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シンフォニア・ダ・レクイエム Op.20 [ブリテン 管弦楽曲]

日本政府の依嘱により、皇紀2600年奉祝曲として作曲されたが、様々な理由で日本政府に却下された、らしい。

1. 涙のその日 Lacrymosa (Andante ben misurato)
★★★★★☆☆☆☆☆
ムチのような音で始まる。ブリテンは結構このパーカッション系から始まる曲が好きらしい。暗く重い雰囲気で曲は進む。霧の中で迷ってしまったような幻想的な世界が広がる。ティンパニーの音と共に段々と盛り上がりクライマックスを迎えて終わる。

2. 怒りの日 Dies Irae
★★★★★☆☆☆☆☆
自然の動物たちの鳴き声のような音が鳴り響き、軽快な音楽となる。ファンファーレのような音もなり、森の中のお祭りのような雰囲気となる。ティンパニーの音も荒れ狂い騒々しく終わる。

3. 久遠なる平安を Requiem Aeternam
★★★★★★☆☆☆☆
非常に牧歌的で平和な始まり。マーラーの緩徐楽章をおもわせる美しく雄大な音楽。

最後の曲は悪くない。日本は最後だけ使えば良かったのではないだろうか。
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カナダの謝肉祭  Op.19 [ブリテン 管弦楽曲]


★★★★★★★☆☆☆
祭りの朝の、爽やかな感じとワクワクした感じの同居した美しい始まり。鳥の声なども聞こえる。
祭りが始まり元気な音楽となる。
その後、少し穏やかなゆったりとしたワルツが流れる。静かながら段々と盛り上がる。
神秘的な少し不穏な空気が流れる。
鞭の音が鳴り響き、諧謔的な感じの音楽が繰り広げられる。
段々と静かになり、最後ははじめのワクワクした感じに戻り、静かに終わる。

結構楽しい曲。
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若きアポロ Op.16 [ブリテン 協奏曲]

ピアノと管弦楽のための曲

★★★★★★★☆☆☆
開放感のある前奏で始まり、低音が鳴り響き、その後上昇する音階が何度も何度も繰り返される。伴奏が英雄的で格好良い。その後音階的な凄まじいピアノのソロが流れる。
その後トッカータ的な諧謔感のある音楽が展開される。
はじめのメロディに戻り、段々と劇的になっていき格好良く終わる。

なかなか聴き応えのある曲。
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モン・フィク山  Op.12 [ブリテン 管弦楽曲]

レノックス・バークリーという人との共作らしい。

1. Ⅲ Lament
★★★★★★★★☆☆
民謡風の物悲しい美しいメロディの主題が様々に色付けされ繰り返される。

2. Ⅳ Allegro Molto
★★★★★★★☆☆☆
一転して華やかな感じで始まる。クラリネットがスピード感のある楽しげなメロディを奏でる。
どんどん盛り上がるが、後半突然静かになるが、スピードがどんどん上がり、最後は楽しげに終わる。


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ショパンvsリスト@小金井 宮地楽器ホール [舞台]


ラ・カンパネラ~革命のピアニズム(SHM-CD)

ラ・カンパネラ~革命のピアニズム(SHM-CD)

  • アーティスト: 金子三勇士
  • 出版社/メーカー: Universal Music
  • 発売日: 2016/03/30
  • メディア: CD



昨日に引き続き、小金井の宮地楽器ホールでコンサートを聴いた。
コンサート会場の前に、ストリート・ピアノが置いてあり、長男がショパンの「ノクターン 作品9-2」を弾いたら周りの人に拍手してもらった。

①ショパン 革命
舞台に登場して挨拶をすますといきなり弾き始める。昨日の近藤嘉宏さんと違い、ドラマ性が感じられ、精神的にもよく解釈していることがわかる素晴らしい演奏だった。

②リスト  コンソレーション
こちらも情熱的な柔らかい独特の音で素晴らしかった。

③ショパン 雨だれ
一音一音丁寧に引いており、中間部も深い精神性が感じられ素晴らしい演奏だった。

④リスト  ラ・カンパネラ
こちらも後半の盛り上がりも素晴らしく、よい演奏だった。

~休憩~

⑤ショパン ピアノ・ソナタ第二番
深い精神性を感じさせる演奏で、フォルテの力強さ、ピアノの繊細さがあり、ハンガリーの血が入っているらしいのだが、そのせいもあるのか独特のリズム感が有り本当に素晴らしい演奏だった。

⑥リスト  ピアノ・ソナタ
こちらも大曲だが、完全に自分のものにしており、良かった。

とにかくダイナミックかつ繊細な演奏でとても良い演奏会だった。
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ショパンとリストの名曲ベスト10@小金井 宮地楽器ホール [舞台]


『ショパンの旅路I』~ポーランドの心

『ショパンの旅路I』~ポーランドの心

  • 出版社/メーカー: Digital MediaLab.,Inc.
  • 発売日: 2000/05/25
  • メディア: CD



リスト・ライヴ!

リスト・ライヴ!

  • 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
  • 発売日: 2008/10/22
  • メディア: CD



