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アドヴェント・カレンダー [文学 その他]


アドヴェント・カレンダー―24日間の不思議な旅

アドヴェント・カレンダー―24日間の不思議な旅

  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 1996/10/01
  • メディア: 単行本



ヨアキムという少年が本屋で古いアドヴェント・カレンダーを見つける。日にちのところを開けると物語が入っていて、エリザベートという少女が羊に導かれ森の中へ入っていき、そのまま時間を戻り、イエス・キリストが生まれる場面へと旅していく。

『ソフィーの世界』と同じような現実の世界、手紙の世界という二つを行ったり来たりして、時間と空間を旅する物語。

十数年前に読んだときは非常に面白く素晴らしい作りだと思ったのだが、今回次男に読み聞かせながら改めて読んでみたが、手紙部分の時間と空間を旅する場面が大した話になっておらず、実はそんなに面白くないんじゃないかと感じてしまった。
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封神演義 下 [文学 その他]


封神演義(下) (講談社文庫)

封神演義(下) (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/29
  • メディア: Kindle版



ついに読み終わった。姜子牙率いる武王軍は、ついに紂王率いる城へと向かう。そこに至るまで色々な戦いをするのだが、この巻はその戦いがメインでやっぱり戦いの場面はつまらない。しかも中巻と違い、人がどんどん死んでいく。この辺はガンガン読み飛ばした。

最後いよいよ紂王と対決という場面で、紂王を惑わしていた三人の妖怪たちが自分たちが何とか生き残ろうと画策する場面は読んでいて楽しかったがあとは・・・。

正直かなりつまらなかった。『イリアス』と同じで、初めから運命が決められているなら勝手に仙人たちで戦えば良いし、人々の内面を描いているような場面も少なく退屈・・・。

長い時間かけて読むほどのものではないと思う。
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封神演義 中 [文学 その他]


封神演義(中) (講談社文庫)

封神演義(中) (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/29
  • メディア: Kindle版



『封神演義』中巻を読み終わった。
商の王、紂王は狐が化けた妻にそそのかされ堕落していき悪政を敷くばかり。上巻はその悪政をひたすら描いている感じであったが、中間はそれに対して、仙人界も易姓革命の時代が来たと、天才軍師姜子牙を人間界に送り込み、新しい周の時代の王となる武王のもとへ送り込む。

この武王が中央の紂王から送られてくる様々な軍をことごとく破っていく西岐での戦いをひたすら描いたもの。色々な武将が出てきて面白くはあるのだが、やはり私はこういった戦いの場面にほとんど興味がない。誰がどう戦おうが、どのように勝とうがどうでも良いのだ。

ということで結構飛ばし読みになった巻ではあるが、少しは人間関係も描かれておりそれなりには楽しんだ。最後下巻はどのような展開になるのか、楽しみだ。
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封神演義 上 [文学 その他]


封神演義(上) (講談社文庫)

封神演義(上) (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/29
  • メディア: Kindle版



1988年にこの本が出たとき(当時10歳)、本屋に並んでいるジャケットに惹かれてこの3巻本を購入して読んだ。
何とか全部読みきったが、当時はあまり面白いとは思わなかった。その後、封神演義は漫画化され、かなり流行したが、そうした漫画も読むことなくここまで来た。そしてもう読むこともないだろうと、10年ほど前古本屋に売ってしまった。

しかし最近この本を再読したい、という思いが強まり偶然古本屋で三冊1000円で売られているのを見て思わず購入してしまった。
太公望の釣りの説明が書かれている「まえがき」は非常に印象的で覚えていたが、ほかのストーリーは全く覚えておらずかなり新鮮な感じで読めた。

中国の商王朝から周王朝へと変わる時代を描いており、人間、仙人、神が入り乱れて戦争するさまは、ホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』をおもわせる。女人との関係はアラビアの『千夜一夜物語』的なところもある。物語として面白いかというとそうでもないし、読み進めるのに結構時間はかかるが、フランス自然主義文学よりは楽しめる。
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女の平和 [文学 その他]


女の平和: リューシストラテー (岩波文庫 赤 108-7)

女の平和: リューシストラテー (岩波文庫 赤 108-7)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/06/16
  • メディア: 文庫



アリストパネース三冊目。恐らく、もう読まないんだろう。
『女の議会』が数年前岩波文庫から復刊され、あまりにもすばらしく、世界史などで良く取り上げられるこの『女の平和』も読んでみたくなり、岩波文庫でずっと探していた。

『平和』でも書いたが、先日本当に偶然古本屋で見つけ購入。

あらすじはあまりにも有名なので、良いと思うが、戦争に反対する女性たちが、セックス・ストライキを敢行。最終的には男たちが負け、平和が訪れるというもの。

『平和』同様、イマイチわからない部分が多く、『女の議会』ほど楽しく読めなかった。

かなり楽しみにしていた分、もう一歩感が大きかった。
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平和 [文学 その他]


平和 (1956年) (岩波文庫)

平和 (1956年) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2023/07/15
  • メディア: 文庫



ふと立ち寄った古本屋に、前からずっと欲しかったアリストパネースの『女の平和』を発見。この『平和』という本とセットで1240円ということで、これは買うしかないと購入。

早速お目当てではない『平和』の本から読んでみた。

長期にわたる戦争に飽き飽きしている農民トリュガイオスが虫に乗って天に上り、幽閉されている平和の女神を色々な人の助けを借り、引きずり出し、地上に連れてきて平和の大合唱を奏でる、という話。

あらすじだけ読むとそれなりに面白そうなのだが、結構当時の文化やギリシア語の韻がわからないと理解できないことが多そうで、細かい注を読みながら読みすすめたのだがやはりイマイチよくわからない。

若干ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』を彷彿とさせる本。

イマイチ。
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ダフニスとクロエー [文学 その他]


ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)

ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1987/03/16
  • メディア: 文庫



数年前、「ダフニスとクロエ」というラヴェル作曲のバレエを生で観た。あまり期待していなかったのだが、結構良く心に残っていた。

是非原作も読みたいと思っていたのだが、品切重版未定になっており手にできなかったのだが、昨年復刊され手に入れた。

三島由紀夫が『潮騒』を書く際にもモデルにしたとも言われており、ゲーテの絶賛しているらしい。

高貴な生まれながらも、島に捨てられることになったダフニスとクロエー。初めは山羊と羊の乳で育てられていたがそれを見た山羊飼と羊飼が自分の子供として育て、二人は仲良くなり、段々と仲を深めていき、神様や長老たちの力添えにより性にも目覚めていき、最後は実の親にめでたく出会い二人は結婚するという話。

