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あなたの人生の物語 [文学 アメリカ]


あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/09/30
  • メディア: Kindle版



同僚の先生に勧められて読んだ本。
短編集だが、タイトルとなっている作品が映画化されている。作者は、SF作家と位置づけられているらしい。

1.バビロンの塔
旧約聖書、神に近づくために高い高い塔を建てようとした人間たちの傲慢さに神が怒り、塔を壊し、お互いコミュニケーションがはかれないよう言葉をバラバラにしたというストーリーを小説化したもの。
高い高いバビロンの塔を築いていく過程で確かにこういうことがあるよな、ということをうまく表現している。最後にオチも絶品。

2.理解
植物状態から薬の投与によって生還したが、それによって人並み以上の知力を得てしまった人間の話。若干『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせる。テーマは人は自分をどれほど客観視できるかということなのだろう。『ゲーデル、エッシャー、バッハ:あるいは不思議の環』や『法律事務所』も彷彿とさせる色々な要素の詰まった作品。

ここまでは結構楽しく読めた。しかし
3.ゼロで割るはつまらなかった。
4.あなたの人生の物語
これがタイトルとなっているもので、宇宙人がやってきてその宇宙人の言葉を解読しようとしているうちに、物事の全体像を感知できるようになってしまった女性の話。予定説などもテーマになっており面白くはあるが、わかりづらい構成で、いまいち。

このあと結構つまらない作品が続く。

8.顔の美醜について
これはまあまあ面白かった。ルッキズムに対する意義を唱えた思考実験的作品。

やはり私はSFは肌に合わないと感じた。
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ロデリック・ハドソン [文学 アメリカ]


ロデリック・ハドソン (講談社文芸文庫)

ロデリック・ハドソン (講談社文芸文庫)

  • 作者: ジェイムズヘンリー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/06/11
  • メディア: Kindle版



ロデリック・ハドソンというアメリカ人の若いまだ売れていない彫刻家を、アメリカの資産家ローランド・マレットがパトロンとなって、ローマへ連れて行き、有名にさせようとする話。

ロデリックの婚約者メアリ・ガーランドと、ローマで出会った絶世の美女クリスチーナ・ライトとの四角関係を描いた作品で、純粋だが文化や伝統がないアメリカと、文化や伝統はあるが、それに縛られてしまっているため自由がなく、自分の心に純真に生きられないヨーロッパ社会の対立を描いが、ヘンリー・ジェイムズが生涯持っていたテーマをわかりやすく描いた作品。

面白くなくはないのだが、なんにしろ、若き彫刻家ロデリックの身勝手さ、道徳観のなさなどが鼻につき、なんとなく読むのが苦しかった。純粋で知的で真っ直ぐなメアリとローランドが最後結ばれることをひたすら望むのだが・・・。

かなり長い作品で結構読むのがしんどかった。
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国際エピソード [文学 アメリカ]


国際エピソード (岩波文庫 赤 313-2)

国際エピソード (岩波文庫 赤 313-2)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2023/03/13
  • メディア: 文庫



アメリカへ行った二人の若いイギリス人の従兄弟達が、友人に紹介された、アメリカ人女性姉妹の家で数週間過ごす。そのあいだに、ランベス卿という若い方の男が、ベッシーというアメリカ人女性の妹に恋をする。ランベス卿は、「変なアメリカ女に捕まってはいけない」と心配した母親にイギリスへ手紙で連れ戻される。数ヵ月後、アメリカ人女性姉妹はイギリス、ロンドンへ旅をする。

ロンドン滞在中、ベッシーとランベス卿は頻繁に会い、お互い心を寄せ合うようになるが、アメリカとイギリスの文化の違い、ランベス卿の母親の、チクリと相手を敬遠するような(実は猛烈な)反対に会い、結局二人は結ばれずに終わる。

知的で自由で、ものごとを率直に話すアメリカ人女性と、伝統に縛られ、様々な文化の柵の中で生きなければならないイギリス人男性の対比が非常に面白い。先日読んだ、『小公子』でも、お互いの国がお互いの国に対する偏見を持っており、なかなかそれが乗り越えられない、という同じような感じのテーマを扱っており面白かった。『小公子』は結局、二つの文化が和解して終わるが、これは決裂して終わるのも面白かった。

旧字体を使用しているということもあり、短いが結構読むのに時間がかかる本だった。
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子供たちの聖書 [文学 アメリカ]


子供たちの聖書

子供たちの聖書

  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2021/12/18
  • メディア: 単行本



東京新聞の書評欄のようなところに載っていて興味を持って読んでみた。みすず書房が出しているし、少し値段も高いけど面白そうだから買ってみようかと思ったが、図書館でとりあえず借りてから、と思い読んでみて正解だった。全く面白くなかった。

大学の同級生である親たちが、子供たちの夏休みに合わせ、大きな邸宅を借り、自堕落な生活を送っている。そんな親たちを馬鹿にしながら、ゲーム感覚で楽しむ子どもたち。そんな中ハリケーンが襲いかかりライフラインは遮断され、食べ物にも困る。何も出来ない親たちを残し子どもたちは自分たちで生活場所を探しに行く。浮浪者のような男性に導かれ現在オーナーが住んでいない家に住まわせてもらえることになる。そこで様々なひどい体験をし、最後は何とか救われる、という話。

はじめの自堕落な生活をするところは読んでいて退屈だし、後半ハリケーンに襲われたあとも結構ひどい描写だし、子供たちの親に対する反発心や行動にも共感が持てなかったし、聖書に関する部分も中途半端だしと、すべてがもう一歩。なぜ これがアメリカでベストセラーになり、注目されるのかイマイチわからない。恐らく現代アメリカの苦悩みたいなものは、数百年前の人たちの数千年前の人たちの苦悩よりも、私にとっては共感できないものなのだろう。

とにかくもう一歩だった。
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Moby Dick Chapter 61 ~135(Epilogue) [文学 アメリカ]


Moby Dick (Wordsworth Classics)

Moby Dick (Wordsworth Classics)

  • 作者: Melville, Herman
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1999/12/01
  • メディア: ペーパーバック



前半は、船に乗り込むまでのストーリーはそこまで面白くないまでも、それなりに楽しめて読めていた。しかし、噂に聞いていた通り、船に乗ってからは全く面白くなかった。語り手の、鯨に関する薀蓄などはある程度、「へえ、そうなんだあ」とその時は思いながら読んではいるが、そもそも鯨というものに、さらに言えば動物というものに興味がない自分としてはすぐに忘れてしまう類の内容。

船の中での会話や生活、いざこざなどもそれがもとで色々発展するわけでもなく、Moby Dick以外の鯨を捕まえる場面なども、実際どのように捕まえるのかを知らないので文字だけ読んでもイメージできないので、銛や紐がどのように使われ、ボートがどういう位置関係にあり、最終的に捕まえた鯨はどうなるのか、など全く分からず正直ページをめくっているだけだった。