久しぶりに、クラシックコンサートに行ったきがする。

ピアニストの高橋多佳子さんと、近藤嘉宏さんが、順番に、リクエストによって選ばれたショパンとリストの名曲を弾くという企画。

①ショパン 6位
*舟歌
近藤嘉宏 
硬い音でイマイチ

②リスト  4位
*コンソレーション(慰め)第三番
高橋多佳子
暖かく柔らかい音で、優しい世界観が素晴らしい。

③ショパン 5位
*革命
近藤
凄まじいスピードでメカニカルな演奏

④ショパン 4位
*ノクターン第二番
高橋
綺麗な柔らかな音で後半の盛り上がりもとても綺麗。

⑤リスト  3位
*ハンガリー狂詩曲第二番
硬質な音で、凄まじい迫力。

~休憩~

⑥ショパン 3位
*バラード一番
高橋
初めから深い音で、物語性があり、美しい。

⑦ショパン 2位
*幻想即興曲
近藤
凄まじいスピードであまり叙情性が感じられない。

⑧リスト  2位
*愛の夢 第三番
高橋
ショパンのノクターン同様夢見るような柔らかい世界観が美しい。

⑨リスト  1位
*ラ・カンパネラ
近藤
出だしの高音の鐘の音は非常に綺麗で美しいが、後半盛り上がりがイマイチだった。

⑩ショパン 1位
*英雄ポロネーズ
高橋
英雄感、叙情性、いろいろなドラマが感じられる素晴らしい演奏だった。

とにかく、高橋多佳子さんの演奏がすばらしかった。彼女の演奏を、ルネ小平で一度聴いたことがあるのだが、その時も彼女の人間性が現れていて素晴らしいと感じた。
近藤嘉宏さんは、うちにCDがあり、その時も硬質な感じを受けたのだが、生で聴いても同じような感じで少し残念だった。

曲紹介を、津久俊彦という人がやるのだが、人の話の途中で割り込んでくるし、せっかく良い話が聞けそうなところを遮るし、最悪だった。
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ヴァイオリン協奏曲 Op.15 [ブリテン 協奏曲]

I. モデラート・コン・モート
★★★★★★★☆☆☆
打楽器の短い前奏のあと、ヴァイオリンが息の長い若干憂いをおびた美しい旋律を奏でる。オーケストラはゆったりとした、力強い伴奏を奏でる。
第二主題はキレのよい鋭いメロディ。伴奏も少し現代的な感じで鋭角的に進む。
展開部?は、叙情的な夜の音楽のような感じになる。初めはヴァイオリンのソロ、オーケストラがメロディを奏でると、ヴァイオリンがキレの良いメロディを途中途中に入れていく。その後再びヴァイオリンのソロのむせび泣くようなメロディが奏でられる。そのまま静かに終わる。

II. ヴィヴァーチェ
★★★★★★★☆☆☆
攻撃的な激しい雰囲気で始まる。途中ヴァイオリンが落ち着いた若干東洋風のメロディを奏でるが、オーケストラが追い立てるように激しい音を投げかける。ヴァイオリンが静かに超高音の鳥の鳴き声のような音を奏でた後、再び曲は活気を取り戻す。途中から不穏な空気が流れ出した後、静かなヴァイオリンのソロが始まる。様々な技巧を駆使した部分で叙情的ながら激しい。最後は静かに終わる。

III. アンダンテ・レント
★★★★★★☆☆☆☆
静かで暗く陰鬱な雰囲気で始まる。ヴァイオリンが高音でメロディを奏で、同じメロディをオーケストラが奏でる。途中荒涼とした雰囲気となるが段々と熱を帯びてくる。勝利感に向かおうとするヴァイオリンとそれを暗い方向へ向けようとする伴奏の争いの後、ヴァイオリンが勝ち?、静かに穏やかにメロディを奏でる。最後はヴァイオリンとオケが静かに対話をし、ヴァイオリンがむせび泣くように静かにメロディを奏で終わる。

全体を通してヴァイオリンの美しい音色が生かされている部分が多く、それなりに聴き応えがある曲。
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ピアノ協奏曲 Op.13 [ブリテン 協奏曲]

I. トッカータ
★★★★★★☆☆☆☆
ムチのような打楽器の音のあと、すぐピアノが元気に入ってくる。打楽器的な音を凄まじいスピードで出し続けるピアノとバトルするかのようなオケも凄まじい。第二主題は少し暗さをおびた感じ。途中展開部?の部分は、ピアノがソロで弾く部分が多く、叙情的でゆったりとしており非常に美しい。最後いきなり明るく華やかになり終わる。

II. ワルツ
★★★★★☆☆☆☆☆
異国情緒漂うゆったりとした始まり。不穏な空気も漂う。途中から重々しく進んでいく。
ワルツという題名からは程遠い感じの曲。

III. 即興曲
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノがソロで不安げで悲しげな旋律を奏でる。その後オケが分厚い音で同じメロディを奏でる。
途中若干違うメロディが入るが、基本は同じ主題をピアノとオケが順番に奏でていく。悪くない。

Ⅳ. マーチ
★★★★★★☆☆☆☆
明るく元気に、そして少し諧謔的な感じで始まる。途中ミドルテンポになり、不穏な空気が流れるが、前へ進む感じは常になり、段々と勇ましくなっていく。
後半勝利感に満ちた雰囲気となり、最後は力強く終わる。

現代的でありながらそれなりにメロディもわかりやすく聴きやすい。
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風のローラースケート [文学 日本 安房直子 か行]


ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)

ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)

  • 作者: 直子, 安房
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/03/01
  • メディア: 単行本



峠に住む家族たちの話。基本は茂平茶屋という茶屋を営む家族が主人公の話。

1. 風のローラースケート
◎茂平さんといたち
小さな茶店を営む茂平さんが、「きょうはひとつ、ベーコンをこしらえてみよう」と思い立つ。作っている途中でいたちが現れ、ひと口分けてくれ、と頼まれ、できたらわけてあげようと約束する。すると別のところからもいたちが現れ、こちらも同じように頼んでくる。同じように分けてあげることを約束する。遂に出来たところ、一方のいたちがベーコンを盗んで走り去る。いくら追っかけてもなかなか追いつけない。すると、もう一匹のいたちが現れローラースケートを貸してくれる。盗んだいたちもローラースケートを履いていたことがわかり、追いかけっことなる。ハラハラドキドキのストーリ。最後は楽しく平和に終わる。

2. 月夜のテーブルかけ
◎おかみさんとたぬき
おかみさんがセリをつんでいると、たぬきがテーブル掛けを選択しているところに出くわす。色々話しているうちに、このたぬきはホテルを経営しており、そこで美味しい料理を提供していることがわかる。このたぬきが、茂平茶屋で作っている「みそおでん」の作り方を習いに来ることになる。
茂平さんにみそおでんの作り方を習ったたぬきは、一家を自分の経営する「ゆきのしたホテル」へ招待する。
こどもの太郎もつれ三人で「ゆきのしたホテル」へ。そこでおいしい野草料理をごちそうになる。
こころがほっこりする話。

