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食堂かたつむり [文学 日本 小川糸]


食堂かたつむり (ポプラ文庫)

食堂かたつむり (ポプラ文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2018/04/20
  • メディア: Kindle版



ある日突然、同棲していたインド人の恋人に根こそぎすべてを持って行かれてしまい、ショックで声を失ってしまった女性が、自分の実家に帰り、食堂を開き、そこで色々な人と関わる中で心を再生していく話。

食堂を開くまで&開いてからも、いろいろなことを手伝ってくれる昔の小学校の用務員さんだった熊さん、食堂へやって来る様々なお客さん、こういった人たちとの関わりを通し、人間と関わることの貴さを学んでいく主人公、さらに色々な人たちとの触れ合いの中でふと知ることになった大きな確執があった母親との和解。そして尊敬していた祖母の本当の過去。様々なことがゆっくりと明らかになっていき、それとともに声も取り戻し自らの心と向き合い前向きに生きていくことができるようになる主人公の様子が細かく描かれている。

飼っている豚のエルメスとのふれあい、そして最終的には・・・、というのも人間が様々なものを犠牲にしながら自然と共に生きていることを伝えており、とても心に残った。

しかし、はじめは非常に重要な感じで食堂を作る際にもポイントとなっていた、唯一インド人が残していった祖母が残してくれたぬかどこが、途中から全く登場しなくなるのが残念だった。

感動的なストーリーで涙を流した人も多いらしい作品ではあるのだが、なぜか私はそこまで感動しなかった。藤岡陽子さんの作品よりも、なんとなくリアリティがないからなのか・・・。

とはいえ悪くはない作品だった。
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つるかめ助産院 [文学 日本 小川糸]


つるかめ助産院 (集英社文庫)

つるかめ助産院 (集英社文庫)

  • 作者: 小川糸
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/11/15
  • メディア: Kindle版



小川糸さんの作品に少し興味を抱き、図書館でいろいろ借りてきた。
デビュー作『食堂かたつむり』から読み始めたのだが、色々な関係により、この『つるかめ助産院』と並行して読むことになり、この作品の方が先に読み終わってしまった。

物語は、まりあという女性が、仕事から家に帰ると、夫が携帯電話を置いて失踪してしまった場面から始まる。いくら待てども帰ってこず、とりあえず昔二人で行った思い出の地、ハート型をした島へ彼を探しに行く。

そこではじめて声をかけられた人が実は助産師で、彼女に妊娠している、と告げられる。あれこれあり、彼女はこの島に残り、この助産師がやっている「つるかめ助産院」で働きながら出産することを決める。

自然と共に生活し、この助産院で働く人々や島の人々との交流を通じて、自分のあまり幸せではなかった過去とも向き合い、色々な人が実は色々な悩みを抱えながら生きていることを知り、人に触れられたり触れたりすることを恐れて生きてきたが、自分から相手に触れることで、心も落ち着いていくことを知り、最後は幸せな出産をする、という話。

調理に関する描写が非常に細かく、さらに心が解放されていく様子もとても細やかに描かれておりよかった。

しかし、女性の苦悩は結構細やかに描かれているのだが、サミーという男性の苦悩がまったく描写されておらず、最後もなんとなくかわいそうな感じで終わってしまうのが残念だった。
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てまり [文学 日本 安房直子 た行]


白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2006/08/01
  • メディア: 単行本



なくしてしまった魔法の時間 (安房直子コレクション)

なくしてしまった魔法の時間 (安房直子コレクション)

  • 作者: 直子, 安房
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/03/01
  • メディア: 単行本



お屋敷のお座敷の奥でお姫様が泣き叫んでいる。遊び友達のふたりの女の子がはしかにかかってしまい一人ぼっちになってしまったのだ。

泣きながらこの間見た夢のことを思い出していると、庭の方から「あんた、どうして泣いてるの」という声が聞こえる。見ると一人の女の子が立っている。そこでこっちへ来るよう言うと、てまりを持ってやってくる。中に鈴が入ったおばあさんお手製のてまりだった。そのてまりをたもとに入れると、機織りをしている女性の姿が見える。

