SSブログ

Les vêpres siciliennes (シチリア島の夕べの祈り) [オペラ イタリア ヴェルディ]


I Vespri Siciliani [Blu-ray]

I Vespri Siciliani [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: C Major
  • 発売日: 2013/04/29
  • メディア: Blu-ray



ストーリー:★★★★★☆☆☆☆☆
アリア  :★★★★★★☆☆☆☆
音楽全体 :★★★★★★★★☆☆

ヴェルディの19作目。パリ・オペラ座から委嘱されて作曲したものらしく、初演はフランス語らしいが、最近はイタリア語で演奏されることが多いらしい。

序曲が10分弱と結構長く、『運命の力』とともに単独でも良く演奏される曲らしい。はじめの不安げな感じから少し叙情的になり段々と盛り上がっていく感じは悪くはないがそんなに特徴的なメロディもなく普通の曲。

第一幕
シチリアを征服したフランス人たちが酒を飲んでフランスを称えている力強い合唱で始まる。一方で征服されているシチリア人たちの悲しげな合唱も流れ、この場面は結構音楽も面白い。その後、兄の死を嘆く、エレーヌ公女が登場。彼女は囚われるの身。そんな中、ひとりの兵士が、酒も一杯飲んで良い気分なので歌え、と命令してくる。しかたなく彼女は「勇気を出して」という歌を歌うが、これによりシチリア人たちの愛国心が鼓舞され、フランスvsシチリアの一触即発の状態になってしまう。

はじめの合唱部分は結構格好良いが、途中のエレーヌのアリアは美しくはあるが、そこまで印象的ではない。

第二幕
シチリアの愛国者プロシダが船で帰還しフランスへの復讐を歌う。その後、エレーヌとフランスに捕まって最近釈放されたアンリと会う。三人はフランスへの復讐を誓う。プロシダが去った後、アンリはエレーヌへの愛を告白する。
ここの二重唱は叙情的でまあまあ良い。
アンリは、フランス総督から舞踏会に誘われる。一度断るが無理やり連れて行かれる。
海辺ではシチリア人たちが結婚式を楽しんでいたが、そこへフランス兵がやってきて、女性たちを陵辱した上連れ去る。この出来事をただ見ているだけしかできなかったプロシダ、アンリ、エレーヌは改めてフランスへの復讐を誓う。
合唱は力強くそれなりにメロディも綺麗で悪くない。途中の結婚式の場面の優雅な音楽もそれなりに綺麗。

第三幕
アンリは実は、モンフォールというシチリア総督の息子で、この幕でそれが明らかになる。
前半は、アンリとモンフォールの対話でふたりの男しか出てこず、アンリのテノールは甘い部分もあるが基本面白くない。
後半は、シチリア人たちが総督モンフォールをパーティーの場で殺そうとする場面で、最後は息子であるアンリが父親に対する愛情から、父親に暗殺計画を打ち明け、シチリア人たちが捕まってしまう。合唱が中心の場面で最後も盛り上がる結構感動的。

第四幕
アンリが捕まってしまったシチリア人たちのところへ赦しをこいに行く場面で始まる。息の長い美しく悲しげなメロディで、結構良いアリア。その後エレーヌが登場し、劇的な二重唱となる。ここも悪くない。その後エレーヌのアンリに対する愛を歌った美しくも悲しいアリアとなる。その後愛の二重唱となる。この一連の場面でのメロディは結構綺麗。
その後、プロシダと総督が登場。男性たちの力強い歌になる。
総督がアンリに「父」と呼べば皆を解放するといい、アンリは苦悩の末「父」と呼ぶ。
総督が、アンリとエレーヌに結婚を命じ、二人は結ばれることに。この場面の合唱はかなり感動的。

第五幕
民衆の喜びの歌で始まる。その後エレーヌが花嫁姿で登場し喜びのアリアを合唱とともに歌う。かなり綺麗なメロディ。その後、プロシダが登場。エレーヌとアンリが結婚した直後、シチリア人たちは蜂起しフランス人を殺すという。かなり激しい二重唱。そこへアンリが登場。喜びの美しいアリアを歌う。
その後、エレーヌ、アンリ、プロシダの壮絶な三重唱となる。総督が現れ、エレーヌとアンリを結婚させたとたん民衆が現れ「復讐だ」と叫び、総督を殺して終わる。