3. 小さなつづら
◎茂平茶屋の近くにある、お土産屋さんを営む老夫婦と猿
「つるのおんがえし」のような話で、風邪を直してもらった猿に助けられる老夫婦の優しい心がとても良い。最後の一文が心に残る。
「おばあさんは、いちばんはじめに、猿が持ってきてくれた見本のつづらを、だいじにしています。これだけは、けっして売らないでおこうと心に決めているのです。」

4. ふろふき大根のゆうべ
◎もへいさんといのしし
買い物に行った帰り、いそいで山を登っていたところ、いのししに出会う。そこで手にしていた大根を見て、「一本わけてもらえませんでしょうか」と頼まれる。一本わけてあげたお返しに、いのししのふろふき大根パーティに、呼ばれてご馳走になる。帰りにほっかむりを借り外へ出ると自分の足が軽くなっていてあっという間に家に着くという話。

5. 谷間の宿
◎朝、茂平茶屋に息をきらしてやってきた男と虫
狭い宿で虫に囲まれる男のはなし。宮沢賢治の「注文の多い料理店」を彷彿とさせる。かなり怖いし気持ち悪い話。

6. 花びらづくし
◎おかみさんと桜の精
桜がちらほら咲き始めた頃、おかみさんのもとに、さくら屋から、年に一度やってくる、桜の精による、お祭りへの招待状が届く。まわりの婦人たちと一緒に当日出かけていく。そこで美しい枕を買うのだが、それを使って眠ると、桜のはなびらに自分がどんどん埋められていってしまう。最後はなんとか助かるものの、他にもいろいろ買ったものを林の中に置き忘れてしまう。若干、教訓めいていて怖い話。

7. よもぎが原の風
◎太郎&子どもたちとうさぎ
こどもが遊んでいるうちにいつのまにかうさぎになってしまっている話。安房直子さんは同じ様な話しを違う形で何回か書いている。あまんきみこさんなどもそうなのだが、結構児童文学になわとびをモチーフにして話を膨らませることがよくある。

8. てんぐのくれためんこ
◎たけしとてんぐ
傑作。絵本にもなっている。めんこの弱い男の子が天狗にもらっためんこで、きつねたちと勝負するうちに力を付ける話。「セロ弾きのゴーシュ」のような動物たちによって力をつける人間の姿がとてもほのぼのとしていて良い。

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ラ・カテドラルでの対話 上 [文学 その他]


ラ・カテドラルでの対話(上) (岩波文庫)

ラ・カテドラルでの対話(上) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/06/16
  • メディア: 文庫



この本に付された「緒言」によると、筆者バルガス=リョサ自身が自分の作品の中で「火事場から救い出す」としたら選ぶであろう作品らしい。

上巻だけでも600ページを超える大作。

初めに新聞社から出てくるサンティアーゴの描写から始まる。彼が家に戻り、妻のアニータから、犬が野犬収容所に連れて行かれてしまったことを教えられ、飼い犬を助け出すためにそこへ行き、無事救い出したところ、彼の実家の召使だったアンプローシオと偶然出会い、彼と「ラ・カテドラル」という飲み屋に行くことになり、そこでの対話を描いた作品。

資本家の下に生まれたサンティアーゴの、共産主義へと傾倒する自身のアイデンティティの葛藤、上流階級が進む大学ではなく、一般大衆が進む大学をあえて選び、そこで出会った共産主義者の女性アイーダと友人のハコーボとの三角関係、ハコーボの裏切り、ストライキによる蜂起の失敗、逮捕、裕福な生活を捨て、自立するために新聞社で働くことになるまでの物語が軸となって進む。

その裏で、彼の父親ドン・フェルミン、その友人ドン・エミリオ、権力者ドン・カヨ・ベルメデスの薄汚い政治的やり取り、警察の動きが挟まれる。

さらに、サンティアーゴと話をしているアンプローシオと彼の愛するアマーリアとの恋物語がところどころ入ってくる。

過去と現在を行ったり来たりするとともに、いろんな挿話が会話会話のあいだに入ってきて、リョサ特有の読みづらさがあるが、とにかく物語が面白い。重層的なのだが、それぞれの話がいろんなところでつながっており、絶妙なバランスで話が進んでいく。

アマーリアの純粋な心がとてもよく、彼女の挿話がとにかく楽しい。サンティアーゴの大学時代の恋と自分の内面の葛藤の部分もとても面白い。

読みづらいが本当に面白い作品だ。
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クラリネット協奏曲のための楽章 [ブリテン 協奏曲]

I. Molto Allegro
★★★★★★☆☆☆☆
元気に始まる。クラリネットも生き生きとした感じ。すぐに静かで牧歌的な雰囲気になる。ハープやティンパニー、トライアングル等も登場し若干不穏な雰囲気になる。ソロ・クラリネットと打楽器、他の管楽器の短いパッセージによる対決のような場面を経て、後半美しい幻想的な世界になり、最後は牧歌的に終わる。
雰囲気がコロコロ変わる楽しい楽章。

II. Mazurka elegiaca
★★★★★★☆☆☆☆
大草原をおもわせる壮大なオケによる伴奏の上を、哀愁漂う美しいメロディをクラリネットが奏でる。
曲は段々と行進曲風になっていき、異国情緒漂うメロディが流れる。最後は静かに曲を閉じる。

III. Finale
★★★★★★☆☆☆☆
明るく元気にソロが入ってきて、それにオケが答える。軽快で開放感のある音楽となり、楽しげに終わる。

この曲も悪くはない。
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ヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲 Op.15 [ブリテン 協奏曲]

