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凛として弓を引く 初陣編 [文学 日本 Modern]


凜として弓を引く 初陣篇 (講談社文庫)

凜として弓を引く 初陣篇 (講談社文庫)

  • 作者: 碧野圭
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2024/03/15
  • メディア: Kindle版



本屋で新刊のところを見ていたら偶然目に入って、「新刊出てたんだ」と思い早速図書館で予約。

今回は、初めての大会に出ることになった。
練習もろくにできず初めての大会も散々な結果だった、メンバーだが、練習量を増やし、様々な人との関わりの中で自分の弱点を見つけ成長していく主人公たち。

もちろん弓道の様々な描写も面白いのだが、主人公が公立高校の2年生ということもあり、進路の悩みなども出てきて結構面白い。恋愛模様も入り乱れ始めかなり面白くなってきた。

p.148
「母はわかっていない。高校の、いまの仲間たちと弓道をやりたいのだ。いまのメンバーで大会に出たいのだ。それは今しかできないことなのに」

これは高校2年生を担任することが多く、部活を引退しようかどうか迷っている生徒に私がよく言う言葉に似ており、結構印象に残った。

p.149
「将来を見据えて、勉強以外はほどほどにするのが正しいのだろうか。高校って、大学に進むための通過点でしかないのだろうか。大学は?就職のための通過点? ~中略~そうやって来るべき未来のために、常に備えているのが正しいのだろうか。十七歳の自分は今しかないのに。
 その今をちゃんと楽しんだり、勉強以外のことを頑張ったりしてはいけないのだろうか?それをあきらめたまま将来が訪れても、過去の自分はそれでよかった、と心底思えるのだろうか?」

これも良く生徒に言う言葉だ。

色々な面でとてもよかった。続きも楽しみだ。

ちなみに、p249の真ん中へんで、「矢の処理も~」とあるのだがこれは「失の処理も~」じゃないのかなあ、とちょっと思った。
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空と星と風の歌 [文学 日本 Modern]


空と星と風の歌 (単行本図書)

空と星と風の歌 (単行本図書)

  • 出版社/メーカー: 童心社
  • 発売日: 2023/11/22
  • メディア: 単行本



本屋で偶然目にし、書かれていたあらすじを見て興味を持った本。
図書館で借りて読んでみた。

尹 東柱という在日韓国人の詩人の詩集『空と風と星と詩』を元にした、日本人の朝鮮人差別をテーマにした3つの作品を収録している。

相手が朝鮮人だからという理由で、結婚できなかったり、結婚してからも親に認められなかったりする人々、朝鮮人だからという理由で友人からいじめられる子どもなどなど、さまざまな差別が描かれている。

自分の周りには、朝鮮人や中国人の人が多く、生徒にもそのままの姓名で過ごしている子供も多く、十数年前に比べて、差別意識というものがかなり薄れてきていると感じていた。自分の周りではそのような状況だったので、この本が、2023年に出されていることに驚きを禁じえないとともに、まだまだ日本の中に差別意識が多く残っているのであろうと再認識させられた。
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ステイホーム [文学 日本 Modern]


ステイホーム

ステイホーム

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2023/06/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



コロナ禍によって、緊急事態宣言が出て学校が休みになり、家にいざるを得なくなった小学校6年生の女の子るるこを描いた作品。

特別にいじめとかを受けているわけではないが、何となく学校に行きたくないと思っている女の子の話。両輪は数年前に離婚しており、母親と母親の実家に暮らしている。小学生をひとり家に置いておくわけにはいかないと、初めは母親の働いている場所の資料室に連れて行かれるが、そこで出会ったネグレクトされている気味の二人の姉妹と出会い、結局一日でここにはいかないことに。そこへ、偶然コロナで破産寸前の母の姉が実家に舞い込んでくる。彼女はリフォーム業者で、家に置かせてもらう代わりにるること二人で家をリフォームすることに。

なんやかんやで、何となく生きがいを見つけ、学校という場所が嫌でそこから逃げても良いということを母親に認めてもらったり、最後は私立中学に合格したりと、希望に満ちた物語となっている。

すごく面白い!というわけではないが、それなりに楽しめる作品にはなっている。
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氷の海のガレオン/オルタ [文学 日本 Modern]


氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫)

氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫)

