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雁の童子 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


新編 風の又三郎 (新潮文庫)

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/03/01
  • メディア: 文庫



銀河鉄道の夜-宮沢賢治童話集3-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

銀河鉄道の夜-宮沢賢治童話集3-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/01/16
  • メディア: 新書



流沙(中国北西部のゴビ砂漠付近?)で、語り手が質素な食事をしていると、巡礼のおじいさんがやってきてとなりで食事をはじめる。お互いの食事が終わる頃、近くにあった「お堂」が気になり、「あのお堂はどなたをおまつりしたのですか。」とおじいさんに聞く。するとおじいさんがそのお堂に奉られている「童子」の話をはじめる。

沙車(かつて中国にあった都市国家らしい)にある男がいて妻とふたりで静かに暮らしていた。彼は、鉄砲を持った従兄弟と野原を歩いている途中、従兄弟に「殺生をいいかげんやめたらどうだ」と諭すが、従兄弟は聞き入れず、飛んできた雁を鉄砲で撃とうとする。7匹中6匹に命中し、最後の一匹だけ助かる。命中した6匹は人間の姿になり、先頭にいたおじいさんが、「どうかわたくしの孫をおつれくださいませ」と頼んで死んでいく。雁から人間の姿になった童子は、彼に引き取られ大切に育てられる。

彼は「雁の童子」と名付けられ、友達にいじめられたりしながらも、生き物に対して慈悲の心を持った優しい子に育つ。教育も受けすくすく育っていたある日、沙車の町外れの大寺あとが掘り出され、そこの壁に三人の天童子が描かれその一人は、「雁の童子」そっくりだった。

彼と童子がその側を歩いていると、急に童子は悲しげになり、「お父さん、わたくしはどこへも行きたくありません」と突然言い出す。何を言っているかわからない彼は戸惑う。すると「おじいさんがおむかえをよこしたのです。」といい、彼はかつて王の息子だったが、敵に攻撃を受けて息子たちは出家することになった。だが、自分には恋人がいて結局出家せずにいた、と語る。

ここで、おじいさんの話は終わる。仏教の説話的な話なのだろうがイマイチよくわからない話。
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烏の北斗七星 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


注文の多い料理店 (新潮文庫)

注文の多い料理店 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/05/29
  • メディア: 文庫



風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/31
  • メディア: 新書



烏の義勇艦隊が軍事演習をしている。山がらすとの戦争に備えているのだ。
演習が終わり、からすの大尉は、いいなづけのからすと話をする。

青い鳥文庫版 p.158
「しかしもちろん戦争のことだから、どういうはりあいでどんなことがあるかもわからない。そのときはおまえはね、おれとのやくそくはすっかり消えたんだから、ほかへ嫁ってくれ。」

そして大尉は星へお祈りをする。

やまがらすとの戦。

大尉は生きて帰る。そして次のように言う。

p.166
「(ああ、マジエル様、どうかにくむことのできない敵をころさないでいいように早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引きさかれてもかまいません。」

ストーリー自体はたいして面白くないのだが、自己犠牲の精神、世界平和を望む宮沢賢治の思想が見える美しい作品。
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ガドルフの百合 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


ポラーノの広場 (新潮文庫)

ポラーノの広場 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/01/30
  • メディア: 文庫



旅人ガドルフが、次の町目指して歩いているのだが、一向に見えても来なければ気配もしない。そんな中、雷雨がやってくる。並木の向こうに白い明かりが見えたのでそちらに向かう。すると大きな真っ黒な家が建っている。

中に入って声をかけるが誰もいない。2階から物音がして、行ってみるがそこにも誰もいない。嵐がやまない中、光が差し、百合の花が見える。これを見て自分の恋を思い出す。その後、豹の毛皮を身につけた男と、烏の王のように真っ黒な男が、(夢の中?に)現れ、ガドルフの目の前で取っ組み合いの喧嘩をする。

短い作品で、全体像が全く見えない。後ろの解説を読んでもよくわからない。とにかく理解不能な作品だった。
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風野又三郎 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


ポラーノの広場 (新潮文庫)

ポラーノの広場 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/01/30
  • メディア: 文庫



有名な「風の又三郎」の初稿というのか、初期作品。これをもとに現在流布しているものができたらしい。「風の又三郎」では、転校生が本当に教室にやってきて、先生が皆に紹介し、皆が三郎を勝手に「風の又三郎」と読んでいるのに対し、この初稿「風野又三郎」では、教室に現れた又三郎を先生は見ることが出来ず、子供達とだけ会話したり遊んだりする。