ストーリーとしてものすごく面白いか、と言われるとそこまでではないが、シェイクスピアの様々な作品の原型になっていることも想像できるし、純朴な少年少女がどのようにして性に目覚めていくのかということが爽やかに描かれているのも悪くない。

短い作品でもあるし、それなりに面白かった。
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ラ・カテドラルでの対話 下 [文学 その他]


ラ・カテドラルでの対話(下) (岩波文庫)

ラ・カテドラルでの対話(下) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/07/19
  • メディア: 文庫



下巻は、権力者ドン・カヨの愛人、オルテンシアの死の場面から始まる。

上巻は、時が飛んだり、会話にいろんな場面がはいりこだりとかなり読みづらかったのだが、この下巻は、章ごとに時が行ったり来たりはするが、基本場面や登場人物は塊ごとで一定していてかなり読みやすかった。

上巻でイマイチぼんやりしていたことが、段々と解明されていきいろいろな登場人物の内面や人間関係も分かっていきかなり楽しめた。

階級問題、人種差別、政治的問題、同性愛など、いろいろなテーマを一つの物語に組み込み、ストーリーのおもしろさもあるこの作品。文学手法的にも凝ったものだが、ジョイスやウルフほどわかりづらく読みづらくもなく、結局よくわからない的なところもなく、かなり実験性と、古典的な物語のおもしろさのバランスのとれた良い作品だと思う。作者のリョサがお気に入りの一冊というのも分かる力作であり傑作であると思う。

読み進めるのに忍耐力はいるが、かなり面白い作品だった。
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ラ・カテドラルでの対話 上 [文学 その他]


ラ・カテドラルでの対話(上) (岩波文庫)

ラ・カテドラルでの対話(上) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/06/16
  • メディア: 文庫



この本に付された「緒言」によると、筆者バルガス=リョサ自身が自分の作品の中で「火事場から救い出す」としたら選ぶであろう作品らしい。

上巻だけでも600ページを超える大作。

初めに新聞社から出てくるサンティアーゴの描写から始まる。彼が家に戻り、妻のアニータから、犬が野犬収容所に連れて行かれてしまったことを教えられ、飼い犬を助け出すためにそこへ行き、無事救い出したところ、彼の実家の召使だったアンプローシオと偶然出会い、彼と「ラ・カテドラル」という飲み屋に行くことになり、そこでの対話を描いた作品。

資本家の下に生まれたサンティアーゴの、共産主義へと傾倒する自身のアイデンティティの葛藤、上流階級が進む大学ではなく、一般大衆が進む大学をあえて選び、そこで出会った共産主義者の女性アイーダと友人のハコーボとの三角関係、ハコーボの裏切り、ストライキによる蜂起の失敗、逮捕、裕福な生活を捨て、自立するために新聞社で働くことになるまでの物語が軸となって進む。

その裏で、彼の父親ドン・フェルミン、その友人ドン・エミリオ、権力者ドン・カヨ・ベルメデスの薄汚い政治的やり取り、警察の動きが挟まれる。

さらに、サンティアーゴと話をしているアンプローシオと彼の愛するアマーリアとの恋物語がところどころ入ってくる。

過去と現在を行ったり来たりするとともに、いろんな挿話が会話会話のあいだに入ってきて、リョサ特有の読みづらさがあるが、とにかく物語が面白い。重層的なのだが、それぞれの話がいろんなところでつながっており、絶妙なバランスで話が進んでいく。

アマーリアの純粋な心がとてもよく、彼女の挿話がとにかく楽しい。サンティアーゴの大学時代の恋と自分の内面の葛藤の部分もとても面白い。

読みづらいが本当に面白い作品だ。
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語るボルヘス [文学 その他]


語るボルヘス――書物・不死性・時間ほか (岩波文庫)

語るボルヘス――書物・不死性・時間ほか (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/10/18
  • メディア: 文庫



ボルヘス作品の最終巻、『語るボルヘス』を読み終わった。
ボルヘス最晩年の講演集らしい。

テーマは、書物、不死性、エマヌエル・スヴェーデンボリ、探偵小説、時間。

どれも彼の終世のテーマである、永遠性、循環性、などが話題として取り上げられている。
彼の作品はやはり、小説より、こういった講演集や評論などの方が面白い。

p.25
「図書館とは魔法の書斎であり、そこには人類のもっともすぐれた精神が魔法にかけられて閉じ込められている。彼らは沈黙の世界から飛び出そうと、われわれが呪文を唱えるのを今か今かと待っている。まず、書物をひもとくこと、そうすれば彼らは目を覚ますだろう。~中略~われわれは人類が生み出した最高の人たちと友達になることができる。しかし、こちらから近づこうとしてはいけない。また、注解や批評は出来るだけ読まないことである。そんあんことをすれば、彼らの語りかける言葉を直接聞き取れなくなるだろう。」

p.51
「この二十年間アングロサクソン語の詩を研究してきたおかげで、私は多くの詩を暗記しています。ただ、作者の名前が分からないのです。ですが、それはどうでもいいことです。九世紀の詩を読み返して、その詩を作った誰かわからない人と同じ気持ちになれば、それでいいのです。その時、私の中に九世紀の名もしれない詩人が生きています。」

p.54
「最後に、私は不死を信じていると申し上げておきます。むろん個人のそれではなく、宇宙的な広がりを持つ広大無辺の不死です。われわれはこれからも不死であり続けるでしょう。肉体的な死を超えてわれわれの記憶は残り、われわれの記憶を超えて、われわれの行動、われわれの行為、われわれの態度物腰、世界史の驚くべき一片は残るでしょう。」

p.70
「知性、倫理、芸術の実践を通して人は救済されうるということです。」

p.85
「書物というのは、読者がそれをひもといてはじめて存在しはじめるのです。その時に芸術的現象と呼びうるものが生じます。つまり、読者が一冊の書物をひもといた瞬間に、本が誕生するのです。」

時も空間もすべては永遠であり、その永遠性の中に我々は存在している、ということなのだろう。
かなり彼の考え方には共感できる。
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アレフ [文学 その他]


アレフ (岩波文庫)

