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交響曲第九番 ハ長調 D944 グレート [シューベルト 交響曲]


Karl Bohm: The Symphonies

Karl Bohm: The Symphonies

  • 出版社/メーカー: Deutsue Grammaophon / Uninversal Music
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: CD



第一楽章 Andante - Allegro ma non troppo
★★★★★★★★★☆
壮大で涙が出そうなほどに美しい感動的な序奏で始まる。力強い第一主題、広がりのある雄大な第二主題、優美な展開部(?)と全てが美しい。最後は壮大に力強く序奏が回帰され終わる。

第二楽章 Andante con moto
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした力強い行進曲風の感じで始まる。壮大な草原をイメージさせる美しい雰囲気の部分を挟み、はじめの行進曲風のメロディが流れる。再び優美な旋律を挟み最後は力強く終わる。

第三楽章 Scherzo. Allegro vivace
★★★★★★☆☆☆☆
力強くはあるが、平和で牧歌的な感じで美しいメロディ。中間部は高貴で哀愁漂う感じの優雅な雰囲気。

第四楽章 Finale. Allegro vivace
★★★★★★★★☆☆
最終楽章らしい、華やかで開放感に満ちた始まり。少し引いた感じの鄙びた第二主題も緊張感のある伴奏で締まった感じ。少し静かになった後、だんだん盛り上がり華やかに力強く終わる。
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IL Corsaro (海賊) [オペラ イタリア ヴェルディ]


Il Corsaro [DVD]

Il Corsaro [DVD]

  • 出版社/メーカー: C Major
  • 発売日: 2013/02/25
  • メディア: DVD



ストーリー:★★★★★★★☆☆☆
アリア  :★★★★★★★★☆☆
音楽全体 :★★★★★★☆☆☆☆

バイロンの『海賊』を原作とするオペラらしい。
バレエにも「海賊」という題名の演目があるが、そちらも悪くない。

第一幕の、主人公コルラードの憂鬱そうに歌うアリア、ヒロイン・メドーラのこれまた少し悲しげに歌うアリアが、伴奏もほとんど音がなく、静かにメロディの美しさを楽しめる名曲となっている。

第二幕の、トルコのエキゾチックな雰囲気とメロディも綺麗だし、もうひとりのヒロイン・グルナーラの憂鬱そうに歌うアリアも非常に美しい。

第三幕の、コルラードとグルナーラの掛け合いも美しいし、アカペラに近いメドーラのソロも魅力的。悲劇的なストーリー展開も悪くない。

アリア以外の音楽や合唱部分はもう一歩な感じはあるし、二幕の戦いの場面の安っぽい感じの音楽も残念ではある。

ストーリーはさすがバイロン原作を下地にしているだけあり、それなりにしっかりしたもので、悲劇的な結末も悪くない。
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洋子さんの本棚 エッセイ⑩ [文学 日本 小川洋子 エッセイ]


洋子さんの本棚 (集英社文庫)

洋子さんの本棚 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/10/20
  • メディア: 文庫



作家の小川洋子さんと、エッセイストの平松洋子さんが、自分たちが読んできて影響を受けた本を語り合う対談集。女性というものを強く意識した対談になっているが、「ジェンダー」というよりは「セックス」の側面から語っている部分が多く、「産む性」として生まれた自分という存在をいろんな本を通して見つめ直し、客観的に語っているのがとても興味深かった。

旅が好きで外にどんどん出ていく平松洋子さん、旅が苦手で内にどんどんこもっていく小川洋子さん、まったく対照的に見える二人だが、内面では共通している部分が多いというのも非常に面白かった。

さらに、二人共友達と呼べる人が少なく、それでいいんだと言っている部分も共通しており、内面が充実している人に、それも内面が充実している人に多く見られる傾向だとも思う。

以下、印象に残った箇所を紹介したい。

p.40
平松「高度成長期にこれから突入していこうかという、その手前の時代。生活のすき間に、手間はかかるけれど余剰というか、余分なものがいっぱいあった。」

これは本当に感じる。自分は高度成長期に生きたことはないが、こんなにインターネットやSNS,携帯が広がる前、もっと穏やかで無駄なものを大切にする雰囲気があったと思う。

p.56
小川「こんなことをいうとみもふたもないですけれど、とにかくこの思春期を乗り越えて、大人になるって大変なことですね。よくそんなことを自分が出来たなと(笑)。あの時間をもう一回やり直せと言われても無理だと思う。」

私もそう思う。よく「戻れるならいつの時代に戻りたいですか」という質問を目にするが、私はどの時代にも決して戻りたくはない。楽しいことはあったかもしれないが、それはそれで辛いこともあったし、大変なこともあった。人生は常に辛いこと苦しいことを乗り越えていくことの連続で、その積み重ねで自分があるので、絶対にやり直したくない。

p.82
小川「私って馬鹿だなと。どんなことでも取り返しがつかないんだけれど、子育ては最も徹底的に取り返しがつかない。ですから、子どもとしての私も愚かだったけれど、親としての私も愚かだった。~中略~ 自分の後悔によって、過去の人々を許せるようになったということでしょうか。」

自分は子育て真っ只中だが、まだこの感覚はわからない。

p.163
平松「小川さんは別れたあとで宿題を抱えているみたいなこと、ありますか。」
小川「私は半ば無理矢理、過去は完全だと思うようにしています。」
平松「おお、完全という言葉が出ましたか。」
小川「どんな失敗も、どんな愚かな行いも、過去は、それはそういうものだったんだと。~」
平松「~私がいつも思うようにしているのは、過去は必然だったのだと。自分がいまここにこうあるのは、やっぱいあの過去があったから、と。」

私はここまでの境地には達せないが、いまこうしてあるのはあの過去があったからとは思う。

p.176
平松「もちろんちょっと仕事や家事がしんどいときは誰にでもあると思うんですけど、それをスランプという言葉で表現してみても何も始まらないということを女の人たちはよく知っているのではないかしら。」
小川「毎日同じことを繰り返すのは実は幸せなこと。」

これはとっても共感するのだが、「女の人」に限ったことではないと私は思ってしまう。

とっても良い対談集だった。
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交響曲第八番 ロ短調 D759 未完成 [シューベルト 交響曲]


Karl Bohm: The Symphonies

Karl Bohm: The Symphonies

  • 出版社/メーカー: Deutsue Grammaophon / Uninversal Music
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: CD



第一楽章 Allegro Moderato
★★★★★★★★★☆
霧が立ち込めてくるような序奏のあと、優美な第一主題となり、その後悲劇的な第二主題が奏でられる。その全てが美しいメロディ。序奏部のメロディがどんどんと高揚していく展開部も綺麗。

第二楽章 Andante con moto
★★★★★★★★★☆
まさに天上の音楽といった趣の安らぎに満ちた始まり。力強くなったり、牧歌的になったりを繰り返し、最後は天上に導かれるように終わる。

悲しみを湛えた美しいメロディに彩られた名曲。
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交響曲第六番 ハ長調 D589 [シューベルト 交響曲]


Karl Bohm: The Symphonies

Karl Bohm: The Symphonies

  • 出版社/メーカー: Deutsue Grammaophon / Uninversal Music
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: CD



第一楽章 Adagio - Allegro
★★★★★★☆☆☆☆
少し重めの序奏のあと、平和な雰囲気となる。少し優しい感じの第一主題が元気に奏させれる。この第一主題と序奏の平和な雰囲気のメロディが何度も現れる。

第二楽章 Andante
★★★★★★☆☆☆☆
平和で牧歌的なA, 少し緊張感のある壮大な雰囲気のBが流れ、最後は平和に終わる。

第三楽章 Scherzo
★★★★★★☆☆☆☆
少し性急な感じの力強い始まり。少しベートーヴェン的。途中優雅なメヌエット風の音楽になる。

第四楽章 Allegro Moderato
★★★★★★☆☆☆☆
最終楽章とは思えない優雅な始まり。段々と力強くなっていく。途中行進曲風になる部分が格好良い。最後は華やかに終わる。

聴きやすい曲ではある。
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注文の多い注文書 長編⑰ [文学 日本 小川洋子 長編]


注文の多い注文書 (ちくま文庫)

注文の多い注文書 (ちくま文庫)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/06/11
  • メディア: 文庫



小川洋子さんと、クラフト・エヴィング商會なる人たちの共著。
小川洋子さんが、探しものをしている人物に関する物語を書き、それに対する返答をクラフト・エヴィング商會なる人たちが書いている。
小川洋子さんの、小説は普段と違うテイストで結構味があるし面白い。それぞれの物語は、実際にある小説をもとに作られており、その試みがまた面白い。

case1 人体欠視症治療薬
case2 バナナフィッシュの耳石
case3 貧乏な叔母さん
case4 肺に咲く睡蓮
case5 冥途の落丁

1は、川端康成の「たんぽぽ」という未完作品を基に作られた物語。恋人の体に触れてしまうと、その触った部分が見えなくなってしまうという病気に罹った女性の話。この病気を治す薬を探して欲しいとクラフト・エヴィング商會に依頼する。何となく初期の長編の傑作『密やかな結晶』を彷彿とさせる内容。結末があまりにも悲しい・・・・・・。小川洋子作品にはあまり見られない口調で語られているのが読んでいて何となく違和感があった。

