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ライムライト [映画 チャップリン]


ライムライト (2枚組) [DVD]

ライムライト (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



チャップリンの「ライムライト」を観た。1年前まではこの作品がチャップリン最後の作品だと思っていた。これで3度目の鑑賞だ。
一度は自殺を試みた若い女性ダンサーテリーと、かつての喜劇王の老人カルヴェロの愛の物語である。
病気にかかり踊れなくなってしまい自殺を試みたテリーを、カルヴェロが助けるところから映画は始まる。テリーに生きる勇気を与える数々の言葉は本当に素晴らしい。チャップリン自身が常に思っていたことなのだろう。テリーでなくても生きる勇気を与えられる。
その後、テリーは復活を果たし、初恋の相手(作曲家)に再開する。
その作曲家はテリーに愛を打ち明けるが、テリーはカルヴェロと結婚するからと断る。

テリーは決してカルヴェロを哀れんだわけではない。心の底からカルヴェロの全て(喜びも悲しみも)を愛したのだ。
年の差結婚は数多い。しかしその多くが、女性の方が若い。きっと女性の方が見えないものを愛することが出来るからなのではないだろうか。
お互いがお互いにとって最善と思うことを考え行動する。こんなに素晴らしい愛はないのではないだろうか。

バレエや喜劇の部分が若干長いと感じなくはない。しかしそこも含めてチャップリンが表現したかったのだろう。
「街の灯」と並ぶ愛を描いた最高の映画だ。
最近のくだらないハリウッド映画を何十本見るくらいなら、この映画を一度でいいから観て欲しい。
素晴らしい映画だ。

殺人狂時代 [映画 チャップリン]


殺人狂時代 (2枚組) [DVD]

殺人狂時代 (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



久しぶりに休みだった。ここ2~3週間朝から晩まで働きづくめ。ということで映画を観る余裕、ゆっくり音楽を聴く余裕もなかった。
待ちに待ったお休み♡ ということで映画を観た。チャップリンの「殺人狂時代」だ。これで3回目。

One murder makes a villain; millions a hero. Numbers sactify, my good fellow.
チャップリンは世界大恐慌のために、長年勤めた銀行をクビになる。妻と子供を養うために、結婚詐欺を働き、女性を殺すなどして、大金を稼ぐ。
そして殺人のために用意した薬を試そうと、ある困っていた若い女性を家に呼び入れるが、彼女の話を聞き、心を動かされ、彼女にお金を渡し、彼女を救う。
結局チャップリンは破産し、妻と子供も失う。
そんなある日、偶然、昔助けた女性と出会う。彼女は軍需産業の社長と結婚し豊かな生活を送っていた。
彼女が軍需産業の社長と結婚し豊かになったことがこの作品のポイントだ。

美しい心を持った人間も知らずに戦争に巻き込まれ、知らないあいだに戦争の恩恵を受けている。
そして、ひとりの人間を殺せば罪に問われるが、戦争という名のもとに多くの人間を殺せば英雄と称えられる。
戦争とはなんなのか、生きるとはなんなのか、
強烈な問を我々に突きつけてくる作品だ。
「独裁者」よりもさらにコメディタッチの部分は影を潜める。

まさに恐慌、全体主義、世界大戦、資本主義の行き過ぎと数々の問題が山積みだった当時だからこそ作られた映画史上に残る傑作だと思う。


独裁者 [映画 チャップリン]


独裁者 (2枚組) [DVD]

独裁者 (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



チャップリン「独裁者」を観た。これで4度目だ。
全編セリフが入っており、最近の映画と変わりなく普通に楽しめる。
はじめの戦闘シーンは今までのコメディタッチでおもしろおかしく描かれている。
ブラームスの「ハンガリー舞曲」に合わせて床屋のチャップリンが客の髭を剃るシーンやヒンケルとナパロニがお互いを上に置こうと、張り合う場面など、おもしろい場面が多々出てくる。
ヒンケル暗殺計画の場面で、プリンに銀貨が入っていた人が暗殺を実施する、ということになり、お互いのプリンに銀貨を入れ合うシーンは、人間の心の弱い面をまざまざと見せてくれている。

そして有名な最後の演説のシーンである。本当にこの場面は何度見ても感動する。
MLK,Jr.、ケネディなどはチャップリンのこの映画を見てあの有名な演説を作ったのではないかと思うくらい、似たフレーズが出てくる。
我々は権力者に全てを委ね、頼り切るのではなく、我々ひとりひとりの言葉と行動で社会を変革していかなければならないことをまざまざと見せつけてくれる。

