父と私の桜尾通り商店街 [文学 日本 今村夏子]
今村夏子さんの短編集。
結構パンチの効いているものが多く、相変わらず現実なのか語り手の妄想なのかわからないという、小川洋子的な作品が多い。
1.白いセーター
2.ルルちゃん
3.ひょうたんの精
4.せとのママの誕生日
5.冬の夜
6.モグラハウスの扉
7.父と私の桜尾通り商店街
1は婚約者とその家族とのいざこざを扱った作品。こどもの悪意がうまい具合に表現されており、主人公のなんとなくやるせない気持ちもすごく詳細に描かれている。
2は偶然知り合った人の家から持ってきてしまった人形の話。犯罪なのだがなぜか犯罪の匂いを感じさせないところがうまい。
3はチアリーディングの話。これも現実なのか妄想なのかイマイチわからない不思議な話。
4はかなり痛い。スナックで働いてきた女性たちが、高齢のママの誕生日をサプライズで祝いにいく話なのだが、かなりブッ飛んだ感じで、結局祝っていない・・・。
5も痛々しい話。子どもを生んだお母さんの話なのだが、全体像がつかめないままふんわり終わる。この作品だけ文庫本だけに収録されている。
6は工事現場のお兄さんと小学生たち、そして学童の先生の淡い恋を描いた話。
7も、不思議な話ではあるのだが、最後の最後で希望を持って終わるので、本全体の読後感は良い。
文庫本は著者本人による制作裏話などが書かれており結構面白い。
すごいオススメ、という本ではないが、結構楽しめる本。
5つのクリスマスの歌 Op.1 [シベリウス 声楽曲]
01. いまクリスマスは雪の門のそばに立って
★★★★★★☆☆☆☆
優しく愛らしい包み込むような曲。
02. さあクリスマスがやってくる
★★★★★★☆☆☆☆
ズチャーチャというリズムが繰り返される、楽しく愛らしい曲。
03. 外は暗くなり
★★★★★★☆☆☆☆
淡々としたピアノ伴奏の上を、ゆったりとした暖かいメロディが歌われる。ピアノと歌のやり取りがとても良い。
04. 私は栄誉を求めない
★★★★★★☆☆☆☆
合唱曲にもシベリウス自身が編曲している曲。息の長い美しい旋律の暖かい曲。
05. 積雪はうず高く
★★★★★★☆☆☆☆
曲集の最後は、少し堂々とした荘厳な感じの曲。でもどこか温かい雰囲気が良い。
全体的に暖かい雰囲気に包まれた美しい曲集。
8つの歌 Op.61 [シベリウス 声楽曲]
01. ゆっくりと昨夜の空が
★★★★★☆☆☆☆☆
秋を感じさせる、ゆったりとした悲しげな旋律の前奏から始まる。
そのまま歌も悲しげ。中盤は淡々とした感じ。後半感情の高まりを見せ、最後はしっとりと明るく終わる。
02. 水のはねる音
★★★★☆☆☆☆☆☆
水が激しく揺れる様子をピアノが表して始まる。暗く重い歌が始まる。ずっとピアノは激しく水の様子を弾き続ける。長く飽きる。
03. 私が夢見るとき
★★★☆☆☆☆☆☆☆
アカペラに近い状態で歌が始まる。たまに入るピアノも暗く重い。後半少し明るくなり動きがではじめる。最後ピアノが活躍するところは少し綺麗。
04. ロメオ
★★★☆☆☆☆☆☆☆
緊張感があるがどこか滑稽な感じのはねた感じで始まる。
『ロミオとジュリエット』のロミオに自分をなぞらえた歌。しかしロミオのように相手は答えてくれず絶望している歌。
05. ロマンス
★★★☆☆☆☆☆☆☆
明るいような暗いような微妙な雰囲気で始まる。語りに近いメロディでひたすら愛が歌われる。後半かなり暗さを増していく。長く飽きる。
06. ドルチェ・ファール・ニエンテ
★★★★☆☆☆☆☆☆
「何もしない」ことを賛美する歌。イタリア語歌詞。かなり明るく始まる。イタリア語歌詞がそうかんじさせるのかもしれないが、かなりカンツォーネ的。
07. むなしい願望
★★★★★☆☆☆☆☆
嵐を表しているかのような激情的なピアノではじまり、そのまま歌が悲劇的なメロディを力強く歌う。ピアノの練習曲っぽい。
08. 春の魔法
★★★★★☆☆☆☆☆
美しく幻想的なピアノの前奏で始まり、そのまま半音階的な幻想的な歌が続く。ピアノが常に揺れ動く曲。
7、8はピアノが綺麗。