SSブログ

性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。 [その他 本]


性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。

性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。

  • 作者: 池田 鮎美
  • 出版社/メーカー: 梨の木舎
  • 発売日: 2023/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



東京新聞の広告欄に、『スマホはどこまで脳を壊すか』という本のそばに載っていた本で、同時に図書館に予約した。

彼女は原子力発電所がある町で育ち、その独特の雰囲気の中でのいじめについて語られ、そしてその中で起きた優しさと勇敢さのある親友が性暴力を受けたことにより精神をやられ自殺に追いやられるところからはじまる。

その後彼女自身が受けた二度の性暴力、さらにそれを性暴力と認めようとしない検察や社会。

彼女の育った環境や働いてきた環境に起因するのであろうが、この本は社会的な問題点と個人的な葛藤が同時に綴られていることにより、非常に深みがあり考えさせられる内容となっている。今某事務所が性加害で問題となっているが、特別ひどい問題として取り上げられており、これが女性だったらもっと早くに問題になっていたはずだ、と語る人が結構多くいるが、そんなことはないのではないだろうか。女性にしろ男性にしろ、この日本において性加害はずっと繰り返されてきたし、それを知っていて国家・社会・コミュニティが見て見ぬふりをし続けてきただけなのではないだろうか。それはセクシャルなことだけではなく、パワハラや原子力村など、この国が抱えながらもずっと見て見ぬふりをされ続けてきた問題にも同じことが言える。上に立つ人間の意に沿うような人間だけが出生し、政治家になり、そういった人間たちが作り上げたこの世界、そもそもがハラスメントが横行する社会であり、それが許される社会なのだ。そしてそうした社会を作り上げてきてしまったのが、我々なのだ。

「声をあげる」ということは非常に困難であり、この社会においては、社会的に、生物的に抹殺されかねない危険な行為であるかもしれない。しかし、少しでも何らかの形で「声」を上げ続けないとこの社会を変えていくことはできない、とこの本を読んで改めて感じた。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。