あひる [文学 日本 今村夏子]
1.あひる
2.おばあちゃんの家
3.森の兄妹
表題作の1は、資格取得試験のため家で勉強をする女性の一人称語りの作品。
ある日父親が会社の同僚からあひるをもらってきて、庭で買う。そのあひるを学校帰りの小学生が良く見て帰るようになる。そうした小学生たちを、初めは庭の中、そのうち家にまで上げはじめ、挙げ句の果てに家の中で宿題までやらせ、お菓子まであげるようになる。さらに誕生会まで開いてあげるようになるが、その誕生日の日・・・。Harold Pinterに近い不条理さと恐ろしさとわけのわからなさがある。結局は一人称がたりであり、何が正しいのかは結局わからない。
2と3はつながっている。生き残った家族とは直接血の繋がっていない痴呆症になってしまったおばあちゃん。主人公の女の子とそのおばあちゃんの交流の話。3は親が働いているため二人で放課後の時間をつぶさなければならない兄と妹の話。びわがなる家に入ってびわを食べていた兄と妹はその家のおばあちゃんにその姿を見られてしまう・・・。結構恐ろしい話だが、最後は希望を持って終わる。
つかみどころのない感じでものすごく面白いという感じではないが文体がサラサラしているので結構すんなり読めることは読める作品。
そこまで一般受けしないのもわかる。
2023-08-19 04:53
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0