生のみ生のままで 下 [文学 日本 綿矢りさ]
無理矢理事務所に仲を引き裂かれ、それぞれが自分のやるべき仕事に尽力する彩夏と逢衣。
彩夏が最悪の状態になったあとの、愛情を二人が取り戻していく過程がとても美しい。
家族に理解されきらない、まわりにふたりの関係を完全にオープンにできない、など同性愛につきものの様々な状況はあるものの、最後は明るく希望に満ちた感じで終わるのがとても良い。
三浦しをん『ののはな通信』、小川糸『にじいろガーデン』そしてこの綿矢りさの『生のみ生のままで』、三冊とも女性による同性愛を扱っているが、『ののはな』は社会的、『にじいろ』は家族的なものに焦点を当てているが、この『生のみ』は完全にふたりの関係に焦点を当てている感じだった。
下巻は一気に読んでしまった。
p.82
「私は完璧じゃない。だから他人にいくら笑われてもしょうがない。でも自分だけは自分を笑っちゃいけない。私の頑張りを一番近くで見ているのは私だから。」
この言葉が物語の展開とは関係なく非常に心に残った。
6つの歌 Op.88 [シベリウス 声楽曲]
花で統一された曲集
01. 青いアネモネ
★★★★★★☆☆☆☆
愛らしく流れるようなピアノ伴奏で始まり、優しく語りかけるような歌が続く。
02. 2本のバラ
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした、「バラが一番美しい」と褒め称える歌。少し悲しげな旋律。
03. ウッド・アネモネ
★★★★★★☆☆☆☆
アネモネを「可愛らしい」と褒め称える歌。こちらも何故か少し悲しげな旋律。穏やかで優しい曲。
04. アネモネ
★★★★★☆☆☆☆☆
ピアノのキラキラした音で始まり、少しはねた感じになり、緊張感のある歌となる。
05. 茨
★★★★★★☆☆☆☆
堂々とした広がりのある曲。
06. 花の定め
★★★★★☆☆☆☆☆
静かな悲しげな曲。
この曲集も美しいメロディの曲が多く聴きやすい。
6つの歌 Op.86 [シベリウス 声楽曲]
01. 春の気配
★★★★★★☆☆☆☆
ゴツゴツした冬の嵐をイメージさせる前奏で始まる。歌はなんとなく明るさと希望がある。
02. あこがれは私の財産
★★★★★★☆☆☆☆
ゆったりとした民謡風の暖かいメロディの曲。基本同じメロディが繰り返されるが、最後ピアノがすこしアルペジオになる部分が綺麗。
03. 密かなつながり
★★★★★☆☆☆☆☆
こちらも民謡風のメロディを持った不思議な曲。
04. そしてある考えが浮かぶ
★★★★★☆☆☆☆☆
淡々とした静かな味わい深い曲。
05. 歌い手の報酬
★★★★★★☆☆☆☆
流麗な美しいピアノ伴奏に乗せて、伸びやかで希望に満ちたメロディが歌われる。最後はドラマティックに終わる。
06. 姉妹たち、兄弟たち、愛し合う者たちよ!
★★★★★☆☆☆☆☆
少しエキゾチックなメロディの曲。ピアノの情熱的な和音の連続の伴奏も悪くない。中間部は少しゆったりとした感じになる。
比較的高貴な作品ながらメロディアスな曲が多く、悪くない曲集。