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セクシィ・ギャルの大研究 女の読み方・読まれ方・読ませ方 [学術書]


セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫)

セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/05/15
  • メディア: 文庫



上野千鶴子さんが世に出した一作目。
雑誌や広告などの写真やイラストが持つメッセージを、性的な側面から論じたもの。
●男=大、女=小
●人間だけが持つ唇(女性器のコピー)の意味
●口紅が何故、あの形(スティック型)でなければならないのかの意味
●写真の女性が、何故体をくねらせたり、寝そべったり、首をかしげたりしてるものが多いのかの理由
●女性が腕を組む理由、男性が腕を組む理由
●話をしている最中に、モノをいじったり、体の部分を触ってしまう理由
●男性の草食化の理由
結構いろいろなことが論じられており、それらの一つ一つに納得させられてしまった。
いろいろな媒体で写し出される女性の格好に非常に違和感を持っていただのが、その違和感の理由が、この本を読んで何となくわかった気がする。

特に最後の部分は印象的だった。

p.234
「たしかに、父性型支配と母性型支配は違う。父は力で支配するが、母は愛で支配する。「愛による支配」は、人類が何千年ものあいだ思い描いてきた至福のユートピアには違いない。そこには、争いがないかもしれない。争いのない社会とは、争いを抑圧する社会でもある。
 これに対して、「力による支配」は、葛藤をいつでも潜在化させている。息子は父におさえこまれ、服従しながらも、憎しみのこもったまなざしを父に向ける。だから父性型社会では、「面従腹背」がありうるし、許される。~中略~
 ところが、母の権力は、「面従腹背」を許さない。愛による支配は、息子や娘たちの内面にはいりこみ、すみずみまで支配しつくそうとする。」

pp.237~238
「気の弱い男の子と、しっかり者の女の子というカップルができあがれば、行く末は見えている。亭主にはやばやと愛想を尽かした女たちは、息子に入れあげるだろう。息子への過保護と過干渉が、自分自身の夫の雛形を作り上げているとも知らずに・・・・・・。」

1982年に書かれた作品だが、現在の状況を見事に言い当てている。後ろに付された「自著改題」でも書かれているが、この本は現在でも読まれるべき作品であり、学ぶところの多い作品だと思う。

この間読んだ『不倫と正義』で中野&三浦さんは、上野千鶴子に一定の評価をしながらも若干批判めいたことを書いていたが、彼女たちもかなり上野千鶴子に影響されているんだろうなあ、ということがこの本を読んでわかった。

本格的な論文ではないこともあり、非常に読みやすく短時間で読みきることができた。
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シューベルト 歌曲集24 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.706「詩篇23」 
★★★★★★★★☆☆
「主は我が羊飼い」という非常に有名な詩篇を歌にしたもの。敬虔な素晴らしく繊細で美しい曲。

02. D.708 「森の夜」 
★★★★★★☆☆☆☆
ゴロゴロしたスピード感のある前奏で始まる。緊張感があり格好良い曲。7分を超える曲で、ひたすらピアノがゴロゴロ引き続けているので伴奏者が疲れそうな曲。

03. D.636 「憧れ」 シラー詩
★★★★★★☆☆☆☆
綺麗なピアノ伴奏で始まり、伸びやかで開放感のある歌となる。春を感じさせる曲。後半盛り上がりを見せる。

04. D.712 「囚われた歌人」
★★★★★★☆☆☆☆
繊細な前奏で始まる。ゆったりとしたメロディが歌われる。

05. D. 「夜」
★★★★★★★★☆☆
名曲「アヴェ・マリア」に似た伴奏に乗って、美しいメロディが歌われる。名曲。

06. D.713 「不幸な人」 
★★★★★☆☆☆☆☆
題名通り沈鬱な感じではじまる。途中激しくなる。最後は沈鬱な感じの戻り終わる。

07. D.715 「耽溺」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
元気で少し性急な感じの曲。少女に恋した少年の曲?

08. D.716 「人間の限界」 ゲーテ詩
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く重い曲。

09. D.719 「秘密」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
淡々とした静かな曲。

10. D.720 「ズライカ1」 ゲーテの恋人マリアンヌ詩
★★★★★★★☆☆☆
緊張感と切迫感のあるピアノと歌で曲は進む。最後は物悲しい感じになり、静かに終わる。

11. D.717 「ズライカ2」 ゲーテの恋人マリアンヌ詩
★★★★★★☆☆☆☆
720より元気で明るい感じ。楽しげだが、どこかしら物悲しさがある。

12. D.710 「現在の中の過去」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかな優しい曲。中盤から重唱になり、美しいハーモニーが奏でられる。中間部は少し緊張感がある。

13. D.721 「マホメットの歌」
★★★★★★☆☆☆☆
「魔王」と「糸を紡ぐグレートフェン」を合わせて2.5で割ったようなドラマティックな曲。

14. D.726 「ミニョン1 話せと命じないでください」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
祈りのような穏やかで敬虔な雰囲気の曲。

15. D.727 「ミニョン2 このままの姿でいさせてください」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
物悲しいメロディのしっとりとした曲。

16. D.724 「夜うぐいす」
★★★★★★☆☆☆☆
やさしく楽しげな重唱曲。
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もりのともだち、ひみつのともだち [文学 日本 児童書]


もりのともだち、ひみつのともだち (本はともだち♪)

もりのともだち、ひみつのともだち (本はともだち♪)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2019/05/16
  • メディア: 単行本



図書館で長男が偶然見つけ、面白そうだからと借り、実際読んだら面白くて、「とと(私のこと)も絶対気にいると思うから読んでみて」と言われ読んだ。

小学校2年生のまゆちゃんが、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに行き、近くの森に住むきつねのコンタと仲良くなり、とりに郵便屋さんをしてもらい手紙の文通をするはなし。ちょっとした事件が起きたり、おじいちゃんの過去がわかったり、と心があったかくなる話。

確かに良かった。
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風野又三郎 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


ポラーノの広場 (新潮文庫)

ポラーノの広場 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/01/30
  • メディア: 文庫



有名な「風の又三郎」の初稿というのか、初期作品。これをもとに現在流布しているものができたらしい。「風の又三郎」では、転校生が本当に教室にやってきて、先生が皆に紹介し、皆が三郎を勝手に「風の又三郎」と読んでいるのに対し、この初稿「風野又三郎」では、教室に現れた又三郎を先生は見ることが出来ず、子供達とだけ会話したり遊んだりする。

この初稿の方が、緊張感もありストーリー展開も自然で読みやすい。後半部の又三郎が北極から日本まで旅してくる描写は若干冗長。

流布している稿では誰にも挨拶せずに遠くへ行ってしまう三郎だが、この初稿では最後、一郎に挨拶をして終わるところが良かった。

「風の又三郎」は全く傑作だとは思わないが、こちらの作品は悪くなかった。

p.104
「お前たちはだめだねえ。なぜ人のことをうらやましがるんだい。僕だってつらいことはいくらもあるんだい。お前たちにもいいことはたくさんあるんだい。僕は自分のことは一向かんがえもしないで人のことばかりうらやんだり馬鹿にしているやつらを一番いやなんだぜ。僕たちの方ではね、自分を外(ほか)のものとくらべることが一番はずかしいことになっているんだ。僕たちはみんな一人一人なんだよ。」

宮沢賢治の思想がきゅっと詰まった一節だと思う。なかなかこのようには生きられないが、このように生きたいとは思う。
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科学の扉をノックする エッセイ⑧ [文学 日本 小川洋子 エッセイ]


科学の扉をノックする (集英社文庫)

科学の扉をノックする (集英社文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/03/18
  • メディア: 文庫



小川洋子さんが、自分の興味ある分野の科学者たちの話を聞きに行って、その内容を文章にまとめたもの。

宇宙、鉱物、DNA、光、粘菌、遺体科学、スポーツ・トレーナーなど、かなり専門的な話なのだが、素人の小川洋子さんに易しく噛み砕いて説明し、それをさらに小川洋子さんの言葉で書き直したものなので、かなりわかりやすくなっている。

さいごの「あとがき」の一節が非常に印象的だった。

pp.195~196
「取材を終え私が一番に思うのは、皆さんが奉仕の心を持っておられたことです。目に見えない何か、自分より偉大な何かに対し、戦いを挑むのではなく、謙虚な心で奉仕する。その心がいつも私を感動させました。」

p.199
「本書のスタート時には、科学の分野の興味深い研究内容を紹介しようという試みがあったのは事実ですが、取材を重ねてゆくうち、自分が本当に伝えたいのは、その研究に打ち込む人間の姿なのだと気づきました。題材がなんであれ、作家はやはり人間を書くのが仕事です。」

