王妃マルゴ 上 [文学 フランス]
私は何かにはまると、それに関するものをいろいろと知りたくなる。昨年、アレクサンドル・デュマの『ダルタニャン物語』にどっぷりつかったことで、デュマの他作品も読んでみたくなり、『黒いチューリップ』『王妃マルゴ』『王妃の首飾り』の中古本たちをネットで手に入れた。
『黒いチューリップ』は前にも記したが、純愛を描いた作品であり非常に面かった。
そしてこの『王妃マルゴ』である。
世界史的にも有名な、新教徒(ユグノー)大虐殺事件:聖バルテルミの大虐殺から物語は始まる。
立ち位置として非常にわかりやすいのは黒幕の国王の母カトリーヌだけであり、後の人物たちは何でも筒抜けのルーブル宮殿の中でお互いの腹を探り合いながら会話をするので、本心がどこにあるのか、いま何が実際起こっているのかが非常にわかりづらい構成になっている。時代も扱っている題材も大きく違うが、そのあたりの雰囲気はヘンリ・ジェイムズに非常に似通っている。
その一方で、様々な恋愛模様を描いているのだが、これがまたすべて不倫。『ダルタニャン物語』もそうだったし、この間読んだ『フィガロ三部作』もそうなのだが、本当に当時の結婚というのは政略や家柄保持のためのものであり、それぞれは自分の心の赴くまま恋愛を楽しんでいたのではないかと思ってしまう。ましてや王族までそうだったとは、というよりは、王族だからこそなのかもしれないが、若干以外である。さらに思うのは、これだけ性に対して乱れていた時に、妊娠事情はどうなっていたのか、といつも思ってしまうのだ。ルイ16世が自分の子供を自分の子供ではないのではないかと思い悩んだのも納得できる。
2020-01-31 07:14
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