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汚辱の世界史 [文学 その他]


汚辱の世界史 (岩波文庫)

汚辱の世界史 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/04/18
  • メディア: 文庫



ボルヘス6作目、『汚辱の世界史』を読み終わった。今までで一番面白かったかもしれない。
古今東西の様々な作品や、人物の中でも、悪者にスポットを当てた短編集で、それぞれが短くしかも悪者の人生なので、結構波乱に富んでいて面白く、かなり興味深く読めた。

しかも、有名なビリー・ザ・キッドや、忠臣蔵で有名な吉良上野介なども登場する。ボルヘスにありがちなのだが、どこまでが真実でどこからか創作なのかが全くわからないので、基本は全てが創作なのだと考えて読んだほうが良いと思う。ボルヘス作品の中ではかなり読みやすいのではないだろうか。他にも「エトセトラ」と題された、アラブの物語も別に収録されていたり、デビュー作『薔薇色の街角の男』なども収録されていたりと結構ヴァラエティに飛んでいる。特に「エトセトラ」の部分は、ボルヘスの『千夜一夜物語』「地図」「夢」「鏡」といった彼の大好きなテーマが散りばめられており、興味深かった。

一点、「吉良上野介」の章では、題名は吉良上野介だが、話の主眼はやはり赤穂浪士によっており、赤穂浪士の人徳的なすばらしさにスポットが当たってしまっている。やはり忠臣蔵を描こうと思うとどうしてもそっちに意識が行ってしまうのかなあ、と結構興味深かった。

彼の主張する、世界はひとつの文学である、というのが文字通り表された素敵な1冊となっていると思う。ボルヘス入門書としてはこの本を勧める。
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