語り手Ishmaelの親友Queequegが死にそうになり、棺桶を作る場面だけが、後半で唯一楽しめた箇所だった。

鯨船というものは、めったに鯨に出会えるものではなく、航海の大半は何も起こらないらしい。それを示すために、鯨の薀蓄を長々と述べているのだ、となんかの説明に書いてあったが、そうなのかもしれないがやはり小説としては圧倒的なつまらなさだった。

何故これがモームの『世界十大小説』に選ばれるのかわからない。モームのその本を読めば良いのかもしれないがそれも面倒。

James Joyceの『ユリシーズ』よりもつまらなかったかもしれない。

残念!!!!
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Moby Dick Chapter 1 ~60 [文学 アメリカ]


Moby Dick (Wordsworth Classics)

Moby Dick (Wordsworth Classics)

  • 作者: Melville, Herman
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1999/12/01
  • メディア: ペーパーバック



日本語タイトル『白鯨』。ずっと気になってはいたが、あらすじはあまりにもつまらなそうだし、どんあ紹介文を読んでも、ストーリーから外れた鯨の話が大変で読み進めるのが困難とあり、正直ずっと敬遠していた。
昨年、同僚の国語の先生と古典作品についていろいろ話しているうちに、モーム『世界10大小説』に紹介されている本の中で、未読であった、前回読んだTom JonesMoby Dickは英語で書かれた本だし、とりあえず読んでみるか、ということでbookdepositoryの10%オフクーポンがちょうど届いたタイミングで購入した。

初めは鯨についての過去の名作の引用文が並んでおりそこはカット。本編を読み始めると思っていたよりは読みやすかった。特に、Pequodという船に乗り込む前に、Queequegと呼ばれる人食い人種と噂される恐ろしい人物とふとしたことから同じベッドに寝なければならなくなり、色々な過程を経て親友になるまでの、主人公Ishmaelの心の動きの描写はとても心に響く。船に乗り込んでからは様々な乗員の人となりの説明となり、様々な鯨の話もストーリーの中にたくさん入ってくる。正直普通のストーリーのところもあまりしっかりわかっているわけではないので、同じ感覚で読んでしまうので、そこまで鯨の話も苦にならない。

鯨取りを職業としている人は、屠殺業と見られて低く見られているとか、鯨から取れる油がどうだとか、鯨は何科の動物なのかとか、かつての文学作品ではどう描かれているかとか、とにかく色々な話が出てきてそれなりに楽しく読める。

大体半分からまで来た。確かに読みやすい作品ではないが、つまらない作品かと言われるとそうでもない。なんとか最後まで行ける気がした。
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Absalom, Absalom! [文学 アメリカ]


Absalom, Absalom! (Vintage Classics)

Absalom, Absalom! (Vintage Classics)

  • 作者: Faulkner, William
  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 1995/01/19
  • メディア: ペーパーバック



人生で読むべき名作100などにも作品が多く選ばれるウィリアム・フォークナー。ずっと気になってはいたが、あらすじなどを読んでも全く楽しそうではなく、難解な作品とくれば読む気も失せ、今年までずっと敬遠してきた。しかし、同僚から『八月の光』を強く薦められとりあえず読んでみようと読み始めたフォークナー。

Light in August
As I Lay Dying
The Sound and the Fury
Sanctuary

と読み、最後にこのAbsalom, Absalomを読んだ。

当然、あらすじ等をがっつり読み予習したうえで読み始めた。
ページを開いただけでその読みづらさは半端ない。
まずは、One Sentenceがとにかく長い。ピリオドなどほとんど見つからず、コンマすらなかなか発見できない。senntenceが長いだけでなく、paragraphも半端なく長い。見開き2ページ段落落ちが全くない箇所もたくさんある。

まあ、とりあえず読み進めた。読み始めると思っていたよりは読め、あらすじ、人間関係も把握しているだけあり、それなりに理解度は高いまま読み進められた。

簡単に言えば、トマス・サトペンという、原始共同体のようなところで生まれ育った男が、階級社会が存在する資本主義的世界を目にし、自分も上の階級へのし上がろうと多少の無茶もしながらのし上がり、その過程で子供を作り、相手の女性が黒人だとその女性を捨て、捨てられたり見捨てられたり、裏切られたりした、女性や子供たちが様々に苦労して人生を送るという話。

上記の内容を、その当事者たちが後になって語ったことや、当時の人たちから伝え聞いたことを他の友達に話すといった、かなり回りくどい形で物語が進んでいく。しかも時系列がとにかくバラバラなので、全体像がもやっとしたままひたすら進んでいくのがなんとなく気分が晴れないまま読み進めることになる。

日本の近代小説のような感じで、後継ぎ問題(男性でないとあとを継げないのでひたすら男の子供を望む父親)、黒人差別問題、ジェンダー差別問題、南北戦争がテーマといったところだろうか。

黒人の血が混じった女性や子供を迫害する癖に、黒人女性と性交渉を持って子供を作る男たちの感覚が良く分からない。

とにかく、何が真実で全体像がどうなっているのかが結局最後まで分からないのでとにかく読後感がすっきりしない作品だった。途中、当時の人々がどのようなことを考え行動したのかを二人の若者、シュリーブとクエンティンが語らう場面が延々と続く場面(7,8章)があるのだが、ここがとにかく何を言っているのかわかりづらく非常に読みづらかった。

確かに文学作品として先進的で野心的な作品なのだろうが、内容的にすごく面白いのかというとそうでもない気がする。『ユリシーズ』『失われた時を求めて』などと同様に文学史上エポック・メイキング的な作家なのだろうが、純粋に物語を楽しむという点においてはやはりもう一つな気がする。

将来的に本当に暇な時間ができたら再読しても良いかな、とは思う。
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Sanctuary [文学 アメリカ]


Sanctuary (Vintage Classics)

Sanctuary (Vintage Classics)

  • 作者: Faulkner, William
  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 2011/06/02
  • メディア: ペーパーバック



FaulknerのSanctuaryを読み終わった。200ページ強と短いこと、Sound and FuryAs I lay dyingのような構造の複雑さや、語りの複雑さがないことなどから、結構読みやすいのは読みやすかった。

とはいえ、とにかく暗い。文字だけしかなくても、読んでいるだけで暗いイメージがひたすら思い浮かべられ、とにかく暗鬱な感じでひたすら読んだ。

弁護士Benbowが初めに訪れる、PopeyeやGoodwin達がねぐらにしている場所。乱暴されたのちにTempleが連れていかれたMiss Rebaの晩春宿。留置所、裁判所、さらにいえば、Benbowの妹がすむ家や、Benbowがすむ家までも、常に話題が暗いので、暗さを帯びてイメージが湧き上がってくる。

乱暴された白人女性Templeもとにかく性に奔放でどうしようもない性格がにじみ出ていて、全く同情心が湧いてこないし、共感できない登場人物ばかりなので、物語に入り込んでいけなかった。

最後の章で、悪の根源Popeyeの育ちが描写された後、乱暴され裁判で偽証をし家に戻ったTempleの様子が描かれるのだが、家族がのんびりするバックで、クラシック音楽(しかもマスネ、スクリャービン、ベルリオーズという謎のラインナップ)が流れるあたり、最下層で育ったPopeyeが上流階級で育ったTempleに乱暴を働いたことが、さらに強調されて我々の前に現れてくるしかけを作っているのは面白いと思った。