この本を読んで改めて、自分は物語のある文章が好きなんだなあ、と思った。

科学に興味をもつきっかけとして素晴らしい本だと思う。
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シューベルト 歌曲集23 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.688「4つのカンツォーネ この骨壷に近付いてはならぬ」 
★★★★★★★☆☆☆
しっとりとした美しい曲。途中情念的に盛り上がる。

02. D.688 「4つのカンツォーネ ご覧よ、あの白い月を」 
★★★★★★★☆☆☆
すこし軽妙な感じに始まる。途中哀愁漂う流れるような感じになる。

03. D.688 「4つのカンツォーネ その顔から私は学んだ」
★★★★★★☆☆☆☆
少しおしゃれな感じのある穏やかな曲。

04. D.688 「4つのカンツォーネ」
★★★★★★☆☆☆☆
悲しげなメロディのしっとりとした曲。

05. D.691 「小鳥」
★★★★★☆☆☆☆☆
短い軽い曲。

06. D.693 「流れ」 
★★★★★★★☆☆☆
美しい流麗な前奏のあと、息の長い綺麗なメロディが、ピアノの独特な雰囲気の伴奏に乗って歌われる。

07. D.692 「少年」
★★★★★★☆☆☆☆
軽快なモーツァルト的な曲。ピアノ伴奏が面白い曲。

08. D.694 「船人」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりと波の上をたゆたうようなピアノ伴奏に乗って、息の長い綺麗な旋律が歌われる。中間の軽快な部分も綺麗なメロディ。

09. D.695 「聖命祝日の歌」
★★★★★★☆☆☆☆
幸福感に満ちた曲。途中若干悲しげな感じになるが、基本は明るい。

10. D.698 「娘の恋の立ち聞き」
★★★★★★☆☆☆☆
優美な曲。『ロミオとジュリエット』的なバルコニーの場面描写?

11. D.699 「罪を清められたオレステス」
★★★★☆☆☆☆☆☆
力強い曲だがこういう曲は苦手・・・。

12. D.700 「自ら沈みゆくもの」
★★★★☆☆☆☆☆☆
暗く重い曲。こちらも・・・。

13. D.686 「春の想い」
★★★★★★☆☆☆☆
シューベルトの名曲とされているらしいが、確かに懐かしい感じで美しくはあるが、ほかの曲と比べて特別良いかというと微妙。

14. D.702 「丘の上の若者」
★★★★★★★☆☆☆
暗く始まり、明るくなったり憂鬱な感じになったり気分がコロコロ変わる曲。メロディが常に綺麗。

15. D.708 「森にて」
★★★★★★☆☆☆☆
常に揺れ動く激しいピアノ伴奏に乗って激しい歌が歌われる。

16. D.707 「怒りのディアナに」
★★★★★☆☆☆☆☆
語り口調の勇ましい曲。もう一歩。

17. D.705 「水上を飛ぶ霊たちの歌」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
日本・ロシアの民謡のような、大地から立ち上ってくるような曲。幻想的な合唱曲。
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海の口笛 [文学 日本 安房直子 あ行]


見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: 単行本



ある港街に、かけはぎ屋(洋服の虫食い穴やたばこのこげ穴を元通りに修繕する仕事屋)を営む人がいた。この男には娘が一人いたが、彼女は知的発達障害があり、ものをしゃべらなかった。

ある日、びしょ濡れの若い男が、真ん中にポツンと豆粒ほどの穴があいている絹のスカートを持ち込む。お礼には指輪をあげましょうと言って、口笛を吹きながら帰っていく。

いよいよ修繕しようとして穴を覗き込むと中には海が見える。さらにそれを見た娘は男が吹いていた口笛のメロディを奏でている。その後数日感、その海の美しさに見とれて仕事が進まない男。口笛を吹き続ける娘。

海を見るのは最後にしようと思って穴を見ていたところそこから魚が一匹飛び出てくる。その魚を食べるととっても美味しい。その味にはまってしまい来る日も来る日もその絹のスカートの穴から出る魚を食べ続ける。するとどんどん若返り、髪もつやつやに。

あまりの美味しさに魚をもっと沢山一気に捕ろうと考えた男は網を作って穴に入れるが、ついに穴が破れてしまい、そこから水が溢れ出す。さらに娘は補修を頼んだ男と一緒に海の底へと行ってしまう。

男は自分の欲望のためにボロボロになってしまったが、素直で一途な娘は幸せになる読後感がとても良い話。
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マザー・テレサ [映画]


マザー・テレサ スペシャルBOX [DVD]

マザー・テレサ スペシャルBOX [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2006/02/24
  • メディア: DVD



数年前、ブックオフで購入し、何度かはじめの部分を観るものの、最後まで観きれずにいた作品。

これはスペシャルボックスで、「ノーカット版」と「デラックス版」とあり、どっちがすごいのか?と思ってよく見ると、ノーカット版は劇場公開の際カットされてしまった1時間強の子供時代も含まれているのが、「ノーカット版」、主演のオリヴィア・ハッセーのインタビューなどが入っているのがデラックス版らしい。

当然ノーカット版を観て、デラックス版のインタビュー映像を見た。

マザー・テレサという人には前々から興味があるものの、『マザー・テレサ日々の言葉』という本しか彼女(について)の作品は読んだことがなく、今回彼女の一生を知ることができて良かった。

組織を作ろうとせず、とにかく今できることに力を尽くし、最も貧しい人たちのところへと回帰していく彼女の姿がとても感動的だった。


マザー・テレサ日々のことば(文庫)

マザー・テレサ日々のことば(文庫)

  • 出版社/メーカー: 女子パウロ会
  • 発売日: 2009/11/01
  • メディア: 文庫



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海の館のひらめ [文学 日本 安房直子 あ行]


遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2011/03/17
  • メディア: 単行本



見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: 単行本



島田しまおという、真面目で若い青年がレストランアカシヤという店で下働きとして働いている。もう5~6年働いているのに、下働きばかりやらされている。料理長や同僚から色々言われ、もうやめようと思っていたところ、流しの下の氷の上に寝ているひらめに「わたしが力になってあげますから、もすこし、ここで、しんぼうしなさい。」と言われる。

ひらめの骨を家に持ち帰り、塩水につけてあげるとひらめは色々とアドバイスをくれる。
まずは売りに出されていたレストランを借金をして買い、ひらめに様々な料理をならう。寝る間も惜しんで正直に頑張り、最後は教わった料理を習得する。最後はいい奥さんを見つけなさいと言われ、喫茶店でピアノを弾いていた「あい」という娘に、自家製の美味しいパイを持って行って仲良くなり、最終的には婚約する。

ここまで来るとひらめは「わたしの仕事も、これでおわりました」といい死んだ魚のようになってしまう。しまおとあいは、結婚式をあげ、ひらめの骨を海へと返してやる。

(安房直子 偕成社コレクション2巻)
p.225
「いつまでたっても下働きなのは、たぶん、〈料理学校の卒業証書〉を持っていなかったからでしょう。それから、ばか正直で、ゆうずうがきかなくて、人のきげんをとるのがとてもへただったからかもしれません。」

p.233
「わたしは、さっき、調理場の氷の上で、あなたの働きぶりを見ていましてね、すっかり気に入ったんです。正直で、まじめなところが、なによりです。そんな人間が、そんばかりしているのが、わたしには、がまんできませんでねえ・・・・・・。」

この二つの言葉にこの話のすべてが詰まっている。真面目に生きることの大切さ、まじめに生き、美しい心を持った相手と生活を築くことができるすばらしさを教えてくれるこの作品。素晴らしい。
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不倫と正義 [その他 本]


不倫と正義(新潮新書)

不倫と正義(新潮新書)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/04/18
  • メディア: Kindle版



電車広告で目にし、読んでみたいと図書館で予約し、数ヶ月経ってようやく届いて読めた本。
ここ数年、芸能人が不倫をして何故か謝罪会見を公に行い、芸能界から追放されるといった状況に違和感をずっと感じてきた。

確かに不倫というのは、好ましいことではないのだが、ある程度当事者同士の問題であり、周りが介入することではないと思うのだ。恋愛感情というものは、理性でコントロールしきれないものであり、アイドルの「恋愛禁止」といったものにも非常に違和感を感じる。

この本の二人は、不倫を擁護しているわけではなく、私と同じように何故私的な問題を公の問題とするのかというような話で議論を進めている(と思う)。

二人共女性で、女性の視点から不倫というものを論じていてとても興味深かった。

p.161 中野
「決め事をしていない夫婦のほうが長続きするという調査があるんですよね。これは、婚前契約書についての調査だっけな。あまり細かくいろいろ物事を決めると、それが相手を糾弾するきっかけになっちゃうんですよね。」

p.180 三浦
「私は、結婚生活においては利他的であることが秘訣だと思っているんですよね。先ほどの浮気を許容するかしないかみたいなことも、なぜ言葉に出さないほうがいいのかと言うと、それはやっぱり思いやりと尊重の問題だから。あるいは根本的な信頼があるかないかの問題。損得勘定をしだしたら夫婦関係は悪くなるばかり。」

