SSブログ

ナナ [文学 フランス ゾラ]


ナナ (新潮文庫)

ナナ (新潮文庫)

  • 作者: ゾラ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: 文庫



ゾラ作『ナナ』を読み終わった。
以前、ゾラの『居酒屋』を読み終わったとき、読後感があまりのも悪かったので、その続編(『居酒屋』の主人公の娘ナナが主人公の作品)とも言えるこの『ナナ』を読む気になれなかった。

しかし、『ジェルミナール』が復刊されたとき、同時にこの『ナナ』も買っておいた。
『居酒屋』の主人公    ジェルヴェーズ
『ナナ』の主人公     ジェルヴェーズの娘
『ジェルミナール』の主人公 ジェルヴェーズの息子
という関係になってはいるが、ほとんどお互いの作品にお互いが言及されることはない。

この『ナナ』だが、ヴェリエテ座という演劇、オペラ?を見せる劇場の様子から始まる。新人女優「ナナ」が登場するのだが、新人とは思えない売り出しで、客は期待を膨らませる。初登場は歌が下手過ぎて注目されないが、3幕で裸同然のような格好で舞台に立ち、一気に男たちのハートをつかむ。

その後、伯爵家でのサロンの様子になる。ここで何故か執拗にプロイセンのビスマルクが話題になるのだが、何故なんだろうと思っていたが、物語の最後で普仏戦争が起こり、再びビスマルクが話題となる。この辺は流石に現代流行作家と違い計算しつくされた感がある。

このサロンで男女限らず、様々な人物が登場し、正直頭を整理しきれず読み進めるのだが、ここに登場する男たちがほとんど後に、ナナと肉体関係を結ぶことになる。

その後ミュファ伯爵の愛人となるのだが、一時ナナも純愛に目覚め、劇団の一員の不細工な男と同棲するのだが、この男にナナは金をほとんど取られ、挙げ句の果てに暴力を振るわれる。が、ナナは暴力を振るわれれば振るわれるほど、従順になっていく。

『ジェルミナール』に登場したカトリーヌもそうだったのが、ゾラ作品は、男にひどい目に合わされれば合わされるほど、その男と離れられなくなく女性が描かれる。ある意味『居酒屋』のジェルヴェーズもそうだ。現代でもDVを受けている女性がなかなかほかの人にその事実を伝えられず、暴力を受け続けるという話しをよく聞くが、時代・場所を問わず、こういったことは同じようなことがあるのだなあ、と思いながら読んでいた。

結局、その男とは別れ、再びミュファ伯爵の愛人となるのだが、その後ナナはどんどんと男と肉体関係を結び、その男達に貢がせ、彼らを崩壊させていく(罪を犯すもの、死に至る人物も出る)。

最後は天然痘にかかり死ぬのだが、ナナの死と同時並行的に普仏戦争が開始される。


やはり読んでいて気持ち悪くなり、早く終わらないかなあという思いしか最後の方はなかった。結婚している男女がお互い公認で愛人を作ったり、その愛人と夫がお互いの関係を分かりながら家計を切り盛りしたり、正直意味がわからなかった。

とにかく不道徳な関係の多く出てくる小説は読んでいて気持ちいいものではない。『ジェルミナール』のエティエンヌとカトリーヌが関係があまりにも美しく、正義感か前面に押し出された作品で、読後感も清々しいものだっただけに、かなりげんなりしてしまった。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0