この初稿の方が、緊張感もありストーリー展開も自然で読みやすい。後半部の又三郎が北極から日本まで旅してくる描写は若干冗長。

流布している稿では誰にも挨拶せずに遠くへ行ってしまう三郎だが、この初稿では最後、一郎に挨拶をして終わるところが良かった。

「風の又三郎」は全く傑作だとは思わないが、こちらの作品は悪くなかった。

p.104
「お前たちはだめだねえ。なぜ人のことをうらやましがるんだい。僕だってつらいことはいくらもあるんだい。お前たちにもいいことはたくさんあるんだい。僕は自分のことは一向かんがえもしないで人のことばかりうらやんだり馬鹿にしているやつらを一番いやなんだぜ。僕たちの方ではね、自分を外(ほか)のものとくらべることが一番はずかしいことになっているんだ。僕たちはみんな一人一人なんだよ。」

宮沢賢治の思想がきゅっと詰まった一節だと思う。なかなかこのようには生きられないが、このように生きたいとは思う。
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風の又三郎 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


新編 風の又三郎 (新潮文庫)

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/03/01
  • メディア: 文庫



風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/31
  • メディア: 新書



2学期が始まる9月1日、谷川の岸にある小さな学校に、ある転校生がやってくる。
彼は、学校が始まる前から、教室の席に座っており、子どもたちは好奇の眼差しで彼を見る。彼のことを噂していると風が吹いてくるため、まだ本当の名前も知らない子どもたちは彼を「風の又三郎」と名付ける。
その後先生が入って来て高田三郎という名前を紹介すると、みんな、「やっぱり風の又三郎だ」とはやしたてる。
しかし、その転校生は、12日の月曜日の前に、親の急な仕事で再び転校してしまい、子どもたちは挨拶できずに終わり、「やっぱりあいつは風の又三郎だった」となって終わる。

9月1日から12日までの12日間の、三郎と子供たちの交流の様子を、川を中心に描いている。

傑作と呼ばれている作品で、今回で5~6回読んでいるのだが、やっぱり私は他の宮沢賢治作品と比べて、もう一歩な気がする。子供たちの会話は方言が多く読みづらいし、遊びもイメージしづらいし、という感じ。
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かしわばやしの夜 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


注文の多い料理店 (新潮文庫)

注文の多い料理店 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/05/29
  • メディア: 文庫



清作という(恐らく農夫)が、仕事を終え帰りの準備をしていると、どこからか調子っぱずれの歌声が聞こえてくる。そこには西洋風の格好をした絵かき男が立っていた。清作は彼の前まで行くと、わけのわからない感じで絡まれたので、彼もわけのわからない言葉を大声で発すると、二人は少し打ち解ける。

その絵かきは、柏の木大王から誘われている、と言い、林の中までついてくるよう言う。
柏の木のところまで行くと、柏の木たちは清作をからかうような歌を歌う。それに対して、精作も大きい声で歌い返す。
柏の木大王のところまで行くと
「その人はよしなされ。前科者じゃぞ。前科九十八犯じゃぞ」と言われる。
精作は
「おら正直だぞ」と返すと
「貴さまの悪い斧のあとのついた九十八の足さきがいまでもこの林の中にちゃんと残っているじゃ」と言われる。
そこで精作は
「おれはちゃんと、山主の藤助に酒を二升買ってあるんだ」というと
「そんならおれにはなぜ酒を買わんか」と返される。

結局柏の木たちの歌合戦になり、最後はふくろうも加わり終わる。

わけのわからない楽しげな雰囲気の作品だが、人間が自然を、人間の論理で所有することと、自然の側からの論理をうまく対比させたシリアスな側面も持っている。音楽をつけた舞台にしたらそれなりに楽しい作品になりそうなものがたり。
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蛙のゴム靴 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


新編 風の又三郎 (新潮文庫)

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/03/01
  • メディア: 文庫



カン蛙、ブン蛙、ベン蛙という負けず嫌いの蛙がいた。
三匹はある日、ヘロン(人間)が持つ、ゴム靴が欲しいと話す。

三匹が別れた後、カン蛙はゴム靴を手に入れようと考え、野鼠に頼む。野鼠は何とかゴム靴をカン蛙のために手に入れてあげる。

人間から手に入れたゴム靴を自分用にアレンジして履き、それをブン蛙とベン蛙に自慢する。二匹は羨ましがる。そんな中、ルラという美しい娘蛙がやってくる。彼女は夫を探していた。カン蛙のゴム靴に目を惹かれた彼女は、カン蛙と結婚することに。