2は、『ライ麦畑でつかまえて』を書いたサリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」を基に作られた物語。「サリンジャー読書クラブ」の会員がサリンジャー作品をいろいろ読み、裏にあるメッセージを読み解くうちに「イヤー・ストーンズ」なる言葉に行き着く。さらに色々探るうちにうなぎの「ジセキ」つまり「耳石」というものがあることを発見し、これをクラフト・エヴィング商會に探してくれるよう依頼する。結局最後は、クラブの内輪もめとなり・・・・・・。組織というもののよくある結末を描いた作品と言える。

3は、村上春樹の「貧乏な叔母さん」を下地にした作品。二人暮らしだった祖父を失ってしまい、悩み苦しむ青年のもとにやってきた背後霊のような叔母さん。彼が元気になるまではいてくれたが、少し元気になるとふっといなくなってしまった彼女を探して欲しいという依頼。
 時間を超えたタイムトラベル的な作品となっており、こういうものはイマイチ頭の整理がしきれない。しかしこの叔母さんかなり優しく、村上春樹作品が下地とは思えない。小川洋子さんの手によって相当優しくされたのだろうと想像される。

4は、ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」をベースにした作品。目の見えない指圧師と標本を扱う指圧師のお客さんと、指圧師のビルの下の階で古本屋を営む男性の心の交流を描いた作品。結構感動的な作品。

5は、内田百聞の「冥途」という作品を扱った作品で、この作品の初版の古書をめぐる作品。『ビブリア古書堂』シリーズに出てきそうなミステリアスな展開で結構面白かった。

普段の小川洋子作品には見られないような雰囲気や展開の作品もあり、面白かった。
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I Masnadieri (群盗) [オペラ イタリア ヴェルディ]


I Masnadieri [DVD]

I Masnadieri [DVD]

  • 出版社/メーカー: Cmajor
  • 発売日: 2013/01/28
  • メディア: DVD



ストーリー:★★★★★★☆☆☆☆
アリア  :★★★★★★★☆☆☆
音楽全体 :★★★★★★☆☆☆☆

シラーの『群盗』を原作とするオペラ。
放蕩息子である長男が、父親に許しを請うが、それを嫉妬深く悪い弟が妨げる物語。

一人ひとりが歌うアリアはとてもメロディが綺麗で、伸びやかなものが多く聴きやすい。
ただ音楽全体としてはもう一歩な気がする。
3幕の主役カルロと群盗たちの掛け合いの合唱は格好良い。
4幕の悪役フランチェスコの狂乱の場面も、結構見所。

シラー原作ではあるので、物語としてはそれなりに面白いし、アリアも綺麗ではあるので、それなりには楽しめるオペラだとは思うのだが、現在あまり上演されないようだ。
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シューベルト 歌曲集34 冬の旅 後半 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.902「メタスタージオの3つの歌 瞳の魔力」
★★★★★☆☆☆☆☆
楽しげな跳ねた感じのピアノ伴奏で始まる。少しおどけた感じの歌が流れる。

02. D.902「メタスタージオの3つの歌 欺かれた裏切り者」
★★★★★☆☆☆☆☆
激しい、感情が爆発している曲。

03. D.902「メタスタージオの3つの歌 女房を得る方法」
★★★★★☆☆☆☆☆
少し止まったり、はねたりしながら曲は進む。いろいろな表情は楽しめるがあまり面白い曲ではない。

04. D.922 「ひそやかな愛」
★★★★★★★★☆☆
ショパンの夜想曲をおもわせるピアノ前奏で始まり、高音の美しいメロディが歌われる。

05. D.923「ある古いスコットランドのバラッド」
★★★★★★★☆☆☆
まさにスコットランドの雰囲気の、語り口調だが何故か非常に懐かしさを覚える、女性と男性で語られる暖かいバラッド。


~ 冬の旅 後半 ~

06. D.911 「郵便馬車」
★★★★★★☆☆☆☆
タッタタ、タッタタという馬のヒヅメを摸した元気な伴奏の上を、元気な歌が流れる。どこか物悲しい。

07. D.911 「灰色の頭」
★★★★★★☆☆☆☆
悲劇的な物悲しい前奏の後、悲しみに満ちた暗いメロディが流れる。

08. D.911 「鳥」
★★★★★★★☆☆☆
美しいアルペジオのあと、下降気味美しいメロディが歌われる。鳥が静かに飛ぶ様子が目に浮かぶ。

09. D.911「最後の希望」
★★★★★★☆☆☆☆
ポツポツとしたつぶやきのようなピアノと歌の掛け合いが面白い曲。一瞬息の長い美しい旋律が流れる。

10. D.911 「村で」
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも止まり止まりしながらゆっくり進む曲。暗い。中間部のメロディアスな部分は面白い。

11. D.911 「嵐の朝」
★★★★★★☆☆☆☆
激しく勇ましい短い曲。

12. D.911 「幻惑」
★★★★★★☆☆☆☆
伸びやかで明るく前向きな曲。

13. D.911「道標」
★★★★★★★☆☆☆
暗く重い曲。悲しげな雰囲気に満ちている。

14. D.911 「旅籠」
★★★★★★★★☆☆
安らぎに満ちた美しいピアノ伴奏で始まり、包み込むような美しいメロディが歌われる。

15. D.911 「勇気」
★★★★★★☆☆☆☆
劇的な激しい曲調の歌。少し前向きな感じがある。

16. D.911 「並んだ太陽たち」
★★★★★★★☆☆☆
再び安らぎに満ちた前奏で始まる。途中、悲しげな思い悩むかのような曲調に変わる。最後ははじめの安らぎに満ちた曲調に戻り静かに終わる。

17. D.911「ライアー弾き」
★★★★★★★☆☆☆
幻想的な静かな曲。

~ 冬の旅 後半 ~


18. D.930 「結婚式の焼肉」
★★★★★☆☆☆☆☆
10分を超える大作。
オペラの一場面のような、披露宴の食事のために森へ密猟に行く男性二人と女性ひとりの結構軽い感じの三重唱曲。
楽しそうではあるが、わざわざ時間をかけて聴く曲ではない。
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シューベルト 歌曲集33 冬の旅 前半 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



~冬の旅 前半~
01. D.911「おやすみ」
★★★★★★★☆☆☆
1曲目から暗く悲劇的な雰囲気。物悲しいメロディが心に残る。最後は明るく終わる。

02. D.911 「風見」
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも悲劇的な始まり。かなり激情的な苦悩に満ちた曲。

03. D.911 「凍った涙」
★★★★★★☆☆☆☆
静かな少し不安げな前奏で始まる。不安げな様子を漂わせたまま歌が始まる。

04. D.911 「氷結」
★★★★★★☆☆☆☆
ゴロゴロしたピアノの上を、緊迫感のある歌が流れる。

05. D.911「リンデの樹」
★★★★★★★☆☆☆
全曲を明るくした感じで柔らかに優しく始まる。ゆったりと穏やかなこの曲集にあっては珍しく開放感に満ちた始まり。途中からスピードが落ち、少し哀愁漂う感じになる。その後少し激情的な雰囲気になる。最後は穏やかに美しく終わる。

06. D.911 「溢れる涙」
★★★★★★☆☆☆☆
憂いに満ちた内向的な始まり。そのまま静かにゆったりと曲は進んでいく。

07. D.911 「流れの上で」
★★★★★★★☆☆☆
「ズッチャ、ズッチャ」というゆったりとした印象的なリズムに乗って、穏やかなメロディが歌われる。

08. D.911 「回想」
★★★★★★☆☆☆☆
リストをおもわせる劇的なピアノ伴奏で始まり、激情的な歌が流れる。

09. D.911「鬼火」
★★★★★★☆☆☆☆
少しテンポを落とした悲劇的な始まり。途中独白のような感じになる。

10. D.911 「休息」
★★★★★★☆☆☆☆
哀愁漂うメロディのゆったりとした少し悲しげな曲。

11. D.911 「春の夢」
★★★★★★☆☆☆☆
軽やかに明るく始まる。その後少し劇的になり、次に穏やかに静かな曲調となる。

12. D.911 「孤独」
★★★★★★☆☆☆☆
重く暗い曲。途中若干感情の爆発する場面がある。

~冬の旅 前半~

13. D.909「狩人の愛の歌」
★★★★★★★★☆☆
神秘的で優しい曲。暖かで美しいメロディが心に残る。

14. D.910 「船乗りの別れの歌」
★★★★★★☆☆☆☆
緊迫感に満ちた激しいピアノ伴奏で始まり、歌も緊張感がみなぎっている。少し長いので後半飽きる。

15. D.907 「リチャード獅子心王のロマンス 」
★★★★★☆☆☆☆☆
行進曲風のピアノ伴奏に乗って、語り口調でロマンスが歌われる。もう一歩。

16. D.917 「緑の歌」
★★★★★★☆☆☆☆
伸びやかな自然を感じさせる綺麗な曲。

17. D.920「セレナーデ」
★★★★★★☆☆☆☆
ポツポツとしたピアノ伴奏の上を、ソロが流麗な歌を歌い、合唱が同じメロディを追いかける。
綺麗な曲。
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吾輩も猫である [文学 日本 Modern]


吾輩も猫である (新潮文庫)

吾輩も猫である (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/11/28
  • メディア: 文庫



私はあまりこうした類のアンソロジーが好きではない。
しかし、新潮文庫夏の100冊に入っており、長男が読みたいと言い出したので買ってあげた。彼も少し読んだようだが、やはりまだ少し難しかったらしい。