結構凄まじい結末。後半になるにつれてかなり素晴らしい音楽となっていく。
nice!(0)  コメント(0) 

三重奏曲 ト短調 JS. 210 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏曲

第一楽章 レント
★★★★★☆☆☆☆☆
悲劇的な、止まり止まり進む旋律で始まる。少し落ち着き内省的な音楽となる。第二主題?
展開部は少し混沌とした感じ。最後は静かになりしっとりと終わる。

第二楽章 アレグロ(断片)
★★★★★☆☆☆☆☆
元気な感じだが、どこか深刻な感じのある曲。

第三楽章 断片
★★★★★☆☆☆☆☆
悲劇的で間の多い出だし。第一楽章の出だしに少し似ている?
ゆったりとしたバロック風の主題が流れる。
段々と深刻さを増して行く。後半さざなみのような感じとなり、最後はそれもおさまり静かに終わる。

普通
nice!(0)  コメント(0) 

「嫉妬の夜」より メロドラマ JS.125 [シベリウス 劇音楽]


The Sibelius Edition: Theatre Music

The Sibelius Edition: Theatre Music

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2008/07/28
  • メディア: CD




評価
★★★★★★★☆☆☆
ピアノがクリスマスを告げるかのようなシャンシャンという美しい前奏を奏で、その後チェロ、ヴァイオリンが息の長いゆったりとしたメロディを奏でる。段々とスピードがあがりドラマティックになっていく。
いったん音楽が止まり、低いピアノの音がなり、物語が語られる。かなり長い話で正直良くわからない。音楽は幻想的で美しい。後半のメゾ・ソプラノによるヴォカリーズとピアノの水が滴り落ちるような伴奏がこの上なく綺麗。語りがなくても結構楽しめるのではないかと思うくらい美しい音楽。
nice!(0)  コメント(0) 

性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。 [その他 本]


性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。

性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。

  • 作者: 池田 鮎美
  • 出版社/メーカー: 梨の木舎
  • 発売日: 2023/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



東京新聞の広告欄に、『スマホはどこまで脳を壊すか』という本のそばに載っていた本で、同時に図書館に予約した。

彼女は原子力発電所がある町で育ち、その独特の雰囲気の中でのいじめについて語られ、そしてその中で起きた優しさと勇敢さのある親友が性暴力を受けたことにより精神をやられ自殺に追いやられるところからはじまる。

その後彼女自身が受けた二度の性暴力、さらにそれを性暴力と認めようとしない検察や社会。

彼女の育った環境や働いてきた環境に起因するのであろうが、この本は社会的な問題点と個人的な葛藤が同時に綴られていることにより、非常に深みがあり考えさせられる内容となっている。今某事務所が性加害で問題となっているが、特別ひどい問題として取り上げられており、これが女性だったらもっと早くに問題になっていたはずだ、と語る人が結構多くいるが、そんなことはないのではないだろうか。女性にしろ男性にしろ、この日本において性加害はずっと繰り返されてきたし、それを知っていて国家・社会・コミュニティが見て見ぬふりをし続けてきただけなのではないだろうか。それはセクシャルなことだけではなく、パワハラや原子力村など、この国が抱えながらもずっと見て見ぬふりをされ続けてきた問題にも同じことが言える。上に立つ人間の意に沿うような人間だけが出生し、政治家になり、そういった人間たちが作り上げたこの世界、そもそもがハラスメントが横行する社会であり、それが許される社会なのだ。そしてそうした社会を作り上げてきてしまったのが、我々なのだ。

「声をあげる」ということは非常に困難であり、この社会においては、社会的に、生物的に抹殺されかねない危険な行為であるかもしれない。しかし、少しでも何らかの形で「声」を上げ続けないとこの社会を変えていくことはできない、とこの本を読んで改めて感じた。
nice!(0)  コメント(0)