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セクシィ・ギャルの大研究 女の読み方・読まれ方・読ませ方 [学術書]


セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫)

セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫)

  • 作者: 上野 千鶴子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/05/15
  • メディア: 文庫



上野千鶴子さんが世に出した一作目。
雑誌や広告などの写真やイラストが持つメッセージを、性的な側面から論じたもの。
●男=大、女=小
●人間だけが持つ唇(女性器のコピー)の意味
●口紅が何故、あの形(スティック型)でなければならないのかの意味
●写真の女性が、何故体をくねらせたり、寝そべったり、首をかしげたりしてるものが多いのかの理由
●女性が腕を組む理由、男性が腕を組む理由
●話をしている最中に、モノをいじったり、体の部分を触ってしまう理由
●男性の草食化の理由
結構いろいろなことが論じられており、それらの一つ一つに納得させられてしまった。
いろいろな媒体で写し出される女性の格好に非常に違和感を持っていただのが、その違和感の理由が、この本を読んで何となくわかった気がする。

特に最後の部分は印象的だった。

p.234
「たしかに、父性型支配と母性型支配は違う。父は力で支配するが、母は愛で支配する。「愛による支配」は、人類が何千年ものあいだ思い描いてきた至福のユートピアには違いない。そこには、争いがないかもしれない。争いのない社会とは、争いを抑圧する社会でもある。
 これに対して、「力による支配」は、葛藤をいつでも潜在化させている。息子は父におさえこまれ、服従しながらも、憎しみのこもったまなざしを父に向ける。だから父性型社会では、「面従腹背」がありうるし、許される。~中略~
 ところが、母の権力は、「面従腹背」を許さない。愛による支配は、息子や娘たちの内面にはいりこみ、すみずみまで支配しつくそうとする。」

pp.237~238
「気の弱い男の子と、しっかり者の女の子というカップルができあがれば、行く末は見えている。亭主にはやばやと愛想を尽かした女たちは、息子に入れあげるだろう。息子への過保護と過干渉が、自分自身の夫の雛形を作り上げているとも知らずに・・・・・・。」

1982年に書かれた作品だが、現在の状況を見事に言い当てている。後ろに付された「自著改題」でも書かれているが、この本は現在でも読まれるべき作品であり、学ぶところの多い作品だと思う。

この間読んだ『不倫と正義』で中野&三浦さんは、上野千鶴子に一定の評価をしながらも若干批判めいたことを書いていたが、彼女たちもかなり上野千鶴子に影響されているんだろうなあ、ということがこの本を読んでわかった。

本格的な論文ではないこともあり、非常に読みやすく短時間で読みきることができた。
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