他にも、夫婦別姓について論じており、夫婦別姓には賛成だが、そうなった場合、子供の苗字が夫側のものになることが圧倒的に多くなる可能性があり、そうするとせっかく崩壊しかけていた「家」制度みたいなものが、逆に復活してしまうのではという指摘には、なるほどなあ、と思った。

刺激的で面白い本だった。
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シューベルト 歌曲集22 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.659「讃歌1」 ノヴァーリス詩
★★★★★★☆☆☆☆
高貴なメロディの曲。後半、少し緊張感のある雰囲気になり、最後は力強く荘厳な雰囲気で終わる。

02. D.660 「讃歌2」 ノヴァーリス詩
★★★★★★☆☆☆☆
少し悲しげなメロディの曲。

03. D.661 「讃歌3」 ノヴァーリス詩
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも悲しげなメロディの曲。イエスの十字架を嘆く歌?

04. D.662 「讃歌4」 ノヴァーリス詩
★★★★★★☆☆☆☆
少し切迫感のある曲。イエスの復活を噂する曲?

05. D.663 「詩篇第13番」
★★★★★★☆☆☆☆
「タラララ~」と同じリズムの伴奏の上を、悲しみに満ちた哀愁漂う美しいメロディが歌われる。後半畳み掛けるような感じになり、少し明るく終わる。

06. D.666 「フォーグルの誕生日のためのカンタータ」 
★★★★★★☆☆☆☆
男女による混声曲。明るく華やかな雰囲気で始まる。フォーグルとはシューベルトを熱烈に支持した歌手らしい。10分近い、優美でドラマティックな曲。

07. D.669 「風の吹くときに」
★★★★★★★★☆☆
とても暗く悲しげに始まる。段々と光がさしてくるように明るく優美になっていく。途中軽やかに、崇高になり、その後はじめの悲しげなメロディが回帰され、最後は優しく終わる。名曲。

08. D.670 「星の夜」
★★★★★★★☆☆☆
きらめく空の星を表しているかのような、優しく穏やかで美しい曲。途中からの若干陰りのある動きのある部分も綺麗。

09. D.671 「慰め」
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかな淡々とした曲。

10. D.673 「恋する女の手紙」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
優美なアルペジオに乗った流れるような前半部、少し迷いを表しているかのような陰りのある緊迫感のある後半部の対比が面白い。

11. D.674 「プロメテウス」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
「魔王」のような劇的で激しい曲。プロメテウスの語りの後流れる、ピアノの「タンタタンタタ~ラ~ラ~」という低いうねるようなメロディが印象的。中間の静かな部分を経て、最後は華やかに終わる。

12. D.672 「夜曲」
★★★★★★☆☆☆☆
暗く重々しく始まる。途中から神秘的なアルペジオとなり流れるような旋律となる。

13. D.677 「ギリシアの神々」 シラー詩
★★★★★★☆☆☆☆
しっとりとした穏やかな曲。

14. D.682 「愛はどんな魔法より素晴らしい」
★★★★★★★☆☆☆
優しく愛らしくどこか懐かしさを感じさせる曲。

15. D.684 「星」
★★★★★★☆☆☆☆
夜静かに内省しているかのような、穏やかで心落ち着く曲。

16. D.685 「朝の歌」
★★★★★★☆☆☆☆
楽しげで軽やかな歌。

17. D.687 「夜の讃歌」 ノヴァーリス詩
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした広がりのある曲。
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レント [ミュージカル]


RENT/レント [Blu-ray]

RENT/レント [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray



Story: ★★★★★★★☆☆☆
Music:★★★★★★★☆☆☆

前からこの映画版「レント」を観てみたいと思っていたのだが、ブックオフで非常に安く売られていたので思わず購入して見てしまった。しかし、初期設定(?)が韓国語(ハングル文字)になっており、メニューに何が書かれているのかさっぱりわからない。日本語に直すやり方があるのだろうがイマイチわからない。

舞台版DVDではよくわからなかった、ストーリーがかなり繋がってわかりやすくなっており、歌われているナンバーにも感情移入して観ることができた。

この映画版DVDを観てから、舞台版DVDを観ると、かなり楽しめるのではないだろうか。

現代的な問題を詰め込んでおり、曲も良く、かなり良い作品だと思う。

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ビブリア古書堂の事件手帖 2-Ⅱ ~扉子と空白の時~ [文学 日本 Modern]





今回は、横溝正史をテーマにした作品。結構長いスパンでの事件を扱っておりミステリー小説としてひき込まれる。しかし、私は横溝正史という作家に全く興味がなく、これからもあまり興味を持たないであろうことから若干楽しめなかった。

娘の扉子が可愛らしく、友達ができるくだりもとても良かった。
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『どんぐりと山猫』 大人のためのおはなし会 [舞台]


宮沢賢治の山猫と学ぶ楽しい木版画教室―はがき・名刺・蔵書票を作ろう

宮沢賢治の山猫と学ぶ楽しい木版画教室―はがき・名刺・蔵書票を作ろう

  • 作者: 卓美, 伊藤
  • 出版社/メーカー: 日貿出版社
  • 発売日: 2022/08/22
  • メディア: 単行本



「銀河の会」という団体主催の、宮沢賢治の本の朗読会。
長男の好きな作品で、開催場所も近かったので行ってみた。演奏協力とあったので、バックグラウンドミュージック的に音楽が入るのかと思ったが、『どんぐりと山猫』は完全なる朗読だった。そんなに長い作品だとは思っていなかったのだが、実際聴くと35分くらいあった。伊藤卓美さんという木版画家の絵本をバックに映し出していたのでそれなりに飽きずに聞けた。お土産に彼の作った『どんぐりと山猫』の本を購入して帰ってきた。

第二部はEverlyというバンドのコンサート。いつもどおりな感じだった。


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シューベルト 歌曲集21 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.628「ソネット1」
★★★★★☆☆☆☆☆
レチタティーヴォのような始まり。曲が進むと少しメロディアスになる。最後はしっとりと終わる。

02. D.629 「ソネット2」
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く重々しく始まる。少しずつスピードが上がって行き明るくなっていく。

03. D.630 「ソネット3」
★★★★★★☆☆☆☆
三曲中では、一番メロディアスで長い。途中嵐のような激しい部分がある。

04. D.631 「ブランカ」
★★★★★★☆☆☆☆
悲しみを湛えた綺麗な曲。

05. D.632 「マリアの苦悩を思って」
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも悲しみを湛えた曲。ピアノ伴奏の淡々とした感じと、歌の深い感情を表した感じの対比が面白い。

06. D.637 「希望」 シラー詩
★★★★★★☆☆☆☆
どこか悲しげな雰囲気を持ちながら、前向きな感じのある曲。

07. D.639 「反射」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆっくりとした、歩き歩き止まりそうな感じのピアノ伴奏に乗せて、描写的な歌が流れる。途中少し緊張感のある場面がある。

08. D.645 「夕べ」
★★★★★★☆☆☆☆
オペラの、思い悩む青年の歌のような感じ。最後は明るく終わる。綺麗な曲。

09. D.634 「山々」
★★★★★★☆☆☆☆
こちらもオペラの中の一曲のようなドラマティックな語り口調の曲。

10. D.646 「茂み」
★★★★★★☆☆☆☆
題名には似つかわしくない、流麗な曲。

11. D.649 「さすらい人」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした曲。

12. D.633 「蝶々」
★★★★★★☆☆☆☆
劇的な感じで始まるが、どことなく愛らしい感じの曲。

13. D.121 「羊飼いの嘆きの歌」Second Version ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
暗く重い前奏で始まる。途中から少し明るく流れるような感じになったり、激しくなったりする。

14. D.650 「昨夜の情景」
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも暗い感じだが少しドラマティック。メロディは綺麗。

15. D.651 「天井の光」
★★★★★★☆☆☆☆
この曲も重いが、ゆったりとして少し崇高な感じがある。

16. D.652 「少女」
★★★★★★★★☆☆
恋人を語る少女の歌。とても繊細で優しいピアノ伴奏で始まり、歌も綺麗。隠れた名曲。

17. D.653 「ベルタの夜の歌」
★★★★★☆☆☆☆☆
こちらも重く暗い曲。オペラのアリアっぽい。

18. D.654 「友人たちへ」
★★★★★★★☆☆☆
ポツポツとした独特なピアノ伴奏の上を、優美な息の長い旋律が歌われる。途中からピアノ伴奏が高音になり、明るくなる。最後はドラマティックに終わる。

19. D.638 「小川の辺の若者」
★★★★★★☆☆☆☆
不穏な雰囲気で劇的に始まる。バラード的な作品。

20. D.656 「憧れ」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
アカペラの合唱曲。初めは感動的なメロディ。途中土着的なロシア民謡的な感じを挟み、再び感動的なメロディに戻る。