I. Moderato con moto
★★★★★★★☆☆☆
ピッチカートの短い音で始まる。その後管楽器が若干悲しみを帯びた力強いメロディを奏でて始まる。
ヴィオラが勇壮に主題を奏で、ヴァイオリンがそれに応え、オーケストラも入ってくる。若干静かな第二主題。広がりのある展開部を経て、最後は最後の悲しみを帯びた力強いメロディが鳴り響き、カデンツァ的な美しいソロっぽい部分を挟み、静かに終わる。

II. Vivace
★★★★★☆☆☆☆☆
夢幻の世界に入ったかのようなもやっとした始まり。ヴァイオリンの静かなむせび泣くソロのあと、ヴァイオリンとオケも入り壮大な感じになる。途中ヴァイオリンとヴィオラの対話的な部分を挟み、最後は静かに終わる。

III. Passacaglia - Andante lento (un poco meno mosso)
★★★★★★☆☆☆☆
低い弦の「ブンッ、ブンッ」という音の上を、短いパッセージが重ねられてメロディを形作り、その後ピッチカートの伴奏の上を、スピード感のあるメロディがソリストによって奏でられていく。かなり緊張感のある場面。途中スピードがとまり、少しゆったりとした雰囲気となる。最後は民謡風メロディで静かに曲を閉じる。

悪くはない曲。
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人権は国境を超えて [その他 本]


人権は国境を越えて (岩波ジュニア新書)

人権は国境を越えて (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 伊藤 和子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/10/19
  • メディア: 新書



この本も仕事の関係で読んだ。

著者は弁護士。弁護士として働きながら、国産人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」というNGOを主催する女性。

弁護士として、「北京女性会議」に日本代表の一員として参加し、そこで話し合われたことに衝撃を受け、NGO立ち上げることになるまでを完結に記した「プロローグ」が一番読み応えがある。10ページ強のものなので、是非この部分だけでも多くの人に読んでもらいたい。

本編は彼女が、「北京女性会議」参加後、どのように弁護士としてはたらき、留学をし、国際人権団体を立ち上げ、様々な国で活動してきたか、年を追って、綴られている。

本編はそこまで刺激的な感じではないが、それなりに面白かった。

p.151
「私は世の中に様々な人権侵害があるけれども、アメリカのような超大国が、ルールを無視して、自分より弱い国を侵略して、罪もない人をたくさん殺害し、その責任をとらない、というのが一番深刻な人権侵害だと考えています。」

これはなかなか指摘しづらいポイントで、あまり多くの人が問題にしないが、確かに大きな人権侵害であると思った。

岩波ジュニア新書ということでそれなりに読みやすい本だった。
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2つの肖像 [ブリテン 管弦楽曲]

No. 1. David Layton: Poco presto
★★★★★☆☆☆☆☆
劇的に始まり、その後ミドルテンポの流麗な感じになる。その後少しゆったりとした雰囲気となり、中間部は混沌とした感じ。最後はヴァイオリンが静かにメロディを弾きしっとり終わる。

No. 2. E.B.B.: Poco lento
★★★★★★☆☆☆☆
静かな民謡風のヴィオラ(?)ソロで始まる。その後オケと対話的な感じで曲は進む。ソロとオケが重なり合っていく。最後まで穏やかに郷愁さそう感じの曲。悪くはない。
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ピアノと管弦楽のためのロンド・コンチェルタンテ [ブリテン 協奏曲]

1.第一楽章 Allegro Molto
★★★★★★☆☆☆☆
ピッチカートの弾けるような音で始まり、その後攻撃的で元気な主題が流れる。ピアノが入ってきて打楽器的な音でメロディを奏でる。中間部は穏やかな感じとなり、最後は再びスピード感を持って終わる。この楽章だけで普通の協奏曲の要素を全て含んでいる感じ。

2.第二楽章 Lento
★★★★★☆☆☆☆☆
沈鬱で暗い感じのピアノで始まる。暗く悲劇的なメロディを弦楽器が奏でる中、ピアノが鐘の音のように一定のリズムで重い音を鳴らす。その後、鐘の音が入る間隔が短くなってスピード感が増していく。最後は静かに弦楽器が曲を閉じる。
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ロッシーニの主題による組曲「マチネ・ミュージカル」 Op.24 [ブリテン 管弦楽曲]

1.行進曲:オペラ「ウィリアム・テル」第1幕第5曲「パ・ド・シス」
★★★★★★☆☆☆☆
派手で短い前奏のあと、若干早急な感じのメロディとなる。終始せわしない感じ。

2.夜想曲:「ソワレ・ミュージカル」から第8曲二重奏「魚釣り」
★★★★★★★☆☆☆
おもちゃのような愛らしい音色の前奏で始まり、優雅で美しい旋律が流れる。相当綺麗な曲。

3.ワルツ:「ソワレ・ミュージカル」から第11曲「饗宴」
★★★★★★☆☆☆☆
少し哀愁漂うメロディを持った派手な感じの曲。

4.パントマイム:「ソワレ・ミュージカル」から第5曲「非難」
★★★★★★☆☆☆☆
牧歌的なメロディを持った優美な曲。

5.常動曲:発声練習曲「ソルフェージュとゴルケへッジ」
★★★★★★☆☆☆☆
スピード感のある面白い曲。

ヴァライエティに富んだ飽きない曲集。

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ロッシーニの主題による組曲「ソワレ・ミュージカル(音楽の夜会)」 Op.09 [ブリテン 管弦楽曲]


1.行進曲:オペラ「ウィリアム・テル」第3幕第16曲「兵士の踊り」
★★★★★★☆☆☆☆
名曲「ウィリアム・テル」からの曲だけあり、元気でメロディもわかりやすい。

2.カンツォネッタ:「ソワレ・ミュージカル」から第1曲「約束」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした優雅な美しい曲。

3.チロレーゼ:「ソワレ・ミュージカル」から第6曲「アルプスの羊飼い娘」
★★★★★★★☆☆☆
とても有名な牧歌的な旋律で始まる。主題に入っても美しく若干哀愁漂うメロディが続く。やはり原曲が良いと聴きやすい。

