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続審問 [文学 その他]


続審問 (岩波文庫)

続審問 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/07/16
  • メディア: 文庫



ボルヘス三冊目。
今までの2冊は小説ということで読んだので、「これが小説なのか?」と思いながらわけがわからないまま読まされた感じだが、今回は評論集ということで、今までよりは楽しく読めた。

やはり、彼にとって無限性のようなものは常にテーマらしい。そして、「世界はひとつの文学である」というような思想があるらしく、昔ある時代に考えたテーマが、何百年もあとに、他の人に違った形でそのテーマが現れ、さらにまた百年後に・・・のような作品も多い。これも結局無限性というところに行き着くのだろう。
一つひとつの作品の読み始めの部分は、結構テーマ的にも面白く、理解できるのだが、途中から話が混み合ってくるのか、飛んでしまうのかわからないのだが、ついていけなくなり、最後は????で終わるという作品が多かった気がする。

p.009~ 「城壁と書物」は、秦の始皇帝が何故「万里の長城」を作り、「焚書」を行ったのか、その二つの根本原因を不死性に求めているところが面白かった。
p.086~ 「ナサニエル・ホーソン」の、ホーソンとアレゴリーに関する考察も結構面白かった。これも先の「城壁と書物」と同じで、p110の「過去を廃絶しようという試みは過去は廃絶できないという一つの証拠になるわけです」という部分は非常に興味深かった。
p.226~ 「二冊の本」がこの作品の白眉。全体主義、ナショナリズムを批判する人は、自分こそがそのナショナリズムに陥っていることに気がついていないというもの。これは常に意識しなければいけない視点だと思う。

ボルヘス作品の中では、今までで一番楽しめる本ではあった。

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