  • 作者: 木地 雅映子
  • 出版社/メーカー: ジャイブ
  • 発売日: 2023/11/10
  • メディア: 文庫



国語の先生と話をしている時に、この作者を勧められ、一番面白そうだったので図書館で借りて読んでみた。

●氷の海のガレオン
小学校6年生の杉子を主人公とした物語。杉子は家に図書室があるような環境で育ち、母親も独立自尊でずっと周りに影響されずに生きてきた人。父親も自由業のような仕事をしており、ある意味周りから独立した存在として生きている。上には兄が二人いる。
三人の兄弟は精神的に成熟しており、さらに周りに影響されず、我が道を行く性格。そんな子どもを周りの同世代の子どもたちはなかなか受け入れられず、それぞれ孤立していく子どもたち。
そんな彼らのこころの葛藤を描いた作品。杉子に共感を示す、音楽の先生がとても良い感じだが、最後の結末が、えっ、そうなっちゃうの?という感じで少し残念。

●オルタ
自閉症、ADHD気味の女の子の物語。小学校に入学し、後ろにいる乱暴な男の子に嫌がらせを受けているところから物語は始まる。先生に話をしに行くが、先生は話を聞いてくれつつも、男の子を何とか守ろうと動く。先生は一生懸命で悪気がない。すべての子供に学習の機会を、という信念で動いている。結局親は学校に行かないという選択肢を選ぶ。

確かに何か、信念を持って生きる、メインストリームから外れた人の心の痛みをテーマにした作品。しかしあまりにストレートで結構読むのが痛い作品。
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ピエタ [文学 日本 Modern]


([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

  • 作者: 大島真寿美
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2014/02/05
  • メディア: 文庫



国語の先生と夏休み中、話をしていたとき、この本が話題になった。
彼が夏期講習で扱ったテキストの中に、この本の抜粋が出てきたらしく、そんな短い文章でもかなり良かったので読んでみようと思う、と言っていた。

「赤毛の司祭」ヴィヴァルディの話らしく、「じゃあ、私も図書館で借りてみようかな」と言うと、「家の周りにある図書館はどこも40~100の予約待ちだ」ということだった。自分の家のそばの図書館で調べたところ、1件の予約しか入っていなかったのですぐに廻ってきた。

ヴィヴァルディが働いていたピエタ孤児院を舞台とした作品で、そこに捨てられそこで音楽を習ったものの、そこまでの才能がなかったために、途中から音楽家ではなく事務員としてピエタで働くことになった主人公のエミーリア、ヴァイオリンの才能がありヴィヴァルディからも認められ現在の合奏・合唱副長を務めるアンナ・マリーア、孤児院の娘ではないのだが、彼女たちと小さい頃一緒に音楽をやっていたヴェロニカ、音楽の才能はなかったが、薬の知識を身に付け薬屋と結婚して店を大きくしたジーナ、ヴィヴァルディが生前心を通わせていたコルティジャーナ(高級娼婦)のクラウディア、様々な女性が登場するが、皆どこかに心の痛みを抱えながら、誠実に生きる女性たちばかりで、読んでいて気持ちが良い。

何度かホロリとする場面もあり、明るい結末ではないのだが、ほのかに希望が持てるもので読後感はすこぶる良い。上質なフランス文学を読んでいるようで本当に素晴らしかった。どこかしらフィリップ・クローデルに、静謐な感じが似ている気がした。
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ある晴れた夏の朝 [文学 日本 Modern]


ある晴れた夏の朝

ある晴れた夏の朝

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2018/07/13
  • メディア: ハードカバー



偕成社という児童書を多く扱っている出版社から出されている本で、偶然本屋で手に取り、面白そうだったので図書館で借りた本。

アメリカのmiddle schoolの生徒たちが夏休みに、自分たちで「広島長崎への原爆投下は本当に必要だったのか」という題目でDebate(Discussion)大会を企画し、それをcity hallを借りて市民たちに見てもらい投票などしてもらうことにより、「戦争と平和を考える」ということを皆にしてもらいたいというもの。

正直日本ではこんな企画ほぼ皆無なんだと思うのだが、アメリカでは結構普通に行われたりしているのだろう。かなり意識高い系の生徒たちだなあ、という感じ。

4対4のDebateでしかも一週間に一回、4週にわたって行われるというかなり大規模で気合の入ったもの。優秀なふたりの白人男性、かなり意識高い系の平和運動家の女性、日本系二人、ユダヤ系、中国系、アフリカ系と様々な人種を登場人物として配し、それぞれの立場から興味深い論を展開させている。

原爆投下に関する、私が知らなかった様々な情報も盛り込まれており、かなり勉強になった。そして最後の4回目の自由プレゼンテーションでの模様は感動的ですらある。

著者はアメリカ在住ということらしいが、アメリカで住んでいないとなかなかこういう発想は出てこないよな、という論点が目白押しでかなり勉強になるとともに深く考えさせられた。