アレフ (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/02/17
  • メディア: 文庫



ボルヘスの8作目、『アレフ』を読み終わった。というより、ページを全部めくり終わった。読み始めて文字を追うのだが、全く内容が頭に入ってこない。そのうち文字を追うのも億劫になり、意味を取ろうとする行為を諦めてしまう。そういった類の本だと思う。この本が読める人は相当すごい人だと思う。

基本すべての話がつまらないし、理解できないが、数篇面白い作品があった。

「エンマ・ツンツ」
部下に金を盗まれ、最後は死んでしまった父親の仇を打つために、悲壮な決意をし、一人で復讐をやり遂げる女性の話。緊迫感がありこれは非常に面白かった。

「ドイツ鎮魂曲」
ナチス・ドイツ時代の話。難しい話で、理解しきれない部分はあるが、内的葛藤を描いて再読してみても良いかな、と思わせる作品。

あとは、ほぼ読めなかった・・・。




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プロディーの報告書 [文学 その他]


ブロディーの報告書 (岩波文庫)

ブロディーの報告書 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/05/17
  • メディア: Kindle版



ボルヘス8作目、『ブロディーの報告書』を読み終わった。前回読んだ『汚辱の世界史』に近い雰囲気を持った基本悪者を描いた短編集。

兄弟同士がひとりの女を取り合い、驚愕のラストを迎える一作目『じゃま者』
悪仲間を警察に売り、のうのうと生きてその話を語る本当に卑劣な男を描いた二作目『卑劣な男』
『汚辱の世界史』収録の「薔薇色の街角の男」に登場する、ほかの人物の視点から同じ事件を描いた三作目『ロセンド・ファレスの物語』
この始めの三作がとても面白かった。
ほかの作品も、ボルヘスの作品にしては読みやすかった。

これもある程度勧められる作品だ。

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汚辱の世界史 [文学 その他]


汚辱の世界史 (岩波文庫)

汚辱の世界史 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/04/18
  • メディア: 文庫



ボルヘス6作目、『汚辱の世界史』を読み終わった。今までで一番面白かったかもしれない。
古今東西の様々な作品や、人物の中でも、悪者にスポットを当てた短編集で、それぞれが短くしかも悪者の人生なので、結構波乱に富んでいて面白く、かなり興味深く読めた。

しかも、有名なビリー・ザ・キッドや、忠臣蔵で有名な吉良上野介なども登場する。ボルヘスにありがちなのだが、どこまでが真実でどこからか創作なのかが全くわからないので、基本は全てが創作なのだと考えて読んだほうが良いと思う。ボルヘス作品の中ではかなり読みやすいのではないだろうか。他にも「エトセトラ」と題された、アラブの物語も別に収録されていたり、デビュー作『薔薇色の街角の男』なども収録されていたりと結構ヴァラエティに飛んでいる。特に「エトセトラ」の部分は、ボルヘスの『千夜一夜物語』「地図」「夢」「鏡」といった彼の大好きなテーマが散りばめられており、興味深かった。

一点、「吉良上野介」の章では、題名は吉良上野介だが、話の主眼はやはり赤穂浪士によっており、赤穂浪士の人徳的なすばらしさにスポットが当たってしまっている。やはり忠臣蔵を描こうと思うとどうしてもそっちに意識が行ってしまうのかなあ、と結構興味深かった。

彼の主張する、世界はひとつの文学である、というのが文字通り表された素敵な1冊となっていると思う。ボルヘス入門書としてはこの本を勧める。
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詩という仕事について [文学 その他]


詩という仕事について (岩波文庫)

詩という仕事について (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/06/17
  • メディア: 文庫



ボルヘス5冊目『詩という仕事について』を読み終わった。
こちらも『七つの夜』同様講演集で、ハーヴァード大学で行った講演集らしい。この人はやはり、物語を創りだすというよりは、論じることに長けた人なんだな、と感じる。

テリー・イーグルトンの『詩をどう読むか』という本を読んだとき(途中で挫折)にも感じたのだが、西洋人というのは日本人が一般的に言う、詩(韻文)と小説(散文)をあまり区別して使っていない。とくにボルヘスは、印刷された詩(韻文・散文)と語られる物語というものを区別して話しをしているような気がした。

1 詩という謎
 ボルヘスは色々な本の中で語っているが、やはりひとりの作者の、まさに「オリジナルな作品」というものはなく、世界は螺旋状に積み重なる一つの物語であり、一つの図書館のようなものであるというイメージを持っている気がする。そして文字化されたものは、間違った解釈・使われ方をする可能性がある、という点で危険な側面もあると書いているあたりは私の意見と一致する。

p15
「事実、人類の偉大な教師たちは書く人ではなくて、話す人でした。ピタゴラス、キリスト、ソクラテス、仏陀などなどを思い出してください。」
これは、私の大学時代のゼミの教授が同じようなことを言っていたので私の中に定着した考えではあるのですが・・・。

p30
「詩は、巧みに織りなされた言葉を媒体とする、美なるものの表現である」
これが、一応のボルヘスの詩の定義である。
物事を単純化することの危険性を知っているボルヘスならではの回りくどいわかりづらい論理展開であり、全体として何が言いたいのかイマイチわからないが、一つひとつの話はとても興味深い。

2.隠喩
 こちらは、詩で使われる隠喩は、源流をたどれば、いくつかのパターンに収斂する、というもの。色々な具体例が挙げられるが、そんなに興味深いないようではない。私自身あまり比喩表現に興味がないからかもしれないが・・・。

3.物語
 古今東西の色々な物語を例に、物語のすばらしさを語ったもの。
p.78
「私の考えでは、小説は完全に袋小路に入っています。小説に関連した、きわめて大胆かつ興味深い実験のすべてのー例えば、時間軸の移動というアイデアや、異なる人物たちによる語りというアイデアのー行き着くところは、小説はもはや存在しないとわれわれがかんじるような時代でしょう」

私は彼の説に同調する。私の知っている国語の先生の多くがそうなのだが、小説を論じようとする人は、何か小難しいテーマであったり、新しい切り口の文体であったり、といったことを素晴らしい小説の一要素として挙げたがるのだが、やはり私は「物語」として面白いか、が「その小説が面白いか」の評価の大部分を占めると思うのだ。この章は非常に面白かった。

