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私のアンネ・フランク [文学 日本 松谷みよ子 直樹とゆう子]


松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

松谷みよ子の本 (第3巻) 直樹とゆう子の物語

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



私のアンネ=フランク―直樹とゆう子の物語 (偕成社文庫)

私のアンネ=フランク―直樹とゆう子の物語 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 単行本



直樹とゆう子のシリーズ三作目。

今回は題名通りナチス・ドイツがテーマとなっている。
アンネ・フランクと同年に生まれた母蕗子。アンネ・フランクが日記を書き始めた13歳と同じ年齢のゆう子。この二人の日記が交互に登場し一冊の本になっている。最後の方で若干直樹の日記も出てくる。

この本は私が生まれた1978年の出来事として書かれており、自分の生まれたとき日本がどういう状況だったのかということも知ることができて結構面白かった。日本がどんどん戦争ができる国へと向かっていく真っ最中だったのがわかる。世界的にはネオ・ナチが台頭し、日本では相変わらず朝鮮人差別があり、ハーケンクロイツを平気で使用し、天皇制を賛美し、等など、この当時の状況から変わることなく、なんら問題を解決することなく日本は来てしまったのだなあと実感した本だった。

p.420
「あれはいつだったか、旅さきで読んだ地方新聞の随想。だれかが書いていた。
 なにかがおこるとき、そのなにかはさりげなく、だれもそれと気がつかないうちに、人びとの前にさしだされ、たいしたことではないと思っているうちに、それは事実となっていくって。」

p.421
「明治、大正、昭和、その言葉になれ親しみ、その意味の重さを問うよりも、使いつけた茶わんの親しさ、あたたかさで放すまいとする心は私にもある。そして多くの人がそうであろう。
 でも、でも、なぜそれほどまでに元号にこだわり、法律にしようとするのだろう。
 反対をとなえた学者たちを、暴力で排除するようなことがほんとうにおこっているとしたらーー。」

p.471
「ヒトラー・ユーゲントに心をおどらせ、〈愛国行進曲〉を声かぎりに歌った十三歳のわたしも、背丈はまだ小さいけれど、にほんのかたすみでヒトラーをささえたひとりだったということも。そして、それがアンネ、あなたを死にいたらしめたのだということをも(わたしは知った)。」

p.481
「いま、日本はどんどん危険な方向へ進んでいる。戦争の足音がきこえる、って三人ともいっていました。」

この本の中のモチーフのように何度も登場する、民話の中に出てくる「鬼の目」というものが何のアナロジーとしてしようされているのか、最後までイマイチわからかなかったり、なんとなくもやっとした感じの多い作品ではあり、結構わかりづらい作品ではあるのが、伝えたいメッセージは明確で、現在にも通じるものがある。
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