あまり知られていない作品なのかもしれないが、非常に読みやすいが、内容はかなり深く勉強になるので、是非多くの中高生に、小学生に読んでもらいたい作品だ。
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見上げた空は青かった [文学 日本 Modern]


見上げた空は青かった

見上げた空は青かった

  • 作者: 小手鞠るい
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: Kindle版



次男と自転車の練習のついでに行った本屋で偶然手にした『ある晴れた夏の朝』という本に興味を抱き、前から少し気になりながらもわざわざ読まなくても良いかなあと思っていた作家小手鞠るいさんの作品を図書館で借りて読んでみた。

ドイツに東欧に住むノエミ(イリス)というユダヤ人の女の子と、風太という日本人の男の子の話。
時は1945年付近。ノエミはナチスに捕まるのを恐れ、家族がバラバラになって隠れ家に住んでいる。風太は東京に住んでいたが、疎開して今は田舎の寺で勤労奉仕をしている。

ノエミには妹がいて彼女の面倒を見ながら必死に生きている。ノエミには、五歳の誕生日の時にもらったおばあちゃんからのプレゼントであるミミちゃんといううさぎのぬいぐるみがあったが、隠れ家へ逃れるときに忘れてきてしまう。
風太にも妹がいたが彼女は死んでしまう。その妹が大事にしていたミミちゃんというぬいぐるみが疎開先へ送られてくる。彼女は妹の思い出と共にそのぬいぐるみを大事にする。

ノエミと風太はどんどん悲惨な状況に追い込まれるが、なんとか耐え抜き最後は・・・。

辛い状況を描いた暗い作品ではあるが、最後は希望を持って終わるのが良い。子どもに安心して勧められる戦争を描いた良著だと思う。
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君たちは今が世界(すべて) [文学 日本 Modern]


君たちは今が世界 (角川文庫)

君たちは今が世界 (角川文庫)

  • 作者: 朝比奈 あすか
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/07/16
  • メディア: Kindle版



中学入試の問題で多く取り上げられている作品らしい。
教育を扱っている作品ということもあり、図書館で借りて読んでみた。

小学校6年生、学級崩壊気味のクラスを様々な子供の視点から追った物語。
いじめではないが、いじめ一歩手前のような、気持ちが弱く、色々な能力が低い子どもにいろいろ悪いことをやらせるストーリーから始まる。

「人間タワー」もそうだったのだが、人間一人ひとりが持つ、内面の弱さ、大変なことが起こっている(起ころうとしている)のに、それを見てみないふりをして時がすぎていくのをひたすら待とうとする子どもたちの心の様子がとても丹念に描かれている。

結構家庭事情が大変な子どもが多く取り上げられており、読んでいて結構きつくなってしまうようなものも多い。しかし、最後の章で、そのクラスにいた引っ込み思案の子供が大人になり教員となり、子どもたちに語りかけるところが希望に満ちており結構読後感は良い。文庫版に収められた、クラスで唯一正義感を持っていろいろなことに立ち向かっていく、貧しい少女の話も勇気を与えてくれる。

色々と考えさせられる良著だった。
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人間タワー [文学 日本 Modern]


人間タワー (文春文庫)

人間タワー (文春文庫)

  • 作者: あすか, 朝比奈
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/11/10
  • メディア: 文庫



中学入試の国語の問題で、最近使われることが多い作品らしい、ということをネットで知り、小学校の組体操における「やぐら」「人間タワー」の是非にも興味を持っていたので読んでみた。

直接的な学校関係者だけではなく、保護者・近くの老人ホーム・卒業生などのエピソードも入った結構重層的な作品。一人一人の人生が結構重く、読んでいて重量感がある。恩田陸や森絵都などのような色彩感はなく、けっこうべちゃっとした印象の作風ではある。

それぞれの語り手がそれぞれの立場から小学校で行われる伝統の「人間タワー」への思いを語っており、結構面白かった。

私は小さい頃から背が低く、体も軽いが、それなりに運動神経が良く、運動会の騎馬戦などでは常に上だったし、ピラミッドややぐらも、一度ピラミッドの2段目をやったことを除いて常に上だった。だからかもしれないが、組体操というものに結構良い印象を持っており、数年前この組体操の是非が色々と話題になったとき、確かに危険ではあるが、そこまで反対しなくても・・・という気持ちが結構あった。

