カスタネット [文学 日本 安房直子 か行]
お百姓の信太が、背中のかごにどっさりと梅の実をいれて、町へ売りに出かける。
町へ行く道中、おかみさんのことを考える。
おかみさんは三つ年上で、たいへんな働き者だが、ちっとも美しくないし、あまりやさしい言葉もかけてくれない。(もっと、べつのよめさんもらうんだった)とまで考えている。
森を歩いているあいだ、
「カタ、カタ、カタ」
という不思議な音が聞こえてくる。しばらく聞いていると、ある木の中から聞こえてくる木の精がカスタネットの音だとわかる。
木の中から出てきた木の精に、梅を少し分けてくれ、と頼まれ、あげる。木の精は帰ってくるまでに「砂糖づけ」にしておいてあげると約束する。
町で梅を全部売った帰り道、木の精に誘われ目をつむると、信太は木の中へと吸い込まれてしまう。
一日経っても帰ってこない信太を心配したおかみさんが、森へ向かう。
木のところには彼の帽子が。カスタネットの音を聞き、木の中に閉じ込められているのを知り、他にも閉じ込められていた数々の動物の助けを借りて、最終的には信太を救出する。
しかし、その過程で信太は足を痛めてしまい、足が動かなくなってしまう。
人間の欲望を描いたちょっと恐ろしい作品。あまり美しくないが働き者の妻がどうしようもない夫を助け出すというのが、安房直子さんっぽくて良かった。
2023-02-19 07:21
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