TH1RTEEN R3ASONS WHY [文学 アメリカ]
インターネットでオススメの洋書を検索していたときに出会った本。読んでいる途中で知ったのだが、この本はアメリカでテレビ・ドラマ化されているらしく、とてもヒットし、日本でも放映されていたらしい。
内容は非常に一人の高校生女子が自殺してしまうのだが、その自殺に至った敬意を吹き込んだカセットテープ(この時代にカセットテープに吹き込むというのもおもしろい)を、自分の自殺に関わった人々に次々に回っていくようにするという話。
あらすじなどを読むと、そのカセットを聞いた13人の人たち一人一人の語りでそれぞれの章が構成されているのかと思っていたのだが、基本的には主人公一人がカセットテープを聴き、カセット・テープで語る自殺した女の子Hannah, 彼女を愛していた主人公Clayの心情が交錯しながら物語は進んでいく。
Hannahのカセットの声はイタリック、その他は普通の文字で書かれるのだが、それぞれが行が空いていないので、普通に読んでいると、「あ、これイタリックだった」といった感じでどっちの発言だがわからず読んでしまっていたという箇所が少なからずあった。
恋人に対する隠撮、卑猥な噂、いじめ、盗撮、強姦、裏切り、交通事故、生々しい成功描写等、色々なことが次から次へと起こり、それぞれが非常に重い内容なのだが、Hannahの語りが基本的に客観的で淡々としているので、非常に落ち着いて読むことができる。
自分に対して直接傷つけた人間たちを告発するというよりは、間接的に関わった悪意のない悪を告発している内容と言える。
人間は自分が意図することなく、何気ない行動・言動によって人を大きく傷つけている。これは世界中すべての人に言えることだ。人間の言葉は凶器であることは間違いないのだが、人間が人と関わって社会の中で生きているということ自体、常に人を傷つける可能性があるのだ。
そのことに自覚的になるとともに、常に敏感に色々なことに意識を向け、おかしいと思ったことに対しては積極的に関わり、行動していくことの大切さを改めて認識した。
とても良い本だった。
2020-01-31 04:07
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