最後は、色々な人がうまく納得できる結末であり、弱者に寄り添ったものであり、同じような形の朝井リョウの『桐島、部活やめるってよ』のような、上から目線のあざとい小説でなく、読後感もかなりすっきりとした前向きなものだった。

「人間タワー」と題されてはいるが、人間タワーを題材にしてそれぞれの人生の深い部分を抉っていく作品。

積極的にほか作品も読んでみようと思わせるような作家ではないが、他にも少し読んでみようとは思う。
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夏の庭 [文学 日本 Modern]


夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

  • 作者: 香樹実, 湯本
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/03/01
  • メディア: 文庫



なんでこの本を読むことになったのか。よくわからない。
ネットで、オススメ現代小説みたいなものをみていたら必ず出てくる作品だったのか。
まあ、とにかく、毎年新潮文庫夏の100冊に入っているし、一度読んでみても良いかな、と思い図書館で借りて読んでみた。

初めは結構ゆっくりとした展開。
小六の仲良し三人組、デブの山下、眼鏡でじゃっかん頭は悪いが運動神経は良い河辺、語り手である、恐らく頭はそこそこ良く、運動神経もそこそこ良く、ある程度何でも無難にこなす木山。山下のおばあさんがなくなり、葬式に出た山下と話しているうちに、「死」とは何か、ということを三人が考え始め、目の前で「死」というものを見てみようということになり、近所に住む死にそうなおじいさんが死なないかと見張り始まる。

結構見張っていることがバレ、掃除させられたり、ゴミ出しをさせらりたり、庭の雑草抜きをさせられたりするのだが、そのうちおじいさんと子どもたちに心の交流が生まれ・・・。という話。

正直そこまで期待していなかったし、とちゅう若干ダレた部分もなくはないが、お互いの心の距離が縮まってからの話の展開はスピーディーで面白く、最後の死の場面、さらにその後の三人の爽やかな旅立ちは若干感動した。

藤岡陽子作品のような圧倒的な感動や、小川洋子作品のような読後も考えさせられ心が穏やかになる、といった感じはないが、確かに小学校の高学年くらいの子が読むと色々考えさせられる作品なのかもしれない。
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茶寮かみくらの偽花嫁 [文学 日本 Modern]


茶寮かみくらの偽花嫁 (角川文庫)

茶寮かみくらの偽花嫁 (角川文庫)

  • 作者: あさば みゆき
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/01/22
  • メディア: Kindle版



図書館をぶらぶら歩いていたら偶然見つけた本。

ポプラキミノベルで、長男が大好きなシリーズ『歴史ゴーストバスターズ』の著者。息子にと思って借りたが、1ページ目を読んで「つまんなそう」といい読むのをやめてしまった。

正直自分もあまり読む気がなかったのだが、ちょうど昨日飲み会で、飲み会の帰りは相当軽い感じの本じゃないと読めないので、この本を持っていった。

『歴史ゴーストバスターズ』と『不思議古書店』を足して2.5で割った感じの作品。主人公大島小鳥がとても純粋で読んでいて気持ちが良い。さらに彼女と偽装結婚?する坂頼兼も、あっちの世界とこっちの世界をつなぐ危ない感じの人間ではあるが根が優しいのでこちらも安心して読める。

主人公の心の成長物語でもあり、結構楽しく読めた。
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腹を空かせた勇者ども [文学 日本 Modern]


腹を空かせた勇者ども

腹を空かせた勇者ども

  • 作者: 金原ひとみ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2023/06/14
  • メディア: Kindle版



この作品が雑誌「文藝」に掲載されていた当時、東京新聞に書評が載り興味を持ってわざわざ図書館まで雑誌を借りに行って読んだ作品。あまりにも面白く単行本化を心待ちにしていたが遂に単行本化!!!

1.腹を空かせた勇者ども
2.狩りをやめない賢者ども
3.愛を知らない聖者ども
4.世界に散りゆく無法者ども

1,2は当時読んだのだが、これだけで本にするには短すぎるよな、と思っていたのだが、続編があったらしくそれを楽しみに頭から読み始めた。

コロナ禍での女子高の女の子を描いた作品。親との葛藤、クラブ活動、恋人との関係、勉強のことなどなど、中高生が悩む様々なテーマをうまく盛り込み、型にはまることのできない子供たちを暗に励ます内容となっておりとても共感しながら読むことができる。