赤川次郎
新井素子
石田衣良
萩原浩
恩田陸
原田マハ
村山由佳
山内マリコ

こういった作家が書いているようだ。作者紹介を見ると、皆結構直木賞を受賞しているっぽい。

当然漱石のオマージュ作品なので、猫の視点から書かれているのだが、漱石をベースにしているからなのか猫を飼っている人間が作家やそれに近い職業の人が多かった気がする。

そして結構猫から見た人間を描写するのに似たような感じであるのが面白かった。

自由だと思っているが全く自由ではない。
神なる不思議なものを信じている。
発情期がなく年中さかりを迎えている。
こちらが世話をしてあげている。

こういったところだろうか。

私はあまりミステリーが好きではなく、赤川次郎の作品もあまり好きではないのだが、彼の作品が一番おもしろかった。石田衣良の「ココアとスミレ」は何となくミュージカル「キャッツ」をおもわせる内容でそれなりに面白かった。

やっぱりこういった類の短編アンソロジーは自分には向かないと思った。
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いつも彼らはどこかに 短編⑫ [文学 日本 小川洋子 短編]


いつも彼らはどこかに (新潮文庫)

いつも彼らはどこかに (新潮文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/12/23
  • メディア: 文庫



再読

1. 帯同馬
2. ビーバーの小枝
3. ハモニカ兎
4. 目隠しされた小鷺
5. 愛犬ベネディクト
6. チーター準備中
7. 断食蝸牛
8. 竜の子幼稚園

1.ある時から、モノレール以外の交通機関を利用して動き回ることが出来なくなってしまった、スーパーマーケットで食品を試食してもらいながら購入してもらうデモンストレーションガールの女性の話。彼女はモノレールで移動できる距離のスーパーを廻り、仕事をしている。
 静かにひっそりと暮らす彼女はある日、フランスで行われるレースに出場するためにディープインパクトと名付けられた競走馬が空港を飛び立ったという新聞記事を目にする。そしてそこには、ディープインパクトのストレスを緩和するために、ピカレスクコートが帯同馬としてついていっていることを知る。
 彼女が営業で回るスーパーに、頻繁に姿を見せ、試食だけをし、決して購入しない小母さんがいる。ふとした事件をきっかけに、この小母さんと仲良くなる。この小母さんは、フランスに留学経験があり、宝石店を営み、そこで知り合った金持ちの愛人だったらしい。
 この小母さんと主人公を軸に話は進み、そこにピカレスクコートのエピソードが挟まれていく。結局、小母さんの言っていることはどこまで本当か分からないという、小川洋子さんの得意のストーリー。そして主人公も小母さんも同じ日常を繰り返していることを示して終わる。

2.作家と翻訳家の心温まる交流を描いた作品。自分の作品を翻訳してくれる翻訳家と会いたいと思いながらも様々な事情ですれ違い、結局その翻訳家は死んでしまう。死後、その作家は、翻訳家の息子と恋人の元を訪ねる。
 作家は、昔、翻訳家からビーバーの頭の骨をもらう。作家はずっとそれを大事にしている。翻訳家の家を訪れ、近くの森を散歩したり、家の前の池を泳いだりして過ごす。翻訳家の書斎に入ると、ビーバーの齧った小枝が置いてある。
 結局作家は、この小枝を形見としてもらい、頭の骨と共に大事に取っておく。バッハのごルドベルク変奏曲が絶妙な味を出している静かな作品。

3.小さな町で、朝食専門の食堂を営む男の話。この一家は代々、何か大きなイヴェントがあると、中央の広場にあるカウントダウンの数字を変える役割を与えられる。そのカウントダウンの数字は、ハモニカ兎というかつてはこの町に生息していたが、おなかの中にある解毒作用があると言われた胃石を手に入れるために、乱獲されたせいで、絶滅してしまう。
オリンピックにまつわるあれやこれやと、このハモニカ兎の悲しい感じが絶妙に織り込まれたユーモアのある作品。

4.ある小さな美術館の受付で働く女性が主人公。彼女が働く美術館の前に、「アルルの女」を流しながら、走る修理屋がよくやってくる。運転しているのはお爺さん。彼は、たまに、美術館にやってくる。ある日、やってきたお爺さんの靴のソールが取れてしまっている。それをセメダインで直してあげたことをきっかけに、主人公とお爺さんは仲良くなる。その後、再び事件が起こる。今度は、大きい音を立てて階段から転げてしまう。近寄って話を聞くと、彼はいつも一枚の絵しかみておらず、その絵に辿り着くまできつく目を閉じ、毎回同じ歩数で同じ動きをしながら辿り着いているらしい。
 それをきいた主人公は、家で黒い布で目隠しを作ってあげる。それをプレゼントしさらに親しくなる。ある日、美術館の外で二人で座っていると、そこに缶に頭をつっこんでしまった鷺がやってくる。お爺さんは普段見せない機敏な動きで修理屋の車から色々なものを用意し、慎重に鷺から缶を外してあげる。
 本当に何でもない話なのだが、ビゼーの「アルルの女」が今にも聞こえてきそうな感じで良い味を出していた。

5.学校に行けなくなってしまった妹が盲腸で入院することになった。彼女には自分で作ったドールハウスがあり、そこでおもちゃの犬、ベネディクトを飼っている。妹が創り上げるドールハウスの世界。それがドールハウスなのだが、彼女にとってはそれこそが彼女の生きる世界になっていく。テネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』を彷彿とさせる、美しくも悲しい物語。この作品集の白眉ともいえる。『狭き門』『ブリキの太鼓』からの引用も使われている。
 一点だけ。この作品のp140から何度か「カップボード」という言葉が出てくるのだが、これはcupboardをカタカナ化したものなのだが、発音としては敢えてカタカナするとしたら「カボード」なので、何となく気になってしまった。
 
6.動物園の販売所で働く女性が主人公。出だしが「hを手ばなしてから十七年が経った」で始まる。このhが何なのか最後までわからない。

7.風車小屋の描写から始まるが、はじめはさっぱり状況がつかめない。その風車小屋の男が、蝸牛を飼っており、それをたまに見せてもらう女性主人公が登場するのだが、この人もイマイチ誰なのか分からない。
 読み進めると、彼女は、近くの断食のための病院の患者さんだとわかる。そしてこの風車小屋の男の所に通うのが主人公の女性だけでなく、断食病院のスタッフの女性もいることがわかる。微妙な三角関係が展開される。最後は主人公の女性が良かれと思ってそっとやったことが悲劇を招く。

8.何らかの理由で旅に出られない人の代わりに、ガラス瓶の中にその人に関わるものを入れて旅する女性の話。彼女は昔、6歳の弟を事故で失くしている。その弟の誕生日が3月3日。弟は生前、自分の誕生日ぴったりの賞味期限のものを集めていた。弟が死んでからも彼女はそれを集めている。
 彼女の人のために行っている旅と、彼女の人生が一つに混じり合いながら話は進む。最後は夢か現実か、そのまま天国へ吸い込まれていくかのように終わる。

一つ一つとても優しく美しい物語。

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シューベルト 歌曲集32 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.880「戸外にて」
★★★★★★★☆☆☆
結構高音の和音の連続による優しく柔らかな雰囲気の中暖かいメロディが歌われる。

02. D.878 「窓辺で」
★★★★★★★☆☆☆
穏やかなゆったりとした前奏で始まる。息の長い美しい旋律が歌われる。途中悲しげな曲調となり、その後激しく感情が爆発する。再び悲しげな曲調が戻り、最後は、穏やかに終わる。

03. D.879 「あこがれ」
★★★★★★☆☆☆☆
激しい前奏で始まり、緊迫感のある歌となる。

04. D.881 「漁師の歌」
★★★★★★★☆☆☆
元気いっぱいの曲。途中(サビ?)の囁くような感じの優しい部分が、ピアノのやり取りも綺麗でメロディも美しく良い。

05. D.882 「春に」
★★★★★★★★☆☆
高貴な佇まいの美しい前奏で入る。そのまま高貴な雰囲気の歌が続く。徐々に変化していくピアノの伴奏も綺麗。途中の少し悲しげなメロディも綺麗。よくできた曲だと思う。明るい曲調だが失恋の歌らしい。

06. D.883 「生きる勇気」
★★★★★☆☆☆☆☆
元気いっぱいの力強い曲。

07. D.884 「ヴィルデマンを超えて」
★★★★☆☆☆☆☆☆
こちらも力強い曲だが、不穏な雰囲気。

08. D.801 「バッカス讃歌」 シラー詩
★★★★☆☆☆☆☆☆
似たような曲調の曲が並ぶ。元気で少し荘厳な感じがある。

09. D.888 「酒の歌」 シェイクスピア詩
★★★★☆☆☆☆☆☆
元気いっぱいの曲・・・。

10. D.889 「セレナード」 シェイクスピア詩
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく爽やかな曲。

11. D.891 「シルヴィアに」 シェイクスピア詩
★★★★★☆☆☆☆☆
少し伸びやかな感じの曲。普通。

12. D.890 「ヒッポリートの歌」
★★★★★★☆☆☆☆
物悲しいメロディの美しい曲。「タララ~ラ~ラ~」という哀愁漂う同じリズムを繰り返すピアノ伴奏も美しい。

13. D.892 「夜の明かり」
★★★★★★★☆☆☆
オクターブの連続による広がりのある美しい前奏で始まる。息の長い美しく幻想的な歌が始まり、合唱がそっと入ってくる。ソロと合唱の掛け合いが美しい。

14. D.893 「墓と月」
★★★★★★☆☆☆☆
敬虔な雰囲気のアカペラ曲。

15. D.903 「美しき夜に」
★★★★★★★☆☆☆
間を活かしたゆっくりとした少し悲しげな綺麗な曲。ソロのあと、サビで合唱になる。

16. D.904 「アリンデ」
★★★★★★★★☆☆
優しく語りかけるような曲。ピアノ伴奏も歌と寄り添う感じで良い。

17. D.905 「リュートに」
★★★★★★☆☆☆☆
軽やかで愛らしい小品。ピアノ伴奏も楽しそう。

18. D.906 「子と一緒の父親」
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかな慈愛に満ちた優しい曲。

19. D.919 「春の歌」
★★★★★★★☆☆☆
揺れ動く美しいアルペジオに乗って、伸びやかな綺麗な旋律が歌われる。

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若人よ蘇れ・黒蜥蜴 [文学 日本 Classic]


