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The Sound and the Fury [文学 アメリカ]


The Sound and the Fury (Vintage Classics)

The Sound and the Fury (Vintage Classics)

  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 1995/01/19
  • メディア: ペーパーバック



フォークナーの『響きと怒り』を読み終わった。この題名はシェイクスピアの『マクベス』からとってきているらしい。

「かなり読みづらい」という前評判を聞いていたので、覚悟して読んだ分&あらすじをしっかり読んでから読んだ分、それなりに読めた。

全部で4章に分かれており
1章:姉Caddyに可愛がられ、そのCaddyに精神的安定を強く求める、知的な発達障害を持つBenjyの視点から語られる物語。
2章:妹Caddyに何らかの恋愛感情を持ってしまい、そのCaddyの性的な奔放さを許せぬまま、悶々とした想いを持ち続けるQuentinの視点から語られる物語。
3章:妹Caddyが、結婚前に、夫とは別の男性と肉体関係を持ったことで生まれてきた子が、夫の子ではないことがすぐにバレ、離婚され家からも追い出されてしまったCaddyの変わりに、その子Quentin(
2章の語り手と同じ名前だがこの子は女の子)を育てているJasonの視点から語られる物語。
4章:この一家を裏で支える、黒人メイドのDilseyを中心に語られる第三者の視点で語られる物語。

第一章が知的障害を持つBenjiの視点で語られるから一番読みづらいと書かれているものが多いのだが、ここは会話文も多く、具体的なことが語られうことも多く、一文一文も短いので一番読みやすく理解できた。
第二章は、ハーバード大学に通うほどの知的な男性の視点から語られるものでしかも、次から次へと頭の中に浮かんできたものを文章化しているので非常に読みづらかった。ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を読んだ時と同じ感じを持った。文の切れ目もな少なく、全く何を言いたいのかわからない部分の方が多かった。『ユリシーズ』の最終章、スティーブン・ディータラスの妻の、寝る前の頭の中をひたすら文章化した最終章と似たような感じだった。
第三章もわかりづらい、ひたすら金と姪のQuentinを追いかけるJasonの行動が全く理解できないのでよくわからない。
第四章も客観的な視点で読みやすいと思いきや、黒人英語がかなり多く出てくるので、よくわからない。

アメリカ文学、ひいては世界文学の古典的名著とされており、確かに様々な登場人物の視点で物語を構成し、時間も行ったり来たりさせ、意識の流れを文章化し、家族の内的崩壊を描くなど、様々な点で実験的で面白くエポック・メイキング的な部分は多いのだろうが、物語として面白いか、というともう一歩な気がする。
皆の中心にいる、Caddyの視点で語られる章が一つあるとまた違っていたのではないかと思うのだが・・・。
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