4.言葉の調べと翻訳
 翻訳は、逐語訳、意訳どちらであるべきか、というテーマで様々な例を挙げながら語ったもの。
逐語訳の始まり=神学と見る見方は非常に新鮮で面白かった。

p.102
「聖書を翻訳するとなると、事情はまったく違います。聖書は、精霊によって書かれたと考えられたからです。仮にわれわれが精霊のことを考えるならば、文学的な仕事にいそしむ神の無限の知性を考えるならば、その作品に何らかの偶然的な要素の存在を考えることは許されません。」
基本的に、訳す人間の主観的解釈を入れる、つまり意訳、をしてはいけないということなのだと思う。

最終的にボルヘスの結論は、ほかの部分でも書いたが、ある作者のオリジナルというものはなく、同じ言語書かれた本ですら、同じことを語っていたりするもので、時や場所を超えて、作者に夢を通して物語が降りてくることなどもあるのだから、逆説的な意味で、翻訳されたものもオリジナルなのだ、ということなのだと思う。

5.思考と詩
p. 111
「あらゆる芸術は音楽の状態にあこがれる、と。理由は明らかです。それは、音楽においては形式と内容がわけられないということでしょう。」
様々な余分なものを介することなく、美というものを享受側に、純粋に伝えられるという意味なのだと思うのだが、まさにその通りだと思う。だからこそ、芸術鑑賞という意味でも、純粋音楽というのは楽しみづらいのだと思う。

この章は色々な文学作品が出てきて面白いのだが、結論はよくわからない。

6.詩人の信条
p163
「もしも私が、ワーズワスとヴェルレーヌは傑出した十九世紀の作家たちであるといったとしたら、彼らがある程度は時間による破壊を被ったこと、つまり、今では彼らもかつてほど優れた存在ではない、と考える危険に陥りかねないわけです。日時を考慮しなくても芸術の完成度を認識できるという、古い考え方の方が良いと私は思います。」
私も思います(笑)。とにかく、物語として楽しいものは楽しい。それがどんな時代に書かれたものであろうと、どんな場所で書かれたものであろうと。

結局我々は、何かに結論めいたものを求めるのだが、そもそもボルヘスはひとつのものに収斂させようとは思っていないのではないだろうか。様々なものが組み合わさって全体を構成する。ボルヘスの一つひとつの話がボルヘスの言いたいこと全体を何となく作り上げる。だからこそ彼の話は最終的にわかりづらく、まとめづらいのではないか。

この作品を読んで、何となくそんなふうに感じた。

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七つの夜 [文学 その他]


七つの夜 (岩波文庫)

七つの夜 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/05/18
  • メディア: 文庫



ボルヘスの四作目。
これはブエノスアイレスで行われた講演集らしい。耳だけで話しを聞く人を対象にしているため、他作品に比べわかりやすい文章となっており、はじめてかなり楽しめた作品と言える。基本は、文学を語っているのだが、やはり彼のテーマは
1.世界は、時間や空間を統合した一つの文学である。
2.世界は、無限である。(神さまよりも前に、神さまを作った神さまがいて、その前にもその神さまを作った……)
3.文学は、物語として、そのもののストーリーを楽しむべきだ。

①ダンテの『新曲』から講演は始まる。ダンテの新曲は色々と解釈がされたり、アレゴリーを探したりされる作品ではあるが、とにかくストーリーとして面白い、というもの。私も初めて『新曲』を読んだときはイマイチわからなかったが、もう一度読んでみたくなった。
②『悪夢』もおもしろい。デカルト的な、いま自分が夢を見ているのか、現実なのかはわからない。そもそも世界全体で時間や空間を超えた存在がこの世界を捉えたとき、我々が生きていること自体が夢なのかもしれない。
③『千夜一夜物語』も刺激的だった。西洋と東洋の文化対比から始まり、口承伝統の尊さ、そしてオリジナリティの問題にも踏み込んでいる。
④『仏教』は確かに興味深くはあった。だが、彼が褒めている、日本の禅宗の、頽廃ぶりひどさを日々目にしている自分としてはイマイチ納得できない部分が多かった。そしてやはり仏陀はどうなんだろう???という感じがしてしまった。
⑤『詩について』は世界の文学・詩を様々に論じたもの。「読者の数だけ聖書がある」「図書館とは魔法にかかった魂をたくさん並べた魔法の部屋である」「私たちがそれ(本)を開くとき、本がその読者に出会うとき、初めて美学というものが生じます。そしてその同じ本は同じ読者に対してさえ変化する、何かを加えることができるのです」ということばは心に残った。
⑥『カバラ』はイマイチよくわからなかったが、口承伝承は、文字伝承よりも優れている、というのは共感する。我々は文字にして形あるものにしてしまうと、どうしてもそれが間違って解釈される可能性がある。というより、⑤にもあるとおり、読み手の数だけ解釈が生まれてしまう。そうした意味で、その場その場での対話の大切さというものが引き立つ。孔子、ソクラテス、イエス・キリスト皆、自分では文字として何かを残そうとはしなかった。それは直感的に文字文化の恐ろしさを知っていたからなのだろう。
⑦『盲目について』も興味深かった。我々は盲目の人は、黒の世界の中にいると思いがちだが、その世界はじつは、緑、青色がかっていること。そして目が見えないことで開ける世界があるということが語られていて結構刺激になった。

全体としてわかりやすい論理展開ではなく、読みやすくはないが、彼の思想がほか作品よりも見えやすく、彼の文学への愛が非常に伝わってきて良かった。
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続審問 [文学 その他]


続審問 (岩波文庫)

続審問 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 文庫



ボルヘス三冊目。
今までの2冊は小説ということで読んだので、「これが小説なのか?」と思いながらわけがわからないまま読まされた感じだが、今回は評論集ということで、今までよりは楽しく読めた。

やはり、彼にとって無限性のようなものは常にテーマらしい。そして、「世界はひとつの文学である」というような思想があるらしく、昔ある時代に考えたテーマが、何百年もあとに、他の人に違った形でそのテーマが現れ、さらにまた百年後に・・・のような作品も多い。これも結局無限性というところに行き着くのだろう。
一つひとつの作品の読み始めの部分は、結構テーマ的にも面白く、理解できるのだが、途中から話が混み合ってくるのか、飛んでしまうのかわからないのだが、ついていけなくなり、最後は????で終わるという作品が多かった気がする。

p.009~ 「城壁と書物」は、秦の始皇帝が何故「万里の長城」を作り、「焚書」を行ったのか、その二つの根本原因を不死性に求めているところが面白かった。
p.086~ 「ナサニエル・ホーソン」の、ホーソンとアレゴリーに関する考察も結構面白かった。これも先の「城壁と書物」と同じで、p110の「過去を廃絶しようという試みは過去は廃絶できないという一つの証拠になるわけです」という部分は非常に興味深かった。
p.226~ 「二冊の本」がこの作品の白眉。全体主義、ナショナリズムを批判する人は、自分こそがそのナショナリズムに陥っていることに気がついていないというもの。これは常に意識しなければいけない視点だと思う。