4.ボレロ:「ソワレ・ミュージカル」から第3曲「誘い」
★★★★★★☆☆☆☆
異国情緒漂うメロディ。カスタネット?の音も鳴り響く。

5.タランテラ:合唱曲「慈愛」
★★★★★★☆☆☆☆
終曲にふさわしい派手な曲。

楽しく元気な曲集でとても聴きやすい。
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地球をこわさない生き方の本 [その他 本]


地球をこわさない生き方の本 (岩波ジュニア新書)

地球をこわさない生き方の本 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 槌田 劭
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1990/08/20
  • メディア: 新書



これも仕事関係で読んだ本。

1990年に出版された本だが、この本もやはりいまだに十分通用する内容を持っている。つまり日本は社会として、進歩していない、もしくは、退化していると言える。

「はじめに」に書かれているとおり、我々は「地球をこわしつづけているのです。毎日。」この考えをすべての人が持ち、すこしでもその改善に向け行動していけたら世界は変わっていくのにと思ってしまう。

食 の問題
ゴミの問題
物欲の問題
自然の問題
ゆっくり生きるとこの大切さ

こういったことを真摯に取り上げて話を勧めている。

筆者の食卓を構成しているものは「玄米、野菜、豆、小魚、海藻」らしい。いつも思うが、こうしたものを常に食べられる生活は、良いものだと思う。ここでは、アメリカの牛肉文化を取り上げ、餌の問題、ゲップの問題、など今でもよく取り上げられる問題が挙げられているが、一向に変化していない。

pp.107~108
「戦争では、自分たちが殺されるから嫌だ、というのは当然です。しかし同時に、隣の人たちを傷つけてはならない、そういうことには結局考えが及ばなかった。まちがったことがあったらまちがったことを反省して償わねばならないとおいうふうになっていない。だから日本の社会は、いまでも朝鮮の人たちや中国の人たちに償いをしていない。だから平気で、自分たちの金儲けだけのために外国の人たちに迷惑をかけることができるのかもしれません。」

1945年8月15日の敗戦依頼、戦争と真摯に向きあわず無責任に自分たちのしてきたことを反省してこなかった日本の状況も批判している。もちろん天皇を免責したことにたいする批判もある。

私もしょっちゅう言っているが、日本の平和教育は、戦争の悲惨さ、自分たちが受けた苦しみばかりを強調するもので、加害責任に向き合っていないし、そもそもどんな状況であれ人を殺すということがあってはならないことなんだという思想がない。こうしたことにも目が行き届いており、筆者の素晴らしい思想が随所に見える。

pp.119~120
「ものごと万事、欲望がすぐ結果に短絡するようになってしまっている。本当は何かを願望することと、願望したことが満たされるあいだが実は最も楽しい時間であって、満たされてしまったら、もうおしまいなのだというところがあるでしょう。」
今は満たされることが前提で、絶え間なく満たされるものを探し続け、行動し続けることが問題なのだろう。

p.124抜粋
「パニックのときは、立ち止まって、~中略~ 自分で考えて、みんなとちがう方向へ行くほう賢明なのです。
 勇気と知性をもって冷静に現実を直視しなければなりません。
 利己主義と刹那主義、目先のことと自分のことしか考えずに走ることは、もうやめたいものです。
 一人一人が自分を取り戻すことが大切です。パニックが過ぎてみれば元のもくあみという現実は、私たちの愚かさや不安を本質的に反省し、のりこえていないということです。」

 3.11後のパニック、コロナ後のパニック、そしてある程度落ち着いたあと、すぐにその前の状態に戻ってしまう愚かさ。ほんとうに日本は変わらない。

p.183
「なにも完璧な節約主義者にならなくてもいい。中途半端でいいと思うのです。」

最後のこの言葉は素晴らしい。中途半端でもいいから意識を持って少しでも現実を変えていく努力をし続けることこそ大事なのではないか。

良い本だった。

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カスタネット [文学 日本 安房直子 か行]


日暮れの海の物語

日暮れの海の物語

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2023/02/19
  • メディア: 単行本



お百姓の信太が、背中のかごにどっさりと梅の実をいれて、町へ売りに出かける。
町へ行く道中、おかみさんのことを考える。

おかみさんは三つ年上で、たいへんな働き者だが、ちっとも美しくないし、あまりやさしい言葉もかけてくれない。(もっと、べつのよめさんもらうんだった)とまで考えている。

森を歩いているあいだ、
「カタ、カタ、カタ」
という不思議な音が聞こえてくる。しばらく聞いていると、ある木の中から聞こえてくる木の精がカスタネットの音だとわかる。

木の中から出てきた木の精に、梅を少し分けてくれ、と頼まれ、あげる。木の精は帰ってくるまでに「砂糖づけ」にしておいてあげると約束する。

町で梅を全部売った帰り道、木の精に誘われ目をつむると、信太は木の中へと吸い込まれてしまう。

一日経っても帰ってこない信太を心配したおかみさんが、森へ向かう。
木のところには彼の帽子が。カスタネットの音を聞き、木の中に閉じ込められているのを知り、他にも閉じ込められていた数々の動物の助けを借りて、最終的には信太を救出する。

しかし、その過程で信太は足を痛めてしまい、足が動かなくなってしまう。

人間の欲望を描いたちょっと恐ろしい作品。あまり美しくないが働き者の妻がどうしようもない夫を助け出すというのが、安房直子さんっぽくて良かった。
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カーネーションの声 [文学 日本 安房直子 か行]


夢の果て: 安房直子十七の物語

夢の果て: 安房直子十七の物語

  • 出版社/メーカー: 瑞雲舎
  • 発売日: 2005/12/10
  • メディア: 単行本



書き手の祖父が七十いくつでなくなる。彼は十坪ほどの温室を残していた。そこにはいろいろな花が植えられていたが、カーネーションだけはもらいてもおらず全部捨てることに。

その後、その跡地にアパートが立つ。

そのアパートには八人の男が住むことに。
ある日のこと、住人の一人が、
「カーネーションよ、
 カーネーションよ、
 あたしらみんな、カーネーションよ」
という歌声を聞いたという。他の十人も同じように耳にしていた。

