伝奇集 [文学 その他]
少し前、南アメリカの作家が気になっていた時期(恐らく友人が、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』に関する本を出したのを知った時期)があり、その頃岩波の文庫目録を読んでいて面白そうだったので、ボルヘス・コレクションという、一気に9冊セットを買った(実際は9冊をバラバラに購入したが)ことがあった。
色々読むべき本が有り、しばらく寝かせておいたが、遂にボルヘスを読む時期がやってきた。一応、この『伝奇集』が岩波の中では「赤792-1」とあるので、一冊目だということだと思ったので、この本から読み始めた。
・・・つまらない。・・・よくわからない。・・・???
とにかく、すべてが短編なのだが、実際の出来事を述べたものなのか、作り話なのか、それも微妙な感じのものがとても多い。無限なるもの、宇宙、教養、普遍、色々なものがテーマとして語られているのだろうが、イマイチ何を問題にしているのかが曖昧模糊としていて読んでいていまったく言葉が入ってこない。
その中でも一応ある程度楽しく読めたのは
●「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」
百科事典で見つけた地名から始まり、その地方を探しているうちに、色々なことがわかってきて、その地方の思想などを述べているもの。現実と夢想が交錯している感じで、まあまあ楽しめた。
●「バベルの図書館」
何となくホフスタッターの『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を彷彿とさせる無限性を追求したような作品で少しは面白かった。
●「刀の形」
裏切りをテーマにしたものなのだろうが、最後のオチが非常に面白かった。
●「ユダについての三つの解釈」
単純に、ユダのキリスト教的、新しい意味付けが出来て、世界観が広がった。
以上、4作はもう一度読み直しても良いと思うが、あとは正直よくわからなかった。
2021-04-15 17:19
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