あまりにもテーマが色々あり、何とも言えないが、主人公で何に対しても一生懸命で不器用なレナレナ、頭は悪いけど心優しく頑張り屋のヨリヨリ、自分を抑えながらも主張するところは主張し一生懸命生きるミナミ、中国からの心優しい留学生イーイー、とにかく危なっかしいながらも心優しい女の子たちが悩みながらも一生懸命生活する姿を描いたこの作品。かなりの傑作。文庫本化されたら是非買いたい。
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真田三代 下 [文学 日本 Modern]


真田三代 下

真田三代 下

  • 作者: 火坂 雅志
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2012/10/18
  • メディア: Kindle版



上田城が築かれた後、豊臣・徳川の勢力争いのど真ん中に入ってしまい、その時々の状況を見ながら様々な主君に仕え、なんとか真田家を生き延びて行かせようとする第二代昌幸。息子たちと協力し、徳川家康を2度までも撃退する場面は読んでいて痛快。

関ヶ原、大阪夏の陣では、豊臣側と徳川側に、父:昌幸・次男:幸村、長男:信之が分かれて戦うことになってしまう。さらに最後は父昌幸も死に、幸村ひとりで家康のところへ突っ込んでいく場面は感動的ですらある。

上杉家へ人質にやられた時に知った「義」の心を最後まで貫く幸村の姿が、多くの日本人に共感されるのもわかる気がした。

p.100
「天下を取るだけが道ではない。大きな力を手に入れたとき、人は弱き者、小さき者の痛みを忘れ、手に入れたものを保つことのみに汲々とするようになる。自分はそうはなりたくない。人が人として本来あるべき美しき姿を追いもとめ、背筋をのばして天に恥じぬ生き方をつらぬきたいものだ」
上杉謙信が語ったとされる言葉だ。


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真田三代 上 [文学 日本 Modern]


真田三代 上 (文春文庫)

真田三代 上 (文春文庫)

  • 作者: 火坂 雅志
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: 文庫



今年の夏、コンサートを観に、上田へ行くことになっている。
せっかく遠くまで行くのだから上田観光をしようと思い、それなら上田を知らなければと思い、それなら真田家を知らなければと思い、夏までの時間を計算して、この『真田三代』を読むことにした。

真田幸隆という人に始まり、真田昌幸が活躍し上田に城を築こうとする場面で終わる。

初めは人間の心情がそれなりに描かれ結構面白かったが、段々と、ただ歴史を述べているだけという感じになり、最後の方は結構流し読み。

やはりあまり日本史というものに興味がないのだなあ、と改めて思った。
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精霊の守り人 [文学 日本 Modern]


精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

  • 作者: 菜穂子, 上橋
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/03/28
  • メディア: 文庫



今年の夏、日生劇場で音楽劇化されるらしい。昨年の日生劇場に行った時このことを知り、ずっと気になっていた『精霊の守り人』シリーズを、2023年の7月までには読まなきゃなあ、と思っていた。先週図書館にいったところ、ずっと借りられて置かれていなかった『精霊の守り人』シリーズ第一巻『精霊の守り人』の新潮文庫版で令和四年に刷られた新しいものが置いてあったので、いいタイミングだと思い借りてみた。

トールキン の『指輪物語』
ル=グウィンの『ゲド戦記』
エンデ   の『はてしない物語』
といったファンタジーの名作と呼ばれている、冒険ものというのか、異世界で何かを求めて旅に出るけいの作品が私は苦手だ。どうしても物語の世界に入り込めない。めったに、本を読むのを途中でやめてしまうということが私はないのだが、エンデの『はてしない物語』に関しては途中でやめてしまった。映像化されたテレビドラマシリーズですら最後まで見ることができなかった。トールキンの『指輪物語』に関しても、本は原書でなんとか読みきったし、映画三部作もなんとか観たが、やはりあまり面白いとは感じなかった。『ゲド戦記』も4冊入った洋書を購入し読んだのだが、こうした本を買うと基本全作品読むのだが、三巻でやめてしまった。

今回『精霊の守り人』を読んで思ったのだが、やはりこの手のファンタジーは苦手だ。民間信仰、この世と別の世界を行き来できる人がいること、他にも様々な要素が入っており、心に響く部分もなくはないが、やはり戦い場面などは面白いと思えないし、なんとなく入り込めない感じだった。

続きの作品を読もうか迷い中・・・。
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凛として弓を引く 青雲篇 [文学 日本 Modern]


凜として弓を引く 青雲篇 (講談社文庫)

凜として弓を引く 青雲篇 (講談社文庫)

  • 作者: 碧野圭
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/10/14
  • メディア: Kindle版