床屋が演説に入る前、演説を促された彼はとまどい、躊躇する。しかし、シュルツに背中を押され演説に向かうのだがその演説に向かう直前「希望か」(Hope・・・)とつぶやき考えるのだ。この場面、前に観たときは全く気にもとめなかったが非常に素晴らしい場面だ。今までは自分の命が助かるかどうかしか考えていなかった床屋が「Hope」というテーマで演説する機会を与えられ、自分の命も顧みず演説へと向かうのだ。始めは冷静に、しかし段々と熱を帯びてくる。本当の意味での民主主義の大切さを教えられる。そして人の心を本当に動かせるのは、心の底から浮かび上がってくる言葉しかないのだと再認識させられる。

政治家や仏教の坊主、こうした連中の自分の利益しか考えないうわべだけの言葉では人の心を動かすことなど決してできないのだ。

関係ないが、ハンナを演じたポーレット・ゴダードは「モダン・タイムズ」の時の方が数倍美しかった気がするのだが気のせいだろうか。

モダン・タイムス [映画 チャップリン]


モダン・タイムス (2枚組) [DVD]

モダン・タイムス (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



チャップリン「モダン・タイムス」を観た。トーキー(セリフ入り映画)時代に入った映画界への最後の抵抗を見せた作品。セリフが入るのは、はじめの工場の場面での工場長と機会を売りに来たセールスマンだけ。何故チャップリンは工場長とセールスマンに声を与えたのだろうか。
これは逆説なのではないかと思う。
声は人間にしか出せない。しかし工場長やセールスマンは機械に心を奪われてしまった非人間。非人間的な人間に、人間的な声を与えたところに、チャップリンのトーキーに対する抵抗を感じてしまう。

しっかし、チャップリンは警察に何度も捕まる。こんなに捕まったっけ(ちなみに観るのはこれで3度目)。
だが、無実の罪で捕まることもある。これは(警察)権力に対する批判なのであろう。
この映画でもチャップリンは普通に考えれば犯罪的な行為を数多く犯す。前回も記したが、そうした細かい犯罪以上に犯罪的行為が正当化されて社会が動いてしまっていることにたいして疑問を投げかけている。
そんな映画だ。

最後にヒロインと明日を見つめ、手をつないで歩いていく姿はいつ見ても泣ける。
「街の灯」とは違った形で明るい気持ちにさせてくれる素敵な映画だ。

街の灯 [映画 チャップリン]


街の灯 (2枚組) [DVD]

街の灯 (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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チャップリン「街の灯」である。
この辺からかなり長い作品へとなっていく。
浮浪者チャップリンは、街で出会った盲目の花売りに一目惚れする。
その一方で、大金持の男の命を助け、その男に良くしてもらうようになるが、その男がチャップリンに良くしてくれるのはお酒に酔っている時だけ。素面になるとチャップリンのことを認識しなくなる。

この物語はチャップリンの盲目の花売りへの「犠牲愛」という文脈で語られることが多い。
しかし、今回改めてはじめの部分が気になった。「平和と繁栄」の記念碑の開幕式からこの映画は始まるのだが、その記念碑に浮浪者チャップリンが寝ているのである。
ここでポイントは「平和と繁栄」である。大きな記念碑を建てるには莫大な費用がかかる。「平和と繁栄」の記念碑を建てた裏には、平和ではなく、貧乏な生活を強いられている者たちがたくさんいる。
そして命を助けられた大金持の男も素面になってしまえば助けられたことも忘れてしまうという有様だ。
まさしく「犠牲愛」の裏のストーリーとして、資本主義社会の行き過ぎた繁栄を揶揄している作品と言えるだろう。そう考えると、このあとに続く、「モダン・タイムズ」や「独裁者」への前奏曲的な作品とも言えるのではないだろうか。

「サーカス」のエンディングとは違い、「街の灯」はヒロインとこの後、愛が発展していく様相を見せながら終わる。これは本当に素晴らしいエンディングだと思う。

すごく気持ちの良い思いを残して見終わることができる映画ではないだろうか。

サーカス [映画 チャップリン]


サーカス (2枚組) [DVD]

サーカス (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
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さっきブログをアップしたばかりだが、今チャップリンの「サーカス」を観終わったのでさっそくまたまたアップ。

