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あと少し、もう少し [文学 日本 瀬尾まいこ]


あと少し、もう少し(新潮文庫)

あと少し、もう少し(新潮文庫)

  • 作者: 瀬尾 まいこ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/09/18
  • メディア: Kindle版



中学駅伝を描いた作品。箱根駅伝を描いた三浦しをん作の『風が強く吹いている』に似た作品。
『風が~』は大学駅伝を描いているということもあり、悩みなども大人な感じがあるが、登場人物が中学生ということもあり、悩みが結構生々しく、中学生ならではの微妙な揺れ動く気持ちなどもよく描けている。

公立中学が舞台となっていることもあり、名物顧問が異動になってしまい、しょうがなく顧問になってしまった女性の美術教師で陸上ど素人の上原先生が非常に良い味を出している。

走順通りの章立てになっており、走っている様子と、それまでに至る時間が行ったり来たりしながら重層的に語られており、非常に深みのある作品となっている。各走者が次の走者にバトンを渡す描写は全ての章で涙が出てしまった。そして皆がそれぞれの立場から部長の桝井を思う気持ちが非常に美しい。

解説をなんと三浦しをんが書いており、彼女が非常に良いことを書いている。

p.360
「私たちは決して、決して、一人ではない。あなたがだれかを思うとき、だれかがあなたを思っている。必ず。そう信じて前進する姿は、なんと激しく崇高なのだろう。もし、そのがむしゃらな姿を嗤うひとがいるとしたら、そのひとは「生きる」ということを知らないのだ。」

中島みゆきの「ファイト!」にも通じる非常に良い作品だと思った。
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