ボルヘス作品の中では、今までで一番楽しめる本ではあった。

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創造者 [文学 その他]


創造者 (岩波文庫)

創造者 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/06/16
  • メディア: 文庫



ボルヘスの『創造者』を読み終わった。というより、ページをめくり終えた。
詩集という扱いらしいが、「詩」という感じでもなく、本人の雑感を寄せ詰めた感じで、やはりよくわからなかった。

彼は
文学関係:シェイクスピア、『ドン・キホーテ』、『千夜一夜物語』
もの関係:鏡、図書館、
場所関係:アイルランド、インド
抽象関係:無限、死
動物関係:虎

こういったものが好き、もしくはテーマにしているのはわかる。
しかし、あまりにも表現がわかりづらいので、ついていけない。

いろいろ何かについて描写したあと、それは実はシェイクスピアでしたと種明かしする「Everything and Nothing」と虎を扱った数章は少し面白かった。

あまりオススメしない作品である。
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伝奇集 [文学 その他]


伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1993/11/16
  • メディア: 文庫



少し前、南アメリカの作家が気になっていた時期(恐らく友人が、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』に関する本を出したのを知った時期)があり、その頃岩波の文庫目録を読んでいて面白そうだったので、ボルヘス・コレクションという、一気に9冊セットを買った(実際は9冊をバラバラに購入したが)ことがあった。

色々読むべき本が有り、しばらく寝かせておいたが、遂にボルヘスを読む時期がやってきた。一応、この『伝奇集』が岩波の中では「赤792-1」とあるので、一冊目だということだと思ったので、この本から読み始めた。

・・・つまらない。・・・よくわからない。・・・???

とにかく、すべてが短編なのだが、実際の出来事を述べたものなのか、作り話なのか、それも微妙な感じのものがとても多い。無限なるもの、宇宙、教養、普遍、色々なものがテーマとして語られているのだろうが、イマイチ何を問題にしているのかが曖昧模糊としていて読んでいていまったく言葉が入ってこない。

その中でも一応ある程度楽しく読めたのは
●「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」
百科事典で見つけた地名から始まり、その地方を探しているうちに、色々なことがわかってきて、その地方の思想などを述べているもの。現実と夢想が交錯している感じで、まあまあ楽しめた。
●「バベルの図書館」
何となくホフスタッターの『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を彷彿とさせる無限性を追求したような作品で少しは面白かった。
●「刀の形」
裏切りをテーマにしたものなのだろうが、最後のオチが非常に面白かった。
●「ユダについての三つの解釈」
単純に、ユダのキリスト教的、新しい意味付けが出来て、世界観が広がった。

以上、4作はもう一度読み直しても良いと思うが、あとは正直よくわからなかった。

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緑の家 下 [文学 その他]


緑の家(下) (岩波文庫)

緑の家(下) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/08/20
  • メディア: 文庫



『緑の家』下巻を読み終わった。

上巻ではかなりわかりづらかった全体の話の流れが、読み進めるうちに段々とわかってきて、最終的にエピローグで主要登場人物がある程度「緑の家」を中心に一堂に会し、全体のストーリーをまとめる感じにはなる。

しかし、やはりその場面でも、時間が行ったり来たりするので、わかりづらい。結局最後まで全体像はぼんやりしたままだ。とはいえ、今までバラバラだったピースが埋まりつつあるので、抜けてしまっているピースを埋めるために、もう一度最初から読み返したいと思わせる小説ではある。

この下巻の解説を読むと、この物語は5つのストーリーを軸に話が展開されているとあるが、正直私は2つのストーリーしかまともに負うことはできなかった。

①ボニファシア(ラ・セルバティカ)
インディオの娘として密林で生まれる
 ↓
白人達の治安警備隊&シスター達に、文明化教育をするという名目でさらわれる
 ↓
修道院で大事に育てられる
 ↓
修道院にいるインディオの娘たちを勝手に逃がす
 ↓
逃がしたことがバレて怒られ、最終的には修道院を追い出される
 ↓
ラリータという男をとっかえひっかえして生きている女性のもとに落ち着く
 ↓
そこで、軍曹リトゥーマと出会う
 ↓
リトゥーマの故郷のピウラの街に来て結婚
 ↓
DVに会う
 ↓
リトゥーマは逮捕され彼女の前からいなくなる
 ↓
リトゥーマの部下(?)だったホセフィに誘惑され不倫関係になり、その後ラ・セルパティカという名前で「緑の家」という娼家で働き、どうしようもない男たちを養う


②ドン・アンセルモ
(恐らく)密林で生まれる
 ↓
ピウラの街にふらっとやってきて住み着く
 ↓
「緑の家」という娼家を建てる
 ↓
捨て子である事件で目と耳がきかなくなったアントニアを「緑の家」に連れて行き、彼女を愛するようになり、子供を孕ませる
 ↓
その子どもが産まれるときにアントニアは亡くなる
 ↓
「緑の家」によって街の風紀が乱れている、と普段から感じていたガルシーア神父によって「緑の家」が焼かれる
 ↓
その後放浪の楽士として、バンド仲間とハープを弾きながら生計をたてる
 ↓
アントニアとの間に生まれた子供ラ・チュンガが成長して、「緑の家」を再建する
 ↓
「緑の家」でなくなる。

恐らく、この物語は密林で生まれた女と男が、紆余曲折を経て、大都会の退廃の象徴のような「緑の家」で出会い、男は死んでいくという大きなストーリーなのだと思うのだ。そこに様々などうしようもないゴロツキが関わっていく物語なのではないだろうか。