てまりで遊んだ後ふたたびたもとにいれて覗き込むと、今度は菜の花畑が見える。

女の子はかつて夢を見たことがあった。
「あしたてんきになあれ」と下駄を飛ばしていたらその下駄が飛んでいってしまい探していたところ菜の花畑が目の前に広がる。下駄は見つからず諦めて帰ろうとしたところ、綺麗な鈴がついたぽっくりが上から降ってくる。そのぽっくりをさがす声が聞こえてくるが、鈴があまりにも綺麗だったのでその鈴を持って逃げる。そこで夢は終わるが、なぜか鈴だけは手に持ったまま。

お姫様もかつて夢を見たことがあった。
菜の花畑で、鈴のついたぽっくりをなげた夢。

ふたりの夢がつながっていたことをしりにっこりする二人。それから二人はこっそり庭で一緒に遊んでいた。

ある日少女が現れない。再び泣いて少女の名前を読んでいたところ、乳母がそれを聞きつけ、身分の低い少女が入り込んでいたことがわかる。町で少女を探すと彼女もはしかにかかっていたことが分かり、お姫様もはしかにかかってしまう。

病気が治り、おせんに会いたいと思っているがやはり現れない。寂しく思っているとある日てまりが外から投げ入れられる。それをたもとに入れ中を覗き込むと、すでに労働している女の子の姿が・・・。

身分違いの少女たちの友情と別れを描いた美しくも悲しい話。
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歌曲小品1 [シベリウス 声楽曲]





01. セレナード
JS. 167
★★★★★★☆☆☆☆
やさしく囁きかけるようなピアノ伴奏で始まる。歌も囁きかけるような優しいメロディ。途中少し悲しげになる。
「愛する人の部屋の明かりが消えており、部屋の中で彼女が自分のことを夢見ているとおもっている」男の心を歌った歌。

02. 北風がうなるとき
JS. なし
★★★★★★☆☆☆☆
チェロによる伴奏。ソプラノとメゾの二重唱。まさに北風が唸る様子を表している。結構面白く良い曲。

03. 水の精
JS. 138
★★★★★☆☆☆☆☆
明るく元気なメゾ・ソプラノ(水の精)と、朗読(司祭)がやり取りする歌。

04. まだ世界が創造されていなかったとき(断片)
JS. 56
★★★★★★☆☆☆☆
流れるようなピアノのアルペジオに乗って、優美な歌が流れる。チェロも伴奏に加わりとても穏やかで美しい。

05. ある歌
JS. 71
★★★★★☆☆☆☆☆
少し憂鬱そうなメロディの歌。
「おお心よ、不安な気持ちを沈めよ」

06. 太陽は空を赤く染め(断片)
JS. なし
★★★★★☆☆☆☆☆
悲劇的なピアノの伴奏で始まり、暗く沈んだメロディが歌われる。

07. 大騒ぎ
JS. 143
★★★★★★☆☆☆☆
ピアノの和音が一つ鳴り始まる。その後劇的な語りのようなメロディがテノールによって歌われる。オペラの中の一曲のような曲。
「自分に絶望した男が酒を飲んで荒れている」歌。

08. 森の精
JS. 171
★★★★★☆☆☆☆☆
荒れ狂う自然を模したようなピアノ伴奏の元、力強い歌がメゾにより歌われる。ドラマティックではあるが少し長く飽きる。
「森に入ってきたハンサムな若者を歌った」歌?

09. 秋の夕べ
JS. なし
★★★★☆☆☆☆☆☆
秋というよりは冬という感じの、寒空の中一人悩む若者を表したかのような悲劇的な曲調。
歌詞も哲学的。

10. 少女はある冬の朝出かけた(断片)
JS. なし
★★★★☆☆☆☆☆☆
優しく穏やかな前奏。曲が始まると終わってしまう。

11. 私はあなたにキスして飽きない
JS. なし
★★★★★☆☆☆☆☆
題名通りの感情の甘い高まりをそのまま曲にした感じ。

12. 愚かさに住処はなかった
JS. なし
★★★★☆☆☆☆☆☆
三拍子の幻想的な雰囲気の曲。

13. おなじ
JS. 120
★★★★☆☆☆☆☆☆
おどろおどろしい曲。
「海」を歌った歌?

14. はじめての口づけ
JS. 57
★★★★☆☆☆☆☆☆
暗く重く始まる。ピアノ伴奏はかなり低音で終始奏でられる。
あまり題名のような愛らしい感じは全くしない。

15. おいで、おいで私の愛しい人よ
JS. 211
★★★★★☆☆☆☆☆
バリトンにより歌われる。民謡を編曲したらしく、少し暗い。
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