21. D.658 「マリア」 ノヴァーリス詩
★★★★★★☆☆☆☆
しっとりとした穏やかな曲。

結構暗い曲が多かった。この時期、シューベルトは結構悩んでいたのではないかと思われる。

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風の又三郎 [文学 日本 宮沢賢治 か行]


新編 風の又三郎 (新潮文庫)

新編 風の又三郎 (新潮文庫)

  • 作者: 賢治, 宮沢
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/03/01
  • メディア: 文庫



風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

風の又三郎-宮沢賢治童話集2-(新装版) (講談社青い鳥文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/31
  • メディア: 新書



2学期が始まる9月1日、谷川の岸にある小さな学校に、ある転校生がやってくる。
彼は、学校が始まる前から、教室の席に座っており、子どもたちは好奇の眼差しで彼を見る。彼のことを噂していると風が吹いてくるため、まだ本当の名前も知らない子どもたちは彼を「風の又三郎」と名付ける。
その後先生が入って来て高田三郎という名前を紹介すると、みんな、「やっぱり風の又三郎だ」とはやしたてる。
しかし、その転校生は、12日の月曜日の前に、親の急な仕事で再び転校してしまい、子どもたちは挨拶できずに終わり、「やっぱりあいつは風の又三郎だった」となって終わる。

9月1日から12日までの12日間の、三郎と子供たちの交流の様子を、川を中心に描いている。

傑作と呼ばれている作品で、今回で5~6回読んでいるのだが、やっぱり私は他の宮沢賢治作品と比べて、もう一歩な気がする。子供たちの会話は方言が多く読みづらいし、遊びもイメージしづらいし、という感じ。
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シューベルト 歌曲集20 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.594「戦い」
★★★★★☆☆☆☆☆
ゴツゴツした感じのピアノ伴奏で入り、歌に入ってもゴツゴツした感じ。

02. D.595 「霊の声」
★★★★★★★☆☆☆
静かな子守歌のような美しい曲。少し長いか・・・。

03. D.598 「小さい村」
★★★★★★☆☆☆☆
民謡のような優しく懐かしい匂いのする重唱曲。途中ピアノと歌の掛け合いになるところも面白い。ソロっぽい部分を挟み、最後コーラスになるところが綺麗。

04. D.609 「人生の喜び」
★★★★★★☆☆☆☆
こちらも重唱曲。題名通りたのしげ。

05. D.611 「リーゼンコッペの山頂にて」
★★★★★★☆☆☆☆
オペラのようなドラマティックな始まり。その後穏やかな落ち着いた雰囲気となる。

06. D.614 「秋の夜の月に寄す」
★★★★★☆☆☆☆☆
前半は、淡々とした感じ。ポツポツとしたピアノが印象的。中盤から若干流れるような感じになる。

07. D.607 「ヨハネ福音書第6章 第55-58節」
★★★★★★★☆☆☆
讃美歌のような美しい曲。穏やかさの中に力強さがある。

08. D.616 「母の埋葬」
★★★★★★★☆☆☆
静かな美しいメロディの曲。

09. D.619 「歌唱練習曲」
★★★★★★☆☆☆☆
「ア~ア~」というボカリーズのような曲。練習曲らしいが、とても美しい。

10. D.620 「孤独に」
★★★★★☆☆☆☆☆
沈鬱な曲。最後は少し盛り上がって次の曲にそのまま流れ込む。

11. D.620 「孤独に」
★★★★★☆☆☆☆☆
少し流れのある曲だが、暗いのは暗い。最後は少し穏やかになり終わる。

12. D.620 「孤独に」
★★★★★☆☆☆☆☆
暗く始まるが、ワルツのリズムになり明るく軽快になる。最後は穏やかになり終わる。

13. D.620 「孤独に」
★★★★★☆☆☆☆☆
滑らかなピアノアルペジオの上を滑らかなメロディが歌われる。

14. D.620 「孤独に」
★★★★★☆☆☆☆☆
再び重く暗くなる。

15. D.620 「孤独に」
★★★★★★☆☆☆☆
最後は落ち着いた穏やかな曲調となり終わる。

全体的にこの「孤独に」は暗くあまりよくなかった。最後は少し綺麗。

16. D.622 「花の便り」
★★★★★★★☆☆☆
半音階を活かした憂いのある非常に美しい曲。

17. D.623 「マリアの肖像」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとしたこちらも美しい曲。

18. D.626 「ブロンデルからマリアに」
★★★★★★☆☆☆☆
すこし悲愴な感じの曲。

19. D.627 「夕映え」
★★★★★★☆☆☆☆
優しく囁きかけるような、「んタララ~ラ~」というピアノ伴奏も印象的。

20. D.711 「涙の賛歌」
★★★★★★★☆☆☆
ゆったりとした穏やかなピアノのアルペジオに乗せて、息の長い美しい旋律が歌われる。前奏、間奏、後奏すべてのピアノが美しい。

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人質の朗読会 長編⑭ [文学 日本 小川洋子 長編]


人質の朗読会 (中公文庫)

人質の朗読会 (中公文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/02/22
  • メディア: 文庫



再読

ある国で武装集団に人質として捕らえられてしまった日本人8人が、捕らえられている場所で、それぞれの思い出話を紙に書いて発表しあう、という設定。長編小説とは言え、短編小説としても楽しめる。

始めて読んだときは、「彼女のほか作品に比べるともう一歩の感があった」という感想を持っていたようだが、再読して結構楽しめた。

第一夜:杖(53歳女性)
小さい頃、自分の家の前に工場があり、夏休みのある日、この工場に勤める男性が公園で足を挫いてしまって困っているのを助ける。大人になって、生死をさ迷う交通事故にあった時、夢でこの助けた男性が現れ自分の足を直してくれる。目が覚めると、切断寸前だった足を切らずにすんだことがわかる。

第二夜:やまびこビスケット(61歳女性)
あまりコミュニケーション能力が高くない彼女は、「やまびこビスケット」という本当にビスケットしか売っていないお菓子メーカーに勤める。彼女は工場近くの安アパートに部屋を借りるのだが、そこの大家さんがお金にがめつく、整理整頓を信条とする女性。ある日庭で転んでいる大家さんを助けたことがきっかけで、たまに工場で売ることが出来ずはねられたビスケットを1ヶ月に一度一緒に食べるようになる。ある日、大家さんが部屋で静かに心臓発作でなくなっているのが発見される。テーブルの上には、一緒に食べた「やまびこビスケット」が並んでいた。彼女はそのビスケットをそっと持っていき、お守りにする。

第三夜:B談話室(42歳男声)
ある日、外国人が道に迷っていたので、目的地の公民館に案内してあげる。帰ろうとすると、受付に座っている女性に手招きされ、B談話室で行われる会に参加するよう促される。そこは地球から絶滅しようとしている言語を救う友の会の会合らしい。その会合に出て不思議な体験をした後も、このB談話室で開かれる不思議な会合にそっと入って時間を過ごすようになる。ある日、子どもをなくした親の会の会合で何とも言えない体験をした彼は、その体験から作家になる。

第四夜:冬眠中のヤマネ(34歳男声)
売れない寂れたメガネ屋の息子が、目医者になるよう、母親に促され、私立の中高一貫高に入る。登校中、汚く不格好な手作りの動物のぬいぐるみを売っているおじいさんの出店を見つける。一番初めに立ち寄ったときに見た「冬眠中のヤマネ」ぬいぐるみがとても印象に残っているが購入することはなかった。
ある日曜日、クラブ活動で野球の練習試合で学校に向かう途中、おじいさんがいる店の周りでがやがやしているのを見つけ行ってみると、何かのイベントがあるらしい。そこで何故か、おじいさんを背負って階段を上る競争に参加することに。競争が終了するとおじいさんは感動してしまい、自分をおぶってくれたお礼に、「冬眠中のヤマネ」をプレゼントしてくれる。彼は目医者になった今も、ずっとお守りとしてそのぬいぐるみを大事にしている。

第五夜:コンソメスープ名人(49歳男声)
父親の経営する工場で突発的な事故が起こり、その対応に母親も行かねばならず、一人でお留守番をすることになった8歳の少年の話。玄関のベルがなっても、絶対にドアを開けない、という約束をし出て行く母親。その直後に、隣の亡くなった大学教授の娘が窓をコンコンと叩いてやってくる。自分の死にそうな母親のためにコンソメスープを作りたいのだが、家のガスレンジが壊れてしまって作れないので貸してほしいということだった。少年の家でコンソメスープを作るその娘さん。それを眺める少年。途中で鍋に温度計をさして持っている役目をする少年。最終的には黄金色のスープが出来上がり、少しもらって飲む。その3日後、娘さんの母親は亡くなる。