この小説、最終的に作者リョサが伝えたいのは、「密林の素晴らしさ」なのではないだろうか。田舎と都会の対比で、田舎・密林は、非近代・非合理・非文明的なものとみなされ、開発され、現代人の感覚からすると綺麗なものとされているが、それは本当に正しい方向性なのか。白人的な見方からすると、正しいとされる考え方が、本当に正しいのか、それは例えばこの本の中に出てくるゴロツキや娼婦たちの生き方をただ提示することによって、疑問を投げかけている気がするのだ。

この本に登場する人物は男も女もキリスト教的観点からすると、退廃的で非道徳的でどうしようもない。しかし、皆愛すべきキャラクターであり、それぞれが常に前を見て生きている。

つまり、密林と都会、原住民と白人(キリスト教徒)、未開人と文明人などを対比させることで、人生の価値とは、自然と人間が共生して生きるとは何か、ということを問うた作品なのではないだろうか。

その意味で、同じ作者の『密林の語り部』と近い世界観を感じるのだ。

p.427
ガルシーア神父が語る言葉
「以前、悪魔は〈緑の家〉にしかおらなんだが」とガルシーア神父は空咳をしながら言う。「今では至るところにはびこっておる。男まさりのあの女の店にも、街路や映画館にもな。ピウラの町全体が悪魔の住む家に変わってしまったんじゃよ。」
p.447
ドン・アンセルモとボニファシアの会話
「あなたもむこうのお生まれなんですか?密林には木がうっそうと茂り、鳥もいっぱいいますわ、わたし、密林が大好きなんです! それに、人間もむこうのほうがずっといいですわね。」
「人間はどこでも同じだろうが」とハープ弾きが答える。「密林はたしかに美しい。むこうのことはすっかり忘れてしまったが、あの色だけは今でもはっきりと覚えているよ、ハープを緑色に塗ってあるのは、そのせいなんだよ。」

会話の最中に、改行したりすることなく、いきなり話が過去に飛んだり、いろいろな挿話が順不同に出てきたりするこの作品、恐らくアイルランドの作家James Joyceの『ユリシーズ』を意識して作られたのではないかと思う。『ユリシーズ』が、たった一日の出来事を「意識の流れ」によって辿った作品であるとしたら、何十年もの長いスパンを、『客観的な流れ』によって辿った作品であるといえる気がする。

解説の初めにも同じようなことが書かれているが、『ユリシーズ』『失われた時を求めて』以降、小説はないとよく言われたりするが、まさに『ユリシーズ』を継承しながらも『ユリシーズ』を超える小説、つまり「全体像が見えづらいけど見えなくない、長期的スパンを扱った、何度も読みたくなる」小説を目指していたのではないかと思うのだ。

大傑作とは言えないが、とても興味深い知的な作品であることは間違いない。またいつか機会があれば、メモでも取りながら再読したい。
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緑の家 上 [文学 その他]


緑の家(上) (岩波文庫)

緑の家(上) (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/08/20
  • メディア: 文庫



バルガス=リョサの作品『密林の語り部』を読み、結構面白かったので、この『緑の家』も購入し読んでみた。

原住民を捕まえ、キリスト教的教育を施そうとするシスターたちと、それを助ける兵士たちの場面から始まる。他にも、牢屋から抜け出してきたような人びと、ひょっこり街にやってきて女性をからかうある男性、原住民たちのゴム栽培などを支配し金を設けているような人間、とにかく様々な人間たちが出てくるだが、話が過去と現在を交錯したり、いろいろな背景が語られないままに会話をしたり、情景描写がされるので、全く全体像が見えない。

上巻も終わりに近くなり、様々な人物たちが若干交わりを見せ始めるのだが、それでもまだよくわからない。正直登場人物の名前などをメモを取りながら読めば良かったと若干後悔している。

なんにせよ、下巻になればもっと話が収斂していくはずなので、もう少し我慢して読みすすめたい。

今のところ結構苦しい作品だ。
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西遊記 下 西天取経の巻 [文学 その他]


西遊記〈下〉西天取経の巻

西遊記〈下〉西天取経の巻

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2001/03/01
  • メディア: 単行本



西遊記を読み終えた。相変わらず最後までワンパターンで、人間に化けた妖魔が、困っている三蔵法師に近づき、人の良い三蔵法師は騙されてその妖魔に連れ去られ、それを孫悟空と猪八戒と沙悟浄が助けるという感じ。
子どもと観た、孫悟空のお芝居に出てきた、火焔山の火を扇で消す話も出てきたし、最終的に経典を手に入れ中国に帰る場面も描かれており、今までバラバラの印象だった最遊記が自分の中でつながってとても良かった。

本当は岩波文庫版の10冊バージョンを読んだほうが良かったのだろうが、そもそも原本があってないようなものなので、これはこれで良い気がする。

とても読みやすく非常に良書だった。
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西遊記 中 破邪遍歴の巻 [文学 その他]


西遊記〈中〉破邪遍歴の巻

西遊記〈中〉破邪遍歴の巻

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2001/03/01
  • メディア: 単行本



中巻を読み終わった。
旅の仲間となる、猪八戒・沙悟浄と出会い、その後も、三蔵法師の命を求める、奇想天外な妖魔たちにひたすら付け狙われ続ける孫悟空。三蔵法師は人がよいので、常に妖魔たちが人間に変身した姿に騙されるが、その度ごとに孫悟空が彼らを倒す。正直、ワンパターンだし、桁外れの強さを持つ孫悟空や、その孫悟空を上回る力を持つ観音菩薩が出てきてしまえば、ことがすべて収まってしまうのだが、何故だか知らないが、面白くページをめくる手は止まらない。千夜一夜物語にしてもそうなのだが、やはり古典として現代まで伝わる名作と呼ばれているものは、どこかに人を惹きつけるものがあるのだろう。
次はいよいよ最終巻だ。
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西遊記 上 悟空誕生の巻 [文学 その他]


西遊記〈上〉悟空誕生の巻

西遊記〈上〉悟空誕生の巻

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2001/03/01
  • メディア: 単行本



2018年の12月、長男の幼稚園で親子観劇会のようなものがあり、「西遊記」を観た。その劇自体はそんなに面白くはなく、話が飛び飛びでよくわからなかったので、これは『西遊記』を読んでみるしかない、と思い本を購入することにした。

初めは、岩波文庫から出ている10巻本のものを読もうと思ったのだが、せっかくなら長男と一緒に読もうと思い、いろいろ探した結果、この偕成社版が、一番内容も充実していて、子どもも読みやすそうだと考え購入。

