Absalom, Absalom! [文学 アメリカ]
Absalom, Absalom! (Vintage Classics)
- 作者: Faulkner, William
- 出版社/メーカー: Vintage Classics
- 発売日: 1995/01/19
- メディア: ペーパーバック
人生で読むべき名作100などにも作品が多く選ばれるウィリアム・フォークナー。ずっと気になってはいたが、あらすじなどを読んでも全く楽しそうではなく、難解な作品とくれば読む気も失せ、今年までずっと敬遠してきた。しかし、同僚から『八月の光』を強く薦められとりあえず読んでみようと読み始めたフォークナー。
Light in August
As I Lay Dying
The Sound and the Fury
Sanctuary
と読み、最後にこのAbsalom, Absalomを読んだ。
当然、あらすじ等をがっつり読み予習したうえで読み始めた。
ページを開いただけでその読みづらさは半端ない。
まずは、One Sentenceがとにかく長い。ピリオドなどほとんど見つからず、コンマすらなかなか発見できない。senntenceが長いだけでなく、paragraphも半端なく長い。見開き2ページ段落落ちが全くない箇所もたくさんある。
まあ、とりあえず読み進めた。読み始めると思っていたよりは読め、あらすじ、人間関係も把握しているだけあり、それなりに理解度は高いまま読み進められた。
簡単に言えば、トマス・サトペンという、原始共同体のようなところで生まれ育った男が、階級社会が存在する資本主義的世界を目にし、自分も上の階級へのし上がろうと多少の無茶もしながらのし上がり、その過程で子供を作り、相手の女性が黒人だとその女性を捨て、捨てられたり見捨てられたり、裏切られたりした、女性や子供たちが様々に苦労して人生を送るという話。
上記の内容を、その当事者たちが後になって語ったことや、当時の人たちから伝え聞いたことを他の友達に話すといった、かなり回りくどい形で物語が進んでいく。しかも時系列がとにかくバラバラなので、全体像がもやっとしたままひたすら進んでいくのがなんとなく気分が晴れないまま読み進めることになる。
日本の近代小説のような感じで、後継ぎ問題(男性でないとあとを継げないのでひたすら男の子供を望む父親)、黒人差別問題、ジェンダー差別問題、南北戦争がテーマといったところだろうか。
黒人の血が混じった女性や子供を迫害する癖に、黒人女性と性交渉を持って子供を作る男たちの感覚が良く分からない。
とにかく、何が真実で全体像がどうなっているのかが結局最後まで分からないのでとにかく読後感がすっきりしない作品だった。途中、当時の人々がどのようなことを考え行動したのかを二人の若者、シュリーブとクエンティンが語らう場面が延々と続く場面(7,8章)があるのだが、ここがとにかく何を言っているのかわかりづらく非常に読みづらかった。
確かに文学作品として先進的で野心的な作品なのだろうが、内容的にすごく面白いのかというとそうでもない気がする。『ユリシーズ』『失われた時を求めて』などと同様に文学史上エポック・メイキング的な作家なのだろうが、純粋に物語を楽しむという点においてはやはりもう一つな気がする。
将来的に本当に暇な時間ができたら再読しても良いかな、とは思う。
2021-09-11 06:55
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