若人よ蘇れ・黒蜥蜴 他一篇 (岩波文庫)

若人よ蘇れ・黒蜥蜴 他一篇 (岩波文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/11/17
  • メディア: 文庫



妻は、美輪明宏の大ファンである。一時彼女の出演する「黒蜥蜴」にはまっていたので、去年の誕生日にこの本をプレゼントした。

三島由紀夫は自分にとってお気に入りの作家、というわけではないのだが、何となく気になる作家ではあった。『仮面の告白』『金閣寺』などは読んだが、すごくはまったという感じにもならず、色々読んでみようとも思わなかった。半藤一利の『日本のいちばん長い日』を読み、戦中・戦前の小説に少し興味を惹かれ、三島由紀夫の河出文庫から出ている『英霊の聲』を購入した。せっかく家にあるし、この岩波から出ている戯曲集も読んでみようと思った。

1.若人よ蘇れ
2.黒蜥蜴
3.喜びの琴

1は、終戦真近を描いた作品。病気などにより、特攻隊に取られることなく、海軍航空隊の研究員として働く、エリートの若者を描いたもの。
基本的に部隊が、大学学生寮に限られており、会話を通じて、登場人物たちの内面を描き出していく手法が取られており、終戦間際のエリート学生たちの心の葛藤、戦争=通常、平和=異例という反転した感じを持ってしまう感覚をリアルに描き出しており、嫌戦ムードも流れており、とても面白い戯曲だった。

2は、江戸川乱歩原作の、女性泥棒と明智小五郎の淡い恋を描いた作品。ミステリー自体があまり好きではなく、狂気的なものも好きではないので、この作品がこの本の白眉なのだろうが今一歩だった。

3は、安保闘争の後の、言論統制法を通すかと通さないかという、世間がざわざわしているなかの、公安警察の中を描いた作品。左翼と右翼の対立、スパイ、思想を大切に生きること、人を信じること、などさまざまなテーマが組み込まれた読み応え(見応え?)のある作品。

2はそれなりに舞台化されているようだが、1,3はほぼ舞台化されないらしい。しかしきな臭く戦争が出来る国家に邁進し、自分の気に食わない相手は徹底的につぶそうとするこの世の中において、こうした戯曲が演じられることに、とても意味があるのではないかと思うのだが・・・。

とにかく面白い作品集だった。

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シューベルト 歌曲集31 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.860「我が心に」
★★★★★★☆☆☆☆
緊迫感のある和音の連続による伴奏に乗って、短調・長調を行ったり来たりする美しいメロディが歌われる。

02. D.861 「愛らしき星たち」
★★★★★★☆☆☆☆
少し柔らかい愛らしい曲。

03. D.862 「真夜中に」
★★★★★★★☆☆☆
静かな穏やかな始まり。まさに真夜中に一人星空を見ながら夢見心地な様子が伝わってくる。

04. D.874 「なんと激しく流れる泉よ」
★★★★★★★☆☆☆
小川のせせらぎを感じさせる明るく軽やかな短い曲。未完成?

05. D.876 「深い悩み」
★★★★★★☆☆☆☆
緊迫感のある始まりで、段々とゆったりと広がりのある感じになる。これが三度繰り返される。

06. D.875 「月の光」
★★★★★★☆☆☆☆
敬虔な雰囲気の美しい合唱曲。ピアノの控えめな伴奏も良い。

07. D.875A 「全能」
★★★★★★★☆☆☆
勝利感と宗教感に満ちた美しくも力強い合唱曲。

08. D.877 「ミニヨンとハープ弾き」『ヴィルヘルム・マイスター』より1 ゲーテ詩
★★★★★★★★☆☆
女性と男性のデュエット曲。物悲しいメロディとドラマティックな展開が素晴らしい。

09. D.877 「ミニヨンの歌」 『ヴィルヘルム・マイスター』より2 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
切々と歌い上げる悲しみに満ちた美しいメロディの曲。

10. D.877 「ミニヨンの歌」 『ヴィルヘルム・マイスター』より3 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
敬虔な雰囲気の穏やかで静かな曲。

11. D.877 「ミニヨンの歌」『ヴィルヘルム・マイスター』より4 ゲーテ詩
★★★★★★★★☆☆
「ただ憧れを知る者だけが」憂いに満ちた穏やな曲。中間部の和音の連続による少し緊張感のある部分が良いフックになっている。

12. D.829 「この世からの別れ」
★★★★★★☆☆☆☆
一幕劇「鷹」の幕切れの場面で語られる曲らしい。ピアノ伴奏はこの上なく美しい曲。歌はただ語っているだけ。これに歌が付いたらさぞ美しい曲だったのだろう。

13. D.865 「矛盾」
★★★★★★☆☆☆☆
ヘンデルの「ハレルヤ」のような始まり。美しく感動的な合唱曲。

14. D.867 「子守歌」
★★★★★★★☆☆☆
郷愁を呼び起こすような優しいピアノ伴奏で始まり、優しく包み込むような歌となる。舟歌のような揺れるリズムが良い。

15. D.869 「墓掘りの歌」
★★★★★☆☆☆☆☆
単調なリズムとメロディの歌。

16. D.871 「弔いの鐘」
★★★★★★★★☆☆
ピアノが同じ高音を常に出しながら、「タ~ンタ、タ~タ~」というクセになるリズムを常に奏でている。不思議な雰囲気の美しい曲。

17. D.870 「さすらい人が月に寄せて」
★★★★★☆☆☆☆☆
力強い語り口調の歌。

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シューベルト 歌曲集30 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.837「エレンの歌1」 op52-1 スコット詩
★★★★★★★★☆☆
行進曲のような、「タッタタタッタッタ~」という同じリズムの上を、堂々とした旋律が語られる。
その後アルペジオ伴奏に変わり、滑らかで悲しげな旋律に変わる。
再びはじめの行進曲風の伴奏に変わり、朗々とした歌となる。
段々とスピードが上がって行き緊張感を増して行く。
最後はゆったりとした清廉な雰囲気となり、静かに終わる。
戦いから帰ってきた戦士を優しく包み込む歌らしい。

02. D.838 「エレンの歌2」 op52-2 スコット詩
★★★★★★☆☆☆☆
柔らかな語りかけるような雰囲気で始まる。
こちらは狩人を優しく包み込むような曲。

03. D.835 「船人の歌」 op52-3 スコット詩
★★★★★★★☆☆☆
短い力強い男性合唱曲。

04. D.836 「女たちの挽歌」 op52-4 スコット詩
★★★★★★★☆☆☆
女性合唱曲。宗教的で感動的な曲。

05. D.846 「ノルマンの歌」 op52-5 スコット詩
★★★★★★☆☆☆☆
軽快だがどこか悲しげな曲。

06. D.839 「エレンの歌3 アヴェ・マリア」 op52-6 スコット詩
★★★★★★★★★☆
シューベルトの大傑作。誰もが知るアヴェ・マリア。静かでたゆたうようなピアノ伴奏を美しさこの上ない旋律が乗る。

07. D.843 「囚われた狩人の歌」 op52-7 スコット詩
★★★★★★☆☆☆☆
英雄的な格好良い曲。堂々としている。

08. D.851 「郷愁」
★★★★★☆☆☆☆☆
憂いのある旋律だが、バラード的で少し長く、若干退屈。

09. D.852 「全能なるお方」
★★★★★★☆☆☆☆
荘厳で力強い曲。和音の連続によるドラマティックな伴奏が曲を盛り上げる。

10. D.854 「満ち溢れる愛」
★★★★★☆☆☆☆☆
こちらも荘厳でドラマティックだが何となく長く退屈。

11. D.855 「再開」
★★★★★★☆☆☆☆
前曲が退屈だっただけに、優しく包み込むようなメロディが少し心に残る。

12. D.856 「去りし人の夕べの歌」 
★★★★★★★☆☆☆
優しく穏やかな前奏で始まる。
語りかけるように歌が始まる。
途中哀愁漂う悲しげなメロディが交じる。
淡々と切なげに曲は展開し、最後は少し明るくなり終わる。

13. D.857 「デルフィーネの歌」ラクリマスよりの2つの劇唱
★★★★★★☆☆☆☆
明るく軽快な曲。

14. D.857 「フローリオの歌」ラクリマスよりの2つの劇唱 
★★★★★★☆☆☆☆
淡々とした素朴な曲。途中少し悲しげになる。最後はしっとりとした美しいピアノの後奏で終わる。
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とにかく散歩いたしましょう エッセイ⑨ [文学 日本 小川洋子 エッセイ]


とにかく散歩いたしましょう

とにかく散歩いたしましょう

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版(インプレス)
  • 発売日: 2013/07/09
  • メディア: Kindle版