しかし、あまりに暗く救いがなく、もう読みたくない本だ。
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The Sound and the Fury [文学 アメリカ]


The Sound and the Fury (Vintage Classics)

The Sound and the Fury (Vintage Classics)

  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 1995/01/19
  • メディア: ペーパーバック



フォークナーの『響きと怒り』を読み終わった。この題名はシェイクスピアの『マクベス』からとってきているらしい。

「かなり読みづらい」という前評判を聞いていたので、覚悟して読んだ分&あらすじをしっかり読んでから読んだ分、それなりに読めた。

全部で4章に分かれており
1章:姉Caddyに可愛がられ、そのCaddyに精神的安定を強く求める、知的な発達障害を持つBenjyの視点から語られる物語。
2章:妹Caddyに何らかの恋愛感情を持ってしまい、そのCaddyの性的な奔放さを許せぬまま、悶々とした想いを持ち続けるQuentinの視点から語られる物語。
3章:妹Caddyが、結婚前に、夫とは別の男性と肉体関係を持ったことで生まれてきた子が、夫の子ではないことがすぐにバレ、離婚され家からも追い出されてしまったCaddyの変わりに、その子Quentin(
2章の語り手と同じ名前だがこの子は女の子)を育てているJasonの視点から語られる物語。
4章:この一家を裏で支える、黒人メイドのDilseyを中心に語られる第三者の視点で語られる物語。

第一章が知的障害を持つBenjiの視点で語られるから一番読みづらいと書かれているものが多いのだが、ここは会話文も多く、具体的なことが語られうことも多く、一文一文も短いので一番読みやすく理解できた。
第二章は、ハーバード大学に通うほどの知的な男性の視点から語られるものでしかも、次から次へと頭の中に浮かんできたものを文章化しているので非常に読みづらかった。ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を読んだ時と同じ感じを持った。文の切れ目もな少なく、全く何を言いたいのかわからない部分の方が多かった。『ユリシーズ』の最終章、スティーブン・ディータラスの妻の、寝る前の頭の中をひたすら文章化した最終章と似たような感じだった。
第三章もわかりづらい、ひたすら金と姪のQuentinを追いかけるJasonの行動が全く理解できないのでよくわからない。
第四章も客観的な視点で読みやすいと思いきや、黒人英語がかなり多く出てくるので、よくわからない。

アメリカ文学、ひいては世界文学の古典的名著とされており、確かに様々な登場人物の視点で物語を構成し、時間も行ったり来たりさせ、意識の流れを文章化し、家族の内的崩壊を描くなど、様々な点で実験的で面白くエポック・メイキング的な部分は多いのだろうが、物語として面白いか、というともう一歩な気がする。
皆の中心にいる、Caddyの視点で語られる章が一つあるとまた違っていたのではないかと思うのだが・・・。
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As I Lay Dying [文学 アメリカ]


As I Lay Dying (Vintage International) (English Edition)

As I Lay Dying (Vintage International) (English Edition)

  • 作者: Faulkner, William
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 2011/05/18
  • メディア: Kindle版



フォークナーのAs I Lay Dyingを読み終わった。
この話も、結構複雑な構成らしく、せっかく読んだのにほとんどわからない、という状態が嫌だったのでかなり詳しいあらすじを洋書と共に読みすすめた。

母親のAddieは「自分が死んだら遺体を自分の父親のお墓に埋めて欲しい」と頼んでいた。そして彼女が死んだことにより、遠く離れた彼女の実家に、家族全員で彼女の遺体を埋めに行くという話。
本当にあらすじだけを読むとなんでもないのだが、この一本線に進んでいく物語を、家族の様々な人物の視点で描き出していく。現在ではよくある手法であり、現代の日本の小説なんかを読むとストーリーもわかりやすくとっても楽しめるのだが、この本はなかなか全体像が見えてこずとても読みづらい。あらすじを読まなければ、それぞれの登場人物がどういう関係性になるのかもなかなか掴めない。

とはいえ、それぞれ個性的な人物たちばかりで、彼らの面白い視点で起こった出来事を語っているので、読んでいるうちに、それぞれの人物たちがむちゃくちゃな性格であるにもかかわらず、愛すべき存在になっていくのが不思議だ。

良く出来たロード・ムービーのような感じになっていて、ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』に近い雰囲気を感じた。妻が自分の遺体を父親の元へ戻してくれるよう頼むようになる、精神的過程を描いたAddieの語りが非常にシリアスであり、とても興味深い。

結構面白かった。もう一度読んでも見ても良いかな、と思わせる作品であった。


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Light in August [文学 アメリカ]


Light In August (Vintage Classics)

Light In August (Vintage Classics)

  • 作者: Faulkner, William
  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 2000/10/05
  • メディア: ペーパーバック



職場の同僚に強く薦められてWilliam Faulknerを読み始めた。
一番読みやすそうな『八月の光』から読み始めた。

結構話が入り組んでいてついていけなくなり、大半が良く分からない、という状態で読み進めるのが嫌だったので、日本語であらすじをかなりがっつり読みながら、原書を読み進めた。

登場人物が少なく、人間関係もそこまで複雑ではないので、結構混乱せずに読み進めることが出来た。
物語は二つの話を軸に進んでいる気がする。

純愛:バンチ ⇒ リーナ ⇒ (バーチ)
暴力:クリスマス=バーチ、ハンインズ(クリスマスの祖父)、ハイタワー牧師

人種問題、そこに絡む暴力性、性的問題、さまざまな問題が、様々な登場人物の内面を描きながら多角的に描かれる。非常に主題の掴みづらい作品であり、最終的に頭をまとめようとするとうまくまとまらない作品ではある。
バンチとリーナの純愛度が高く、この部分は読んでいて気持ちが良かった。

それなりに面白くはあったが、ものすごい傑作か、と聞かれると微妙な気がする。

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White Fang [文学 アメリカ]


Call of the Wild and White Fang (Wordsworth Collection)

Call of the Wild and White Fang (Wordsworth Collection)

  • 作者: London, Jack
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1998/01/01
  • メディア: ペーパーバック



Call of the Wildは、西海岸で、平和で幸せな暮らしをしていた犬が、アラスカの厳しい環境に連れていかれ、そこで野生化する物語であったが、このWhite Fangは逆で、完全なる野生で厳しい生活をしていた狼犬が、人間の飼い犬となり、そこでひどい扱いを受けながらもなんとか生き抜き、最後にやさしい飼い主に引き取られ、愛情をもって接してもらうことによって、段々と人間に愛着を持つようになっていき、最終的には西海岸で、人間の掟を学習し、幸せに暮らすようになるというもの。

初めは客観的な描写が多く、しかもあまりなじみのない自然描写ばかりだったのでかなり読みづらかったが、人間とのかかわりを持つようになり、心の交流が生まれるようになってからはかなり読むスピードがあがった。人間世界で生きながらも全く人間に愛情を持たず、「食うか食われるか」の厳しい世界で生きてきた一匹狼が最終的に「愛情」を持って周りの世界とかかわれるようになる過程は感動的である。このオオカミを人間に変えることによってかなり違った読み方が出来ると思う。

