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第6挿話 [文学 アイルランド Ulysses]


Ulysses (Wordsworth Classics)

Ulysses (Wordsworth Classics)

  • 出版社/メーカー: Wordsworth Editions
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: Kindle版



第二部
第6挿話
私が英文から読み取った、起こっているであろう出来事
〇Mr. Cunningham, Mr. Power, Mr. Dedalus(Stephenの父), Mr. Bloomが馬車に乗り込む。(おそらくDignamの葬式を終えて墓地に向かっているんだと思う。)
〇馬車は途中、運河のところで止まったり、牛が草を食んでいるので(?)止まらざるを得なかったり、揺れたりしながら進んでいく。その過程で様々な会話をする。
〇会話はMr.Dedalusの息子Stephenのことや、葬式に現れなかったひとのこと、新聞に掲載されていること、Mr.Bloomの妻Mollyの不倫相手(?)のBoylanのこと、死について、などなど。
〇その後墓場に行く。墓掘り人などが出てくる。

墓場に行ってからの会話は正直ほとんどわからなかった。この作品、ここまで結構Hamletに言及されることが多く、死への言及が多いことや、墓掘り人夫の登場など、JoyceはかなりHamletに影響されていたのかなと思う。

面白かった会話、フレーズをちょっと書いておきたい。
p.79 (Mr. Bloomの頭の中)
Molly(妻). Milly(娘). Same thing watered down. ~中略~. Still, she(Milly)’s a dear girl. Soon be a woman.

Mr. Bloomは妻の不倫を疑っている。同じ血が流れている妻と娘。Millyはまだ可愛いがそのうち女(つまり妻と同じようなことをする性)になる、という女性に対するBloomの見解が面白い。

P. 81
I tore up the envelope? Yes. Where did I put her letter after I read it in the bath? He patted his waistcoat pocket. There all right.

前挿話で破り捨てたと記されていた封筒は、封筒だけで、手紙は破り捨てていなかったらしいことがわかった。なぜ、手紙を破り捨てる必要があるのか、と思っていたが、なぜ、封筒だけを破り捨てる必要があるのだろうか、とまたまた疑問に思ってしまった。

P.85(おそらくDignamの死について語り合っている)
私はMr. Bloomの意見に大賛成だ。やはり苦しんで死ぬよりは苦しまないで死にたいと思うのだが・・・。

p. 86(自殺に対する考え方)
自殺はキリスト教的には認められていない。特にアイルランドは恐らくカトリック国なので一層厳しいのだろう。20世紀前半、自殺に対する考え方がどれほどアイルランドの中で厳しいものだったのかはわからないが、お葬式後の馬車の中でこのような会話がなされているのは興味深い。
「自殺は最もわるい」「家族に自殺者がいるのは不名誉だ」「一時的な精神異常」「臆病者」「外部者がどうこういう問題ではない」。

P98(不吉な数字13)
Mr. Bloom stood far back, his hat in his hand, counting the bared heads. Twelve. I’m thirteen. No. The chap in the macintosh is thirteen. Death’s number. ~中略~ Silly superstition that about thirteen.

西洋では13が不吉な数字というのは聞いたことがあったのだが、実際英文で言及されているのは初めて見た。結構面白かった。しかも帽子をかぶっていない人数、レインコートを着ている人数というどうでもいい数を数えているところも面白かった。

この小説、様々な話題に関してそれぞれの場で人々が語り合い、そのたびごとに読者は考えさせられる、という形が、夏目漱石の『吾輩は猫である』に非常に似ているなあ、と思った。

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