海の口笛 [文学 日本 安房直子 あ行]
ある港街に、かけはぎ屋(洋服の虫食い穴やたばこのこげ穴を元通りに修繕する仕事屋)を営む人がいた。この男には娘が一人いたが、彼女は知的発達障害があり、ものをしゃべらなかった。
ある日、びしょ濡れの若い男が、真ん中にポツンと豆粒ほどの穴があいている絹のスカートを持ち込む。お礼には指輪をあげましょうと言って、口笛を吹きながら帰っていく。
いよいよ修繕しようとして穴を覗き込むと中には海が見える。さらにそれを見た娘は男が吹いていた口笛のメロディを奏でている。その後数日感、その海の美しさに見とれて仕事が進まない男。口笛を吹き続ける娘。
海を見るのは最後にしようと思って穴を見ていたところそこから魚が一匹飛び出てくる。その魚を食べるととっても美味しい。その味にはまってしまい来る日も来る日もその絹のスカートの穴から出る魚を食べ続ける。するとどんどん若返り、髪もつやつやに。
あまりの美味しさに魚をもっと沢山一気に捕ろうと考えた男は網を作って穴に入れるが、ついに穴が破れてしまい、そこから水が溢れ出す。さらに娘は補修を頼んだ男と一緒に海の底へと行ってしまう。
男は自分の欲望のためにボロボロになってしまったが、素直で一途な娘は幸せになる読後感がとても良い話。
2022-08-26 16:41
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