先にも書いたが、最初はかなり読みづらいが最終的にはとても面白い本であったと思う。
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Call of the Wild [文学 アメリカ]


Call of the Wild and White Fang (Wordsworth Collection)

Call of the Wild and White Fang (Wordsworth Collection)

  • 作者: London, Jack
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1998/01/01
  • メディア: ペーパーバック



Jungle Bookと共に、動物系文学ということで購入しておいた本。
Thomas Hardyが一段落したので、読んだ。

温暖なカリフォルニアで人間に買われ楽しく暮らしていた犬Buckが、アラスカで発見された金を求めるGold Rushという人間たちの欲望に巻き込まれ、苦難の人生を歩み、最終的には野生の本能を目覚めさせ、狼たち[犬]の群れに入っていき、自然の中で生きることを示唆して終わる物語。

出だしが、とても印象的だ。

p.3
「Buck DID NOT read the newspapers, or he would have known that trouble was brewing, not alone for himself , but for every tide-water dog, strong of muscle ~」

「バックは新聞を読まなかった。そうでなければ(新聞を読んでいれば)、バックは、大変なたくらみが進行中であることを知ったであろう。そのたくらみは彼だけでなく、素晴らしい筋肉を持った雪に強そうな犬たちすべてに向けられたものだった。

つまり、新聞を読んで、アラスカに向かうGold Rushを知っていればもっと用心できたであろうということだと思う。Buck couldn't ではなく、didn'tであることがポイントなのだと思う。「読めたのに読まなかった」つまり、それほど文明化していた犬が最終的には野生化していく過程を強調して描いているのだと思う。

ギャンブル好きの庭師に金目当てで、売られたBuckはアラスカへと運ばれる。そこで様々なタイプの飼い主や、様々なタイプのそりを引く犬たちと出会い、心の葛藤・実際の闘争の末、何とか生き抜いていく。最後の飼い主、John Thorntonとはかなり心通わすが、彼がYeehatsというNativeの部族に殺されたことにより、野生化するあたりも何だか切ない。

面白くなくはなかったが、やはりイマイチだった。Jungle Bookもそうだし、『シートン動物記』などもそうなのだが、やはり私は動物文学があまり得意ではない。

一緒に、White Fangもついているので、頑張って読みたい。
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TH1RTEEN R3ASONS WHY [文学 アメリカ]


Thirteen Reasons Why

Thirteen Reasons Why

  • 作者: Asher, Jay
  • 出版社/メーカー: Penguin
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: ペーパーバック



インターネットでオススメの洋書を検索していたときに出会った本。読んでいる途中で知ったのだが、この本はアメリカでテレビ・ドラマ化されているらしく、とてもヒットし、日本でも放映されていたらしい。

内容は非常に一人の高校生女子が自殺してしまうのだが、その自殺に至った敬意を吹き込んだカセットテープ(この時代にカセットテープに吹き込むというのもおもしろい)を、自分の自殺に関わった人々に次々に回っていくようにするという話。

あらすじなどを読むと、そのカセットを聞いた13人の人たち一人一人の語りでそれぞれの章が構成されているのかと思っていたのだが、基本的には主人公一人がカセットテープを聴き、カセット・テープで語る自殺した女の子Hannah, 彼女を愛していた主人公Clayの心情が交錯しながら物語は進んでいく。

Hannahのカセットの声はイタリック、その他は普通の文字で書かれるのだが、それぞれが行が空いていないので、普通に読んでいると、「あ、これイタリックだった」といった感じでどっちの発言だがわからず読んでしまっていたという箇所が少なからずあった。

恋人に対する隠撮、卑猥な噂、いじめ、盗撮、強姦、裏切り、交通事故、生々しい成功描写等、色々なことが次から次へと起こり、それぞれが非常に重い内容なのだが、Hannahの語りが基本的に客観的で淡々としているので、非常に落ち着いて読むことができる。

自分に対して直接傷つけた人間たちを告発するというよりは、間接的に関わった悪意のない悪を告発している内容と言える。

人間は自分が意図することなく、何気ない行動・言動によって人を大きく傷つけている。これは世界中すべての人に言えることだ。人間の言葉は凶器であることは間違いないのだが、人間が人と関わって社会の中で生きているということ自体、常に人を傷つける可能性があるのだ。

そのことに自覚的になるとともに、常に敏感に色々なことに意識を向け、おかしいと思ったことに対しては積極的に関わり、行動していくことの大切さを改めて認識した。

とても良い本だった。
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とびきり すてきな クリスマス [文学 アメリカ]


とびきりすてきなクリスマス

とびきりすてきなクリスマス

  • 作者: リー キングマン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1990/11/19
  • メディア: 単行本



妻が何年も前に買ってず~と読まないので、もったいないので息子と読んだ。
アメリカに住む北欧系移民の大家族の話。貧しいながらも家族が力を合わせて暮らしを立てている。一番上の兄は成人し、船乗りとして働いている。クリスマスにはいつも家族みんなにプレゼントを買って帰ってきてくれる。

しかし、今年は彼が乗った船が行方不明で消息がわからない状態。そんな状態なのでいつも楽しみにしているクリスマスの楽しみが若干薄れてしまっている。

そんな中主人公のエルッキは、家族みんなに手作りのプレゼントを作ってクリスマスに渡そうと孤軍奮闘する。
最後は・・・。ハッピーエンドで終わる。

とびきりすてきなものとは、お互いがお互いを思うことであり、誰かが存在することであり、自分の手で作ったものである、という伝えたいメッセージはとても良く、とても暖かい話ではあるのだが、全体としてはもう一歩。岩波少年文庫にもなっているようだが、そこまで有名にならないのもわかる気がする。

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Charlotte's Web [文学 アメリカ]


Charlotte's Web (A Puffin Book)

Charlotte's Web (A Puffin Book)

  • 作者: E. B. White
  • 出版社/メーカー: Puffin Classics
  • 発売日: 2014/07/03
  • メディア: ペーパーバック



『シャーロットのおくりもの』という邦題で出版されているこの本。方々で絶賛され、児童文学の最高傑作などと称しているものもある。

表紙を見ると、Charlotteというのは豚を抱えている女の子のことだと思い、女の子と豚の友情物語なのだろうなあと思って読み始めた。そして、出だしはその通りで、殺されそうになる豚Wilburをこの表紙の女の子Fernが助け、自分で育てる場面ではじまる。しかしすぐにこのWilburとFernは離れ離れになってしまい、物語は、Wilburが行った先の農場での動物たち、生き物たちの面白く温かい交流が中心となる。そしてこの題名の意味も分かるようになる。

確かに生きることのすばらしさ、友情のすばらしさを描いた作品なのだろうが、どれもこれも中途半端で、何がそんなに素晴らしく、絶賛されるのか私にはわからなかった。私は児童文学でも結構楽しめるし、かえって児童文学のほうが感動したりする。しかしこの作品から圧倒的な何かを得ることはできなかった。かなり期待していただけに残念だった。
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Number the Stars [文学 アメリカ]


