星の子 [文学 日本 今村夏子]
東京新聞の昔の名作映画を紹介する欄で紹介されていた映画の原作。映画に詳しい同僚の先生と話をしたところ、「映画は観たことがないが原作は読んだことがある。作者の今村夏子さんはデビュー以来全作品読んでいる」という話だった。その同僚の先生はかなりの読書家で深い考えを持っている人なので、その人がデビュー以来追いかけている作家ならば、と興味を持ち、新聞に映画が紹介されていたこの作品から読み始めた。
小さい頃自分の病気がなかなか治らない中、父親が同僚に紹介された水を使用したところ一ヶ月程度で治ってしまい、それ以来その宗教に両親ともにはまってしまったという、ちひろという少女が主人公の物語。
一人称がたりの物語だが、結構淡々としていて三人称的語りに近い客観的な描写が多く結構読みやすい。巻末には私の好きな小川洋子さんとの対談も載っており、ちなみに著者の今村夏子さんは、小川洋子さんを敬愛しているらしい。
両親が宗教を信じることにより、結構困難な人生を歩んでいるはずのちひろ。しかし暗さや精神的葛藤はあまりなく、なんとなくその状態を受けて入れている、という展開もどことなく不気味さを醸し出している。
対談にもあるが、最後の流れ星を家族三人でいつまでも探す部分が、かなり余韻を残す展開で、この家族そしてちひろは今後どうなっていくんだろう、ということを考えさせられる。
2023-08-17 04:58
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