弓道を描いた小説の第二巻。
第一巻、第二巻のようなタイトル付をしていないのが面白い。

近くの神社で見た弓道に心を惹かれ始め、その神社で行われている弓道会で学び、精神と技術を向上させていく主人公の高校一年生の一年間を描いた前作。
今作は、同じ高校に通う弓道会のメンバーと、廃部になってしまっていた弓道部を復活させ、自分たちで運営していく過程を描いた作品。

「かつて何故弓道部は廃部になってしまったのか?」という謎を負いながら、自分たちの練習スタイルを決めていき、お互いの心のズレや葛藤を乗り越えていく様を描いており、主人公も普通の女の子で、こういった小説にありがちな、あまりにも良い子でみんな好きになっちゃうよね、という感じでもないところが良い。

前巻の最後で進みそうだった乙矢君との恋があまり進展しなかったのがちょっと残念な感じだった。
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凛として弓を引く [文学 日本 Modern]


凜として弓を引く (講談社文庫)

凜として弓を引く (講談社文庫)

  • 作者: 碧野圭
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/10/15
  • メディア: Kindle版



電車のつり革広告でこの本の2巻が宣伝されており、興味を持って1巻を借りて読んでみた。
表紙通り、弓道の話。

講談社青い鳥文庫の『エトワール!』シリーズもそうなのだが、小中高生の、学校・学校のクラブの校外活動を描いた作品だと、学校とその活動が二重の物語を形成し何となく深みのある感じになる気がする。

何となく日々を楽しみ、何となく努力もするが、大事な所で力が発揮できない主人公楓。ふとしたことから関わるようになる弓道に、様々な葛藤を経験しながら、深く関わるようになっていき、積極的に主体的に活動に参加するようになり、最後は弱い自分を乗り越える。物語の王道のような作品だが、やはりこういう作品は読んでいて気持ちが良い。

主人公の恋愛アリ、クールな美少女も登場し、口うるさいが優しい大人たちも登場し、とても面白い作品だった。
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吾輩も猫である [文学 日本 Modern]


吾輩も猫である (新潮文庫)

吾輩も猫である (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/11/28
  • メディア: 文庫



私はあまりこうした類のアンソロジーが好きではない。
しかし、新潮文庫夏の100冊に入っており、長男が読みたいと言い出したので買ってあげた。彼も少し読んだようだが、やはりまだ少し難しかったらしい。

赤川次郎
新井素子
石田衣良
萩原浩
恩田陸
原田マハ
村山由佳
山内マリコ

こういった作家が書いているようだ。作者紹介を見ると、皆結構直木賞を受賞しているっぽい。

当然漱石のオマージュ作品なので、猫の視点から書かれているのだが、漱石をベースにしているからなのか猫を飼っている人間が作家やそれに近い職業の人が多かった気がする。

そして結構猫から見た人間を描写するのに似たような感じであるのが面白かった。

自由だと思っているが全く自由ではない。
神なる不思議なものを信じている。
発情期がなく年中さかりを迎えている。
こちらが世話をしてあげている。

こういったところだろうか。

私はあまりミステリーが好きではなく、赤川次郎の作品もあまり好きではないのだが、彼の作品が一番おもしろかった。石田衣良の「ココアとスミレ」は何となくミュージカル「キャッツ」をおもわせる内容でそれなりに面白かった。

やっぱりこういった類の短編アンソロジーは自分には向かないと思った。
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ビブリア古書堂の事件手帖 2-Ⅲ ~扉子と虚ろな夢~ [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/03/25
  • メディア: 文庫



ビブリア古書堂の最新刊を読み終わった。
今回は、藤沢のデパートのイベントスペースで開催される古書市の3日間で起こった事件を扱っているので、結構コンパクトな感じになっている。栞子と大輔の娘扉子がかなり活躍する巻で、今後恋愛関係に発展していくのかなあ、と思わせる男性も登場する。

今回はいつも以上に、栞子の母親智恵子が暗躍している印象があった。取り上げられている本はミステリー作品ばかりであまり興味のないものだらけだったが、ストーリーは面白かった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 2-Ⅱ ~扉子と空白の時~ [文学 日本 Modern]





今回は、横溝正史をテーマにした作品。結構長いスパンでの事件を扱っておりミステリー小説としてひき込まれる。しかし、私は横溝正史という作家に全く興味がなく、これからもあまり興味を持たないであろうことから若干楽しめなかった。

娘の扉子が可愛らしく、友達ができるくだりもとても良かった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 2-Ⅰ ~扉子と不思議な客人たち~ [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/09/22
  • メディア: Kindle版



