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父と私の桜尾通り商店街 [文学 日本 今村夏子]


父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)

父と私の桜尾通り商店街 (角川文庫)

  • 作者: 今村 夏子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2022/01/21
  • メディア: Kindle版



今村夏子さんの短編集。
結構パンチの効いているものが多く、相変わらず現実なのか語り手の妄想なのかわからないという、小川洋子的な作品が多い。

1.白いセーター
2.ルルちゃん
3.ひょうたんの精
4.せとのママの誕生日
5.冬の夜
6.モグラハウスの扉
7.父と私の桜尾通り商店街

1は婚約者とその家族とのいざこざを扱った作品。こどもの悪意がうまい具合に表現されており、主人公のなんとなくやるせない気持ちもすごく詳細に描かれている。
2は偶然知り合った人の家から持ってきてしまった人形の話。犯罪なのだがなぜか犯罪の匂いを感じさせないところがうまい。
3はチアリーディングの話。これも現実なのか妄想なのかイマイチわからない不思議な話。
4はかなり痛い。スナックで働いてきた女性たちが、高齢のママの誕生日をサプライズで祝いにいく話なのだが、かなりブッ飛んだ感じで、結局祝っていない・・・。
5も痛々しい話。子どもを生んだお母さんの話なのだが、全体像がつかめないままふんわり終わる。この作品だけ文庫本だけに収録されている。
6は工事現場のお兄さんと小学生たち、そして学童の先生の淡い恋を描いた話。
7も、不思議な話ではあるのだが、最後の最後で希望を持って終わるので、本全体の読後感は良い。

文庫本は著者本人による制作裏話などが書かれており結構面白い。

すごいオススメ、という本ではないが、結構楽しめる本。
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