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屋根裏部屋の秘密 [文学 日本 松谷みよ子 直樹とゆう子]


松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




屋根裏部屋の秘密 (偕成社文庫)

屋根裏部屋の秘密 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2005/04/01
  • メディア: 単行本




直樹とゆう子のシリーズ四作目。

1.『ふたりのイーダ』   広島の原爆
2.『死の国からのバトン』 公害問題
3.『私のアンネ=フランク』ナチス・ドイツのユダヤ人迫害

直樹とゆう子という子どもを主人公に置くことで、ある程度深刻な問題から距離を置きながら戦争や現代的な問題を考えていく、という手法を使ったこのシリーズ。かなりミステリー的要素もあり楽しめる。

今回は、731部隊というかなり有名だがあまり内容的には知られていない戦争犯罪がテーマとなっている。ゆう子のはとこエリコの優しいおじいちゃんが、なくなった。その際、別荘の屋根裏部屋にある品を託すと言われ、それをゆう子とエリコで探しに行く話。屋根裏部屋の鍵が見つからなかったり、せっかく見つかったと思ったら盗まれてしまっていたり、と色々なことが起こるが、最後はうまく解決する。

そして後半、日本の731部隊が中国でどのようなことを行っていたのか、かなり事細かに描写される。日本もナチス・ドイツと同じように、人間をガス室のようなところで大量に殺していたという事実を、恥ずかしながらこの歳でまともに知りかなり衝撃を受けた。

p.617
「人間がやさしいとか、いい人がらとか、そりゃ平和なときなら、だれだってやさしくなれまさ。わたしらの知ってる先生がたは、個人的にはみんないい人でしたよ。でも、戦争ってのは、狂気なんです。人間が狂うんです。」

p.628
「アウシュビッツだ、日本人も日本のアウシュビッツを持っていたんだ・・・・・・。
 ぼくは心の中でつぶやいた。なんということだろう。遠いドイツのナチスがおこなった殺人工場、アウシュビッツ。どこか、ひとごとのように思っていたのに、日本人の手でも殺人工場はつくられていて、じじちゃまが、ぼくの親しい身内がそこにいたなんて・・・・・・。ということは、ぼくだって、戦争という巨大な歯車に巻きこまれたとき、そこに身をおかないとだれが約束できるだろう。」

今まで読んだ4冊の中では最も面白く読み応えのある作品だった。

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