Number the Stars

Number the Stars

  • 作者: Lois Lowry
  • 出版社/メーカー: HMH Books for Young Readers
  • 発売日: 2011/05/02
  • メディア: ペーパーバック



Lois Lowryという人の書いたNumber the Starsという本を読み終わった。
100ページ強の短編だが、内容は結構濃い。

時は1943年、ナチス支配下のデンマーク、コペンハーゲンを舞台にした物語。
普通の家族が、隣人のユダヤ人家族を守るためにした行動を描いたもの。

デンマークが舞台ということで、物語の進行に合わせて、アンデルセン童話のモチーフが使用されていて、面白い。
題名のNumber the Starsは物語中に、聖書の詩篇を皆で読む場面があるのだが、そこから取られている。
とてもシリアスなテーマなのだが、淡々と語られており、読みやすい。
「無知(知らない)でいることが勇気につながる」というテーマもとても良い。

我々は、どうしても物事を細かく知りたくなってしまう習性がある。
が、知らないこと、無知でいることにより、避けられる災難も数多い。

勇気と「無知と知」をテーマにした本書。面白かった。
が、もう少し物語を広げて欲しかったとは思う。

基本、子供向けの小説ということなので、これくらいの長さと深さがちょうど良いのかもしれないが・・・。
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The House on Mango Street [文学 アメリカ]


The House on Mango Street (Vintage Contemporaries)

The House on Mango Street (Vintage Contemporaries)

  • 作者: Sandra Cisneros
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 1991/04/03
  • メディア: ペーパーバック



The House on Mango Streetを読み終わった。
中高生にオススメの洋書を、海外で中高時代を過ごした友人に聞いたところ、この作品を挙げていたので、読んでみた。Mango Streetというアメリカの貧しい地域で育つ少女Esperanzaの視点で、自分の身の回りの人々、自分に起こった出来事を日記のように綴っている作品。
一章一章がとても短いので、非常に読みやすいが、それぞれが基本は単独の描写となっているので、一つの物語としてつながりのあるものではないので、全体像がつかみづらい。ある意味、「意識の流れ」小説に近い、作者の視点で考えたこと、感じたことをありのままに綴った小説といえる。

このEsperanzaという少女、かなり恵まれない境遇に育っているらしく、彼女が視線を向ける先も恵まれないものたちが多い。しかし、その語りが非常にNeutralでイジイジしておらず、どこか前向きな感がある。

とはいえ、先にも書いたが、一貫したストーリーのようなものがあるわけではなく、小説の中にどっぷりつかりたい私としては、人の日記をただ読まされている気がしていまいちな感じだった。

100ページ強と短い作品だし、もう一度新たな視点で読み直してみてもよいかなあ、とは思う作品ではあった。
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A Connecticut Yankee in King Arthur's Court [文学 アメリカ]


A Connecticut Yankee in King Arthur's Court (English Edition)

A Connecticut Yankee in King Arthur's Court (English Edition)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/04/18
  • メディア: Kindle版



2年半前くらいに、劇団四季『王子と乞食』を観て、その原作を読んでみたいとおもい、Mark Twainのほかの作品も一緒に色々と購入したのだが、これでその時買った本が一応全部読み終わった。

前作Personal Recollections of John of Arcが非常に長く、読みづらい作品だったので、この
A Connecticut Yankee In King Arthur's Courtを読み始めたときは、一ページの文字情報も若干少なめだし、全ページ数も少なめだし、構文等も比較的分かりやすいし、これは楽しく読めそうだと思った。

アメリカコネチカット州で工場の現場監督のようなことを仕事にしていたある男が、ふとしたことから従業員とけんかになり、その際頭をうって、6世紀、アーサー王が支配するイングランドに来てしまったというもの。最近では非常に良く使われる手法であり、それはそれで面白い。怪しげなカッコウでうろうろしている主人公は処刑されそうになるが、その当時日食があったことに目をつけ、魔術師として急場を切り抜ける。そして19世紀的な文明をもたらし、国を教育的に充実させ、産業、ジャーナリズムなども発達させる。ここまでは非常に読みやすく、とても楽しめたのだが、その後、森を抜けて、旅をしだすところから分けがわからなくなり、途中王と合流し、二人して捕まってしまい、助け出されるあたりは、目次をみて何とか内容はわかったが、細かいところはさっぱり分からなかった。

結構難しかったり、分かりづらかったり、つまらない本でも結構最後まで読み通す私だが、さすがにこの本は途中からかなり飛ばし読み(本当にページをかなり飛ばした)してしまった。

内容が面白そうだっただけに非常に残念だった。
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Personal Recollections of John of Arc BOOK3 Trial and Martydom [文学 アメリカ]


Personal Recollections of Joan of Arc

Personal Recollections of Joan of Arc

  • 作者: Mark Twain
  • 出版社/メーカー: Harper Perennial
  • 発売日: 2016/02/16
  • メディア: ペーパーバック



マーク・トウェインの『ジャンヌ・ダルク』を読み終わった。有名な裁判と火刑の場面。
色々な劇でこの場面を観ていたので、『ヴェニスの商人』などのように劇的なのかと思っていたが、「聖人達の声は本当にフランス語で語られていたのか」「何故男装をやめないのか」といった質問に終始し、それに対し、ジャンヌが同じように答え、疲弊しくしてしまう、といったことの繰り返しだった。確かに裁判はこのような感じで進み、なかなかイギリスの思うように進まなくてイライラするような裁判だったのだろうが、裁判の場面に特有の、劇的な感じや、緊迫感がなく、ちょっと残念だった。

ジャンヌの死後何人も経って、フランス王がジャンヌの名誉を回復するために行動を起こすのだが、これも、自分の現在の安定したフランスの王の地位が、魔女の力を借りたものだったと思われるのを嫌がっての行動だったという感じで終わるのだが、これも歴史的にそうなのだろうが、何となく最後の最後でこの結論か、という思いが残った。

おそらく、かなり色々な資料を読み込み、史実に忠実にジャンヌの人となりをマーク・トウェインは描いたのであろうが、そのことでかえって小説としてもダイナミックさが、失われてしまっている気がする。

とても興味深い作品ではあったが、ひとつの小説としてはもう一歩だった感がある。
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Personal Recollections of Joan of Arc BOOK2 In Court and Camp [文学 アメリカ]


Personal Recollections of Joan of Arc (Dover Thrift Editions)

Personal Recollections of Joan of Arc (Dover Thrift Editions)

  • 作者: Mark Twain
  • 出版社/メーカー: Dover Publications
  • 発売日: 2002/11/07
  • メディア: ペーパーバック



Personal Recollections of Joan of Arcの第二部はいよいよ、イギリス支配下にあったオルレアンを陥とし、王を戴冠させ、パリへ進軍していく場面。全3部の中でも最も多くページが割かれている。

ジャンヌ・ダルクの登場で、盛り上がり、戦意を向上させる民衆に対して、何とか争いを避けようとする王・宮廷人たち。実際戦争になって戦うのは民衆達であり、上の人間達は命令を下すだけなのに、へっぴりごし。確かに、民衆というものは、集団の雰囲気に流されやすく、大局観を持ちづらく、責任を取らないというのはあるかもしれない。しかし、やはり上にたつ人間というのは、決断すべきときは決断を速くすべきなんだなあ、と思った。

