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パンとエコー Op.53 [シベリウス ピアノ曲]






★★★★★☆☆☆☆☆
ファンファーレ風に荘厳に始まり、少し静かになる。その後まさにサーカスという感じの明るく楽しい音楽となる。
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10の小品 Op. 58 [シベリウス ピアノ曲]






01.夢 レント
★★★★☆☆☆☆☆☆
印象派的な響きの曲。確かに「夢」のような感じでつかみどころのない曲。

02.スケルツィーノ コン・モート
★★★★★☆☆☆☆☆
繊細ながらも軽い感じの曲。シベリウスらしいメロディではある。

03.エア・ヴァリエ アンダンテ
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く悲しげな旋律の曲。流れるようなメロディはそれなりに美しい。中間部は迷宮に迷い込んだかのような音楽。

04.羊飼い、ヴィヴァチェット
★★★★★☆☆☆☆☆
牧歌的な美しいメロディで始まる。中間部は高い緊張感がみなぎる。緊張感を持続したままはじめのメロディが回帰される。

05.夕べ、アンダンティーノ
★★★★☆☆☆☆☆☆
こちらも印象派的な雰囲気で若干混沌とした感じ。

06.対話 アレグロ・グラツィオーソ
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく快活な曲。確かに愛らしいやりとりで対話的な感じが良く出ている。

07.テンポ・ディ・メヌエット
★★★★★☆☆☆☆☆
重く少しつっかかり気味のメヌエット。中間部は結構緊張感がある。

08.漁夫の歌 アレグレット
★★★★★★☆☆☆☆
単音の伸びやかな旋律で始まる。その後のどかな、しかしどこかはねた感じの伴奏が入ってくる。段々と緊張感が高まっていき、きらびやかになっていく。一通り落ち着くと穏やかな雰囲気に戻り、美しい旋律が奏でられる。結構雰囲気がコロコロと変わる曲。

09.セレナード モデラート
★★★★★☆☆☆☆☆
重く呻くような前走で始まる。明るくなりそうでならない苦しげな主題がゆったりと奏でられる。中間部は相変わらず緊張感がある。最後は暗く重く終わる。

10.夏の歌 ラルゴ
★★★★☆☆☆☆☆☆
和音を中心とした重い曲。若干ムソルグスキーの『展覧会の絵』のプロムナードに似てなくはない。

全体的に暗く重く緊張感が高くあまり楽しめない。

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リラの花咲くけものみち [文学 日本 藤岡陽子]


リラの花咲くけものみち

リラの花咲くけものみち

  • 作者: 藤岡 陽子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2023/07/20
  • メディア: Kindle版



2023年7月30日に出版された藤岡陽子さんの最新作を読み終わった。
本のサイズが違うのが嫌で、文庫本が出るまでは購入しない、といつからか決めているのでとりあえず図書館で借りて読もうと思い、図書館に入荷されるのを今か今かと毎日のようにチェックしていた。そしていざ入荷され予約しようと思ったら、何と20件待ち!!!。結局私の手元に届くまで1ヶ月半近くかかった。

今回は、獣医師を目指す女の子の話。相変わらず主人公の生い立ちは結構厳しく、10歳で母親をなくし、その1年半後に父親が再婚。継母が典型的なシンデレラの母的に女性で、先妻のものをすべて家からなくそうとする。主人公聡里が、実の母が生きていた時から飼っていて可愛がっていた犬のパールが自分が学校へ行っているあいだに捨てられたらと思い不登校になってしまう。継母に怯えて暮らす不登校の三年間。母方の祖母、チドリがある日突然家にやってきて聡里のひどい様子を見て、その日のうちに自分の家に連れ帰ってくれ、それから過ごした友達はいなくとも祖母と過ごした幸せな高校生活。色々と葛藤した後に、なんとか合格した北海道の獣医大学。

はじめは人と接することに怯えていた聡里だが、動物を介して段々と友達も増え充実した大学生活を送るようになる。様々な動物の死などを目の当たりにし、獣医になることを何度か諦めようとするが、周りの暖かいサポートでそうしたことを一つ一つ解決していきなんとか前向きになれた時にやってくる突然の不幸・・・。

結構暗く重い話が続くのだが、北海道の大自然の描写や、登場人物たちの優しい性格が全体を暖かいトーンに包んでいる。

とにかく感動的な本。やはり後半は涙がじわっと溢れてきた。人の死と近いところで生きてきた筆者だからこそ、描けるのであろう人の死と身近な人・愛する人を失った人の感情の細かい描写が心をうつ。

pp.192 ~193
「逃げるのは悪いことじゃない。逃げなきゃ死んじまうことだってある。逃げた先で踏ん張ればいいんだ。いま辛いことから逃げたとしても、時間を経て変わることはできる。苦しんだ人のほうが、初めからなんでもできるやつより強いよ。」

彼女の作品が心を打つのは、悲惨な状況に会い何度かその悲惨な状況を回避しながらも周りの人の暖かい支援を受けながらなんとか自分の力で人生を切り開こうとしていく人の姿を描いているからなのだろう。

嘘臭さがない心を熱くする物語が本当に素晴らしかった。

p.203
「還暦を迎えたいま思うのは、時間をかけて力を尽くして築いたものだけが、最後に残るってことよ。仕事もそうだけど、人との関係にしても同じことが言える。」

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