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Sanctuary [文学 アメリカ]


Sanctuary (Vintage Classics)

Sanctuary (Vintage Classics)

  • 作者: Faulkner, William
  • 出版社/メーカー: Vintage Classics
  • 発売日: 2011/06/02
  • メディア: ペーパーバック



FaulknerのSanctuaryを読み終わった。200ページ強と短いこと、Sound and FuryAs I lay dyingのような構造の複雑さや、語りの複雑さがないことなどから、結構読みやすいのは読みやすかった。

とはいえ、とにかく暗い。文字だけしかなくても、読んでいるだけで暗いイメージがひたすら思い浮かべられ、とにかく暗鬱な感じでひたすら読んだ。

弁護士Benbowが初めに訪れる、PopeyeやGoodwin達がねぐらにしている場所。乱暴されたのちにTempleが連れていかれたMiss Rebaの晩春宿。留置所、裁判所、さらにいえば、Benbowの妹がすむ家や、Benbowがすむ家までも、常に話題が暗いので、暗さを帯びてイメージが湧き上がってくる。

乱暴された白人女性Templeもとにかく性に奔放でどうしようもない性格がにじみ出ていて、全く同情心が湧いてこないし、共感できない登場人物ばかりなので、物語に入り込んでいけなかった。

最後の章で、悪の根源Popeyeの育ちが描写された後、乱暴され裁判で偽証をし家に戻ったTempleの様子が描かれるのだが、家族がのんびりするバックで、クラシック音楽(しかもマスネ、スクリャービン、ベルリオーズという謎のラインナップ)が流れるあたり、最下層で育ったPopeyeが上流階級で育ったTempleに乱暴を働いたことが、さらに強調されて我々の前に現れてくるしかけを作っているのは面白いと思った。

しかし、あまりに暗く救いがなく、もう読みたくない本だ。
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