この部では、ジャンヌの軍人としての潔さ、一人の女性・農民としての心の優しさが描かれており、非常にすがすがしい感じだった。

が、やはり英語は非常に難しく、50%くらいしか理解できなかった。

いよいよ私が好きな裁判の場面。楽しみだ。
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Personal Recollections of Joan of Arc BOOK1 In Domremy [文学 アメリカ]


Personal Recollections of Joan of Arc (Dover Thrift Editions) (English Edition)

Personal Recollections of Joan of Arc (Dover Thrift Editions) (English Edition)

  • 出版社/メーカー: Dover Publications
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版



Mark Twain 作、Personal Recollections of Joan of Arcを読み始めた。2~3年前、長男と劇団四季の『王子と乞食』を見て、原作に興味を持ち、せっかくなので、色々とMark Twainの本を読もうと思って、買っておいた本の中の一冊。結構文字が小さく、一ページにぎっしり詰まっている感じで、しかも300ページ以上あるので、敬遠していた本。

題名だけ見ると、「何の本」?と思うが、「ジャンヌ・ダルク」の生涯を語ったもの。英語で文字化すると全くジャンヌ・ダルクとは分からない。
ずっと品切れ状態の、岩波文庫版:シラー作『オルレアンの少女』も偶然ブックオフで見つけたので、平行して読んでいこうと思い、遂に重い腰をあげた。

全体は3部に分かれている。
BOOK1 In Domremy
BOOK2 In Court and Camp
BOOK3 Trial and Martyrdom

BOOK1は争いに出るまでのジャンヌ。BOOK2は戦争中のジャンヌ。BOOK3は裁判中のジャンヌを描いているものと思われる。

BOOK1をとりあえず今日読み終わった。子供時代のジャンヌを描いたものだが、純真で、心優しく、正義感にあふれ、自分の信念に従って行動する姿は、子供時代から変わっていないということを伝えたい章なのだろうと思われる。最後のほうで描かれている神の使いとジャンヌの対話は非常に感動的だ。

p.38
"But I am so young! Oh, so young to leave my mother and my home, and go out into the strange world to undertake a thing so great! ~中略~ How can I go to the great wars, and lead armies?- I a girl, and ignorant of such things, knowing nothing of arms, nor how to mount a horse, nor ride it. ... Yet - if it is commanded-"

始めは、神から与えられた責務の重さに、恐れ戸惑っている、が、最後は、「しかし、それが神の御心ならば」と受け入れる。この場面、イエス・キリストの受胎を知らされる聖母マリア、十字架にかけられる前日に祈ったイエス・キリスト、それぞれの場面にそっくりだ。
もちろん、色々なエピソードをもとに、聖書を意識して、マーク・トウェインが書いたのであろうが、本当にジャンヌが森の中で、光に包まれながら神の使いと対話している状態が生き生きとイメージできる、生々しく、素晴らしく美しい場面だ。

やはり構文・単語など結構難解で読み進めるには大変だが、頑張って3月中には読み終わりたい。
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Gone with the Wind Part Five [文学 アメリカ]


Gone with the Wind

Gone with the Wind

  • 作者: Margaret Mitchell
  • 出版社/メーカー: Pan Books
  • 発売日: 2014/02/13
  • メディア: ペーパーバック



遂に、遂に、1450ページもある、Gone with The Windを読み終わった。
正直、このPart5に入って読むのが苦痛になってきていた。
Rhett Butlerと結婚したScarlettは贅沢し放題、やりたい放題といった感じになっていき、そうしたつけがまわり、様々な悲劇に直面。エミール・ゾラを中心とした、フランス自然主義文学を彷彿とさせる描写で正直読んでいて気持ち悪くなってしまう場面も多かった。とはいえ、無茶苦茶な生活はしているのであるが、性的な部分では最後の一線は越えないというようなところがあり、そこだけは良かった。さすが女流作家が書いた作品だなあと思った。

このままいや~な感じで終わるのかなと思っていたところ、最後にどんでん返し。
ずっと影でScarlettを支え励ましてきたMelanieがあることから亡くなってしまう。それをきっかけにScarlettは恐らく人生で初めて自分の心と真剣に向き合う。この最後の30ページが最高に素晴らしく美しい。そして自分の思いをRhettに打ち明け、最後はめでたしめでたしとなるのか?と思いきや思わぬ結末。ここで、おとぎばなしのようにHappy Endにせず、この先ScarlettとRhettの関係はどうなって行くのか?と読者に想像させるような形で終わらせたあたりが、この名作を不朽の名作にした一因であろう。

しかしこの物語、すべての人が結婚という形をとっているものの、心は片思いのまま。

ジェラルド⇒エレン⇒フィリップ(死)
メラニー⇒アシュリー
スカーレット⇒アシュリー
レット⇒スカーレット

みんな自分の気持ちを清算できないまま、南北戦争の混乱の中で必死に生きていく。

本当に様々な要素を含んだこの小説。とっても長いのだがとても読みやすいので是非多くの人に手にとってもらいたい。

前にもかいたが、戦後の日本の状況と南北戦争後の南部の状況は非常に似通った部分が多いので、そういった意味でもとても共感できるし様々なことが染み入ってくるのではないだろうか。

聖母マリアのようなメラニーが常に全体を見ながら、慈愛の心ですべての人に接しているのに対し、
人間の象徴のようなスカーレットが常に自分を第一に考え、あらゆることに立ち向かっている。
この対比も非常に興味深い。どちらも人間として必要な要素である。だからこそ完璧に見えるメラニーも常にスカーレットを尊敬し、同時に嫉妬の気持ちを抱いていたのだろうし、メラニーの死と共にスカーレットが自分と向き合う機会を得たのであろう。

本当に面白かった。

映画などではなく是非本でこの作品を味わってもらいたい。
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Gone with the Wind Part Four [文学 アメリカ]


Gone with the Wind

Gone with the Wind

  • 作者: Margaret Mitchell
  • 出版社/メーカー: Pan Books
  • 発売日: 2014/02/13
  • メディア: ペーパーバック



遂に長かったPart4を読み終わった。1000ページ目から、このPart4が終わる1180ページまでで一気に様々なことが起こる。

スカーレットの父親ジェラルドが遂に亡くなる。その後、スカーレットの生まれ故郷Taraに住んでいたメラニーとアシュリーがアトランタに来て、スカーレットの仕事や私生活を手伝うことになる。その後、KKK(クー・クラックス・クラン)に関係した事件で、スカーレットの夫フランクが亡くなり、すぐにレット・バトラーと結婚する。
Part4の最後の約200ページは本当にすさまじい。この部分結構惹き込まれる。

メラニーが南部で亡くなった北部の兵士達のお墓に花を捧げているのを、周りの女性達が非難したのに対し、彼女が言った言葉があまりにも美しいので紹介したい。

p.1028
How nice it would be to know that they pulled weeds off our men's graves and brought flowers to them, even if they were enemies. If Charlie were dead in the North it would comfort me to know that someone - And I don't care what you ladies think of me