すぐに長男と読み始めたもののやはり少し難しかったようで、すぐにストップ。それから読まずにいた。私もずっと気にはなっていたのだが他に読む本がたくさんあったので今まで読まずに来た。

初めは、天界の人々の名前がどんどん出てきて、それがまた漢字のオンパレードなので結構読みづらかったが、すぐに慣れてどんどん読み勧められた。

普通は、孫悟空が岩山に500年間閉じ込められ、そこを通りかかった三蔵法師に助けられる場面から始まるのが『西遊記』の定番だが、なぜ孫悟空がその岩山に閉じ込められたのかがしっかりと描写されており、そこまでのストーリーがこの『上巻』の半分を占める。目次の後ろに絵付きで登場人物が紹介されており、孫悟空が出会う順番に書いてあるので、ストーリーを非常に追いやすくなっている。

訳も読みやすく、子供にとっては非常に良い本だと思う。子供がもう少し成長したら読んでもらいたいと思う。
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三角帽子 [文学 その他]


三角帽子―他二篇 (岩波文庫)

三角帽子―他二篇 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1990/09/01
  • メディア: 文庫



オペラやバレエ、交響詩など、音楽で文学が用いられている場合、私はどうしてもその原作が読みたくなってしまう。昨年、ファリャの「三角帽子」という作品を調べなければならなくなり、色々と調べ音楽も聴いて、まあまあいい音楽だなあ、と思っていた。しかし、原作は岩波で「品切重版未定」状態で、色々と頑張って探してまで読もうとまでは思っていなかったのだが、古本屋で見つけてしまったので、薄い本だし、購入した。

岩波の復刊にありがちな、旧字体の文章で非常に読みづらかった。旧字体でも結構なれるとスラスラ読めたりするのだが、この作品に関しては、あまりそういうふうにもいかず、結構時間がかかってしまった。

あらすじは、水車小屋に住む夫婦がいて、その妻(おかみさん)に市長が横恋慕し、権力をつかって妻をものにしようとするが、様々な障害が起こり、かえってその市長は、自分の妻からも見捨てられてしまい、水車小屋夫婦はいつまでも仲良く暮らす、という話。
正直、あらすじだけ読むと、江戸時代の時代劇を見させられている感じで、ほぼ興味がわかなかったのだが、それなりにストーリーも考えられており、無理なところもなく、結構面白かった、とは言える。

再読したいか、というとそこまでの本ではないのかもしれない。
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アンデルセン童話集 7 [文学 その他]


完訳アンデルセン童話集 7 (岩波文庫 赤 740-7)

完訳アンデルセン童話集 7 (岩波文庫 赤 740-7)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫



『アンデルセン童話集』を読み終わった。
最後の巻ということで、書かれた時代もかなり現代に近づいているようで、近代化へとひた走る世界に対して、懐疑的な目を向けた作品もちらほらみられる。自然や物といったものに温かい目を向け、物語を膨らませていったアンデルセンらしい視点といえる。
前巻の6よりは、読み応えのある作品があり、
「木の精ドリアーエデ」はパリの万国博覧会に批判的な目を向けたそれなりに読める物語
「アザミの経験」「運は一本の中にも」など、教訓めいた話などもそれなりに面白くはある。
純真な心を持った女性を描いた「ヨハンネ婆さんの話」なども読んでいてほっこりするし、「かたわもの」はシュピリの名作『ハイジ』をほうふつとさせる、本によって蒙を啓かれた子供の話だ。

とはいえ、やはり前期の輝きは全くない。この本にはアンデルセンの書いた「あとがき」集のようなものも載っており、そこで自分でもいみじくも言っている。

p.305
「最近になって個人的に言われることだが、私の童話の、ごく初期のものは意義があるが、のちのものをそれにおとる、という人がままある。これはもちろん事実ではない。」

当時から、私と同じように感じる人がいたんだなあと思う。本人に言う人がいるくらいだから、多くの人がそう思っていたのであろう。彼はそれを読者のせいにして次のように言う。

「子供のころわたくしの初期の童話を読んだ人たちは、年をとって、かつて作品を読んで感銘した新鮮なセンスを失ってしまっているのである。」

しかし私は、一年間で初めから最後まで読んだが、やはり初期のものは面白く、子供たちに読ませたい、つまり意義があると思うが、後期の作品は全く読ませたいとは思わない。

結論としては、アンデルセンは、やはり傑作選で十分な気がする。そしてその中に選ばれる作品はほぼ同じで、漏れはほとんどないのではないだろうか。

なんにしろ、長年読み切りたいと思っていたアンデルセン童話集を読み終えられてよかった。
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アンデルセン童話集 6 [文学 その他]


完訳アンデルセン童話集 6 (岩波文庫 赤 740-6)

完訳アンデルセン童話集 6 (岩波文庫 赤 740-6)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫



アンデルセン童話集を遂に6巻まで読み終わった。
巻を重ねるごとにつまらなくなってくる。この巻は全く有名作も入っておらず、作品も小ぶりなものばかりで、全く霊感が降りてきていない気がする。“情けは人のためならず”を物語にしたような「しまうことはわすれることではない」と、心の美しく努力家の平民が自分の力で社会的な力をつけ、最後はずっと想いを寄せていた上流階級の娘と結婚する話「門番のむすこ」、そして人の幸せはそれぞれの感じ方によって違うのだということを物語にした「だれがいちばん幸福だったか」が少し良かったくらいであろう。

やはりこういった類の作品は、瑞々しい感性が必要なのであろう。哲学的にものすごく深いといった作品でもないし、人々の淡い恋心を丹念に追うというような作品でもないし、神のことを深く掘り下げて考えるといった感じのものでもないので、年を追うごとに良くなるといったものでもないのであろう。

一応ここまで来たので7巻も読んでみようとは思うが、ほとんど期待はしていない。

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アンデルセン童話集 5 [文学 その他]


完訳アンデルセン童話集 5 (岩波文庫 赤 740-5)

完訳アンデルセン童話集 5 (岩波文庫 赤 740-5)