第二シリーズで、栞子と大輔の娘が生まれ、彼女との生活の中で、扉子が本についてのお話を求め、そこから彼女に昔のエピソードを語って聞かせる、という形を取った作品。

銀行強盗でつかまったが出所後真面目に生きていた坂口昌志の昔の話が第一話。北原白秋の詩集がテーマに使用されているのだが結構最後は感動的。(しかし、文中に結婚して20年と記載されていたきがするのだが、多分10年だと思うのだが気のせいだろうか・・・)

もう一つは、ネタバレになるかもしれないが、我々が一般的に考える「本」ではない本を探す話。これも結構感動的。

第三話は、昔ちょっとした盗みをしたことがきっかけとなって、親しくなった小菅奈緒とホームレス志田の話・・・と思っていたら、これも意外な展開。これも感動的。

最後はちょっと後味悪いが、本編で最後に対決した、吉原家の話。

結構感動的な作品が多く、娘の扉子がとにかく可愛かった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 7 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/03/24
  • メディア: Kindle版



最終巻を読み終わった。
今回のテーマは、シェイクスピア。
様々な作品が登場し、セリフなどもところどころ引用され、話の最初から最後まで、『ヴェニスの商人』をなぞっていくような展開になっており、かなりうまいなあ、と思わせた。特にクライマックスの悪役が勝利を得ようとする寸前に、勝ち負けがひっくり返されるところもうまいと思った。
この巻を読んで、日本語訳を参照しながら、シェイクスピア全集を初めから最後まで読んでみたくなった。

個人的には、買って家に置いて置こうとまでは思わないが、間違いなく面白いシリーズではあった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 6 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖6 ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖6 ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2015/03/03
  • メディア: Kindle版



いよいよ大詰めという感じになってきた。
初めにテーマとなっていた太宰治が再びテーマとなる。

一件関係なさそうな人物たちがいろいろなところで絡み合って来ている。次巻が一応の最終巻らしいが、もやっとしているいろいろなことが一気に解決されるのであろう。

私もいろいろな本を読み、絶版本や岩波文庫の品切重版未定本を結構必死で探すのだが、いわゆる古書、有名な本の初版本・サイン本・直筆~の類に興味はない。クラシック音楽でもそうなのだが、巨匠の演奏とか歴史的名演とか、少しは聴いてみたいとは思っても、基本的にその曲、その作品が好きなのであって、聴けたり、読めたりすればそれで良い。

だから、この本に出てくる、人を傷つけてまで古書を手に入れようとするコレクターたちの気持ちがイマイチわからない。

大輔と栞子のファースト・キスシーンなどもあり、結構面白くはあった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 5 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2014/04/08
  • メディア: Kindle版



第5巻を読み終わった。
今回のテーマは、手塚治虫『ブラック・ジャック』と寺島修司。
手塚治虫は国民的漫画家で、漫画を置かないような学校図書館でも平気で置いてある。
それだけの漫画家で、すでにクラシック化していると言える彼の作品でもやはり読む気がしない。私は漫画というものがあまり好きではない。そしてあまり手塚治虫という人自信に興味がない。さらにあまり寺島修司という人にも興味がない。

ということで内容的には興味深い巻ではなかったが、ミステリー要素はそれなりに楽しく読めた。前巻で告白した大輔とその返事を待たせる栞子、そしてそこに色々な影響を与える栞子の母智恵子の存在。色々な様子があって楽しんで読めた。

p.186
「作り話だからこそ、託せる思いもあるんです。もしこの世界にあるものが現実だけだったら、物語というものが存在しなかったら、わたしたちの人生はあまりにも貧しすぎる・・・・・・。現実を実り多いものにするために、わたしたちは物語を読むんです。」

物語を読む意味を書いたこの文章。結構共感できた。
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ビブリア古書堂の事件手帖 4 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/09/05
  • メディア: Kindle版



今回は、2011年3月11日の大震災後を扱った物語となっている。
今までの巻と違い、この1冊全てが江戸川乱歩をテーマとしている。

江戸川乱歩は、数年前、新潮社の夏の百冊で、『江戸川乱歩傑作選』を読んだだけで他の作品を読んだことがなかった。面白くはあるし、かなり興味がある作家ではあるのだが、そもそもあまり推理小説自体が好きではないし、怪奇小説などは全く興味がないし、SMっぽい描写も好きではないので手に取らずにいる。少年探偵団系も興味はなくはないが、何しろ冊数が多いので、一度読み始めるとほかの本が読めなくなりそうなので時間がもったいないので読んでいない。