敵だろうが、自分の愛する人のお墓に、誰かが花を捧げてくれているのを知ったら何て素敵だろう。人がどう思うが私は気にしない。

まさにキリスト教精神そのものであり、人がどう感じようが、自分の信念のままに行動する勇気。すべてが素晴らしすぎる。

いよいよ最後のPart5。楽しんで読みたい。
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Gone with the Wind 1000 p. 読破 [文学 アメリカ]


Gone with the Wind

Gone with the Wind

  • 作者: Margaret Mitchell
  • 出版社/メーカー: Pan Books
  • 発売日: 2014/02/13
  • メディア: ペーパーバック



約1500ページあるGone with the Windの1005ページ目まで読み終わった。Part4が他のPartに比べて何故か長く、読み終わるのに時間がかかりそうなので、とりあえず切りのよい1000ページ目まで読み終わったところでブログに書き残して置きたいと思う。

彼女の生まれ故郷Taraが高い税金をかけられ、それが払えなければ立ち退かなければならないという状況になり、スカーレットは単身アトランタへ向かう。そこで偶然出会った、妹Suellenのフィアンセが、戦後の混乱の中商売でお金を儲けていることを知り、嘘をついて彼と結婚し、Taraを救う。その後、彼女はフランクの商売に関わっていき、遂にレット・バトラーの手を借りて彼女自身ビジネスを始める。

この小説、単なるあま~い恋愛小説なのかと思っていたが、全く違っていた。本当に様々な要素を含んだ傑作である。ここまで読み告がれている理由がこのPart4を読むと良くわかる。

①伝統と革新(スカーレット&レット)の争い
②戦後の混乱
  征服軍にすり寄る女性達
  征服軍による横暴な政策
  かつて抑圧されていた人々が自由を得、それによって行われる暴挙
③女性に対する抑圧

とにかく、スカーレットは女性らしくない。人殺しも行うし、自分で産んだ子どもはかわいがらないし、そして、当時としてはめずらしく、進んでビジネス世界に入っていくし。
この作品、設定を変えて、NHKの朝の連ドラにしてもおかしくないくらい、今の時代でも新しい女性像を提示している。

最後にスカーレットの祖母がメラニーを称して言った言葉を紹介して終わりたい。

p. 1002~1003
Scarlett
I've lived with Melly long enough to know she's sickly and scared and hasn't the gumption to say Boo to a goose.
Grandma
She might not say Boo to a goose but she'd say Boo to the world or the Yankee government or anything else that threatened her precious Ashley or her boy or her notions of gentility.

つまり、メラニーは、か弱い動物に対しては脅かすようなことも出来ないが、世界や征服者や自分の大切な人々、思想のためならどんなことでもする人間なのだ。

本当に素晴らしい心を持った女性だと思う。スカーレットとは違う意味で新しい女性だと思う。
世の中には権力者に逆らうことを良しとしない人間がたくさんいる。しかし権力者に対してものいう人間こそが本当に気高く美しい人間なのだと思う。

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Gone with the Wind Part Three [文学 アメリカ]


Gone with the Wind

Gone with the Wind

  • 作者: Margaret Mitchell
  • 出版社/メーカー: Pan Books
  • 発売日: 2014/02/13
  • メディア: ペーパーバック



第三部を読み終わった。
南北戦争はますます激しさを増し、スカーレットとメラニーの住んでいたアトランタにも北軍がやってくることに。それを聞いたスカーレットはレッド・バトラーに頼んで、馬車を手配してもらい故郷タラに戻ることに。アトランタを出る直前メラニーはアシュリーとの子どもを出産する。タラに着くも、そこはもう既に北軍にやられていた。最愛の母親も彼女がつく前日になくなっている。

本当にこの第三部は読んでいて辛い。回りに男を常に侍らせていたスカーレットも遂に自分が先頭に立って、家のことを切り盛りしなければならなくなり、殺人までも犯しながら必死に生き抜いていく。本当に戦争というのは色々なものを壊していくのだなあということを改めて実感させられた。

しかし、母親がなくなる寸前、最期に発した言葉が昔の死んだフィアンセの名前だったとは・・・。
この第三部の最後で、遂にアシュリーも戦争から帰還する。
アシュリーとスカーレットの関係も含め、平和が訪れたこれからがどうなっていくのかとっても楽しみである。

そういえば、相変わらず、スカーレットやメラニーの子どもも存在感は薄い。あれだけ小さい子がいれば、生活のほとんどは奪われてしまう気もするのだが何故ここまで子どもがいないかのように生活できるのか、不思議である・・・。
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Gone with the Wind Part Two [文学 アメリカ]


Gone with the Wind

Gone with the Wind

  • 作者: Margaret Mitchell
  • 出版社/メーカー: Pan Books
  • 発売日: 2014/02/13
  • メディア: ペーパーバック



ScarlettがAshleyへのあてつけで結婚した、Charlieが戦争に行き、病気にかかって死んでしまい、未亡人となったScarlettがCharlieの実家Atlantaに行き、生活する模様がこのPart Twoには描かれている。

ホーソンの『緋文字』などからも分かるように、ピューリタンが移住して建設した国だけあり、植民当時は結構、恋愛・性に関して社会として厳格だったことがわかる。そんな中で、自分の強い恋愛感情を心に秘め、相手が結婚しても、さらにそれのあてつけとして他の男性と結婚してしまうScarlettの姿に若干感動してしまう。このScarlettと全く対照的な女性として描かれるMelanieもとても魅力的で、まさにクリスチャンの婦人といった感じだ。

若干理解できない点が一つ。Charlieとの間の子どもWadeをScarlettは産み、この子をAtlantaに一緒に連れてくるのだが、この子どもは存在しないかのようにひたすら話しが進む。こんな小さな手のかかる子どもがいるのに、何でこんなに自由に過ごせるの?と思ってしまう。

この『風と共に去りぬ』単なる、メロドラマかと思っていたが、戦争に対する結構厳しい目が向けられている。
戦争が始まるときの人々の熱狂。
実際、戦争が始まり、自分の身近な人が亡くなって初めて気づく戦争の悲惨さ。
戦況が悪くなってきたとき、それを指摘する人への冷たい視線。
戦争などやらないほうがいい、と人前ではっきりいえない雰囲気を作り出す共同体。
日本が第二次世界大戦で経験したことが、まさにこの物語でも描かれている。

何故、人は戦争に向かうのだろうか。戦争というのは自分も含め人が死ぬということは十分想定できるはずなのに、何故あれほど熱狂してしまうのか。そして何故真実を述べる人間に対して共同体は村八分のような状態に追い込むのか。そうした根源的な問を突きつけている小説だ。

戦時中、AshleyがMelanieに送った手紙(それをScarlettがこっそり読むのだが・・・)そこに、作者Margaret Mitchellが伝えたかったことのすべてが述べられているのではないだろうか。
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Gone with the Wind Part One [文学 アメリカ]


Gone with the Wind

Gone with the Wind

  • 作者: Margaret Mitchell
  • 出版社/メーカー: Pan Books
  • 発売日: 2014/02/13
  • メディア: ペーパーバック



