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序曲 ヘ短調 JS.146 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



評価
★★★★★★☆☆☆☆
吹奏楽のための曲

深い森をイメージさせる、深遠な空気で始まる。
少し哀愁漂う主題が、行進曲風に元気に奏でられる。
中間部は壮大で広がりのある音楽となる。
はじめの哀愁漂う主題に戻り、堂々と終わる。


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夏の夢 [文学 日本 安房直子 な行]


日暮れの海の物語

日暮れの海の物語

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2023/09/21
  • メディア: 単行本



ある若者が公園のペンチで座っていると、ひとりの老人に話しかけられる。
「このごろ耳鳴りがしましてねえ」と。

よくよく聞くと、耳の中にメスのセミを入れているという。とうもろこしやの屋台をやっている若者は、老人の耳の中に入っていたセミを受け取ると自分も耳に入れてみる。すると耳の中からセミの静かな声が聞こえてきていつの間にか眠ってしまう。

「とうもろこし一本くださいな」という声が聞こえる。それは一人の少女だった。小学校五年生の時、引っ越してきて三ヶ月でまた引っ越してしまった女の子だった。彼女は言葉がしゃべれない(おし:原文ママ)子供たっだ。
ある朝、庭で水をやっているその女の子に手を振ると彼女も笑い返してくれた。彼女が話ができるようになったら良いなあと思い、外国航路から帰ってきたおじにもらった外国製のドロップをあげる。しかしその後すぐに彼女は引っ越してしまい、そのままずっと会えずじまいだった。

そんなことが思い出されているうちに、「とうもろこし、一本くださいな」という声はどんどん膨らみ、女の子の客がたくさん訪れる。男は女の子達にとうもろこしを売ろうと起き上がると、女の子たちは森の方へとうもろこしの話をしながら行ってしまう。彼女たちを追いかける男。森の奥まで追いかけていくと星のように輝く一本の木を見つける。よく見ると、木になっているのは、彼が彼女に昔あげた青いドロップ。

そしてその木の横に立つひとりの少女。彼女に話しかけると、彼女は声を出して答えてくれた。「このドロップを食べたため」に話せるようになった」と。

そしてそのまま二人は結婚式へ向かう。宴会の部屋のドアを開けると・・・。

目を覚ました若い男。さっきセミを貸してくれた老人に気がつき、よくよく見ると実は木だった。

自然と交流し、疲れてしまった心を取り戻す幻想的な話。
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ピエタ [文学 日本 Modern]


([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

([お]4-3)ピエタ (ポプラ文庫 日本文学)

  • 作者: 大島真寿美
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2014/02/05
  • メディア: 文庫



国語の先生と夏休み中、話をしていたとき、この本が話題になった。
彼が夏期講習で扱ったテキストの中に、この本の抜粋が出てきたらしく、そんな短い文章でもかなり良かったので読んでみようと思う、と言っていた。

「赤毛の司祭」ヴィヴァルディの話らしく、「じゃあ、私も図書館で借りてみようかな」と言うと、「家の周りにある図書館はどこも40~100の予約待ちだ」ということだった。自分の家のそばの図書館で調べたところ、1件の予約しか入っていなかったのですぐに廻ってきた。

ヴィヴァルディが働いていたピエタ孤児院を舞台とした作品で、そこに捨てられそこで音楽を習ったものの、そこまでの才能がなかったために、途中から音楽家ではなく事務員としてピエタで働くことになった主人公のエミーリア、ヴァイオリンの才能がありヴィヴァルディからも認められ現在の合奏・合唱副長を務めるアンナ・マリーア、孤児院の娘ではないのだが、彼女たちと小さい頃一緒に音楽をやっていたヴェロニカ、音楽の才能はなかったが、薬の知識を身に付け薬屋と結婚して店を大きくしたジーナ、ヴィヴァルディが生前心を通わせていたコルティジャーナ(高級娼婦)のクラウディア、様々な女性が登場するが、皆どこかに心の痛みを抱えながら、誠実に生きる女性たちばかりで、読んでいて気持ちが良い。