後日彼の部屋におじゃまして部屋にいると、確かに声が聞こえてくる。

それ以来、カーネーションは書き手の大好きな花に変わる。しかし徐々にカーネーションの声は聞こえなくなっていってしまう。

自然を壊す人間に警鐘をならす美しい作品。
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烏の北斗七星 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


注文の多い料理店 (新潮文庫)

注文の多い料理店 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/05/29
  • メディア: 文庫



風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/31
  • メディア: 新書



烏の義勇艦隊が軍事演習をしている。山がらすとの戦争に備えているのだ。
演習が終わり、からすの大尉は、いいなづけのからすと話をする。

青い鳥文庫版 p.158
「しかしもちろん戦争のことだから、どういうはりあいでどんなことがあるかもわからない。そのときはおまえはね、おれとのやくそくはすっかり消えたんだから、ほかへ嫁ってくれ。」

そして大尉は星へお祈りをする。

やまがらすとの戦。

大尉は生きて帰る。そして次のように言う。

p.166
「(ああ、マジエル様、どうかにくむことのできない敵をころさないでいいように早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引きさかれてもかまいません。」

ストーリー自体はたいして面白くないのだが、自己犠牲の精神、世界平和を望む宮沢賢治の思想が見える美しい作品。
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フランク・ブリッジによる変奏曲 Op.10 [ブリテン 管弦楽曲]

ブリテンの才能を見出してくれた、彼の師だったフランク・ブリッジに捧げた曲らしい。、

主題
★★★★☆☆☆☆☆☆
いきなりピッチカートで始まる。主題のメロディは全くわからない。なので、様々な雰囲気の曲が流れるのだが、あまりよくわからない。

Variation 1: Adagio
★★★★★☆☆☆☆☆
暗い悲しげな旋律。

Variation 2: March
★★★★★★☆☆☆☆
元気な行進曲

Variation 3: Romance
★★★★★★☆☆☆☆
優雅な曲

Variation 4: Aria Italiana
★★★★★★☆☆☆☆
不穏な感じで始まるが、その後明るく快活になる。

Variation 5: Bourree Classique
★★★★★★☆☆☆☆
バッハ的な響きを持った堂々とした曲。

Variation 6: Wiener Waltzer
★★★★★☆☆☆☆☆
少し諧謔的な現代的な曲。

Variation 7: Moto Perpetuo
★★★★★☆☆☆☆☆
少し攻撃的な性急な曲。

Variation 8: Funeral March 
★★★★★☆☆☆☆☆
悲劇的な重々しい曲。

Variation 9: Chant
★★★★★☆☆☆☆☆
幻想的な重い曲。

Variation 10: Fugue and Finale
★★★★★☆☆☆☆☆
元気に始まる。段々とゆったりと勇壮な感じになり、最後は静かに終わる。

途中楽しげでかなり良いが、はじめと最後の部分がイマイチ

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クラテュロス [哲学 プラトン]


プラトン全集〈2〉 (1974年)

プラトン全集〈2〉 (1974年)

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: -



ソクラテスとヘルもゲネス、クラテュロスが、「名前の正しさというものは、それぞれの有るものにたいして、本来本性的に[自然に]定まっている」かどうかを論じた作品。

今回再読なのだが、前回も感じたのだが、やはりあまり面白くない。

あるものに対して、名前がついているのだが、そもそも言語が違えば付いている名前も違うわけであって、それが本性的に定まっているのかどうかを論じること自体がナンセンスな気がするのだ。この辺の言葉の違いなどにも触れてい入るのだが、正直良くわからない。

議論は、ギリシア神話の神々に付けられた名前はそれぞれの神の特性を表しているかどうか、といった話になり、この名前はこの語源を持っているなどとなるのだが、ではその語源がそもそも何でそういう名前になったのか、ということには言及されない。これは「神の存在証明」であったり、「卵が先かにわとりが先か」とか『ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環』で論じられたものと同じで、結局は証明されようがないというか、議論の行き着く先がないものである。名前を付けるのは法律家である、といった話も出てくるのだがそれもよくわからない。

最後はイデア論的なことになっていくのだが、あまり成功しているとは思えない。

とてもchallengingなテーマを扱っているとは思うのだが、はっきり言って議論が空回りしてしまうテーマで面白くないと思う。

プラトンの中ではかなり残念な作品と言える。
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オリオン写真館 [文学 日本 安房直子 あ行]


見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: 単行本



この『安房直子コレクション2 見知らぬ町ふしぎな村』でしか読めない作品。

オリオン星座がさえざえとまたたく冬の晩、高い高い山で、生まれた猿のオリオン。
山での暮らしにあきあきし、人間の村へやってきて、ある写真館で見習いとして働くことに。
「そのうち、りっぱな写真師にしたててやるから・・・・・・」という主人の言葉を信じて3年間働くが、一度も写真機に触らせてもらえない。

おかしいと思ったオリオンは独立を決意し、主人から写真機を一台もらい、村へ繰り出す。
ちょうど小学校の入学式がある日で、たくさんの人から依頼を受け写真を撮る。夜、現像しようと写真機を開けてみると、なんと中にフィルムが入っていない・・・。

こまったオリオンはとなりまちへ逃げることを決意し、そこで新しいオリオン写真館を開く。
それなりに繁盛していたある日、夜遅くに女の子が写真を撮ってくださいとやってくる。
撮ってあげて現像すると星しか写っていない。しかも届け先もわからない。

結局オリオンは、星をさがし高い高い山を登っていき星を撮る写真家になる。

最後は、写真を撮ってものの現像してあげられなくて騙すような形になってしまった人々に、星の写真を送る。

自分の生まれ故郷に戻り、自分の過去を精算する、少し痛々しくも美しく優しい話。
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国際協力と平和を考える50話 [その他 本]


国際協力と平和を考える50話 (岩波ジュニア新書)

