独裁者 [映画 チャップリン]
チャップリン「独裁者」を観た。これで4度目だ。
全編セリフが入っており、最近の映画と変わりなく普通に楽しめる。
はじめの戦闘シーンは今までのコメディタッチでおもしろおかしく描かれている。
ブラームスの「ハンガリー舞曲」に合わせて床屋のチャップリンが客の髭を剃るシーンやヒンケルとナパロニがお互いを上に置こうと、張り合う場面など、おもしろい場面が多々出てくる。
ヒンケル暗殺計画の場面で、プリンに銀貨が入っていた人が暗殺を実施する、ということになり、お互いのプリンに銀貨を入れ合うシーンは、人間の心の弱い面をまざまざと見せてくれている。
そして有名な最後の演説のシーンである。本当にこの場面は何度見ても感動する。
MLK,Jr.、ケネディなどはチャップリンのこの映画を見てあの有名な演説を作ったのではないかと思うくらい、似たフレーズが出てくる。
我々は権力者に全てを委ね、頼り切るのではなく、我々ひとりひとりの言葉と行動で社会を変革していかなければならないことをまざまざと見せつけてくれる。
床屋が演説に入る前、演説を促された彼はとまどい、躊躇する。しかし、シュルツに背中を押され演説に向かうのだがその演説に向かう直前「希望か」(Hope・・・)とつぶやき考えるのだ。この場面、前に観たときは全く気にもとめなかったが非常に素晴らしい場面だ。今までは自分の命が助かるかどうかしか考えていなかった床屋が「Hope」というテーマで演説する機会を与えられ、自分の命も顧みず演説へと向かうのだ。始めは冷静に、しかし段々と熱を帯びてくる。本当の意味での民主主義の大切さを教えられる。そして人の心を本当に動かせるのは、心の底から浮かび上がってくる言葉しかないのだと再認識させられる。
政治家や仏教の坊主、こうした連中の自分の利益しか考えないうわべだけの言葉では人の心を動かすことなど決してできないのだ。
関係ないが、ハンナを演じたポーレット・ゴダードは「モダン・タイムズ」の時の方が数倍美しかった気がするのだが気のせいだろうか。
2015-12-14 11:56
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