何度かホロリとする場面もあり、明るい結末ではないのだが、ほのかに希望が持てるもので読後感はすこぶる良い。上質なフランス文学を読んでいるようで本当に素晴らしかった。どこかしらフィリップ・クローデルに、静謐な感じが似ている気がした。
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2つの小品 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



1. アダージョ 嬰ヘ短調 JS.15
★★★★★★☆☆☆☆
チェロとピアノの曲
悲しみに満ちた静かな曲。

2. ワルツのテンポで 嬰ヘ短調 JS.194
★★★★★★★★☆☆
チェロとピアノの曲
どこか懐かしさのある、哀愁漂う美しい曲。1分足らずの曲だが、これも隠れた名曲。
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幻想曲 イ長調 JS. 79 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



チェロ独奏曲
第一楽章 モデラート~ヴィヴァーチェ~テンポ1~プレスト~テンポ1
★★★★★★☆☆☆☆
悲劇的なゆったりとした主題で始まる。
段々と優雅に伸びやかになっていく。
希望に満ちた明るい雰囲気になるが、すぐに悲劇的な主題が戻ってくる。
最後は重々しく終わる。

第二楽章 テンポ・ディ・ワルツ、モデラート
★★★★★★☆☆☆☆
優雅なゆったりとした曲。ワルツっぽくはない。

第三楽章 アラ・ポラッカ
★★★★★★☆☆☆☆
躍動感のある始まり。中盤はのどかでゆったりとした感じ。
段々とエキゾチックなメロディに変化していき、ピッチカートであいだをつなぎアタッカで次の曲に入る。結構間の多い曲。

第四楽章 アラ・マルチア
★★★★★☆☆☆☆☆
結構自由な感じの混沌とした曲。

第五楽章 レジェーロ
★★★★★★☆☆☆☆
小刻みにメロディを奏でる英雄的で格好良い曲。

チェロ独奏にしてはヴァラエティに富み、メロディも楽しめる曲ではある。
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組曲 イ長調 JS. 186 [シベリウス 室内楽曲]


The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2

  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 2007/08/27
  • メディア: CD



弦楽三重奏曲
1. 前奏曲 ヴィヴァーチェ
★★★★★☆☆☆☆☆
トレモロの伴奏に乗って、躍動感のある明るい主題が奏でられる。すぐに短調のメロディが続き、長調と短調が入り混じりながら進む。

2. アンダンテ・コン・モート
★★★★★★☆☆☆☆
少し民謡風の懐かしい感じのメロディの曲。中盤軽やかになる。最後は懐かしい感じのメロディが回帰され終わる。

3. メヌエット
★★★★★★☆☆☆☆
軽やかな楽しげなメヌエット。重くなったり、軽くなったりと表情をコロコロ変える。最後は堂々と高貴に終わる。

4. ジーグ、アレグレット
★★★★★★☆☆☆☆
対位法を活かした優雅なバッハ風舞曲。

軽く聞ける楽しい組曲。
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David Copperfield Volume1 [文学 イギリス Dickens]


David Copperfield (Wordsworth Classics)

David Copperfield (Wordsworth Classics)

  • 作者: Dickens, Charles
  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions Ltd
  • 発売日: 1997/08/01
  • メディア: ペーパーバック



あまりにも長い作品なので、とりあえず二分割。
主人公David Copperfieldの一人称がたりの作品。そのため彼の見えている世界からしか物語が語られないため、いろいろなものが手紙や周りの人からの会話などあとからわかってくることが多い。

