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学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか [その他 本]


学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか (ちくまプリマー新書)

学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 広田照幸
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2022/05/20
  • メディア: Kindle版



ちくまプリマー新書ということで、結構わかりやすく「学校」とはどういうところか、ということを解説してくれている本。

この人の教育の定義が興味深い。

p.18
「教育とは、誰かが意図的に、他者の学習を組織化しようとすることである」
確かに、誰かが意図的に行う行為であり、そこには権力が作用する。これに対して教師は十分に自覚的になるべきだと思う。

学校教育法第五十一条に高等学校の目標が掲げられており、この紹介も素晴らしい。

p.58
「一 (前略)豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと

 二 (前略)一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。

 三 (前略)社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。」

筆者もこの本の中で述べているように、最近の文部科学省の、特に英語教育に関する施策はこれらの逆を言っていると思う。

最後に印象的な箇所を三箇所紹介したい。

p.95
「つまり、学校で教えられているカリキュラムは、「この世界が何なのか」について縮約・再構成された知識や文化であり、あるいは、それをベースにした技能の習得のようなものです。ですから、日常の生活世界での経験では学べないものが、「カリキュラム化された知」として学校で学べます。」

これは私が自分の授業で四月に担当生徒によく話す内容と似た内容だ。すべての教科は根本的に、この世界をそれぞれの教科から切り取ったものであり、観点の違いなだけであり、全てはつながっているのだということを伝えるようにしている。

p.100
「いずれにせよ、多くの子どもたちに「勉強がつまらない」というふうに映るのは、学校の知の本質です。つまらないと思った人は多いと思いますが、学校はそういうものです。身近な日常経験とは切り離されたものを教わっているので仕方がありません。」

これも全くその通りだと思う。それを面白おかしく、生徒が「楽しむ」ことに焦点をおいた授業はその時はいいかもしれないが、後々何も残らない。

他にも色々と示唆に富んだ内容で刺激的な本だった。

中高生はもちろん、受験教育が教育だと思っている先生たちに是非読んでもらいたい本だ。
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