スリに間違えられたチャップリンが警察に追われ、そのままサーカステントに逃げ込み、舞台上で大暴れ。それが観客にうけ、チャップリンはサーカス団で雇われる。
そこで、働く女性に惹かれていくチャップリン。どんどん親しくなる二人。
しかし、2枚目の綱渡り芸人が登場すると、その女性はその男に心惹かれていく。
ドタバタが色々とあったあと、チャップリンはサーカスを追われる。
そのチャップリンのあとを追うように女性もサーカス団を逃げてくる。
「私を連れて行って」という女性にチャップリンは応えない。
サーカス団に戻って綱渡り芸人を連れてきて、その女性と結婚させ、綱渡り芸人と女性はサーカス団に戻りそのまま旅を続けていく。
しかしチャップリンは一人その場に残る。

これは自己犠牲の愛を描いた作品だ。名作「街の灯」「ライムライト」も自己犠牲の愛を描いた作品だと言えるだろう。
しかしチャップリンの巧みな構成と演技によって、本当に清々しい気持ちで見終わることができる。
この「サーカス」かつて観たときはそこまで面白いとは思わなかったが、改めて見ると「街の灯」に匹敵するほど素晴らしい作品だと思う。
偶然走りこんだところがライオンの檻だった時、舞台上でのドタバタ、綱渡りの時によってくる猿たちとの格闘シーンなど、動きで見せる部分も素晴らしい。

チャップリン映画を見て、いつも思うことだが、自分はチャップリン映画の主人公のような自分を犠牲にして相手の幸せを望むことはできない。
まだまだ器の小さい人間ということなのだろうか。

しかし自分にできないことをやってくれるからこそ、映画の主人公を応援したくなるのかもしれない。
そんなことを考えながら過ごしたあっという間の70分だった。

黄金狂時代 [映画 チャップリン]


黄金狂時代 (2枚組) [DVD]

黄金狂時代 (2枚組) [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • メディア: DVD



今、Mark TwainのThe Adventures of Tom Sawyerを読んでいる。私は一応、英語に関係のある仕事をしていて、日常的に英語は目にはしているのだが、やはり洋書を読むのは時間がかかる。だいたい日本語で読むスピードの2~3倍はかかってしまうのだ。しかも仕事の帰りで疲れている時などは文章がなかなか頭に入ってこず、読む気が失せてくる。なので、さらに読み終わるまでに時間がかかる。
さらにこの本は、The Adventures of Huckleberry Finnとセットになった本なので読み終わるまでにかなりの時間がかかることが予想される。

そこでこれからしばらく私の好きなチャップリン映画を紹介したいと思う。
始めは「黄金狂時代」である。本当は年代順で「キッド」から紹介したいのだが、昨日たまたま黄金狂時代を見たので、黄金狂時代から始めたい。

はじめこの映画は500円DVDでみた。汚い映像、訳の分からない金属音のようなものがバックに流れていて、正直、あまり好きになれなかった映画だ。
私はチャップリン映画をほとんど500円DVDで見ていた。しかしあまりにも素晴らしいので、紀伊國屋書店から出ているDVDを買いなおそうと考えた。
しかし、「黄金狂時代」はつまらないので買おうか買うまいか迷ったが、せっかくなので買ってみた。
そして一番期待していなかった作品なので一番に見てみたのだが、素晴らしかった。
まずは映像が明らかに鮮明になっており、見やすい。
さらに1940年代になってからチャップリン自らが入れ直した、ナレーションと音楽があるため、非常に見やすい映画に変わっていたのだ。
チャップリンのパントマイム、(動きだけで感情が手に取るようにわかる)、そして作品に込められたメッセージ、全てが素晴らしかった。
チャップリンは盗みやだましなど、一般に悪とされていることに対して、それを悪いという形で描いていない。それよりも本質的に悪いもの、そうした細かい悪を生み出す、一見善に見えるような巨大な悪を、描き出しているのだ。
黄金は確かに人を幸せにするかもしれない。しかし、それは見せかけの幸せに過ぎない。本当に人を幸せにするのは愛なのだ、ということを最後のハッピーな結末で我々に伝えてくれているのではないだろうか。
貧民街で幼少期を過ごしたチャップリンにしか描けない、善のあり方がそこに見える。それはディケンズが描いた幸せと相通ずるものがある気がするのだ。

一途に思い続ける心が幸せをもたらすことを見せてくれる素敵な映画だ。


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