彼の父は彼が生まれて半年後にはなくなっていた。若くて美しい母は、乳母のベゴティとともに、彼を愛情深く育ててくれる。美しく優しいが人が良く人を疑わない母は、乳母ペゴティが反対したにもかかわらず、マードストンなる男と再婚。結婚後彼の妹もやって来て、母を「愚かだ」として家政の全ての実権をマードストン兄妹が握ってしまう。反発を覚えるDavidはマードストンに噛み付いてしまい、全寮制の学校へ送られる。

その学校でSteerforthという年上の面倒見の良い友達を得て、それなりに楽しく過ごす。あるとき母が幼子とともに死んでしまったことを告げられ、家に戻るDavid。さらに彼は学校を辞めさせられ、Londonにある仕事場に出される。その仕事場はあまりにひどかったが、下宿先のMicawber夫妻とは仲良くやっていた。しかしこの夫妻も借金で首が回らなくなり警察に連行されてしまう。

いろいろあってその仕事場から逃げ、父の姉であるドーヴァー海峡に住むおばを頼る。結局おばは助けてくれ、学校にも通わせてくれる。学校には、弁護士の下から通う。弁護士とその娘Agnisにはかなり世話になる。無事学校を卒業したDavidは、本格的に仕事をする前に、周遊の旅に出て、その後仕事につき、後の伴侶となる美しい女性Rosaと出会い、メロメロとなる。

ここまでが大体全体の半分。様々な場所で、昔の知り合いと偶然出会うことが多いのだが、同じ町ならともかく、広いLondonやその他の地でこんなに偶然に色んな人と再開できるのか?とおもわせることが多い作品。まあ、ストーリーは面白いが、ちょっと出来すぎの感はある。

後半、さらに様々な出来事が起こるらしい。

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長い灰色のスカート [文学 日本 安房直子 な行]


白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2006/08/01
  • メディア: 単行本



8つの女の子と、4つの弟が川べりで遊んでいる。お父さんは上流で魚釣りをしている。

弟はカッコーの鳴き真似をしながら歩いているっぽいが、それは鳩の鳴き真似のようにしか聞こえない。

ふたりでそんな風にしながら、林の中の自然を満喫していると、鳩に似た鳴き真似が不意に消え、弟が突然緑の中にふっと消えてしまう。女の子は弟の名前を呼びながら必死に探す。

すると遠くの方から、弟の鳴き真似の声が聞こえてくる。そちらに目をやると長い灰色のスカートをはいた、大きな女の人が現れる。そのスカートは幾重にも重なったひだスカートで、その奥から弟の声が聞こえてくる。人さらいだと思った女の子は弟にこっちにくるよう呼びかけるが、反応はない。女の子は、大きな女の人に、弟を「サーカスへつれていくの」と聞くと、「サーカスならここにあるわよ」と言い、スカーたのひだを広げる。すると本当にサーカスの世界が広がっている。次に見せられたひだの中は雪景色。そこには親子の熊がいて、自分の方を見て、「あれ、食後にうまそうだ」と話をしている。急いで逃げた女の子。

すると再び女の人のスカートのひだが見え、弟の声が聞こえてくる。女の子は一枚一枚ひだをめくり弟を探す。真っ青な湖が広がる世界が見え、ほたるの光に誘われどんどん入っていく。弟の声も遠くで聞こえる。だんだん疲れてきて眠りそうになるが、ここで眠ってはいけないと、歌を歌う。すると男の人が一緒に歌っているのに気がつく。その人はさっきみたサーカスのピエロのおじさんだと気がつく。おじさんはつゆくさの明かりで照らすとと会いたい人に会えると言う。

さっそくつゆくさの明かりで道を照らし、川沿いを歩いていくと鳩にされた弟が!

気がつくと父が目の前にいる。
「もう少し長くねむっていたら、お前も山の中で死んでしまっただろう」と言われる。その言葉で弟が死んでしまったことをさとる。

幻想的で、身近な人の死になんとか物語を付そうとする、ある意味宗教的なものも垣間見える、すこし恐ろしい作品。
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