  • 作者: ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫



アンデルセン童話集の5巻を読み終わった。

短めの作品が多く、風景描写などが多いせいかほとんど楽しめなかった。
「子供のおしゃべり」「墓のなかの子供」「うつくしいものよ!」といった、身分や、お金ではなく、心が大事なんだということを伝える作品や、キリスト教思想の色濃く出た作品なども数編あり、そうしたものは少しは楽しめた。
この巻の中ではかなりの長編である「氷姫」はそれなりにおもしろかったが、題名の「氷姫」はほとんど登場せず、氷姫を登場させずともこの本で伝えたかったことはうまく伝わったのではないかと思う。が、この作品もそれなりに読めた。
「父さんのすることはいつもよし」という作品は子供と読んだ『世界の名作童話集』のような本に簡略版が収録されており、その全訳が読めてよかった。

あと2冊、その中に面白い作品があることを期待して読みたい。
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アンデルセン童話集 4 [文学 その他]


完訳アンデルセン童話集 4 (岩波文庫 赤 740-4)

完訳アンデルセン童話集 4 (岩波文庫 赤 740-4)

  • 作者: ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫



『アンデルセン童話集』を4巻まで読み終わった。
今まで何度も、一巻の途中で挫折してきたので、今回はかなり頑張っている。
今までの巻よりある程度充実した作品が多く、それなりに楽しく読めた。とはいえ、やはり幻想的な作品が多く、すこしでもぼんやりすると話の筋がよくわからなくなる。アンデルセン作品は、クラシック音楽の「幻想曲」に近く、なんとなく心地よさげで、それなりに美しいメロディも出てくるのだが、全体の構成が見えにくく、本質が掴みづらいという感じだ。

この巻もあまり有名作は入っていないが、以下の作品はそれなりに読んで面白いのではないだろうか。

「まぬけのハンス」
トルストイの「イワンのばか」に近い作品で、馬鹿な三男が結局は成功するという話。
「ユダヤ娘」
すごく心の優しいキリスト教精神を持ったユダヤ教の娘の話。親の言いつけを守りキリスト教には改宗しないがとても美しい心を持って昇天していった女性を描いている。この描き方自体がユダヤ差別だとは思うのだが、とてもいい話。
「びんの首」
これも、アンデルセン童話のパターンの一つ。いろいろと流された結果、元の場所に戻るというお話。
「沼の王の娘」
アンデルセンにしてはかなりの長編。「家族愛」がテーマなのか・・・。

全体的にはキリスト教色がかなり強く、最後は死んでいく場面が多いのだが、すべてがハッピーな感じではない。

あと、三冊。頑張って読み切りたい。
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アンデルセン童話集 3 [文学 その他]


完訳アンデルセン童話集 3 (岩波文庫 赤 740-3)

完訳アンデルセン童話集 3 (岩波文庫 赤 740-3)

  • 作者: ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫



『アンデルセン童話集』の三巻を読み終わった。あまり有名な作品は収録されておらず、どれも短めの作品が多かった。基本的には身近にある物が命を持って、頑張って動こうとするが、最終的には壊れたり流されたりして死んでしまうという系統の作品が多い。キリスト教思想を色濃く反映したものも多かった。

全体的にそんなに面白くはなかったが、何点か気になった作品を紹介したい。

「影法師」
自分の影法師にとなりの家の様子を探りに行かせたところ、いつの間にかお金持ちになって帰ってきて、最終的には、人間のほうが、自分の影法師の影法師になってしまい、最終的には一国の王様になった影法師に人間のほうが処刑されてしまうという話。この間読んだシモーヌ・ヴェイユの『自由と社会的抑圧』にも言及されていた作品で、人間が道具の道具にされてしまうという現代を先取りしていたような作品で若干恐ろしい。

「柳の木の下で」「イブと小さいクリスティーネ」
この二つはどちらも幼友達の男の子と女の子が婚約するが、時代の流れ、様々な事情により、離れ離れになり、女の子の方はお金持ちと結婚するが、男の子の方は職人になり、女の子への愛を心に抱いたまま生きていくというもの。
「柳の~」の方は、女の子は金持ちと結婚しそのまま幸せに、男の子はその様子をみて失意のどん底に陥り、生まれ故郷で幸せな夢を見ながら死んでいくというもの。
一方
「イブと~」の方は、女の子は金持ちと結婚するが、その後すぐに没落していき、惨めな死に方をしていくというもの。やはり私は純愛を好むとともに、純愛を貫く人を好むので、後者の物語の方が心落ち着く。

もう一つ非常に心に残った一節
「最後の日に」p.167
自分では神に忠実に何も悪いことをしてこなかったので、死んでから天国へ行けると思っていた男が様々な現実を天使に突きつけられ、改心する物語なのだが、次の一節が私がいつも思っていることと一致していて面白かった。
とがった石に足を傷められた男が何でこんなところに尖った石があるのかを天使に問うた時に言われた言葉。
「それはおまえが落とした不用意な言葉の一つひとつなのだ。それらの言葉は、今これらの石がおまえの足を傷つけたよりもはるかに深く、おまえの隣人の心を傷つけたのだ。」
我々が発する言葉は尖った包丁のようなものであり、常に人の心を傷つける可能性があるものなのだ、ということを常に意識して生活したいと思う。そして常に意識しているにもかかわらず、毎日のように誰かの心を傷つけてしまい、反省する毎日だ。

やはり生きることは苦悩の連続だ、とこの本を本で改めて思った。

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アンデルセン童話集 2 [文学 その他]


完訳アンデルセン童話集 2 (岩波文庫 赤 740-2)

完訳アンデルセン童話集 2 (岩波文庫 赤 740-2)

  • 作者: ハンス・クリスチャン・アンデルセン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫



『アンデルセン童話集』二巻を読み終わった。「雪の女王」「マッチ売りの少女」という二代名作が入っているが、ほかの作品は退屈なものが多かった。若干、「意識の流れ」小説に似たところが有り、そこに出てきた登場人物がそれぞれ自分たちの主観のままただ話している感じで、物語の主軸と関係ないような話が多いような気がするのだ。しっかりと読めば、それら一つ一つの話が一つの流れとなってつながっていくのかもしれないが、正直そこまでしっかり読み込む気にはなれない。

かつてアンデルセンの『絵のない絵本』を読んだときにも感じたのだが、誰かの夢の中に叩き込まれて、次々と表れでてくるそれぞれが繋がりのなり幻影を見せられている感じがするのだ。

命がない、ものを考えることがない、と人間によって考えられている、おもちゃや植物に命を与え、それぞれの視点からこの世界を見て語らせているのは非常に面白く、新しいとは思うのだが、ストーリーとしてあまり面白くないものがこの巻には多かった。
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