国際協力と平和を考える50話 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 森 英樹
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2004/02/20
  • メディア: 新書



仕事の関係で読んだ本。

2004年に出版された本で、扱われている題材が、2001年の「3.11」であったり、湾岸戦争であったり、小泉政権であったり、日本のPKO派遣問題であったり、と若干古くはあるのだが、そこに込められた思想や主張は全く古びておらず、逆にこういったものに通底する根本的な差別意識や日本の精神的な更新性のようなものが、20年近く経った今でも連綿と続いていることに恐ろしさを感じる。

世界的な国産問題
国連のありかた
日本の問題点
平和への道
が、それぞれ50話、うまく4ページにまとめられており非常に読みやすい本となっている。

岩波ジュニア新書、ということで、こうした良書を多くの中高生が読むことを望む。
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ナショナリズムの狭間から [学術書]


新版 ナショナリズムの狭間から: 「慰安婦」問題とフェミニズムの課題 (岩波現代文庫 学術 443)

新版 ナショナリズムの狭間から: 「慰安婦」問題とフェミニズムの課題 (岩波現代文庫 学術 443)

  • 作者: 山下 英愛
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2022/02/17
  • メディア: ペーパーバック



昨年の2月に岩波現代文庫から出版され、ずっと気になっていたのだが、硬い本を読むことから遠ざかっていて、こうした問題と向き合うのが億劫だったために買わずにいた。

昨年、何故だか覚えていないが、上野千鶴子の本を読みあさることになり、その流れでこの本を購入。上野千鶴子の本が一通り読み終わったのでこの本に取り掛かった。

作者は在日2世、というのだろうか。お父さんは朝鮮人、お母さんは日本人。
小学校は朝鮮学校、中学校からは日本の公立で過ごしたらしい。
韓国に留学し、「慰安婦」「挺身隊」問題に取り組み、活動を続けてきたひとのようだ。

自分の生い立ちから始まり、韓国留学中のフェミニズムや「慰安婦」問題の活動、日本に対する責任追及だけでなく、韓国における家父長制的伝統による、女性差別や蔑視の問題も取り上げており、「慰安婦」や「挺身隊」含め過去から現在における様々な女性をめぐる問題を、様々な観点から考え解決策を探ろうとしている本。

日本が韓国人慰安婦に問題解決として提示した「国民基金」の問題は、上野千鶴子も取り上げて詳しく論じており、上野千鶴子の日本側から見た問題点、山下英愛の韓国側から見た問題点、と二つの視点がわかって結構面白かった。

日本だけでなく、韓国の正差別的な、パワハラ・セクハラ状況も細かくわかり、結構勉強になる本だった。

p.191
「韓国であれ日本であれ、このように人を不当に差別し排除するあらゆるものに抗する立場(視点)に身を置き実践することが大切だと考えるようになったのである。私はその手がかりをフェミニズムから与えられたと思っている。」

p.194
「「慰安婦」問題が私たちに重要なのは、女性を兵士の性的慰み者にすることの問題性から発して、性的自己決定権を含めて、人権を尊重する社会を地球上にいかにつくってゆくのか、ということであろう。」

世界はかなり性差別を解消する方向へ向かっている。しかし日本は相変わらず、LGBT、夫婦別姓、税金の問題含め、いろいろな差別を解消しようとしない国家のままである。なんとか日本もより良い社会になり、皆が行きやすい社会へと変わっていって欲しいと切に祈る。
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シンプル交響曲 Op.4 [ブリテン 管弦楽曲]

第一楽章
★★★★★★★☆☆☆
信じられない程、優雅で美しい主題で始まる。第二主題は広がりのある優美な旋律。

第二楽章
★★★★★★★☆☆☆
ピッチカートを用い対位法的な楽しげで躍動感のある始まり。中間部は少し優雅な感じ。最後ははじめのメロディに戻り終わる。

第三楽章
★★★★★★★☆☆☆
悲しげな旋律で始まる。段々と光が差してくる感じとなる。中間部はピッチカートも用いた優しい雰囲気に。再び悲しげな旋律に戻り、最後は優しく終わる。

第四楽章
★★★★★★★☆☆☆
ベートーヴェンの力強さと、モーツァルトの優美さを併せ持ったような素晴らしい終楽章。

かなり良い曲。隠れた名曲。
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シンフォニエッタ Op.1 [ブリテン 管弦楽曲]

I. Poco presto ed agitato
★★★★★☆☆☆☆☆
おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい音楽。

II. Variations
★★★☆☆☆☆☆☆☆
主題がよくわからないので、変奏曲と言ってもよくわからない。正直つまらない。

III. Tarantella
★★★★★☆☆☆☆☆
攻撃的な感じで始まる。弦のピッチカートが緊張感を高める。中盤、静かな夜の音楽っぽくなり、最後は盛り上がって終わる。

普通。
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オペラ「コアンガ」 Act 3 [ディーリアス 声楽曲]


ディーリアス・ボックス(生誕150年記念)

ディーリアス・ボックス(生誕150年記念)

  • アーティスト: VARIOUS
  • 出版社/メーカー: Warner Music
  • 発売日: 2011/11/07
  • メディア: CD




1.Act 3-1 Lento Molto
★★★★★★★☆☆☆
穏やかで平和な美しい曲。

2.Act 3-2 Ah! Ah!... Oryame
★★★★★★★☆☆☆
美しいヴィカリーズ・コーラスから始まり、不穏なオーケストラがそれに答える。どんどん悲劇性を増して行きドラマティックに終わる。

3.Act 3-3 Come Tell, Ne Rangwan, Holy Priest
★★★★★★☆☆☆☆
力強い合唱。かなり劇的。

4.Act 3-4 Dance; See, He Prayed Voodoo Must hear him
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかな宗教的な合唱曲。