毎日新聞に連載されていたものを本にしたもの。

謙遜の心、小さなものに光を当てる視点、心配性なところ、などなど、今までのエッセイ同様心暖まるものが多いのだが、そんなに印象的なものはなかった。

p120「血中性ホルモンの増殖」で、フィギュアスケート選手の高橋大輔選手が、岡山出身で自分の競技というか演技というものに対してどのように感じていたのかが少しわかって興味深かった。
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ビブリア古書堂の事件手帖 2-Ⅲ ~扉子と虚ろな夢~ [文学 日本 Modern]


ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/03/25
  • メディア: 文庫



ビブリア古書堂の最新刊を読み終わった。
今回は、藤沢のデパートのイベントスペースで開催される古書市の3日間で起こった事件を扱っているので、結構コンパクトな感じになっている。栞子と大輔の娘扉子がかなり活躍する巻で、今後恋愛関係に発展していくのかなあ、と思わせる男性も登場する。

今回はいつも以上に、栞子の母親智恵子が暗躍している印象があった。取り上げられている本はミステリー作品ばかりであまり興味のないものだらけだったが、ストーリーは面白かった。
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シューベルト 歌曲集29 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.806「夜星」 
★★★★★★★☆☆☆
ひたすら穏やかで優しい、子守歌のような曲。

02. D.805 「勝利」 
★★★★★★☆☆☆☆
こちらもやわらかなで静かな曲だが、力強さがある。

03. D.807 「解消」
★★★★★★★☆☆☆
ピアノの軽快な伴奏に乗って、伸びやかな旋律が歌われる。飛翔感がある曲。

04. D.808 「ゴンドラ乗り」
★★★★★★☆☆☆☆
力強く始まり、最後は静かに崇高に終わる。

05. D.809 「ゴンドラを漕ぐ人」 
★★★★★★☆☆☆☆
ユーモレスクのような朴訥した感じの伴奏に乗って、美しいカンツォーネのようなメロディが重唱で歌われる。

06. D.768 「さすらい人の夜の歌」 ゲーテ詩  
★★★★★★★☆☆☆
静かなしっとりとした曲。初めはゆっくり、段々スピードが上がっていく。

07. D.815 「祈り」 
★★★★★★☆☆☆☆
「タッタタタタッタッ」という独特なピアノ伴奏の上を崇高なメロディが重唱で歌われる。
その後、伸びやかな女性ソロとなり、そのまま英雄的な雰囲気となる。
次に、英雄的な雰囲気のまま男性ソロが引きつぐ。
後半、はじめの崇高な重唱となる。

08. D.822 「兵士の歌」
★★★★★☆☆☆☆☆
力強い合唱曲。イマイチ。

09. D.799 「夕映えの中で」
★★★★★★★☆☆☆
静かで荘厳な曲。美しいメロディが心に残る。

10. D.800 「孤独な男」
★★★★★★☆☆☆☆
和音で淡々と弾かれるピアノが印象的な曲。

11. D.828 「若い尼僧」
★★★★★★★☆☆☆
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ(「悲愴」第一楽章?)のような激しいピアノで始まり、歌にそのまま突入。途中少し穏やかになる。ドラマティックな曲。

12. D.830 「アンネ・リルの歌」 
★★★★★★★☆☆☆
穏やかだが少しさみしげな曲。どこかしら懐かしさを感じさせる。

13. D.831 「ノルナの歌」
★★★★☆☆☆☆☆☆
暗く重く始まる。そのまま終わる・・・。

14. D.832 「歌い手の持ち物」
★★★★☆☆☆☆☆☆
力強く勇ましい曲。途中少し陰になる。

15. D.853 「ブルックにて」 
★★★★★☆☆☆☆☆
ピアノがせわしなく和音を奏でるユーモアがある曲。

16. D.834 「森の中で」
★★★★★★★☆☆☆
ロマンティックこの上ないピアノ前奏で始まり、ドラマティックに曲が展開していく。切なく美しいメロディが楽しめる曲。

17. D.833 「盲目の少年」
★★★★★★★☆☆☆
バッハ=グノーの「アヴェ・マリア」を彷彿とさせる美しいアルペジオのピアノ伴奏の上を滑らかな美しい旋律が乗る。穏やかだけれども内面の力強さを感じさせる佳曲。

18. D.842 「墓掘り人の憂い」 
★★★★★☆☆☆☆☆
激しい前奏で始まる。7分を超える長い曲。前半は激しい語り口調。後半は穏やかな独白のような感じになる。何にしろもう一歩か。
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白バラが紅く散るとき ヒトラーに抗した [その他 本]


白バラが紅く散るとき―ヒトラーに抗したゾフィー21歳 (講談社文庫)

白バラが紅く散るとき―ヒトラーに抗したゾフィー21歳 (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/09/11
  • メディア: 文庫



何故、どこで、どのように、ヒトラーに抗した「白バラ」グループを知ったのか覚えていない。
2006年の映画『白バラの祈り』 が公開されたとき知って、その後、本を色々と読んでいったのかもしれない。


白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]

白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: DVD




☆改訳版☆ 白バラは散らず: ドイツの良心 ショル兄妹

☆改訳版☆ 白バラは散らず: ドイツの良心 ショル兄妹

  • 出版社/メーカー: 未来社
  • 発売日: 2022/09/11
  • メディア: 単行本




人と思想 124 「白バラ」――反ナチ抵抗運動の学生たち

人と思想 124 「白バラ」――反ナチ抵抗運動の学生たち

  • 作者: 関 楠生
  • 出版社/メーカー: 清水書院
  • 発売日: 2016/01/01
  • メディア: 単行本



この本は、「白バラ」グループの一人、ゾフィー・ショルに焦点を当てた作品になっている。

彼女の生い立ち、どのような児童・生徒だったか、どのような本を読んでいたということや、ゾフィーが友達や恋人に書いた手紙などもあり、彼女の人となりがよくわかる作品となっている。

手紙を読むと、彼女がいかに純粋純真で、気高い思想の持ち主で、理性があり、情緒豊かで、人に優しく、平和・正義をこよなく愛していたかがわかる。

p.105に紹介されている、彼女が座右の銘にしていた言葉も素晴らしい。
ヤコブの手紙 1章22~23節
「御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。 」

彼女が捕まってから牢獄に入れられ、尋問を受け、裁判を受け、処刑されるまでの部分は、どんな本でも、映像でも感動的だ。

素晴らしい作品だった。何故こういう本が絶版なのか、全くわからない。

ちなみ、あとがきで印象的だった部分がある。訳者が原作者のフィンケとした話を紹介している。

pp210~211
「フィンケさんについて最も印象的だったのは、初めてお会いした日に、開口一番『ここは日本なのですから、本来ならばあなたとも日本語で話をしなくてはいけないのですが、私の日本語の知識はごくわずかで、残念ながら満足な話をすることができません。私がドイツ語を話すことを、どうかお許し下さい。』といわれたことでした。これまで、ドイツ人ばかりでなく、さまざまな外国人に会ってきましたが、日本でも日本人が外国語を話すのを当然と思っている人がほとんどで、私は、フィンケさんのような方とは初めてあったのでした。」

どんなところでも、当然英語はどこでも通じるのだと思って、英語を偉そうに話し続ける英語Nativeの人たちに聞かせてあげたい言葉だ。
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ことり 長編⑯ [文学 日本 小川洋子 長編]


ことり (朝日文庫)

ことり (朝日文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/01/07
  • メディア: ペーパーバック



再読

淡々と静かに穏やかな日常が描かれて終わる小説という印象だったが、後半が全く違い圧倒的だった。

幼稚園の鳥小屋の掃除を長年おこなっていることで、「小鳥の小父さん」と呼ばれるようになった主人公と、11歳を超えたあたりから、人間の言葉ではなく、自分独自の言葉、ポーポー語を話すようになったお兄さんの話。

ポーポー語は、本人と鳥と弟だけがわかる言葉。何とかもとのことばを取り戻させたいと考える母親はありとあらゆる手を尽くすが、うまくいかず、兄弟が若い頃に血液の病気で死んでしまう。その後大学教授だった父親も、ゼミ合宿で海に溺れて死んでしまう。

二人になってしまった兄弟は、小さい商店だったのがいつからか薬局になってしまったお店で買う、「ポーポー」というキャンディを水曜日に買い、お昼には二人で決まったサンドイッチを食べ、夜にはラジオを聞き寝る・・・という規則正しい生活をして幸せに暮らしていた。

小鳥の小父さんも、ゲストハウスの管理人を勤めながら、毎日同じリズムで静かに繰り返される生活を営んでいた。しかし、お兄さんが、幼稚園の鳥小屋の前で死んでしまったことをきっかけに、小鳥の小父さんから平和な日常がどんどん奪われていく。

お兄さんがなくなってから通うようになった図書館で出会った、若い女性司書に対する淡く静かな思いも、突然司書がやめてしまったことで奪われてしまう。
ずっと勤めていたゲストハウスも、いつの間にか、誰でも入園可能なバラ園になってしまい、静かな空間ではなくなってしまう。
その後、幼女誘拐事件が起き、その犯人として疑われたことにより、お兄さんがなくなって以来続けていた幼稚園の鳥小屋の仕事も奪われてしまう。ずっと味方でいてくれた幼稚園の園長もすでにやめてしまっており、ボケてしまっているような状態らしい。
さらに、誇りを持って続けていたゲストハウスの管理人の職も奪われてしまう。

初めはゆっくりとした展開で、読み進めるのにも結構苦労したが、後半、どんどん平和な日常が奪われて行き始めると、悲劇的な感じなのに、ページを進む手が止められない状態になってしまった。