第六夜:やり投げの青年(59歳女性)
ある貿易会社の事務員として勤める女性。彼女は夫を病気で亡くし、それ以来一人で毎日同じリズムで広やかに暮らしている。そんなある日、電車にかなり長い棒のようなものを持った青年で入ってくる。周りの客は迷惑そうに彼を見る。彼が電車を降りる手助けを、人知れず行い、そのまま彼についていく。着いた先は陸上グランド。彼は槍投げの選手だった。彼の練習を半日間見る。それ以来彼には会っていないが、その日の思い出が彼女を支えている。

第七夜:死んだおばあさん(45歳女性)
バッティングセンター、バッティングをしていた時、ある男性に「あなた、僕の死んだおばあさんにそっくりなんです。」と話しかけられる。その後何度か偶然会った時、彼の死んだおばあさんの話を聞く。いつの間にか、彼とは合わなくなる。その後7年後、いきなり止まってしまったエレベーターの中で、偶然居合わせた女性から同じように、「死んだおばあさんにそっくりなんです」と言われ、彼女のおばあさんの話を聞く。その後も何度も同じように「死んだおばあさんそっくりなんです」と言われる。しかし彼女は決しておばあさんには、なれない。彼女には自分の子供ができないからだ。

第八夜:花束(28歳男声)
ある男性用スーツ専門店で働くアルバイトの男性。彼はあまり目立つことなく仕事をしていたが、あるお客さんに贔屓にしてもらう。その人は、葬儀屋につとめており、なくなった方の棺桶に入れる、新しいスーツを選んでいく。そんなバイトの彼が、バイトを辞める日、そのお客さんが訪ねてきてくれて大きな花束をくれる。その花束から、昔の自分の忘れられないひどい思い出を思い出してしまう。最後は道端にあった死者に送られた萎れてしまった花束を、取り除き、自分がもらった大きな花束を置いていって終わる。

第九夜:ハキリアリ(22歳男声)
武装軍団の動きを知るために盗聴していた現地政府軍の兵士の話。昔暮らしていた自分の家に、フィールドワークをしていた日本人の研究者三人が来て、日本人のノーベル賞受賞スピーチをラジオで聴かせて欲しいと頼まれた時の話。

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アニー [ミュージカル]


アニー スペシャル・アニバーサリー・エディション [DVD]

アニー スペシャル・アニバーサリー・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • 発売日: 2009/06/24
  • メディア: DVD



Story: ★★★★★★★☆☆☆
Music:★★★★★★☆☆☆☆

ディズニー映画とジブリ映画をひたすら子供と観ており、そろそろ自分が飽きてきたので、この映画を子供と観た。

久しぶりに観たが、けっこうドキドキ・ワクワクで、楽しめた。『赤毛のアン』に似た感じの、主人公アニーの性格の良さが、子どもたちに支持され、親たちも安心して子どもたちに見せられる要因なのだろう。

主題歌「Tomorrow」はじめ、多めに散りばめられた音楽も結構聴きやすく、悪くなかった。

だが、我が家の子供たちは、あまり面白くなかったっぽい。
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海からの電話 [文学 日本 安房直子 あ行]


春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/04
  • メディア: 文庫



日暮れの海の物語

日暮れの海の物語

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2022/08/19
  • メディア: 単行本



ある音楽学校の学生が、自分のギターを海辺の砂の上において、少しウトウトしてしまう。起きてみると弦がすべて切れている。「だれだ!こんなことをしたのは」と叫ぶと、「ごめんなさい」と名乗り出たのはカニ達。自分で音を鳴らしてみたかったが結果的に弦をすべて切ってしまったという。

カニたちは、ギターを預かって弦を張り替えたいと願い出る。終わったらカニのやり方で電話するという。そしてお詫びの印だかわからないが、3時のお茶を飲んでいってくださいと、お茶とクッキーが出され、食べてみるととても美味しい。

一週間ほどして、カニから荷物が届き中には貝殻が入っている。耳に当ててみるとギターの音が。しかし音がイマイチなので、そう告げると一週間後また電話するという。

一週間後、再び電話が来て、今度は歌を歌っている。ギターの音も歌のハーモニーもイマイチで、それを告げると、カニたちも一生懸命努力しているんだ、と訴えてくる。そこで学生はしばらくギターを貸してくれるということになる。

自然と人間の交流を描いた、これもけっこう印象的で素敵な話。
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シューベルト 歌曲集19 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.558「あらゆる姿の恋人」 ゲーテ詩
★★★★★★☆☆☆☆
軽快な明るい曲。自分が、魚・馬・お金だったらと、恋人に対して妄想を膨らませるが、最後はありのままを受け入れてと歌う曲。

02. D.559 「スイス人の歌」
★★★★★★☆☆☆☆
この曲も軽快で伸びやかな曲。スイスの広大な山々をイメージさせる曲。

03. D.560 「金細工師」
★★★★★★☆☆☆☆
軽快な曲が続く。この時期シューベルトは明るい感じだったのだろうと思う。

04. D.561 「雷雨のあと」
★★★★★★★☆☆☆
非常に印象的な美しいピアノ前奏で始まり、開放感に満ちた息の長い美しい旋律が歌われる。

05. D.519 「花の言葉」
★★★★★★☆☆☆☆
少し哀愁漂うピアノも綺麗な曲。

06. D.562 「漁師の歌」
★★★★★★★☆☆☆
たゆたう波の音を摸したかのようなゆったりとしたピアノ伴奏に乗せて、優雅な歌が流れる。

07. D.563 「庵」
★★★★★★☆☆☆☆
少し緊迫感のある曲。

08. D.564 「グレートヘンの祈り」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
暗く沈んだ感じで始まる。悲しみに満ちた旋律で歌が始まる。

09. D.565 「川」
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノ・ソナタのような激しい前奏で始まり、そのまま激しい歌になり終わる。

10. D.300 「泉のほとりの若者」
★★★★★★★☆☆☆
安らぎに満ちた優しい曲。ピアノの「タラタラタラ」という同じリズムの静かな水の動きを模しているかのようでとても綺麗。

11. D.569 「墓」
★★★★★★☆☆☆☆
荘厳な合唱曲。讃美歌、ロシア民謡的な感じの曲。

12. D.573 「イフィゲニア」
★★★★★★☆☆☆☆
安らぎに満ちた美しい曲。

13. D.577 「ローラの喜び?」
★★★★★★☆☆☆☆
ファンファーレ的な明るい始まりのあと、中盤少し内省的になる。最後は優美な広がりのある曲となって終わる。

14. D.578 「別れ」
★★★★★★☆☆☆☆
暗く悲しげな曲。

15. D.579 「ゆりかごの子ども」
★★★★★★☆☆☆☆
同じリズムの上を微妙な感じの旋律が歌われる。

16. D.579A 「完了」
★★★★★☆☆☆☆☆
何とも掴みどころのない、ピアノが若干活躍する曲。

17. D.579B 「成就」
★★★★★☆☆☆☆☆
この曲も何とも掴みどころのない、単調な曲。

18. D.583 「タルタルスの群れ」 シラー詩
★★★★★★☆☆☆☆
「魔王」に似た雰囲気を持つ、力強くドラマティックな曲だが、もう一歩何かが足りない。

19. D.585 「アティス」
★★★★★★☆☆☆☆
ドラマティックに始まり、美しいメロディが次々と繰り出される。語りのような部分もあるが、全体としては悪くない。

20. D.584 「楽園」
★★★★★★☆☆☆☆
優しい旋律で始まる。曲調がコロコロ変わる、8分を超える大作。

21. D.586 「エルラフ湖」
★★★★★★★☆☆☆
深くゆったりとした曲。少し悲しみが見える。

22. D.587 「春に寄せて」 シラー詩
★★★★★★☆☆☆☆
愛らしく明るい曲。

23. D.588 「アルプスの狩人」 シラー詩
★★★★★★☆☆☆☆
優しい感じで始まり、段々と力強く激しくスピードが上がっていく。最後は穏やかに神々しく終わる。

24. D.596 「子供の歌」
★★★★★★☆☆☆☆
とても愛らしい曲。断片。

25. D.550 「ます」
★★★★★★★★★☆
世紀の名曲。明るく親しみやすいメロディ、途中の哀愁漂うメロディ、すべてが素晴らしい。

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海からのおくりもの [文学 日本 安房直子 あ行]


春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/11/04
  • メディア: 文庫



まほうをかけられた舌 (フォア文庫)

まほうをかけられた舌 (フォア文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 1979/10/01
  • メディア: 新書



海の町に住むかなこは、おかあさんと二人暮らし。そんなおかあさんも病気がちなためとても貧乏な暮らしをしている。

夏が終わって海水浴のお客がみんな帰ったあと、その町ではお祭りが行われる。その日、お母さんは五十円玉を二つお小遣いとしてくれた。かなこは、五十円は自分のおみやげ、五十円はお母さんへのおみやげと決めてお祭りへと向かう。