そして結婚式の日、カン蛙が結婚することに納得いかない二匹は、萱の上を歩かせ、ゴム靴をボロボロにすることを思いつき、実行する。ゴム靴はボロボロになりなくなってしまう。そこへルラがやってくるが、ゴム靴しか目に入っていなかったためどれがカン蛙なのかわからない。しかし何とか見分け結婚。新婚旅行に出ることになる。そこで二匹はさらに策略を図り、カン蛙を穴に落とそうとするが自分たちも落ちてしまう。ルラは皆に助けを求めるが、結婚式でよってしまっており皆起きない。

次の朝何とか助け出す。

今回のことに懲りて皆、よく働くようになったとさ。


あまり功名心を出したり、嫉妬心を出すのは良くないということを言いたい作品なのだろう。
そんなに面白くなかった。
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カイロ団長 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/06/19
  • メディア: 文庫



30匹のあまがえるが、いろいろな動物の役に立つ仕事を一生懸命して暮らしていた。
そんなある日、仕事を終えて家に帰る途中、「舶来ウェスキイ」が飲める店に入る。一杯飲むとあまりに美味しさにどんどん飲んでしまい、酔っ払って寝てしまう。

次の朝、店主のとのさまがえるに一匹ずつ起こされ、酒代が払えないということで、みなけらいにされてしまう。

いろいろ無茶な命令をされ、いよいよ諦め「警察にいく」と言っていたところ、王さまから新しい命令が下される。

「人に物を言いつけるときは、その仕事を一ぺん自分で二日間やってみる」という命令だった。
そこで、とのさまがえるは自分でいった命令を自分でやることになり、しまいには足がくにゃりと曲がってしまう。あまがえるたちはどっと笑い出すが、どういうわけかそれから急にしいんとなってしまう。

この時の宮沢賢治の言葉が素晴らしすぎる。
p.56
「みなさんはおわかりですか。ドッと一緒に人をあざけり笑ってそれから俄かにしいんとなった時のこのさびしいことです。」

その後新しい命令が出る。

「すべてあらゆるいきものはみんな気のいい、かあいそうなものである。けっして憎んではならん。」

こうしてあまがえるもとのさまがえるも元通り楽しく暮らすことに。

結構心に響く言葉もあり、良い話。
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貝の火 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


新編 風の又三郎 (新潮文庫)

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/03/01
  • メディア: 文庫




セロひきのゴーシュ-宮沢賢治童話集4-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

セロひきのゴーシュ-宮沢賢治童話集4-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/03/14
  • メディア: 新書



川辺で遊んでいた子うさぎのホモイは、川で溺れて流されていたひばりの子を助ける。そのお礼にひばりの王様から、「貝の火」という光る宝珠(宝の玉)をもらう。この珠はたいへん壊れやすく、毎日磨いてきもつけていないと光らなくなってしまうものらしい。

あくる日、ホモイが外で遊んでいると、馬やリスがホモイを見ると畏まった様子である。「貝の火」を手に入れたことにより、ホモイは森中の動物たちから敬われるようになる。そこでホモイは自分が大将になったと考え、色々な動物に命令を下すようになる。

ある日、意地悪な狐に出会う。狐を恐れていたホモイだが、おそるおそる「お前はずいぶんぼくをいじめたな。今度はぼくの家来だぞ」と言ってみると狐は卒倒しそうになって頭に手を上げて「許してください」という。こうしていい気になったホモイは、狐に唆されさらに偉そうに振舞うようになる。

こうした自分の息子の様子を両親は心配そうに眺め、父親は何度もホモイを諭すがホモイはあまり聞こうとしない。

狐に「動物園を作ろう」と言われ、いろいろな動物をホモイと狐は捕まえる。そのことを父親に報告すると、すぐに捕まえた動物たちを放してやるように言われ、狐のもとに行くが、「ホモイ、気をつけろ。その箱に手でもかけてみろ。食い殺すぞ」と言われてしまう。

狐に騙されていたことを知り、両親とホモイは狐に対決を挑みに行き、狐は逃げていく。残った箱を開けてみると、中からたくさんの鳥たちが出てくる。貝の火を見てみると、白く濁っており、おまけに壊れてしまうが、もう一度復活する。しかし、壊れた時の粉末がホモイの目に入り、彼は目が見えなくなってしまう。お父さんは、「泣くな。こんなことはどこにもあるのだ。それをよくわかったお前は、一番幸いなのだ。目はきっとよくなる。お父さんがよくしてやるから。な。泣くな。」と言われ終わる。

権力を持つと、周りにへつらう人間が集まり、横暴になり、腐敗し、遂には権力が崩壊する様子を描いた作品。どんな時代であろうと、人の欲望というのかいやらしさは変わらないことがわかる作品。結構重いテーマを軽やかに扱っている。
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