最後の、メジロの鳴き合わせ会で最後に取った小鳥の小父さんの行動が静かながら、感動的だった。
小父さんと図書館司書の暖かな心のふれあい、あっけない別れが、とても美しく切ない感じで良かった。

静かに生きることの美しさ、それを奪われていくことの悲しさ痛みを描いた、この作品。とても良かった。
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シューベルト 歌曲集28 美しき水車小屋の娘 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.795 「美しき水車小屋の娘」 詩人より プロローグ
★★★☆☆☆☆☆☆☆
普通の語り。歌ではない。しかし何となく舞台みたいで素敵。

02. D.795 「美しき水車小屋の娘」 さすらい
★★★★★★★★☆☆
明るき前向きな曲。メロディも綺麗。

03. D.795 「美しき水車小屋の娘」 どこへ
★★★★★★★☆☆☆
少し陰りのあるメロディが綺麗な歌。

04. D.795 「美しき水車小屋の娘」 とまれ
★★★★★★☆☆☆☆
少し暗く始まる。段々と明るくなる。普通。

05. D.795 「美しき水車小屋の娘」 小川への感謝
★★★★★★☆☆☆☆
優しく穏やかな、確かに小川のせせらぎを感じさせる曲。

06. D.795 「美しき水車小屋の娘」 一日の終わりに
★★★★★★★☆☆☆
前半部の緊張感のある感じと、中間部のゆったりとした感じの対比が良い。最後は緊張感がある感じ戻り終わる。

07. D.795 「美しき水車小屋の娘」 知りたがり屋
★★★★★★★★☆☆
ポツポツと悩みを吐露するように始まり、段々と内省的になり、最後は穏やかになって終わる。憂いのあるメロディが非常に美しい曲。

08. D.795 「美しき水車小屋の娘」 水車小屋の生活
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
普通の語り

09. D.795 「美しき水車小屋の娘」 いらだち 
★★★★★★★☆☆☆
ピアノの前奏が、イライラした気持ちをよく表している。歌は幾分明るい感じで、前向きなイライラ感な雰囲気

10. D.795 「美しき水車小屋の娘」 朝の挨拶
★★★★★★★☆☆☆
ゆったりとした穏やかな曲。途中のピアノと歌のやり取りが綺麗。

11. D.795 「美しき水車小屋の娘」 粉引き職人の花たち
★★★★★★★☆☆☆
どこか懐かしい感じのする、優しく暖かい曲。

12. D.795 「美しき水車小屋の娘」 涙の雨
★★★★★★★☆☆☆
静かな、囁きかけるような優しい曲。最後の転調して短調になる部分が綺麗。

13. D.795 「美しき水車小屋の娘」 韻を踏まない歌
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
普通の語り

14. D.795 「美しき水車小屋の娘」 僕のものだ
★★★★★★☆☆☆☆
明るく元気な曲。

15. D.795 「美しき水車小屋の娘」 休息
★★★★★★★☆☆☆
子守歌のような優しくゆったりと揺れるような曲。綺麗なメロディが美しい。

16. D.795 「美しき水車小屋の娘」 緑色のリュートのリボンに
★★★★★★☆☆☆☆
若々しく優しさに溢れた曲。

17. D.795 「美しき水車小屋の娘」 狩人
★★★★★☆☆☆☆☆
少し性急な感じの曲。

18. D.795 「美しき水車小屋の娘」 嫉妬と誇り
★★★★★★☆☆☆☆
緊張感に満ちた始まりで、ピアノもそれを煽る感じの伴奏。途中から明るく勇壮な感じになる。最後は再び緊張感に満ちた感じに有り終わる。

19. D.795 「美しき水車小屋の娘」 最初の痛み、最初の冗談
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
語り。

20. D.795 「美しき水車小屋の娘」 好きな色
★★★★★★☆☆☆☆
沈痛なピアノ伴奏で始まり、悲しみに満ちた旋律が歌われる。

21. D.795 「美しき水車小屋の娘」 嫌いな色
★★★★★★☆☆☆☆
壮大な感じの曲だが、怒りの感情がここかしこに見られる。

22. D.795 「美しき水車小屋の娘」 忘れて、草の花
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
単なる語り。

23. D.795 「美しき水車小屋の娘」 萎れた花
★★★★★★★☆☆☆
暗く重々しく始まる。淡々としたピアノ伴奏の上を流れるメロディは優しく美しい。途中から明るさをおび、盛り上がる。最後は重く終わる。

24. D.795 「美しき水車小屋の娘」 水車職人と小川
★★★★★★★☆☆☆
悲しみに満ちた沈痛な曲。中盤流れるような優しいメロディが現れる。

25. D.795 「美しき水車小屋の娘」 小川の子守歌
★★★★★★★☆☆☆
安らぎに満ちた夜の音楽。心暖まる曲。

26. D.795 「美しき水車小屋の娘」 詩人より エピローグとして
★★☆☆☆☆☆☆☆☆
これもなんでもない語りだが、プロローグ同様、最後にあると何となく曲集が締まる感じで良い。
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「食事」を正せば、病気、不調知らずのからだになれる [その他 本]


「食事」を正せば、病気、不調知らずのからだになれる ふるさと村のからだを整える「食養術」

「食事」を正せば、病気、不調知らずのからだになれる ふるさと村のからだを整える「食養術」

  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2016/05/15
  • メディア: Kindle版



ふるさと村という施設を運営する人の本。

こういう本があるとつい読んでしまい、数日は頑張るのだが、どうしてももとの不健康な生活に戻ってしまう。

①空腹状態を作ることが大切
②玄米、味噌が良い
③肉は日本人の体に合わない。
④塩分は大事
⑤白砂糖は毒
⑥梅干食べれば疫病なんぞにはかからない

とにかくわかっているが実践できていないことばかり。
段々と腹八分目はやれることが出来始めているし、なるべく肉も食べないようにはなってきた。毎日のように味噌汁は飲んでいるし、子どもがいる(嫌がる&手間がかかる)ので玄米は食べられていないが、ほぼ米食。あとは何とか白砂糖を徐々に抜いていき、空腹状態をなるべく作り、梅干を毎日食べるようにしたい。
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ジャレットのミントコレクション [文学 日本 児童書 魔法の庭シリーズ]


魔法の庭ものがたり25 ジャレットのミント・コレクション (ポプラ物語館 87)

魔法の庭ものがたり25 ジャレットのミント・コレクション (ポプラ物語館 87)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2022/05/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



久しぶりに出た「魔法の庭ものがたり」の新刊、25巻。図書館で借りて読んだ。
今回のテーマは、ミントとキルト。
ミント=ペパーミントと私も思っていたのだが、この本によると世界には三千種類以上もあるらしい。

趣味の合うなんでも同じことが好きな友人を持つきつねの女の子が、友人が好きでやっているダンスを、自分が好きではなくやめたい。しかしやめてしまうと親友ではなくなってしまうのでは、と悩みジャレットの所に相談に来る物語。それを解決する過程で、「みんなちがってみんないい」という結論にたどり着く。

まあまあ面白かった。

25冊読み結構飽きてきた。次に新刊が出てももう良いかな、と思う。
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海の雪 [文学 日本 安房直子 あ行]


きつねの窓 (ポプラポケット文庫 51-1)

きつねの窓 (ポプラポケット文庫 51-1)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2015/01/02
  • メディア: 単行本



ある雪の日、海沿いの道に停まったバスからある少年が傘もささずに降りてくる。
小さい時に別れた母親に会いにはるばるやってきたのだ。「海岸通り四丁目」「みなと屋」旅館という住所と旅館の名前だけを頼りに探すが、歩けど歩けど見つからない。雪も体にどんどん積もりうもれてしまいそうになったとき、ふと傘が差し出される。母親に似たその子の差してくれた傘の模様は、もくれんの花のようにも、美しい鳥のようにも見える。傘を差しながら母親の住むという旅館を訪ねると、海岸通りは三丁目までしかなく、みなと屋などという旅館も聞いたことがないという。次第に彼は眠くなってくる。そんな中、少女が傘を閉じると、傘がふわりと少年の頭を覆い、いつのまにか二人は白いテントの中に座っていた。そしてふたりは笑って語り合っていた・・・。

その日の夕暮れ、ある少年が海沿いで助け出される。彼が歩いた道には、鳥の足跡も残されていた。

アンデルセンの「マッチ売りの少女」を若干イメージさせる、悲しさと切なさと温かさの入り混じった素敵な作品。
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家父長制と資本制 マルクス主義とフェミニズムの地平 Part2分析編 [学術書]


家父長制と資本制 マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

家父長制と資本制 マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2021/10/28
  • メディア: Kindle版



Part2でも印象に残った部分をまとめておきたい。

p.231
「「家」制度を封建遺制と見なす考えは、第一に近代百年(正確には明治三十年代からせいぜい半世紀あまり)の「伝統」を、不変の歴史的伝統と錯覚するあやまちに陥っていることから、第二に、武家的な「伝統」を日本社会全体の「伝統」ととりちがえることから、来ている。第三に、近代を「個人主義」の時代と額面どおりにとらえる近代主義者の思い込みがる。「家」を前近代、「個人」を近代の産物と信じて疑わない人々は、「家と近代的自我との葛藤」を好んで近代人の心理的な主題にする。日本の近代小説が「私小説」の名のもとにくり返し描いてきたのはこの主題だった。~(中略~) 島崎藤村といい、太宰治といい、私小説作家たちはいずれも例外なく彼じしん家父長の立場にいる男性であって、その家父長の支配下で呻吟する女や子どもではない。彼らが主題にした「家」制度との葛藤とは、「家と近代的自我との葛藤」などではなく、実のところ「家長責任を背負いきれない弱い自我の悩みや煩悶」であった。そしてこの「家長責任から逃避する未成熟な自我」は、そのことによって家長支配のもとに置かれた妻や子どもをたっぷり傷つけており、かえって自分の加害性に無知かつ無恥であるという「目からウロコが落ちるような」発見に導かれる」