50円で変えるものはあまりなく、どうしようかと迷いながら商店の中を歩いていると、海の色とそっくりの青いネッカチーフをかぶったおばあさんが貝殻を売っている。迷った末に、50円でひと袋買う。その袋をポケットに入れて歩いていると、貝殻が歌いだし海へ行くよう促す。

海へ言ってみると、青いネッカチーフをかぶったおばあさんたちが、貝殻を使っておはじき遊びをしている。自分の買った貝殻でそのおはじき遊びに参加するかなこ。しかし全く勝てず、すべてを失ってしまう。

もういっかい遊びに参加しようと、もうひと袋買いに行くが、もうすでにおばあさんの店はなくなっている。となりの店のおじさんに聞くと、「そりゃ、海ばあさんだ」「祭りの晩によくやってきて、妙なものを売って、子供のこづかいをまきあげるのさ」と言われる。

走って浜にたどり着くと、あばあさんたちがおはじき遊びをしていた場所に、貝殻が残されている。拾い上げてみると、細い糸でつながれて、二本のすばらしい首飾りになっていた。

彼女はそれを持って家に帰り、お母さんと自分へのお土産とする。

初めは心が痛む話なのかと思ったが、最後はハッピーエンドで終わりとても心が暖かくなった。
けっこう印象的な素敵なお話。
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目こぼし歌こぼし [文学 日本 児童書]


目こぼし歌こぼし (子どもの文学―青い海シリーズ)

目こぼし歌こぼし (子どもの文学―青い海シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 童話館出版
  • 発売日: 2015/01/01
  • メディア: 単行本



凄まじい傑作である。
平和で皆が楽しく幸せに生きていると思っているこの日本社会の暗部を「これでもか」とばかりにえぐり出した作品だ。

天皇を頂点とする、差別構造。部落差別、見て見ぬふりをする一般の人々、二枚舌を使って社会を成り立たせる政治家、とにかく日本社会をダメな社会にしているのだが、誰もメスを入れようとしない、メスを入れようとするとそれを残忍な形で潰してきた日本社会を見事にすばらしく描いている。

一応児童書ということなのかもしれないが、これは誰もが読むべき作品であり、この作品を読み、日本社会の暗部にしっかりと目を向け、是非多くの人がこの国を変える努力をして欲しいと思う。

p.46
「おまえの目と、善助の目と、どちらが確かだろう。おまえの目は、足柄七十郎というただのさむらいの目じゃ。しかしな、善助の目は、ただの下まわり、お使い番の目ではない。善助の目は、この御番所の目であり、わしの目でもあるのじゃ。ということはな、ひいては、殿さまの目でもあり、殿さまにかわって政治(まつりごと)をなさるびっきさまの目でもあるということになる。つまり、善助の目は、公の目じゃ。公の目の代表じゃ。その公の目が、何も見なかったといえば、これは、個人がいくら見たといっても、何も見なかったことになるのだぞ。」

どこかの国の、モリカケ事件のようだ。


p.118
「御番所頭というそのりっぱな肩書きを信じるだろう。世の中には、ほんとうのことよりも、見かけや肩書きを信用する人間の方が多いのだ。」

これもどこかの国の多くの人々のようだ。


p.267
「人をおさめる場合、一つの顔だけでは、なかなかうまくいきません。いかないものなんですよ。たとえば、わたしの場合ですが、わたしは代官だ。代官といえば、上手のものも、下手のものも、同じようにおそれます。どれほどおたがいに憎みあっていても、代官に対しては共通のおそれを持つものなのです。おそれを抱いているうちはいい。しかし、いつかは上手も下手も、一つになって、わたしを憎むようになりましょう。これは、政治をやるものにとっては、まずいことなのです。領内の人間を、一つにしてはなりません。一つにまとまらないようにすること。これが、政治をやるものの第一の心得です。」

グローバル化したこの世界。世界にいるたくさんの人々を支配するために考え出したのが、人を物理的に引き離す現在の・・・。


p.276
「国を守るのは、さむらいです。その国を守るということを忘れて、村人を守ろうとしたわけですな。ばかな男です。村人は国のためにあるのであって、村人自身のためにあるのではない。」

民主主義と言われる日本社会。しかし与党の中には上記のように考えている人も多いのではないだろうか。


p.290
「世の中にはね、悪人や善人しかいないと考える人もありますがね、そうじゃないんだなあ。~(中略)~ この世の中で一番多い人間は、どっちつかずの人間なのです。小人というのかな。いつも、いらいらしているか、くよくよしている人間ですよ。気が小さいといってもよい。自分一人じゃ何もできないくせに、いつも他人のやることにけちをつけている人間です。」


p.315
「国のために他人の命を犠牲にすることを七十郎は批難した。それでは、七十郎よ。おまえは、自分のために他人を絶対犠牲にしないのだろうな。それとも、国によって人間が犠牲にされることは許されないが、個人のためなら犠牲は許されるというのか。」

これはけっこう重い問いである。難しく、いろいろな状況を考えないとなかなか答えの出ない問いである。


p.328
「おれは化け物じゃないんだ。あんたと同じ人間さ。もちろん今は神さまだ。神さまだからなんでも許されるよ。そんな神さまにも、たった一つ許されないことがあるんだ。それは、ふつうの人間になることよ。それを考えると、神さまなんてつまらないものよ。」

これは明らかにある国のある制度を批判したものなのだと思う。


p.334
「世の中には、さむらいはえらくって、乞食は最低だなんて思っている人もいますが、それは大きなまちがいですな。さむらいと乞食は、まったく同じです。どちらも、自分で食いものをつくらないんですからな。つまり、他人さまのつくったものを食ってるわけでしょ。ずいぶんあつかましい商売ですよ。」

これは資本家批判なのだろう。


p.380
「それらはすべて一本の糸につながっている。そう思った。一本の糸とは、国のため、国の利益と平和のため・・・・・・という考え方である。いったい、そこまでしても守らなければならない国の利益とはなんだろうか。本当に国の値打ちというものは、一人の人間の命よりも大切なものなのだろうか。」


p.381
「わしは年とった気ちがい。それはよおわかっております。自分で、自分の狂うておることも気がつかず、自分に反対するものを気ちがい呼ばわりする人間は、どうすればいいのでございましょうな。近頃は、そう言う人がふえよりましたわい。」

この本を読み、民主制の大切さを考え、少しでも多くの人が人間的な生活ができる世の中になるよう行動できる人が増えると良いと思う。

本当に名作だと思う。
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少女のための海外の話 [その他 本]


少女のための海外の話

少女のための海外の話

  • 作者: 三砂ちづる
  • 出版社/メーカー: ミツイパブリッシング
  • 発売日: 2020/08/27
  • メディア: 単行本



勤務先に、小さい出版社が共同で作った各教科向けの出版物案内が届いており、英語科のものだけでなく色々な科の案内物も見ているうちに見つけた本。三砂ちづるさんの本は色々読んで面白いと思っていたし、開発教育学の名著とされる『被抑圧者の教育学』の新訳も読んだりしていて、内容も興味深そうなので図書館で早速借りて読んでみた。

自分の人生をたどりながら、海外に行くこと自体、海外に行く時役立つもの、外国語の学び方、国際協力の仕事などを優しく説明している。確かに中高生にはとても良い内容だと思う。

しかも、大学で教えているとは言え、大学だけで生きてきたのではなく、海外青年協力隊、ロンドンへの留学、アフリカなどでのフィールドワークなど、様々な経験に根ざした話でとてもわかりやすく、しかも浮いた感じのない地に足のついた内容でとても良かった。

pp.10~11
「この国では、「大きくなったら何になる」というのは、大人が子どもに知り合ったときに、まず、する質問です。
 あなたの夢は何ですか、とか、大きくなったら何になりたいですか、とか、大人たちはみんああなたに質問する。それってあたりまえのことのように思っているけれど、わたしが幼い子ども二人を育てるときに住んでいたブラジルでは、子どもたちはそんな質問は、されていませんでした。
 子どもはこどもに今の時代を楽しむことこそ、そしていま、この時間を精一杯生きることこそ、大切だと思われていました。」

日本では、子どもを大切にしてそうで、彼らの本質的な部分を大切にしていないんだなあ、ということを感じさせられた一節だった。


p.18
「どんな外国でも、外からどんなふうに見えていてもそこには普通の暮らしがある。そういう想像力をいつも持つことはけっこう大切なことなのですね。」

我々が海外の国々に対してステレオタイプを持ってしまうことを戒める一節。本当に大切だと思う。


p.110
「最近は、小学校から英語の授業があるそうですね。あなたも中学校や高校で英語の基礎をしっかり学べば、機会があれば、いつでも話せるようになります。
日本の学校でいくら英語を勉強してもしゃべれるようにならない、とか言われたりしますが、幼いころではない、ある程度大きくなってからの語学の習得で、いちばん大切なのは、やっぱり基礎をきちんと学ぶことなのです。」

