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ミサ曲第一番 D.105 [シューベルト 声楽曲]


Schubert/ Complete Messes

Schubert/ Complete Messes

  • アーティスト: Hans Gilesberger
  • 出版社/メーカー: VOX
  • 発売日: 1997/07/24
  • メディア: CD



1. キリエ
★★★★★★★☆☆☆
ゆったりとした暖かい雰囲気の「キリエ・イレイソン」の合唱で始まる。その後ソプラノがソロで歌い、それに合唱が答える。少し悲劇的なメロディをオケが奏で、ソプラノが悲劇的なメロディを感情たっぷりに歌い、合唱がそれを支える。その後テノールとソプラノの二重唱となり、そこにバスと合唱が加わっていく。

2. グローリア
★★★★★★★☆☆☆
派手で華やかな合唱で始まる。オルガンの音が劇的雰囲気を高めている。
その後穏やかなソプラノソロとなり、テノール、アルト、バス、合唱が代わる代わるときには絡み合いながら曲は進む。
劇的な合唱が戻ってきて華やかになる。途中アーメン合唱も現れる。
最後はグローリア合唱で高らかに神をたたえて終わる。

3. クレド
★★★★★★★☆☆☆
一転して穏やかな天国的な安らかな合唱となる。テノールとバスのソロも優しい。

4. サンクトゥス
★★★★★☆☆☆☆☆
オルガンと弦の音による敬虔な雰囲気で始まる。どこか幻想的な雰囲気の短い曲。

5. ベネディクトゥス
★★★★★★☆☆☆☆
息の長いテノール・ソロで始まり、テノール二重唱になり、最後はテノール・ソプラノ四重唱となる。

6. アニュス・デイ
★★★★★★★☆☆☆
悲しげな前奏のあと、苦しそうなテノールのソロが始まる。その後、バスが少し穏やかな旋律を歌い、静かな合唱となる。最後は天に導かれていくかのように崇高な雰囲気で終わる。

教会の少年合唱団だっただけあって、美しく宗教的な作品。
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約束された移動 短編⑮ [文学 日本 小川洋子 短編]


約束された移動

約束された移動

  • 作者: 小川洋子
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: Kindle版



01. 約束された移動
02. ダイアナとバーバラ
03. 元迷子係の黒目
04. 寄生
05. 黒子羊はどこへ
06. 巨人の接待

01
ホテルの客室整備係が主人公の物語。映画俳優Bがホテルのスイートに泊りにくると、スイートに置いてある旅・移動にまつわる本が一冊ずつなくなっていく。それを彼の主演映画とともに追いかけていく、妄想物語。マッサージ部の人の良い面を見る主任さんとの心暖まる交流も良い。とても心暖まる物語。

02
市民病院で案内係をする、バーバラと呼ばれる、ダイアナ元英皇太子妃に憧れるおばあさんの物語。ダイアナ元妃の来ていたドレスを自分で縫い、それを着て街に出かける女性で、昔ショッピング・モールのエスカレーター補助員をしていた過去などと重ね合わせながら物語が進む。これもへんてこりんなおばあさんとそれを優しく見守る孫娘との、心暖まる物語。

03
元迷子係の、となり言えに住む遠い遠い親戚の女性と、熱帯魚を可愛がる女の子との物語。自分の善意によって、熱帯魚にたいへんなことをしてしまうのだが、この遠い遠い親戚の女性のおかげでなんとか心を取り戻す。親戚の女性の悲しい過去と相まって美しい物語となっている。

04
プロポーズしようと高級レストランを予約していたのに、変なおばあさんに抱きつかれ大変な思いをする男性の物語。この話もどこかで読んだ感じがするが、最後は優しく前向きな感じで終わるので良かった。

05
海の近くに住む村に、ある未亡人が、波に打ち上げられた二匹の哀れなつがいの羊を拾って面倒を見る。そのうち羊たちは子羊を産むのだが、それが黒子羊だった。村人たちは気味悪がって近づかないが、子どもたちは逆で彼女のもとに集まる。そのうち託児所のようなことはじめる。子どもたちは偉人伝が大好きで、読み聞かせてあげたり子どもたちがそれらを読んだりする。
長い年月がたち、彼女が面倒を見た子供の一人が歌手となり、酒場で歌を歌うようになる。その彼を店の外からそっと伺い、その声に耳を澄ます。
最後に彼女は、歌手の歌を聴きに行った帰り、足を滑らせ運河におちて死ぬ。その葬式には子どもたちが長い列を作っていた。こころがあったかくなる話。

06
ヨーロッパの少数民族の言葉で小説を書く巨人が、出版社の求めに応じ、その国へやってくる。通訳を行うはずだった人、巨人の秘書も食中毒を起こしてしまい、通訳の弟子が、一人でやってきた巨人の通訳&案内係を勤める。
ホロコースト経験者で家族を失っていることも影響しているのか、巨人は人前ではあまりはっきりしゃべらない。しかし適当になんとか通訳をこなす。最後に二人は一緒に自然の森公園へ行き、鳥を観察する。
二人にしかわからない言葉で心をしずかに通わす二人の話。『リンさんの小さな子』を彷彿とさせる静謐で美しい物語。

久しぶりに結構読みごたえのある小川洋子さんの短編集を読んだ気がする。

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