これは本当に「目からウロコ」であり、的確な分析である。戸籍制度のしろ、天皇制にしろ、日本社会というのは「家」制度を残したい社会であり、男が常に優位に立っていたい家父長制社会なのだと、ここまで生きてきて思う。本当に最近になって若干崩れつつあると思うが、政治の世界を見ているとそれが強固なのがわかる。


p.249
「高度成長期は、男にとってはいわば「一億総サラリーマン化」の完成、女にとっては、「サラリーマンの妻」=「奥さん」に成り上がる夢の完成であった。しかし誰もが「サラリーマンの妻」になった時、この成り上がりはその実、女性の「家事専従者」への転落を意味していた。六十年代の高度成長期をつうじて、日本の社会は、滅私奉公する企業戦士とそれを銃後で支える家事・育児に専念する妻、というもっとも近代的な性別役割分担を完成し、これを大衆規模で確立した。フェミニストはこれを「家父長制」と呼ぶが、この「家父長制」はまったく近代的なものであり、封建遺制の家父長制とは質を異にしている。」


p.271
「日本の資本制は、だからと言ってアジアの安い労働力を利用することをギブアップしたわけではない。彼らは、移民労働力を日本に入れる代わりに、外国人労働力を彼らの居住地で利用するという選択をした。それが合弁企業や多国籍企業による現地生産方式である。それによって、企業は現地の安い労働力と原材料を利用した上で、産業廃棄物による公害というコストを支払わずに製品だけを手に入れるという芸当をやってのけることができる。日本の資本制が採ったオプションは、コストをミニマムにしてプロフィットを最大にするという、まことに「合理的」な選択だった。」

ファスト・ファッションなどで、自分もこの恩恵を受けてきただけに非常に心痛む話だったが、本当に日本という国はあくどい国だなあ、と思う。


p.304
「今や、この「核家族の働く母親」を救済する究極の解決策は、伝統的な三世代同居への回帰にこそあると考える人々がふえている。三世代同居をしさえすれば、育児期の女性は後顧のうれいなく働きつづけることができるし、それどころか一家に主婦がふたりいる葛藤を避けるには、働きに出たほうが良い。他方将来の老親介護の心配もない。「三世代同居」は「家族の危機」の特効薬と信じられている。いずれにしても、この「解決策」の中で、二つの再生産労働、育児労働と老親介護労働とは、祖母という名の女と母という名の女の間の世代間交換として、ただ家族の女性メンバーの間でだけ、やりとりされている。大家族回帰派が、その万能解決策の中で示しているのは、再生産労働を女の肩にだけ背負わせるという、断固たる決意である。」

これも女性蔑視の発言を繰り返す政治家たちが、伝統回帰を進めようとする理由なのだろう。本当に無責任極まりない人たちだと思う。

pp.312~313
「あらゆる育児科学は、したがって科学の装いを持ったイデオロギーである。「子供の発達」をテーマにしたどんな学問的な研究もこのイデオロギー性から自由ではない。まったく対立した育児法や育児観が、「子どものため」という観点からともに正当化される。そしてそれは論者の立場によってバイアスがかかっている。母による専従育児がいいと思う論者はデータからそういう結論を導き出すし、逆に共同保育がよいと考える論者は、それを立証するようなデータを集める。」

これは育児に限らず、教育のすべての分野において言える。教育に直接携わっている私の周りにも「エビデンスを出せ」とか言う人がたくさんいるのだが、その「エビデンス」はあくまで自分のそうだと思う結論に導くために持ってきた偏ったエビデンスであり、しかも教育というものは何が成功か、などというものは短期的な視点でわかるものではない。それをわかった上で教育・育児は行うべきだし、科学的なデータを収集し活かすべきだと思うのだ。


p.328
「「主婦労働」とは「主婦がする労働」のことだが、必ずしも「家事労働」を意味しない。逆に「家事労働」は必ずしも主婦がする必要はない。つまりここでは、「家事労働」を当面たまたま担当している「主婦」という名の女の、労働力としての質の差がものを言う。高卒でスーパーの店員をやっている女性と大学院の数学科出でコンピューターのソフト開発をやっている女性とは、家事労働者としては等価だが、「主婦労働者」として市場に出たときには、労働力の価格に差がついてくる。~(中略)~ つまり、夫のシングルインカムで暮らし、伝統的な性役割分担を守る中流の家庭と、男女平等なーありていに言ってしまえば男も女も平等に家事労働負担から免れたーダブルキャリア=ダブルインカムの上流家庭とに分解する。」

p.351
「資本制社会は生活のために生産があるのではなく、生産のために生活があるという転倒化した社会であることを、まず確認してかかる必要がある。」

楽しく充実した生活をするために、皆(男女)が支えあってお互いを尊重して生きられる社会が作られて欲しいと心から願う。
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また 身の下相談にお答えします [その他 本]


また 身の下相談にお答えします (朝日文庫)

また 身の下相談にお答えします (朝日文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2022/05/06
  • メディア: Kindle版



朝日新聞に連載されていた人生相談欄を集めた作品。そういえば昔、朝日新聞を読んでいたとき、読んでいたなあ、とこの2冊目を読みながら気がついた。前作よりも若干真面目な感じの相談が多かった気がする。最後の方は流し読みだった。
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シューベルト 歌曲集27 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.786「スミレ(Viola)」 
★★★★★★★☆☆☆
15分近い大作。しかし大作感はなく、静かに始まり、穏やかにテンポや曲調が変わっていく。基本的に綺麗なメロディなので聴きやすい。

02. D.788 「母なる大地」 
★★★★★★☆☆☆☆
暗く、荘厳な感じの曲。どこか広がりを感じる不思議な曲。最後はしっとりと終わる。

03. D.789 「巡礼の道」
★★★★★★★☆☆☆
水が滴るような非常に美しいメロディの曲。ピアノの美しい調べと相まって美しい雰囲気を醸し出している。

04. D.792 「勿忘草」
★★★★★★★☆☆☆
10分を超える大作。若干暗めに悩みがあるかのように始まる。その後、穏やかに美しいメロディが静かに流れる。中盤から緊張感がある感じになり、スピードが上がっていく。最後は静かに穏やかに終わる。

05. D.793 「秘密」 シラー詩
★★★★★★★☆☆☆
静かで若干陰影を含んだ優しいメロディの曲。タラララ~というピアノの伴奏が印象的。ムラ社会の周りの目を気にする恋人たちの想いを歌にした作品。

06. D. 794「巡礼者」 シラー詩 
★★★★★★★☆☆☆
名作「野ばら」のような、淡々とした美しいメロディだが、どこか高貴な雰囲気のある讃美歌的な作品。佳曲。

07. D.774 「水の上で歌う」 
★★★★★★★★☆☆
信じられない程美しいピアノの前奏で始まる。その上をこれまた美しい歌が流れる。名曲。

08. D.775 「美も愛もここにいたことを」 リュッケルト詩
★★★★★★★★☆☆
浮遊感のある始まり。段々と調和感のある感じになり、温かい雰囲気に包まれる。間奏はまた浮遊感がある。静かで美しい曲。

09. D.777 「笑いと涙」 リュッケルト詩
★★★★★★★☆☆☆
軽快で愛らしく美しいメロディの曲。

10. D.778 「老いの歌」 リュッケルト詩
★★★★★★☆☆☆☆
重々しい前奏で始まる。段々と穏やかに柔らかく暖かくなっていく。

11. D.776 「君は我が憩い」 リュッケルト詩 
★★★★★★★☆☆☆
淡々としたピアノ伴奏に、ゆったりとした流れるような旋律が歌われる。

12. D.778A 「巡礼」 
★★★★★☆☆☆☆☆
しっとりとした1分強の曲。

13. D.797 「ロザムンデのロマンス」
★★★★★★★☆☆☆
とても美しいピアノ伴奏で始まり、物悲しげな歌が流れる。段々と明るさを帯びてくる。
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身の下相談にお答えします [その他 本]


身の下相談にお答えします (朝日文庫)

身の下相談にお答えします (朝日文庫)

  • 作者: 上野千鶴子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2013/05/08
  • メディア: 文庫



上野千鶴子さんが、朝日新聞の人生相談欄で、読者からの相談に答えたものを集めた本。
基本は性に関する悩み。
いろいろな年代のいろいろな人がいろいろな悩みを持っているのだなあ、と思った。

いつも思うのだが、新聞のこういった類の相談って、例えば夫が妻に関して質問したとき、その質問を妻は新聞で読んだりしないのだろうか。結婚しているということは恐らく同じ家に住み、同じ新聞を読んでいるはずだし・・・。といつも思ってしまう。
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シューベルト 歌曲集26 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.758「死の音楽」 
★★★★★★★☆☆☆
穏やかに始まり、だんだん哀愁漂う感じになり、少し悲しげになる。最後は崇高な感じになり終わる。歌もピアノも綺麗な曲。