5.Act 3-5 Sick&Pale The Sun Sinks Down
★★★★★★★☆☆☆
まるで黒人霊歌のような大地をゆさぶるような美しい合唱曲。

6.Act 3-6  Ah! I hear Palmyra's Voice
★★★★★★☆☆☆☆
前曲の雰囲気を引き継いで、テノールが悲しげな旋律を滔々と歌う。後半合唱が入ってくる。最後は劇的な合唱となり終わる。

7.Act 3-7 Fools You are to weep & wail
★★★★★★☆☆☆☆
力強いバスの独唱で始まる。クリスチャンとヴードゥー教徒の和解を勧めている?合唱とバスが対話的に音楽をすすめる。

8.Act 3-8 Oh, Tell me where Koanga is!
★★★★★★★☆☆☆
ソプラノとテノールの対話。不安な感じと平和な感じが共存している。

9.Act 3-9 Koanaga,now
★★★★★☆☆☆☆☆
ティンパニーも鳴り響き劇的な音楽となる。

10. Act 3-10 I cannot bear the sight!
★★★★★☆☆☆☆☆
ソプラノの悲痛な叫びで始まり、鎮魂歌のような音楽となる。その後テノールが静かに語る。

11.Act 3-11 My Lord Koanga Dead!
★★★★★★★☆☆☆
女性が静かに悲しげな旋律を歌う。

12.Act 3-12
★★★★★★★☆☆☆
平和で崇高なオーケストラだけの後奏。非常に美しい。

13.Epilogue
★★★★★★☆☆☆☆
女性の語りから合唱、最後は流麗な後奏となり終わる。

全体的に流麗で美しいメロディを持った曲が多く、かなり聴きやすいオペラだと思う。
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オペラ「コアンガ」 Act 1, 2 [ディーリアス 声楽曲]


ディーリアス・ボックス(生誕150年記念)

ディーリアス・ボックス(生誕150年記念)

  • アーティスト: VARIOUS
  • 出版社/メーカー: Warner Music
  • 発売日: 2011/11/07
  • メディア: CD




1.Prologue Ha, Ha, Ha... Stop! Stop!
★★★★★★★☆☆☆
まさに物語のはじめのような楽しげで優雅な前奏のあと、女性たちが笑い合いながら登場する。伴奏は結構流麗な感じ。そこに男性が朗々と登場。女性たちと対話を繰り広げる。
中間部は優美で優しいオーケストラだけの音楽となる。非常に美しい雰囲気で子守歌のよう。
最後は民謡風な、懐かしいメロディを持った雰囲気となる。

2.Act 1-1 Oh, I cannot sleep
★★★★★★☆☆☆☆
ソプラノが静かに歌い始める。憂鬱げに、ねむれないことを嘆く歌?そこに男性が登場し、対話を繰り広げる。合唱も加わりドラマティックな感じになっていく。

3.Act 1-2 Ah! There's Palmyra
★★★★★☆☆☆☆☆
平和的なメロディで始まるが、再び憂鬱げになり、男性と女性が対話。合唱が後ろで流麗な伴奏を歌う。男性が朗々と歌う。女性は相変わらず憂鬱げ。

4.Act 1-3 But Here comes Martinez
★★★★★★☆☆☆☆
元気な合唱で始まる。太った感じのゆったりとしたバリトンが登場。テノールと明るく対話を交わす。後半再び元気な合唱となり終わる。

5.Act 1-4 O, Voodoo Marian, My Fathers from your grandmother
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く怪しい雰囲気で始まる。バスが悲しげな旋律を歌う。途中から少し激しい感じで憂鬱そうな女性も交えながらテノールとバスが会話を始める。後半は女性とバスの対話。

6.Act 1-5 If you agree to work with us, Koanaga
★★★★★★☆☆☆☆
ソプラノとテノールとバスの、調和してなさそうで不調和な三重唱。合唱も入ってくる。最後は調和して壮麗な感じとなり終わる。

7.Act 1-6 Agreed them, That's a Bargain!
★★★★★☆☆☆☆☆
不安げな感じ始まる。テノールとバスが対話を交わす。何かが決まったらしい。
相変わらず憂鬱げなソプラノと男性陣が対話を交わす。再び不調和な三重唱から勝利感に満ちた合唱となる。

8.Act 2-1 Now Once in a way we are free for a day
★★★★★★★☆☆☆
美しいアカペラ合唱で始まる。そのままたのしげで跳ねた感じの伴奏が入ってきて楽しげに合唱が歌う。

9.Act 2-2 He will meet her when the sun goes down
★★★★★★☆☆☆☆
再び美しいアカペラ合唱で始まる。メゾが少し情念的な暗い感じで歌い始める。「あなたの夫が~」とテノールが話しかける。

10. Act 2-3 How Time Flows on!
★★★★★☆☆☆☆☆
憂鬱げなソプラノのひとりがたり。途中からテノールが入ってきて、女性をなじる。

11.Act 2-4 The Hour is near, when I to him my soul
★★★★★★☆☆☆☆
珍しく流麗で優しい感じのソプラノソロ。結構綺麗なメロディ。後半はバスが入ってきて、悲劇的な伴奏で終わる。

12.Act 2-5 Far, Far Away, Palmyra, My people Mourn
★★★★★★☆☆☆☆
テノール?が悲しみに満ちた嘆きの歌を歌う。段々と魂が浄化されていく感じの雰囲気となる。

13.Act 2-6 Hail to thee, Mighty Prince
★★★★★★★★☆☆
勝利感に満ちた美しい伴奏の上で、ソプラノが流麗なメロディを歌う。その後合唱も入ってくる。ミステリアスな雰囲気もありとても美しく気高い曲。このオペラの白眉ではないだろうか。

14.Act 2-7 Where is Palmyra?
★★★★★★☆☆☆☆
「きゃー」というソプラノの声と共に激しい音楽が鳴り響く。

15.Act 2-8 Hear Me, God Voodoo... I have betrayed
★★★★★★☆☆☆☆
暗く重い音楽。バスが悲しげなメロディを歌う。最後は流麗な音楽となって終わる。

ディーリアスにしては、全体的にドラマティックかつメロディも美しく聴きやすい。
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