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ジェルミナール 中 [文学 フランス ゾラ]


ジェルミナール 中 (岩波文庫 赤 544-8)

ジェルミナール 中 (岩波文庫 赤 544-8)

  • 作者: エミール・ゾラ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1954/09/05
  • メディア: 文庫



『ジェルミナール 中』を読み終わった。
上巻は、エティエンヌ、マユ一家を中心とした労働者側の生活の描写が多かったが、中巻は資本者側の生活から始まる。資本者側にも様々な立場、様々な考えのものがおり、それぞれがそれぞれの内面を持っており、それぞれに様々な葛藤をしている。労働者(苦・被害) vs. 資本家(楽・加害)というだけの単純構造にしていないあたり、ゾラの小説家としてのうまさを感じる。

資本家側のエンヌボー氏は、妻との関係がうまく築けず、妻は公認の情夫を持っている。挙句の果てには、親戚の子どもを家に入れ、面倒を見つつ、彼と肉体関係を持つ。エンヌボー氏は妻を愛しているのだが、結局妻を責められず、もんもんとした日々を過ごす。彼は若い労働者たちが仕事の後、そこらへんで成功している姿を目にし、うらやむ。
「パンか愛か」。暴動が起きパンを求める労働者に対し、彼はひそかに、野獣のように娘と性行為が出来るならパンを与えてやる、と思う。

ゾラは、労働者側の餓えの苦しみと共に、資本家側の心の苦しみも描いている。これが物語りに厚みを与えており、非常に面白い。

この中巻はストライキから暴動に至る過程を詳細に描いており、様々な人物のその過程での心の動きも詳細に描いている。ユゴーの『レ・ミゼラブル』の暴動場面同様、非常に面白かった。

最後の下巻でどのような展開になるのか、楽しみだ。
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