヴィッド・サンボーン
ts : マイケル・ブレッカー
vib : マイク・マイニエリ
key: リチャード・ティー
g : スティーヴ・カーン
b : アンソニー・ジャクソン
ds : スティーヴ・ガッド
The New York All StarsというタイトルのCDなのだが、確かにAll Starsだ。

Amazonでいろいろ見ているうちに画面に現れ、帯とクレジットに惹かれ即座に購入。
なんといっても、あのGaddさんとRichard Teeが出ているLiveなのだ。買わないわけにはいかない。
しかも、主役の深町純とマイク・マイニエリ以外は全て知っていた。

とはいえ、「フュージョンの全てが分かる」は言いすぎだろうと思って聴き始めた。


いいすぎではなかった。凄まじいライブだった。とにかくGaddさんが素晴らしかった。

1曲目:Rocks 作曲:Randy Brecker
アルバムの冒頭にふさわしい曲。華やかな感じで始まる。管楽器がとにかく大活躍を見せるのだが、合間合間にGaddがシンバルを用いて凄まじい反応を見せる。この管楽器とGaddの掛け合いを楽しむ曲だろう。

2曲目:Sara Smile 作曲:Hall & Oates
「Private Eyes」で有名なHall&Oatesが作った曲らしいが、原曲は知らない。前曲とはうって変わり穏やかな曲。全編にわたってDavid Sanbornのロマンティックな演奏が楽しめる。途中マイク・マイニエリの美しいVibの音も楽しめる。私はあまりVibのポコポコした音が好きではなく、どうしても他の楽器から浮いてしまう印象をもっていたのだが、このアルバムでの彼の演奏は全て素晴らしい。ほかのメンバーと音が完全に調和している。12分を超える非常に長い曲なのだが全く長さを感じさせない。

3曲目:Virginia Sunday 作曲:Richard Tee
出だしからStaffっぽいと思ったら、Richard Teeの曲。(今後紹介したいと思うが)彼のSoloアルバムに収録されているナンバー。控えめに空間を埋めるマイク・マイニエリのVibがいい味を出している。そしてGaddの全く目立たないが、曲を締めるタイトな演奏を披露している。

4曲目:Inside Out 作曲:Randy Brecker
ゴキゲンなシャッフルナンバー。あまりこういう曲は好きではないのだが、ライブの中で聴くと楽しげで良い。深町純のシンセ・ソロが入っている。シンセの音もあまり好きではないのだが、このアルバムにおいては全く違和感がない。何故なんだろう。わからない。その後マイニエリのソロも入る。最後は出だしのテーマに戻り静かに終わる。

5曲目:I'm Sorry 作曲:Mike Mainieri
非常に美しいバラード。マイニエリのVibをバックにマイケル・ブレッカーが切々と歌い上げる。出だしのふたりだけの演奏は本当に素晴らしい。途中Gaddが的確なリズムを刻みながら曲を盛り上げていく。

6曲目:Dance Of Paranoia op.2 作曲:Jun Fukamachi
このアルバムのリーダー深町純のオリジナル。出だしから非常に締まった緊張感のある曲。管楽器隊、ドラム、キーボート隊全てが渾然一体となりこのスピード感ある曲を素晴らしい曲にしている。深町純の派手ではないが歌心にあふれたソロも素晴らしい。

7曲目:Gypsy Jello 作曲:Richard Tee
これもTeeの作曲だけありStaffぽい曲。出だしのTeeのピアノによるイントロは簡単そうに弾いてはいるが、かなりのリズム感が必要とされるであろうもの。なんでもないように聴かせてしまうあたりが素晴らしい。そのあとのマイニエリと彼の掛け合いが非常に美しく楽しげ。そこに絡むGaddのドラムも躍動感に満ちている。

8曲目:Jack Knife 作曲:Randy Brecker
マイケル・ジャクソンのアルバムに出てきそうなIntro。そこからFunkyな管楽器隊の演奏に入る。この複雑なリズムの曲を見事にGaddが支えている。

9曲目:Love Play 作曲:Mike Mainieri
15分を超える大作だが全く長さを感じさせない。この曲を聴くためだけにこのアルバムを買っても決して損はないと思う。その後マイニエリのこのLove Playが入ったスタジオアルバムを買って聴いたのだがあまり面白くなかった。このメンバーでのライブだった、というのがこの曲を傑作にさせている要因だろう。凄まじい超超超名曲だ。
出だしはマイニエリの美しいソロで非常に静かに始まる。そこにGaddが絡んできて、ほかのメンバーも徐々に参加し始める。だんだん盛り上がりを見せ、それぞれがソロを取るのだがほかの演奏者たちの演奏も渾然一体となり素晴らしい。
突如雰囲気ががらっと変わりGaddが長いソロを披露し始める。これが凄まじい。
ピアノの音に導かれ皆が一体となり感動的なフィナーレを迎える。
ここでのGaddのプレイが凄まじい。本当に凄まじいどんだけ手と足があるんだ、と突っ込みたくなるほど本当に凄まじい手数である。この最後のGaddのプレイを聴くために今までこのアルバムを聴いてきたといっても過言ではない。

フュージョン史に残る大傑作アルバムだと思う。