こうした実際に英語を使って働いている人々の意見を、文部科学省は積極的に聞き入れ、一般の人々にちゃんと紹介し、まともな世論形成をしてもらいたいものだ。


p.122
「「教室で文法から学ぶ」「現地の言葉しか話していない環境で慣れながら学ぶ」。この二つの外国語を学ぶ方法の、どちらで学んでも、たしかなことがあります。「自分の言葉で話せないことは外国語では話せない」ということです。まことにあたりまえのことなのですが、あなた自身が、自分の言葉、つまりは、日本語で言えないことは、外国語では言えません。」

本当に当たり前のことだ。

外国語学習なども紹介されており、勉強になる本だった。
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ことばの教育を問い直す 国語・英語の現在と未来 [その他 本]


ことばの教育を問いなおす (ちくま新書)

ことばの教育を問いなおす (ちくま新書)

  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 新書



大村はまという教育者の、教育実践、思想を軸に、刈谷夏子が主に国語教育&実践、鳥飼玖美子が主に英語教育&理論、刈谷剛彦が主にそれらをまとめる、感じで本が構成されている。対話、対談という形ではなく、それぞれが一人で書いたものを、別の人が読み、それを踏まえたうえでまた書いていくという「大書」形式という書簡形式のような感じの構成になっている。

ここ十数年続いている、おかしな教育改革を真正面から批判しており、いつも書くが、こうしたまともな反論が多数なされているのに、一向に「教育改革」がまともな方向に改革・改善されないのはなぜなのだろうと思ってしまう。

p.26
「本気になって、主体的にことばを使っていない子どもに、何を教えても、私の過去のラジオ体操みたいなもので、狙っているだけの効果を生まないでしょう。ラジオ体操も、勉強も、ちゃんと意識してやらないと無駄が多いというわけです。
 子どもを主体的な姿にさせ、本気のことばを引き出すことが、国語力が育つための基本的な条件です。」

これは文部科学省の人だけではなく、同僚の教師でも分かっていない人が多い。ひたすらドリルワークをさせていれば語学は身につく、と考えている人が多数いるみたいだが、意識をしないで行う学習ほど時間と労力の無駄なものはない。それは自分が経験して一番よくわかっている。これがわからない人は、恐らく相当意識高く、小さい時から大人になるまで勉強し続けた人なのだろうなあと思う。


p.37 大村はまの言葉
「ことばを育てることは、こころを育てること、
 人を育てること、教育そのものである」

同感だ。


p.39
「大村はまの実践を支えた教育の「目的」や「理念」は、現在の英語教育に最も欠けているものだと思います。何のために英語を学ぶのかの「目的」が不明確なまま、何となく「英語を話せるようになりたい」という願望に引きずられ、「小さい頃から英語を教えれば話せるようになる」という科学的根拠のない思い込みが英語教育を歪めている、と考えるからです。」

pp.46~47
「日本人がなかなか英語に熟達しないことを揶揄して「アメリカに行けば赤ん坊でも英語を喋っている」と言う人がいますが、これは、母語である英語を獲得しているアメリカの赤ちゃんと、外国語である英語を意識して学習せざるをえない日本人とをごっちゃにしている乱暴な議論です。」

気分や思い込みで議論を進め、重要な教育政策を歪めるのはやめてほしいと常に思う。


p.63
「教える仕事をする時、その成否を分ける最も重要な働きかけというのは、常にたいへん具体的な、微妙な、一回性のもの、ライブのものであるということを、大村は早くから実感していたようです。
 ~中略~
 一般化、抽象化を試み、「こういう時はこうすればいい」というモデルや「こうすべき」という理論にした途端に、どうしても鮮度が落ちます」

p.75
「けれども、目の前の人が体温と共に差し出すものこそが、人を(人の脳を)本気にさせ、しっかりと伝わり、受け止められるのではないか。何万年も、大事な情報はそうして伝えられてきました。IT技術の進歩に同調して、人の頭の仕組みが変質するとは思えません。生身の人を育てるのは、生身の人、という素朴なことは簡単には変わらないでしょう。」

私も授業・教育というものは一回性のもの、ライブのものであるとおもうのだ。オンライン授業、映像授業がコロナ禍により一気に一般化してもてはやされており、もうたくさんの教師はいらない時代が来る、というが、そうした時代が来たときの教育はどんなものになってしまっているんだろうと恐ろしくなる。


p.170
「ここまで議論を重ねてきて、日本人が英語を学ぶ意味合いが広々と見えてくるのを感じます。「旅先で困らないように」「道を聞かれて答えられるように」といった、よく街頭インタビューで出てくるような動機は、実はポケトークのような翻訳機器やグーグル翻訳などの登場でかなり容易に解決できるようになってきています。小学校の頃から何年もかけて英語を勉強して、覚えの悪さを嘆かなくても、翻訳機一つで旅くらいはできます。 ~(中略)~ それでも私は日本人が英語を勉強する意味合いは大きいと思います。人の言語と言語生活そのものを刺激し、拡大させるからです。受験に必要だから、などという便宜的なことではありません。」

私が普段考え、生徒・同僚に伝えていることそのままの意見だ。本当にそう思う。


p.196
「「自律性」とは何でしょうか。一言でまとめるなら、「自らの学習に責任を持つことのできる能力」です。英語を学んでも、日本語とは言語文化的な距離が遠く、簡単に使えるようにはなりません。その時に、学校や教師や環境のせいにするのではなく、自分自身で自分に合った学習方法を見つける努力が肝要になります。」

p.198
「共同学習は自律性の涵養に有効とはいっても、学習者中心の能動的な学習を誤解して生徒や学生たちをグループに分けて話し合いをさせるだけでは学びになりません。共同学習の原点は、「周囲との相互行為を通して、一人では到達できない領域に達する」ところにあります。教師による適切な介入と丁寧な指導があってこそ共同学習は自立性の育成に大きな役割を果たします。」

これを分からずただひたすら子供たちだけに話し合いをさせている教師が結構いる。それはただの雑談だということに教師が気づいておらず、自分は「アクティブ・ラーニング」を実践していると考えている教師が本当に多い。


p.220
「受験対策とまったく異なる姿勢で教えつづけた大村は、受験戦争ということばが生まれた時期に保護者から苦情を受けたこともかなりありましたが、「力をつけること、それ自体を目指して勉強していけば、試験くらいちゃんと対応できます。大は小を兼ねます」

これも私が日頃主張していくことであり、保護者や同僚、上司からはほぼ理解が得られない考え方だ。


面白い本だった。是非、英語教育に興味がある保護者の方々、教育改革に興味がある方々には読んでいただきたい本だ。

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シューベルト 歌曲集18 [シューベルト 歌曲]


The Complete Songs

The Complete Songs

  • アーティスト: Schubert, F.
  • 出版社/メーカー: Hyper
  • 発売日: 2005/11/25
  • メディア: CD



01. D.540「フィロクテート」
★★★★★☆☆☆☆☆
劇的に始まり、語りのような歌となる。

02. D.541「メムノン」
★★★★★★☆☆☆☆
静かで穏やかに始まる。ピアノと対話しているような感じが面白い。途中から少し暗さが見える。

03. D.536 「船人」
★★★★★★☆☆☆☆
一人称の元気な曲。少し「ます」に似ている?

04. D.539 「川のほとりで」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとしたアルペジオの美しい曲。

05. D.542 「アンティゴネとオイディプス」
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとしたアンティゴネと語りで始まり、少し熱を帯びてくる。天から降りてきたような、オイディプス王の力強い語りが途中から入る。こちらもゆったりとした感じで曲は進む。

06. D.548 「タウリスのオレステス」
★★★★★☆☆☆☆☆
ひたすら語りのような曲。

07. D.543 「湖の上で」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
滑らかな歌を、「タララララ~、タララララ~、」という独特のアルペジオのピアノ伴奏が支える。途中の少し緊張かある部分も綺麗。後半何かが吹っ切れたかのような前向きな感じになる。