だが、この本はとにかく面白かった。遂に栞子さんの母親智恵子も登場し、大輔と栞子の距離も大幅に縮まる。恋愛小説としても推理小説としても面白い作品だった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 3 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/02/25
  • メディア: Kindle版



あっと言う間に三巻まで読み終わってしまった。
今回は、ヒロイン栞子の妹文香の日記らしきものが、はじめとさいごに付されている。

栞子の母親智恵子の人間像が断片的にいろいろ示されることで、かなり輪郭がはっきりしていくと共に、主人公五浦大輔と栞子の仲がだんだん縮まっていく様子も読んでいて微笑ましい。

最後の宮沢賢治の『春と修羅』をテーマにした章はかなり面白かった。

そして筆者の古書店に関する知識の深さにびっくりする。
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ビブリア古書堂の事件手帖 2 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/02/25
  • メディア: Kindle版



栞子さんも退院し、主人公大輔と古書堂で一緒に働くことに。
一巻で出てきた人達も結構登場するし、古書の様々な知識も入ってくるし、栞子と大輔の心の距離もどんどん近づいてくるし、ミステリーとしても面白いし、すごくエンターテインメント作品としては優れたものだと思った。

今まで謎が多かった栞子の家族に関しても少しずつわかってきてかなり興味深い巻だった。

pp86~87
「読んでいない本の感想を書くのは、著者への侮辱だとわたしは思います。」

私もそう思う。この夏休み、多くの児童・生徒が読書感想文を書くと思うが、下手でもいいから、是非自分で読んで、自分の言葉で書いてもらいたい。
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ビブリア古書堂の事件手帖 1 [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2013/02/25
  • メディア: Kindle版



この本も前からなんとなくは気になってはいたのだが、時間をかけて読むほどではないかと思いずっと読まずにいた。しかし、最近良く本屋に立ち寄っており、何度かこの本を見かけやはり興味を持ち図書館で借りてしまった。

古本屋、古書店、図書館、読書会等、本にまつわる題名がついている本はどうしても興味をそそられてしまう。そしてこの本も面白かった。昔の絶版本にまつわる話や、出版業界のアレコレもところどころあり、恋愛要素も混じっておりかなり楽しく読めた。

店主の女性、篠川栞子はシャーロック・ホームズばりの推理力を発揮して色々な事件を解決していく。

人気なのがわかる気がした。
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アンソーシャル・ディスタンス [文学 日本 Modern]


アンソーシャル ディスタンス

アンソーシャル ディスタンス

  • 作者: 金原 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/05/26
  • メディア: 単行本



金原ひとみのコロナ禍での日常を描いた雑誌掲載の小説を読み、面白かったので、同じようなテーマで書いていると言われるこの本を読んでみた。

長編小説なのかと思っていたが、雑誌「新潮」に掲載された5作を載せた短編集。

1. ストロングゼロ
2019.1月号
2. デバッガー
2019.8月号
3. コンスキエンティア
2020.1月号
4. アンソーシャルディスタンス
2020.6月号
5. テクノブレイク
2021.1月号

ということで、1~3がコロナ前、4、5がコロナ中に書いたもの。
どれも基本的には陰キャな主人公がふとしたことからあるものに依存してしてしまい、そのまま中毒のようになってしまい大変な事態に陥ってしまう話。フランスの自然主義小説を読んでいるようで、結構読み進めるのが辛いのだが、どんどん読み進められた。
1はアルコール中毒
2は整形手術中毒
3は化粧中毒?
4はセックス中毒?
5はセックス中毒

性行為の描写が結構生々しいのだが、何故か村上春樹の描写よりもいやらしさや格好つけ感は感じなかった。作者が女性だ、ということを意識しているからなのか。

まあ期待が大きかっただけに、若干残念な感じではあったが、それなりに楽しめた。
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推し、燃ゆ [文学 日本 Modern]


推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

  • 作者: 宇佐見りん
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版



芥川賞受賞作、『推し、燃ゆ』について同僚と話す機会が有り、少し興味を持ったので読んでみた。天皇制とのからみがある、ということで興味を持ったのだ。

①主人公の誕生日
  =8月15日
②推しのグループのメンバーの一人の名前
  =明仁(平成天皇)
③p.103:「アイドルが人になる」(解散・引退時)
  =天皇の人間宣言

確かに、アイドルを推す構造と天皇制の構造をパラレルに読んでいくと面白くはあった。とはいえ、物語として全く入り込めず、主人公の行動や思考にも共感できず、最後の方はかなり飛ばし読みになってしまった。

まったく肌に合わない小説だった。
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