何年か前に、紀伊国屋の洋書セールでGone with the Windを購入していた。購入する前からずっと読みたいと思ってAmazonなどで探していたのだが、紙ベースの本はあまりなく、あっても何故か高額だった。なので、ずっと買わずにいたのだが、紀伊国屋で450円と安かったのでようやく買った。

しかし、中を開けてみると何と全部で1448ページ。文字量が違うとはいえ、聖書並みの厚さ。ということで、今まで読まずに来たが、いろいろな洋書・和書がとりあえず一段落したので、行きも帰りもこの本に取り組もうということで、この9月の中旬から読み始めた。

中身は思っていた通り読みやすい。かなり難易度の高い単語や、黒人の話す英語を文字化したものなど、一部読みづらい部分もあるが、話の流れがつかめなくなるほどではない。

第一部は南北戦争前のアメリカ南部が舞台となっており、男達の会話は戦争のことばかり。そしていざ戦争が開始されたという報が入ると、みなこぞって戦地に向かう準備を始める。様々な悲惨な戦争、世界大戦を経験した今、戦争は恐ろしいもの、できれば行いたくないもの、というのが、老若男女問わず、人々の間である程度共通しているものだと思う。その現代の感覚からすると戦争に興奮しているこの男達の感覚はわからないが、当時、戦争というものはそういうものだったのだろう。さらに言えば、戦地と市民が普段生活している土地というものは乖離しており、一般の人々にとって戦争というものは現実味のあまりないものであったのであろう。ヨーロッパの小説なんかを読んでいても、戦争が行われている一方で、平気で晩餐会、舞踏会が行われている。そして女性達は、軍人達をもてはやす。本当に戦争一つ取っても現代と数百年前の感覚は大きく違うのだなあと実感させられた。

主人公Scarlett O'Haraは自分が好きだったAshleyが別の人と結婚してしまうので、その腹いせにそのAshleyの結婚相手のお兄さんと結婚する、という信じられない暴挙にでる。しかし、ここには伏線があり、Scarlettのお母さんEllen、聖女のようなひとなのだが、も周りから見れば明らかに信じられない身分違いの結婚をする。もちろんEllenの方が高貴な出身(フランス系)。Ellenは自分の好きだった人が、突然死んでしまい、いきなり、アイルランド系の身分もよく分からないScarlettの父と結婚するのだ。

出だしがとても面白い。

Scarlett O'Hara was not bueatiful, but men seldom realized it when caught by her charm ・・・

スカーレットは見た目はそんなに綺麗ではないが、何故か男性を虜にしてしまう。
それはやはり内面から出てくる何かなのだろう。私は、人々が「あのひと綺麗」という人をあまり綺麗に感じないことが多い。逆に、何かに一生懸命な人に美しさ、綺麗さを感じる。やはり私は内面が外面に自然と出てくると思うのだ。とはいえ、スカーレットはそこまで心の美しい人ではない。

このスカーレットと対照的な人物として、Ashleyの結婚相手Melanieがいる。彼女はひたすら心が綺麗で、教養も豊かだ。日本の小説などではこちらのMelanieが耐える女性の鑑のような形で、理想化された主人公となるのだろうが、自由奔放なScarlettが主人公なのも面白い。

ちなみに、Anne Of Green Gablesの主人公Anneの名前は最後にeがつく。アンも間違われないようにそこを何度も強調する。このScarlettも最後にttが二つ続く。結構珍しいスペリングだと個人的には思う。この名前の付け方なども非常に面白いなあと思った。

まだまだ1000ページ以上。気合を入れて読みたいと思う。
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Frog and Toad [文学 アメリカ]


Frog and Toad CD Audio Collection (I Can Read! - Level 2)

Frog and Toad CD Audio Collection (I Can Read! - Level 2)

  • 作者: Arnold Lobel
  • 出版社/メーカー: HarperFestival
  • 発売日: 2004/08/17
  • メディア: CD



日本では『がまくんとかえるくん』という名前で知られるFrog and Toadを聴き終えた。
家には全巻、本の形でも揃っており、長男に電車の中などで読んであげたりはしていたのだが、全部続けて集中して読むということはしてこなかった。

なので、今回初めて全部を読んだ(聴いた)。

このお話し、数編が小学校の教科書や、中学校の英語の教科書に掲載されている。まあ、それなりにいい話だなあとは思いながらも、子どもの読む他愛もない話、くらいに考えていたのだが、全部を通して聴くと、その内容の深さに少し感動してしまった。

すこしとぼけたToad、それをやさしく見守るFrog。お互いを思いやるあまり、すれ違ってしまったり、うまくいかなかったりするのだが、最終的にはハッピー・エンドで終わる。

友だちの大切さ。心から行動することの大切さ。小さい頃に読むことで、豊かな心を持った子どもに成長できる、そんな本だ。是非多くの人に読んでもらいたい。

もちろん、子どもも楽しめるが、大人になって、様々な困難・苦難・欺瞞にあって、人間不信・社会不信に陥っている人にこそ読んでもらいたい。

どこかの国の首相や側近の人々、官僚などもこの本を読めば、もう少し違った対応が出来るようになるのではないだろうか。
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アスパンの恋文 [文学 アメリカ]


アスパンの恋文 (岩波文庫)

アスパンの恋文 (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1998/05/18
  • メディア: 文庫



ヘンリー・ジェイムズを久しぶりに読んだ。
一時、彼にはまり、色々と読んだ時期があった。その当時から、この『アスパンの恋文』が、岩波文庫から出ているのは知っていたが、彼の作品の多くと同じように、あらすじを読んでもたいして面白そうではなく、私のあまり得意ではない、短中篇ということもあり、読まずにいた。しかし、最近、この本が「品切れ重版未定」状態にあると知り、思わず、ブックオフを探し回って購入してしまった。

内容は、アスパンというアメリカの偉大な詩人(当然架空の人物)を研究している「わたし」が、アスパンが送ったといわれる恋文の相手の家に、もぐりこみ、その恋文を手に入れようとするというもの。

本当にこれだけの内容であり、主要な登場人物は、
①わたし
②ミス・ボルドロー(アスパンの恋の相手)
③ミス・ティータ
以上である。他にも数名召使などが登場するが、ほとんど言葉などは発しない。しかも、空間としては、②の広いお屋敷だけ。これだけ、限られた空間、限られた人物しか出てこないのだが、とにかく面白い。ページをめくるごとに次に起こる出来事を知りたくなっていくのだ。

③のミス・ティータはハイミスということなのだが、対して容姿の描写もなく年齢等も明かされない。とても謙虚、素直、従順、控えめな女性で、一昔前の日本女性を彷彿とさせる。明治・大正時代の日本の自然主義小説に登場してもおかしくないようなキャラクターの女性だ。読んでいるうちに私は彼女に感情移入していってしまったので、最後の結論部分では少し悲しい気持ちになってしまった。

あらすじだけを読むと本当につまらなそうな作品なのだが、非常に面白い。出だしの数ページの読みづらい部分を乗り越えればあっというまに読みきれる作品だ。こうした作品がもっと日本中で出回っても良いのになあと思う。
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