08. D.544 「ガニュメード」 ゲーテ詩
★★★★★★★☆☆☆
軽やかな若々しさに溢れた曲。

09. D.549 「マホメットの歌」
★★★★★★★☆☆☆
とにかくピアノ曲のように、ピアノが目立つ歌。初めは若々しく、最後は荒々しく終わる。

10. D.545 「若者と死神」
★★★★★★☆☆☆☆
初めは、悲しげに重々しく、若者が苦悩し死を望む歌から始まる。最後は死神が静かに優しい言葉をかけて終わる。

11. D.546 「歌による慰め」
★★★★★★☆☆☆☆
息の長い綺麗な旋律の曲。確かに心慰められる穏やかな曲。

12. D.547 「音楽に寄せて」
★★★★★★★☆☆☆
優しく穏やかな旋律で、心休まる佳曲。

13. D.551 「御身らの平安を祈る」
★★★★★★☆☆☆☆
荘厳な雰囲気の曲。

14. D.552 「ベニヒワの求愛」
★★★★★★★☆☆☆
軽やかな感じの曲で楽しげで、綺麗な曲。

15. D.517 「羊飼いと騎士」
★★★★★★☆☆☆☆
羊飼いを描写した、軽やかな歌で始まる。そこに重々しい騎士の声が入る。ピアノのコロコロとした音が楽しい曲。

16. D.553 「ドナウ川の上で」
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかに始まり、段々と暗く盛り上がっていく。最後は穏やかだが暗く終わる。

17. D.554 「ウラニアの逃亡」
★★★★★★☆☆☆☆
20分近い大作。長い割には美メロが次々に繰り出されるので、歌詞を読みながらじっくり聴くとそれなりに聴ける。

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エリザベート [ミュージカル]


MASTERPIECE COLLECTION【Blu-ray版】『エリザベート-愛と死の輪舞-』('05年月組)

MASTERPIECE COLLECTION【Blu-ray版】『エリザベート-愛と死の輪舞-』('05年月組)

  • 出版社/メーカー: 宝塚クリエイティブアーツ
  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: Blu-ray



Story: ★★★★★★☆☆☆☆
Music:★★★★★★★★☆☆

なぜだかわからないが、この夏自分の中でミュージカル熱が再燃し、クンツェ=リーヴァイ作のこの作品が観たくなり、手軽かつ安く手に入るこの宝塚のDVDを手に入れて観た。

数年前、いやもしかすると十数年前かもしれないが、宝塚のチケットをもらい、有楽町の宝塚劇場に見に行ったことがある。その時は、男性役の人のわざとらしさが受け入れられず宝塚にはあまり良い印象がなかった。

しかし、このDVDはそこまで違和感なく観ることができた。

ミュージカル「エリザベート」の音楽が聴いてみたくて、ウィーン・オリジナルキャストのCDを何度か聴いたことがあり、若干聞いたことのあるメロディが流れるせいもあるのかもしれないが、音楽も自然と体に入ってきて、結構楽しめた。ストーリーは、死神のような人物も出てきてもう一歩な気がしなくもない。だが、音楽は良いので歴史に少し興味を持てるという意味でも悪くないミュージカルだと思う。

クンツェ=リーヴァイ、コンビのミュージカル「レベッカ」も昔観たことがあり、結構良かったのでこの映像も観てみたいのだが、DVD化はされていない。是非いつかもう一度観てみたいミュージカルだ。
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カラーひよことコーヒー豆 エッセイ⑦ [文学 日本 小川洋子 エッセイ]


カラーひよことコーヒー豆 (小学館文庫)

カラーひよことコーヒー豆 (小学館文庫)

  • 作者: 小川 洋子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/09/06
  • メディア: 文庫



いつも同じことを書いている気がするが、彼女のエッセイを読むと共感することばかりで、何故自分が彼女の小説が好きなのかがよくわかる。

p.9
「昔、私はインドとドイツの区別がつかなかった。
 ~中略~
 台風が近づくとよく発令されるハロー注意報には元気づけられた。」

若干違うのかもしれないが、私はロンドンとイギリスの関係性がわからなかった。パリとロンドンの区別がつかなかった。そうしたことに対し父親と兄は、「それはやばい」みたいなことを言っていたが、じぶんの常識の中で相手を裁断していたに過ぎない。はっきり言って彼らが知らないことを私はその当時たくさん知っていた。ただ単に自分と興味関心がある世界が違うだけなのだ。そうしたことを考えず自分の世界・知っているもののみが正しく、それを知らない人は非常識だと思う人は可愛そうだと思う。

私は、昔「台風一過」というのを「台風一家」だと思っていて、何故台風が一家でやってくるのに晴れるのだろうと思っていた。

などということをこのエッセイを読みながら考えていた。


p.50
「キーボードのボタン一つでパッと出会えた仲間より、孤立感に涙する時間や、効率の悪い作業や、神様の気紛れとしか思えない偶然の果てに巡り合った仲間の方が味わい深いのでは、と考えるのは時代遅れな人間のノスタルジーだろうか。」

私もそう思ってしまう。きっとノスタルジーなのだろうが、やはりそちらのほうが深い関係性な気がしてしまうのだ。


p.57
「どんな才能も、自ら売り込んでいる間は本物ではない。神様の計らいは常に、本人に気づかれないようこっそり施される。」

私の周りにも自分の才能(才能と言えるほどたいしたものではないことが多いが)売り込んでいる人が沢山おり、そう言う人は平気で人の批判をする。神様の計らいがないから自分で売り込むしかないのかもしれないが・・・・・・。


p.69
「基本的に私は、何に対しても自信の持てない性格である。
 ~中略~
 気安い友達と楽しく食事をしたあとでも、「あんなこと言わなければよかった。気を悪くしたんじゃないだろうか。どうして私はいつもこうなんだろう」と、あれこれ後悔の念にとらわれる。」

こうした内容のことがいつも彼女のエッセイには書かれている。きっと常に思っており、歳をとり、どんなに有名になってもこうした気持ちを忘れないからこそ、あれだけ素晴らしい小説を書き続けられるのだろうと思う。


p.107
「個性とは、小手先でどうにか細工をしようと思ってもできない種類のものだ。当然、他の誰かと比べることもできない。だからこそその人にとっても宝物となり得る。
 一流のフィギュアスケートの選手たちを見ていると、技術の習得よりも、個性の表現に苦闘の原点があるように思える。持って生まれたものがごく自然にあふれ出てくるのではなく、努力の果てにようやく結実した一粒の結晶こそが、本物の個性なのだと彼らは教えてくれる。」

努力して始めて見えるものがあり、溢れてくるものがある。それこそが本物の個性なのだと思う。最近は、教育において努力をするということをあまりに軽視している気がする。それでは本物の個性が出ない気がする。

相変わらず優しさあふれる良いエッセイだった。
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うさぎ屋のひみつ [文学 日本 安房直子 あ行]


うさぎ屋のひみつ (現代の創作児童文学4)

うさぎ屋のひみつ (現代の創作児童文学4)

  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 1988/02/22
  • メディア: ハードカバー



ひぐれのラッパ (福音館創作童話シリーズ)

ひぐれのラッパ (福音館創作童話シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2010/09/20
  • メディア: 単行本



見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

見知らぬ町ふしぎな村 (安房直子コレクション)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/04/01
  • メディア: 単行本



キャベツ畑のとなりの小さな家に、若い奥さんが住んでいる。彼女はとてもかわいらしく気立てがよいが、なまけもの。家事はほとんどやらない。

ある日「今夜のおかずは、なににしよう・・・・・・」と考えていると
エプロン姿のうさぎがやってきて、「今夜の夕食、おとどけしますよ」という。
毎月一回、アクセサリーを渡せば、一ヶ月分の夕食を届けてくれるという会員制らしい。

さっそく会員になった若い奥さん。
その日から夕食が届くのだが、これがすごく美味しくさらに毎日違う料理が届く。
二ヶ月目になり、契約更新の日。ガラスの腕輪を渡そうとすると、首にかけていた金の首飾りを要求される。渋々渡した若奥さん。三ヶ月目には、金の結婚指輪を持っていかれる。

これはまずいと夫に相談し、うさぎの家を突き止めた夫婦。
うさぎ屋の美味しさの秘密は、30種類のスパイスだとわかる。

結局その30種類のスパイスを盗むだし、夜逃げのようにマンションの12階に引っ越す。
それから奥さんは働き者になり、料理もスパイスを使ってしっかりとするようになり、家にはたくさんのお客さんが来るようになる。

うさぎはそれ以来家に鍵をかけるようになりました。


結構ひどい話ではあるのだが、何故かほのぼのとした感じが漂う良い話。これも「セロ弾きのゴーシュ」と同じような感じで、動物のおかけでじぶんの弱い部分を克服した人の話なのかもしれない。
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美少女戦士 ジャンヌ・ダルク物語 [文学 日本 児童書 青い鳥文庫]





ジャンヌ・ダルクの児童用に書かれた伝記。
出生から、神の声を聴くところ、シャルル皇太子に会い、オルレアンを開放、その後の戴冠式、パリ攻略の失敗、捕虜、裁判、火刑、と大体の流れをざっくり追った伝記。

児童用ということもあり、砕けた感じの表現が多用されており、読みやすくなっている。

普通の少女としてのジャンヌに焦点を当てた作品。ジャンヌ・ダルクの概要を知る上では、読みやすく良い本だと思う。
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