02. D.761 「宝堀りの願い」 
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く重い曲。最後は少し和やかに終わる。

03. D.762 「妹の挨拶」
★★★★★★☆☆☆☆
崇高で敬虔な静かな曲。美しく神秘的。

04. D.763 「誕生日讃歌 祝いの日」
★★★★★★☆☆☆☆
静かに淡々と始まる。同じメロディが四重唱で美しく流れるように歌われる。少し緊張感のある部分を挟み、静かに穏やかに終わる。

05. D.765 「去っていった人に」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
静かな悲しげな曲。

06. D.764 「ミューズの子」 ゲーテ詩 
★★★★★★☆☆☆☆
明るく楽しげな曲。跳ねる感じが良い。

07. D.766 「川のほとりで」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
そっと囁きかけるような優しい曲。心が穏やかになる。

08. D.767 「歓迎とお別れ」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
元気で跳ねるような曲。ピアノの三連が印象的。愛することの喜びを歌った歌?

09. D.767 「歓迎とお別れ 2nd version」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
若干静かな感じがするが、基本は前曲と同じ。

10. D.746 「湖のほとりで」
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかでゆったりとした曲。

11. D.738 「林の中で」 
★★★★★★☆☆☆☆
三拍子のワルツのような楽しい曲。

12. D.737 「竪琴に寄せて」 
★★★★★☆☆☆☆☆
ピアノソナタのような劇的なピアノ前奏で始まる。すぐに穏やかに滑らかな歌になる。しかし再び劇的で激しい音楽になり、その後暗く重々しい雰囲気となる。コロコロ表情を変えるが、そのどれもあまり魅力的ではない。

13. D.771 「こびと」
★★★★★★★☆☆☆
この曲もピアノ・ソナタのような緊張感あるピアノ伴奏で始まる。その雰囲気を持ったまま歌となる。静かさの中にドラマティックさがあり結構良い曲。

14. D.827 「夜と夢」 
★★★★★★★☆☆☆
まさに夜の音楽という感じ。ノクターンと子守歌を一緒にしたかのような美しくも気高い作品。

15. D.772 「悲しみ」
★★★★★★☆☆☆☆
題名通りの曲。

16. D.787 「ロマンス Ich Schleiche Bang Und Still Herum」
★★★★★★★☆☆☆
クラリネットとピアノ伴奏の曲。哀愁漂う秋を感じさせる曲。

17. D.770 「はるかな地への憧れ」
★★★★★★☆☆☆☆
三拍子の優美な曲。

18. D.785 「怒りの吟遊詩人」 
★★★★★☆☆☆☆☆
題名通りの曲。もう一歩。

19. D.690 「夕焼け」 
★★★★★★☆☆☆☆
優しく穏やかな曲。
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家父長制と資本制 マルクス主義とフェミニズムの地平 Part1理論編 [学術書]


家父長制と資本制 マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

家父長制と資本制 マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2021/10/28
  • メディア: Kindle版



あとがきによると『思想の科学』編集部に「マルクス主義とフェミニズム」について書いて欲しいと頼まれ、14回にわたって連載したものをまとめたものらしい。かなりの大著であり、とても難しい本で、その主張を私にはとてもまとめられない。さらに言えば、マルクスの『資本論』はじめ、様々な著書を読んだのは読んだが、世間一般に言われているマルクス主義とはなんなのかイマイチよくわからない。しかし、感情的なフェミニズムではなく、非常に論理的で納得させられる部分が多かった。

とりあえずPart1理論編を読み終わったので、印象に残った部分だけをまとめておきたい。

p.10
「フェミニストが「市場」の外側に発見した「家族」という環境も、「自然」と驚くべき類似性を持っている。「自然」と「市場」との関係および、「家族」と「市場」との関係のあいだには、論理的なパラレリズムがある。「家族」は第一に、性という「人間の自然」にもとづいている。「家族」という領域から「市場」はヒトという資源を労働力としてインプットし、逆に労働力として使い物にならなくなった老人、病人、障害者を「産業廃棄物」としてアウトプットする。ヒトが、「市場」にとって労働力資源としたみなされないところでは、「市場」にとって意味のあるヒトとは、健康で一人前の成人男子のことだけとなる。 ~(中略)~ 女は、これら「ヒトでないヒト」たちを世話する補佐役、二流市民として、彼らと共に「市場」の外、「家族」という領域に置き去りにされる。」

「市場」の外に、「自然」と「家族」という考え方はとても新鮮だったし、その外側からインプットし、外側へアウトプットするという考え方も、何故資本主義が、資本主義を突き進む(否定する人もいるとは思うが)現代日本社会が、環境問題や人権(女性)問題に対して意識を向けないのか、よく分かった気がする。


p.19
「解放の思想は、解放の理論を必要とする。理論を書いた思想は、教条に陥る。女性解放のために理論はいらない、と言う人々は、半主知主義の闇の中に閉ざされる。」

これは平和教育などにも通じると思う。感情に訴えた進めようとする運動は結局感情的対立で終わってしまう。この本がいまだに新鮮さを保っているということは、女性運動というものもいまだに半主知主義の闇の中に閉ざされている部分が多いのだろうと思う。

pp.32~33
「フェミニストの貢献は、性支配の現実を明らかにし、それに「家父長制」という概念を導入したことだが、マルクス主義フェミニストは、この家父長制の分析に、マルクス主義がーまだ!ー役に立つと考える。マルクス主義フェミニズムがマルクス主義的である理由は、家父長制がたんに心理的な支配や抑圧ではなく、それに物質的根拠があると考える「唯物論的分析」による。したがって性支配が、たんにイデオロギーや心理でなくーそれゆえ女が被害妄想を捨てたり男が気持ちを入れ替えれば解決するような心理的な問題ではなくーはっきりとした物質的=社会・経済的な支配であり、したがってこの抑圧を排気するには、この物質基盤を変革する以外に開放がないことを明らかにする。」

簡単に言えば、「家父長制」=「おじさん文化」である。この本だったが、ほかの上野千鶴子の作品だったか忘れてしまったが、彼女はそう書いていた。この部分本当に共感する。私も中学生の頃から、この「おじさん文化」「マッチョイズム」が大嫌いだった。少しずつ、本当に少しずつ、世界は変化しつつあると最近思うだが、やはり日本はかなり遅れていると言わざるをえない。それもこれも皆が心理的な問題にしてしまい、根本的な変革を求めないからなのだと思う。


p.49
「「愛」と「母性」が、それに象徴的な価値を与え祭り上げることを通じて、女性の労働を搾取してきたイデオロギー装置であることは、フェミニストによる「母性イデオロギー」批判の中で次々に明らかにされてきた。「愛」とは夫の目的を自分の目的として女性が自分のエネルギーを動員するための、「母性」とは子供の成長を自分の幸福と見なして献身と自己犠牲を女性に慫慂(しょうよう)することを通じて女性が自分自身に対してはより控えめな要求しかしないようにするための、イデオロギー装置であった。女性が「愛」に高い価値を置く限り、女性の労働は「家族の理解」や「夫のねぎらい」によって容易に報われる。女性は「愛」を供給する専門家なのであり、この関係は一方的なものである。女の領分とされる「配慮」や「世話」が「愛という名の労働」にほかならないことを、アメリカの社会学者フィンチとグローヴズは的確に指摘している。」

これはリベラルな思想を持つ人でも、そして女の人にも内面化されてしまっていてあまりにも当たり前な事実のような感じのものになってしまっているが、こうして書かれるとこれはイデオロギー装置以外の何者でもないと思う。


p.71
「ハートマンによれば、家父長制の定義は以下のようなものである。
  われわれは家父長制を、物質的基盤を持ちかつ男性間の階層制度的関係と男性に女性支配を可能に
  するような男性間の結束が存在する一連の社会関係であると定義する。」

p.72
「 家父長制の物質的基盤とは、男性による女性の労働力の支配のことである。この支配は、女性が
  経済的に必要な生産資源に近づくのを排除することによって、また女性の性的機能を統御すること
  によって、維持される。
 したがって家父長制の排気は、ここの男性が態度を改めたり、意識を変えたりすることによって到達されるようなものではない。それは現実の物質的基盤ー制度と権力構造ーを変更することによってしか達成されない。」


pp.82~83
「それは、家事労働という不払い労働の家長男性による領有と、したがって女性の労働からの自己疎外という事実である。家父長制は、この労働の性別原理によって利益を得ているから、既婚女性は、階級のちがいを超えて「女性階級」を形成し利害を共にする」


p.107
「再生産が生産に抵触するという考えの中には、人々がギリギリの生存ラインで総力を挙げて生産活動にいそしんでいる、という前提がある。「生産力水準の低い社会では」というこの前提は、事実上、石器時代の生産力水準にとどまっている「未開社会」が労働時間のわずかな「豊かな社会」であるという観察によってくつがえされた。技術も生産力も石器時代の水準にある狩猟採取社会の住人たちは、饑餓線上をさまよっているどころか、多くの剰余食物を環境の中に保存して資源を取り尽くさないように配慮しており、一日四時間ーこの労働時間は、何と偶然にも、マルクスが描いた来るべき共産主義社会の一人あたり平均労働時間に一致している!ー生存のための労働に費やすほかは、歌ったり踊ったりだべったりの「社交」や「芸術活動」で日がな一日をすごすことが報告されている。この「豊かな社会」の住人は、産業社会の住人のように資源利用や生産力水準を「極大化」しないように配慮する点で「豊か」なのだ。」

40代中盤になってから読み、こんなことをいうのも恥ずかしい限りだが、非常に学ぶべきことが多い名著だと思う。後半の「分析編」も楽しみだ。
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